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2018年1月31日水曜日

プロフィールの意味するところ ― profile

アメリカではトランプ大統領が就任後初めての一般教書演説(State of the Union address)を行うということで注目されているところです。

これを書いている今(日本時間1月31日水曜日午後)は、既に大統領の演説は終わっており、下記に引用する記事はいささか旧聞に属するところですが、お読みください。


First lady Melania Trump is set to attend President Trump's first State of the Union address after keeping her public appearances to a minimum this past week. Her attendance at Tuesday's night's speech will mark the first public outing she's made with her husband since canceling arrangements to attend the World Economic Forum in Davos, Switzerland.

While her trip to Switzerland had been on her public schedule, the first lady's press office said there were "too many scheduling and logistical issues," so she would not be traveling to Davos.

As her husband addressed the global economic summit, Mrs. Trump spent Thursday visiting the U.S. Holocaust Memorial Museum back in D.C. in advance of International Holocaust Remembrance Day, which was Saturday.
(Melania Trump has kept a low profile but is expected to be at State of the Union. CBS News. January 30, 2018.)


内容というのが、ファーストレディーのメラニア夫人が大統領の演説に同席するのか否か、ということについて触れているものなのですが、背景として大統領が過去にポルノ女優と関係を持っていたという報道が大統領の夫婦仲を直撃しているのではという観測(憶測?)があるようです。

結果的にはメラニア夫人は大統領の演説に同席をしましたが、昨年末以来、大統領と夫人のツーショットがあまり見られないという事実はあったようです。

また、今日の報道ではメラニア夫人は大統領とは別行動で議会に姿を現したとか、大統領が家族という価値観を賛美するコメントをした際にも周囲が立ち上がって拍手したのとは対照的に座ったままであった、などと報じられています。

大統領自身はポルノ女優との関係についての報道を一蹴しており、真偽のほどは分かりませんが、疑惑の時期はちょうどメラニア夫人がバロン君を妊娠中だった時期と重なるとされ、メラニア夫人にとって心中穏やかでないことは想像されるところです。

さて、今日取り上げる表現は記事のタイトルで使われています。

本文中、"keeping her public apppearances to a minimum"とあるところ、タイトルでは


Melania Trump has kept a low profile but is expected to be at State of the Union


となっています。

この"low profile"という表現を取り上げたいと思います。

日本語でもカタカナで「プロフィール」、あるいは「プロファイル」と言いますが、"profile"が元々意味するところは、線で輪郭を描く、という意味です。

それがアウトライン、輪郭という意味になり、さらに人物を始めとする事物の特徴、概要、といった意味になったものです。

ここで、"low profile"という表現を改めて見てみますと、手持ちの英和辞書には載っていないのですが、Merriam-Webster Dictionaryでは、


degree or level of public exposure


と定義されており、これはつまり世間的な注目の度合い、という意味です。

"profile"にはもうひとつ、輪郭という意味があり、これは彫刻で彫った時の彫りの深さと関係しています。つまり、"low profile"とは彫りが浅い、従って目立たない、という意味になると考えられます。

"low profile"の逆が"high profile"でこちらは大変に目立つ、という意味です。

しばしば見られる表現として、"high profile case(s)"というのがありますが、世間の耳目を集めた事件や裁判などを指す場合に使われます。

仮に多くのマスコミの予想通り、メラニア夫人が大統領の過去のポルノ女優との関係に怒っており、その理由で大統領と共に露出することを避けているとしたら・・・。

皮肉なことですが、”keep a low profile”は逆に、”high profile”なマスコミの扱いになっていると言えます。


2018年1月30日火曜日

ストローと環境問題 ー last straw

まずは記事の引用からお読み下さい。


A California politician says he was only thinking of protecting the environment when he proposed a bill making it a crime for dine-in restaurants to offer customers plastic straws without first being asked.

Since introducing his bill last week, Democratic Assemblyman Ian Calderon has been the target of scorn from critics who call his proposal "absurd" and an overreach of government.

"It really is a reasonable measured approach that I think will make a difference," Calderon told ABC News on Monday about his proposed bill.
(Bill Hutchibson. California lawmaker taking flak over plastic straw bill. ABC News. January 29, 2018.)


レストランの客に使い捨てのストローを提供することを違法とする法案が米・カリフォルニア州で提出されたそうです。

提案する民主党議員は、米国内で1日あたり、推定5億本のプラスティック製のストローがムダに消費されているとし、環境問題を考えるきっかけになれば、と話しているそうです。

言われてみれば似たような思いが無くはありません。

先日、スターバックスを訪問した時のことです。店内利用と伝えてドリップコーヒーと軽食を注文しましたが、供されたコーヒーはマグではなく、テイクアウト用のディスポーザブルな紙製カップでした。(以前は、店内利用と告げれば、マグで出してくれていたと記憶するのですが。)

ということで、プラスチック製ストローのコストがいくらとか、再利用や再生可能性がどうとか、よく知らないのですが、ムダであるという考えには賛同できます。

しかし、罰金1,000ドル、懲役(6ヶ月!)に値するか、と言われると、さすがに疑問符がつきます。


But critics immediately jumped on him. Assemblyman Travis Allen, a Republican candidate for governor of California, asked people on his campaign Facebook page to protest the bill by flooding Calderon's office with plastic straws.

"Instead of tackling the real issues, today's California Democrats are more interested in giving jail time to waiters offering their customers the convenience of having a straw," Allen told ABC News on Monday. "This is one absurd bill, but it highlights how ridiculous the California Democrats have gotten. This is clearly the last straw."
(ibid.)


共和党議員が、「バカげた法案」と噛み付きました。

議員は以前から民主党に対して憤っていたのでしょう、


This is clearly the last straw.


とコメントしました。

これは面白いシャレです。

“the last straw”とは、我慢や忍耐の限度、という意味です。

2018年1月29日月曜日

ネット時代の万歩計の落とし穴 ― heatmap

昨年のクリスマスプレゼントに妻にFitbitを贈りました。Fitbitを使っていらっしゃる方も多いのではないかと思いますが、ご存じない方のために説明すると、活動量計と呼ばれる、言わばネット時代の万歩計みたいなものです。

そのFitbitデバイスに代表される活動量計が軍事機密の脅威となっているという、びっくりするニュースです。


BEIRUT — An interactive map posted on the Internet that shows the whereabouts of people who use fitness devices such as Fitbit also reveals highly sensitive information about the locations and activities of soldiers at U.S. military bases, in what appears to be a major security oversight.

The Global Heat Map, published by the GPS tracking company Strava, uses satellite information to map the locations and movements of subscribers to the company’s fitness service over a two-year period, by illuminating areas of activity.

Strava says it has 27 million users around the world, including people who own widely available fitness devices such as Fitbit and Jawbone, as well as people who directly subscribe to its mobile app. The map is not live — rather, it shows a pattern of accumulated activity between 2015 and September 2017.

(中略)

In war zones and deserts in countries such as Iraq and Syria, the heat map becomes almost entirely dark — except for scattered pinpricks of activity. Zooming in on those areas brings into focus the locations and outlines of known U.S. military bases, as well as of other unknown and potentially sensitive sites — presumably because American soldiers and other personnel are using fitness trackers as they move around.

Air Force Col. John Thomas, a spokesman for U.S. Central Command, said Sunday that the U.S. military is looking into the implications of the map.
(Liz Sly. U.S. soldiers are revealing sensitive and dangerous information by jogging. The Washington Post. January 28, 2018.)


GPSトラッキングシステムの会社が公開したThe Global Heat Mapにたまたまアクセスしたオーストラリアの大学生が指摘したことがきっかけになったようですが、例えば米軍がアフガニスタンやシリアの基地周辺をジョギングした際のトラッキングデータが、ちょうど軍の施設を浮き彫りにするかのようにハイライトするのだそうです。

肥満対策に活動量計を支給しているケースもあるそうで、何とも皮肉な話です。

さて、"heatmap"(もしくは、heat map)という名称はグラフの一種で、データの値の高低を色で表したものです。

様々な種類の"heatmap"が存在するようですが、比較的馴染みがあるのは地図帳などで人口密度を示したものではないでしょうか。(人口密度の表し方にもよりますが、人口が集中している都市部が赤くなっているタイプのものをイメージしてください。)

ウィキペディアによりますと、"heatmap"という名称は市場分析のためにその手法を編み出したソフトウェアデザイナーが商標登録したものだそうですが、今では可視化グラフの一種として普通に名詞として使われています。


2018年1月26日金曜日

slippery slope

昨日取り上げた、中国で世界で初めて2匹のクローン猿が誕生したというニュースですが、引用した記事にもう1つ興味深い表現がありましたので取り上げます。

「世界初」と書きましたが、記事によるとサルのクローンは厳密に言うと世界初ではないそうです。

1996年の羊のドリーが誕生して3年後の1999年に、サルのクローン作製は行われていました。

しかし、今回の2匹のサルのクローン作製については、約20年前の技術とは次元が異なるということです。記事によれば、当時の技術というのは、受精後の胚を分割したもので、「双子」が生まれるプロセスに例えられるそうですが、今回は受精前の卵を操作することによってクローン作製に成功したということです。

というわけで、ますます倫理上の議論を呼ぶことになるという見方が強いのですが、記事では以下のようなくだりがあります。


The birth of these clones also brings up ethical issues. Humans are in the primate family. With this birth, these scientists have broken a barrier and that means the technique could, in theory, be applied to humans. The authors of the paper say they have no intention of trying and they believe their results should spark a wider discussion about the laws and regulations the world needs to regulate cloning.

Darren Griffin, a professor of genetics at the University of Kent, said "careful consideration now needs to be given to the ethical framework under which such experiments can, and should, operate." He noted, critics will evoke, "the slippery slope argument of this being one step closer to human cloning." However, Griffin said he thinks the benefits of this approach are clear and "cautious optimism is my personal response to this study. The study itself is very impressive technically."
(Jen Christensen. Monkey see, monkey 2: Scientists clone monkeys using technique that created Dolly the sheep. CNN. January 24, 2018.)


最も懸念されているのは、霊長類のサルを使ったクローン技術が進歩することで、同じ霊長類であるヒトへのクローン技術の適用が現実のものになるのではないか、ということでしょう。

今回の実験に携わった科学者はそのような意図、つまりヒトを使った実験を行う予定はないと否定しているようですが、越えてはならない一線を越えてしまった、という見方もあります。

引用部分の後段、


slippery slope argument (of this being step close to human cloning)


という部分は、まさしく「ヒトへのクローン技術適用にまた一歩近づいた」ということの懸念を表現していますが、この"slippery slope argument"という表現に着目してみましょう。

"slippery slope"は、Merriam-Websterによりますと、


a course of action that seems to lead inevitably from one action or result to another with unintended consequences


と定義されています。

ちょっと分かりにくい定義ですが、要は、あるアクションを取ったことによって、元々は意図していなかった結果が必然的に生じてしまう、ということです。

記事のコンテクストにおいて考えてみると、(中国の技術者はヒトへの適用など意図していないといっているけれども)サルのクローン作製に成功することで、その意図していなかったヒトへのクローン技術の適用が現実のものになってしまう、ということになるかと思います。

"slippery slope"とは字義通りに解釈すれば、「滑りやすい坂道」であり、そのような坂道では一度躓いてしまえば、坂の下方へ転がり落ちてしまうことが明らかと言えます。

つまり、転落への道、破滅へ至る道(ランダムハウス英和辞書)、という訳です。


2018年1月25日木曜日

中国でサルのクローン作製に成功 ― monkey see, monkey do

今日の朝刊で、中国で世界初のクローンサル作製に成功したと報じられていました。衝撃を受けました。

クローンと言えば、1996年に羊の「ドリー」で初めてクローンを作製することに成功したことを覚えておられる方は多いと思います。

今回は、2匹のサルをクローン技術で作製しており、人間と同じ霊長類動物におけるクローン技術の適用ということで、倫理上の議論を呼ぶのではないかと言われています。


Monkey see, monkey 2: Scientists clone monkeys using technique that created Dolly the sheep

(CNN) — For the first time, scientists say they created cloned primates using the same complicated cloning technique that made Dolly the sheep in 1996.

Shanghai scientists created two genetically identical and adorable long-tailed macaques. The monkeys are named Hua Hua and Zhong Zhong, a version of the Chinese adjective Zhonghua which means the "Chinese nation" or "people."
(Jen Christensen. Monkey see, monkey 2: Scientists clone monkeys using technique that created Dolly the sheep. CNN. January 24, 2018.)


さて、引用したのはCNNの記事ですが、記事のタイトルに着目してみましょう。


Monkey see, monkey 2: Scientists clone monkeys using technique that created Dolly the sheep


のっけから、"Monkey see, monkey 2"という、何やらよく分からないフレーズですね。

"monkey 2"の方は、クローンで作製された2匹のことを指しているというのは想像がつきます。そのことにかけたフレーズといういうことでしょうが、元のフレーズは知らないと分からないかもしれません。(私もこの記事をきっかけに知りました。)

元のフレーズとは、


Monkey see, monkey do.


というフレーズなのですが、これは「猿の物まね」といったような意味だそうです。(手元の辞書には載っていませんでした。)

つまり、猿が見たこと("Monkey see")を、そのまま真似して行う("monkey do")、ということですね。

一説によると、この"Monkey see, monkey do."はpidgin English(英語を母語としない中国人などが、ビジネスシーンなどで意思疎通のために最低限の語彙・文法レベルで使う英語)が起源とも言われているそうです。

うがった見方をすると、羊のドリーで初めて成功したクローン技術をサルに応用したということで、中国の科学者に対する強烈な皮肉が込められているのかもしれません。記事にはそこまで書いていませんが。


2018年1月24日水曜日

jibe

スマホの使い過ぎは精神衛生上よくない、という報告があるそうです。

ミシガン州立大学による調査で、10代の子供の週間のスマホ利用時間と生活への満足度(幸福度)の関連を調べたところ、スマホの利用時間が増えるにつれて満足度が下がるという逆相関がみられたということです。


In recent months, Silicon Valley executives have been speaking out about the purposely addictive designs of smartphones and social media, which make them hard to put down for anyone, but particularly teenagers.

Now, a new report puts numbers to the warnings, tying a sudden and large drop in adolescents' happiness with the proliferation of smartphones, and finding that the more hours a day teens spend in front of screens, the less satisfied they are.
(Tara Bahrampour. Teens who spend less time in front of screens are happier. The Sydeny Morning Herald. January 24, 2018.)


記事は以下のように続きます。


The report, "Decreases in Psychological Well-Being Among American Adolescents After 2012 and Links to Screen Time During the Rise of Smartphone Technology", was published Monday in the journal Emotion using a large national survey of 8th, 10th, and 12th graders conducted annually by The University of Michigan.

After rising since the early 1990s, adolescent self-esteem, life satisfaction, and happiness plunged after 2012, the year smartphone ownership reached the 50 percent mark in the US, the report said.

It also found that adolescents' psychological well-being decreased the more hours a week they spent on screens, including the Internet, social media, texting, gaming, and video chats. The findings jibe with earlier studies linking frequent screen use and teenage depression and anxiety.
(ibid.)


このような調査結果は他にも色々とあるのでしょうが、スマホという便利な道具はコミュニケーションを効率化するように見えて、その実、使い過ぎは精神衛生を損なうものであるということを多くの人が身を以て感じ始めているのではないかと思います。

引用部分の末尾で、


The findings jibe with earlier studies linking frequent screen use and teenage depression and anxiety.


とありますが、この"jibe"という見慣れない単語は、


一致する、符合する


という意味です。

辞書を引くと語源不詳となっていました。

そういえば、昔、「ジャイブ」という缶コーヒーがありました。その「ジャイブ」のスペルは"jive"で、これは"jibe"とは別の単語です。

American Heritage Dictionaryによると、"jive"は音楽のジャズ、スイングを意味する単語ですが、"jibe"の意味で誤用されることが多いという注釈があります。


2018年1月23日火曜日

Head will roll

“Head will roll”という表現をご存知でしょうか?

以下の引用記事を読んでみましょう。


Heads continued to roll Monday at the New York City Housing Authority — but not THE head.

Shola Olatoye remained firmly ensconced as chairwoman even as Mayor de Blasio announced the second shake-up of the bungling agency, exactly one week after The Post revealed how NYCHA neglect led to a ceiling collapse that injured a tenant and his girlfriend in Brooklyn.

A mayoral spokeswoman said NYCHA General Manager Michael Kelly, Olatoye’s second-in-command, handed in his resignation, several weeks after informing City Hall he planned to abandon the $216,000-a-year post.
(Another head rolls at troubled city Housing Authority. New York Post. January 22, 2018.)


NYCHA(New York City Housing Agency; ニューヨークの住宅供給公社みたいなものでしょうか)で人事刷新(shake-upが行われたようです。

人事刷新というのは大抵の場合不祥事を契機に行われるもので、記事のケースも例に漏れずといったところです。

という訳で、”head will roll”の意味するところは、つまり「クビ」ということです。

ここで、頭を意味する”head”は組織を構成する人員のことです。ヘッドカウントで組織構成員の数を指すのと同じです。

もう一つ、”head”には組織の長という意味で用いられることもありますが、記事ではトップの首がすげ替えられたのではなく、ナンバー2が辞職ということになったようで、皮肉をもって報じられているようです。

“Head will roll”というフレーズについては、ランダムハウス英和では、「ただでは済まない」と載っていました。

そんなことしたら職を失うよ、という脅し文句でしょうか。


2018年1月22日月曜日

探偵のイメージ ー a second lens

昨年12月、カナダ・トロントで製薬会社経営の資産家夫婦が殺害されているのが発見された事件は、当初無理心中という警察当局の見方でしたが、他殺の可能性も出てきたそうです。


Private investigators believe a prominent billionaire couple found dead in their Toronto mansion last month were murdered by multiple people two days before their bodies were discovered, Canadian Broadcasting Corp. reported Saturday, citing a source “with direct knowledge of the parallel probe” into the deaths of Honey and Barry Sherman.

The private investigation — which contained graphic details of the alleged ways the Shermans had been killed — at times contradicted early reports about an ongoing investigation by Toronto police, who have remained tight-lipped about the case over the past month.

(中略)

The family vehemently rejected an early report by the Toronto Star that said police were investigating the possibility of a murder-suicide.

In late December, attorney Brian Greenspan said the family said they had hired private investigators “to provide a second lens and to ensure that no stone is left unturned.”
(Billionaire couple from Toronto was murdered by multiple people, private investigators say. The Washington Post. January 21, 2018.)


過去に当ブログでも取り上げた表現が使われており、おさらいのような感じでもありますが、今日取り上げる表現は、


provide a second lens


というものです。

結論から言いますと、辞書には載っておらず、成句の類と断定することもできないのですが、興味深い表現だと思いました。

そもそも今回の事件については、警察当局は無理心中(murder-suicide)との見方をしていました。

これに反発したのが遺族で、"private investigators"(私立探偵)を雇って独自の捜査を進めたものです。

つまり、探偵を新たに雇ったことを指して"a second lens"と言っている訳なのですが、警察当局が"first lens"、探偵が"second lens"というところでしょうか。

"lens"にもいろいろな種類がありますが、ここでは拡大鏡、もしくは虫眼鏡、英語では”magnifying lens (glass)”を指していると考えることができそうです。

シャーロック・ホームズに代表される探偵のイメージはトレンチコートに虫眼鏡、といったところですが、この”second lens”にも探偵のイメージから来ていると考えると、面白いと思いませんか?


2018年1月19日金曜日

start a beef

これまでもいくつかハンバーガーに関する話題を取り上げてきましたが、これは私がハンバーガーを好んで食べるからという訳ではありません。

別に嫌いということもありませんが、何故かハンバーガーに関する記事では興味深い表現を見つけることが多いのです。

ということで、本日もハンバーガーに関する記事からの引用です(笑)


Burger King is looking to start a beef with rival McDonalds. The fast-food restaurant launched a 1/2 pound burger, similar to McDonalds.

In an effort to go after rival McDonald's, Burger King has unveiled a hefty new burger made with a half-pound of beef, and it went on sale Thursday.

The Double Quarter Pound King Sandwich takes direct aim at McDonald's Double Quarter Pounder.

Burger King's version will consists of two beef patties with American cheese, sliced onions, pickles and ketchup on a toasted, sesame seed bun.
(Zlati Meyer. Burger King takes swat at McDonald's with new gut bomb burger. USA Today. January 18, 2018.)


ハンバーガーと言えば誰もがマクドナルド(McDonald’s)をまず思い浮かべるでしょう。日本国内における店舗の展開は他の追随を許さないものがあります。

マクドナルドの対抗馬として知られるバーガーキング(Burger King)が宣戦布告、というような記事の内容です。

記事のリード部分で、


Burger King is looking to start a beef with rival...


とあります。

“start a beef with”という表現は、ハンバーガーにビーフ(牛肉)が使われていることにかけて、しゃれを利かせたものでしょう。

“beef”には不満(complaint)の意味があることは辞書を引けば分かりますが、砕けた言い方をすれば、文句、つまり喧嘩を仕掛ける時に、「何か文句でもあんのか!?」と言う時のあの「文句」です。

最近マクドナルドが新商品を発表したのに対抗して、バーガーキングもそれに当て付けたように類似商品を発売したものです。


2018年1月18日木曜日

clear eyes

記事の引用からどうぞ。


South Korea says it will continue high-level talks with North Korea with "clear eyes" amid global warnings that Pyongyang might be playing for time to continue its nuclear-arms programme.

"We have to make the most" of the opportunity, South Korean Foreign Minister Kang Kyung-wha told the BBC.

The two Koreas earlier agreed to march under a "unified Korea" flag at next month's Winter Olympics in the South.

The talks come as the US and its allies vowed to keep pressure on the North.
(North Korea crisis: South to continue talks with 'clear eyes.' BBC News. January 18, 2018.)


韓国・平昌での冬季オリンピックに北朝鮮が参加する方向で南北朝鮮の「対話」が進んでいますが、北朝鮮は依然核ミサイルの開発を継続しており、オリンピック参加表明は単なる時間稼ぎとの見方があります。

そして、韓国は北朝鮮の術中にはまったとの懸念すら表明されているところですが、当の韓国はそうは思っていないようです。

記事中、


South Korea says it will continue high-level talks with North Korea with "clear eyes" amid global warnings...


とある部分で、"with clear eyes"という表現が使われていますね。

敢えてダブルクォーテーションで括っているところに、この表現に特別な意味があることが窺えますが、さてはて、この"clear eyes"を何と訳したものでしょうか?

辞書を引いてみましたが、"clear-eyed"はあっても、"with clear eyes"は載っていません。

"clear"は透明な、明瞭な、という形容詞ですから、"with clear eyes"は直訳すれば、透明な(澄んだ)目で以て、ということになるでしょうが、ここでは単に物理的な目(眼)のことを言っているわけではないでしょう。

"clear-eyed"は、明敏な、洞察力のある、という意味で使われるようですので、"with clear eyes"も似たようなものかもしれません。そう解釈しても、何とか記事の該当部分を解釈することは可能です。

コーパスで検索をしてみたところ、"with clear eyes"の用法として近いものには以下のようなものが見られました。


Freeman encourages Americans of every ideological stripe to look with clear eyes at Russia's interference in the 2016 U.S. election.
(OregonLive.com, 2017)


The Orlando terrorist may be dead, but the virus that poisoned his mind remains very much alive. We must attack it with clear eyes, steady hands, unwavering determination and pride in our country and our values.
(Market Watch, 2016)


It could be that " Desperate Housewives " will never be as good as the first season and, if you want to look back with clear eyes and cold blood, it really wasn't that great in the first place.
(San Francisco Chronicle, 2005)


ちょっと引用が多くなりましたが、このように用例をあたってみると、"with clear eyes"は日本語で言うところの「冷静に」、とか「冷静な姿勢で」、「落ち着いて」、「注意深く」といった意味合いに近いと思われます。


2018年1月17日水曜日

poke and prod

トランプ米大統領については、そもそも同氏が大統領職にふさわしいか否かの議論が以前からありました。

トランプ氏の女性蔑視やマイノリティに対する差別的発言などを取り上げて、大統領職という高貴な職務への適格性に対する疑問ということもありますが、そもそも健康面、また精神面で問題がないのか、職責に耐え得るのか、ということも取り沙汰されていました。

例えば、トランプ氏はハンバーガーを好んで食すそうですが、一度に2つも3つものビッグマックをコーラで流し込むといった食生活は相当健康に悪いはず、従って健康面に問題があるのではないかという詮索もされてきました。

また、側近をつぎつぎとクビにしたり、ツイッターでの物議を醸す数々の投稿などから、精神面での安定を疑われてもいました。

このような一般的な疑問に対しては、一応の結論が出た格好です。同氏の健康に問題は無い、ということです。


There were plenty of important questions asked to Rear Admiral Ronny Jackson, President Donald Trump’s personal physician, during his nearly hour-long marathon briefing on Trump’s health. But the longer it went on, the more opportunity it gave reporters to exhaust every question they could think of—leading some on the right to paint the media as unwilling to accept that the president is in good health.

Donald Trump, Jr. weighed in on Twitter, saying, “Watching media trying to ask the Rear Admiral Jackson (The White House Dr) questions in ways that leaves an opening to attack @realDonaldTrump's health after an amazing report, cognitive & otherwise, is like watching Dumb & Dumber 1:1,000,000 ‘So you're saying there's a chance!’”

The Daily Caller editor in chief Geoffrey Ingersoll tweeted, “WH press accepting the results of Trump's cognitive exam like they did the results of the 2016 election.”
(Jason Schwartz. The media pokes and prods at Trump’s health. Politico. January 16, 2018.)


ホワイトハウスの産業医である医師が健康的にも精神的にも問題ないという太鼓判を押したそうなのですが、その結果発表の記者会見にはメディアが押し掛け、1時間にも渡る会見では様々な質問が相次いだそうです。

記事のタイトルに、


The media pokes and prods at Trump’s health


とありますが、この"poke(s) and prod(s)"という表現を取り上げたいと思います。

"poke"はつつく(突く)という意味を知っていましたが、"prod"についてもやはり「突く」の意味で、これは同じような意味の言葉を重ねた一種の冗語用法だと言えそうです。

ところで、ランダムハウス英和辞書を見ていますと、似たような表現に、


poke and pry


があり、これは「あれこれ詮索する」という意味になっていました。

なるほど、この度の記者会見では馬鹿げた内容の質問も含めて、産業医へ多くの質問が投げかけられたそうで、"poke and prod"も「詮索」の意味がふさわしいかと思いました。

ところが、"poke and prod"については、コーパスで検索してみると、用例としては"doctor"という単語と一緒に使われている例が多いことに気づきました。例えば、下記のような用例があります。


Discussing his late-season health scare and his subsequent recovery, Baker said, "I'm doing great. The rest does wonders. Being at home, being with your family... plus I've been poked and prodded with doctors from all over to determine what was wrong and to make sure it doesn't come back."
(St. Louis Post, 2012)


Over the next hour, he groaned and grimaced and eventually fell asleep, as Lisa Ripi, the traveling N.F.L. acupuncturist, went to work. Ripi poked and prodded Richardson on a recent Tuesday, using blue and pink needles, until his body resembled a road map marked with 120 destinations.
(New York Times, 2010)


これらの用例を見ると、"poke and prod"がそもそも意味するところは、医師等が患者の体を診る際に触診したり、器具をあてたり、といった極めて具体的な行為のことを指していたのではないかと思われました。

そうすると、記事のタイトルでの用例にまた戻って考えてみると、産業医が診断結果を記者会見で公表したところへ、メディアの記者達がこぞって"pokes and prods at Trump’s health"、つまり(医師でもない記者達が)まるで医者であるかのようにトランプ氏の健康状態を詮索した、という皮肉にも解釈できます。

実際、記事の内容は、トランプ氏の健康に問題がないとする報告に納得しない(したくない)記者達が躍起になって質問攻めにしているというものです。いわゆる「印象操作」ですが、残念ながら大統領選でトランプ氏が選出された時と同じように、同氏の健康に問題がなかったという報告を受け入れざるを得ないという結果に終わったようです。


2018年1月16日火曜日

The West Wing

ゴタゴタは今に始まったことではありませんが、新しい年が明けてから以前にも増して騒がしいという感じがします。

アメリカのトランプ大統領を巡る一連のゴタゴタです。

「一連」といってもロシア疑惑から、セクハラ、最近では側近との確執、またホワイトハウスの内幕を描いた暴露本、はたまた人種差別的発言、さらには、性的関係のあったポルノ女優に口止め料を渡した疑惑、等々、枚挙にいとまがないとはこのことです。

そして、当のホワイトハウスではスタッフの離職が相次いでいるらしく、こちらも頭の痛い問題のようです。


Washington (CNN) — White House aides have been told to decide before the end of January whether they intend to leave the administration or stay through the November midterm elections, an official said, a deadline intended to help bring a sense of order to an anticipated staffing exodus.

President Donald Trump is finding it difficult to recruit staff to fill the vacancies, several people close to the West Wing say, as he faces the second year of his administration with daunting political odds and an ongoing Russia investigation.
(Facing staffing exodus, Trump struggles to fill West Wing. CNN. January 10, 2018.)


ところで引用した記事のタイトルに、


Facing staffing exodus, Trump struggles to fill West Wing


とあり、この"West Wing"という表現は初めて見たのですが、つまりはホワイトハウス(The White House)を指すということを知りました。

厳密にはホワイトハウスの大統領執務室(Oval Office)があり、サポートの職員が詰めているところの西棟を指すのですが、ホワイトハウスと言えば西棟、西棟と言えばホワイトハウス、ということで、ほぼホワイトハウスの代名詞として確立したもののようです。

わたしは見たことはありませんが、NBCテレビ制作のテレビドラマでNHKでも放映されたらしい「ホワイトハウス」というタイトルのドラマは、原題は"The West Wing"だったそうです。


2018年1月15日月曜日

なかなか寝付けない人へ ― drift off

夜なかなか寝付けない人のための処方箋です。

快眠のための”儀式”は百人百様かも知れませんが、米・テキサス州の大学による研究によると、次の日にやる事を書き出すことで、普段よりも早く寝付くことができるそうです。


For the millions of people who have trouble falling asleep, a new study suggests adding a simple practice before bed may reduce the time it takes to drift off. It’s not meditation or even journaling per se—it’s writing a list of all the things you need to get done the next day. Writing a to-do list may allow the brain to “dump” all the items it’s trying to keep track of, effectively freeing it to fall asleep.

The researchers from Baylor University had half of a group of healthy young (18-30 year old) participants write down the things they needed to do the next day or in the coming days (the study took place on a weeknight). The other half wrote about what they’d accomplished in the previous few days. Then the participants slept in the lab, undergoing polysomnography, which tracks sleep via brain waves, blood oxygen level, heart rate, breathing, and eye and leg movements.

It turned out that people who wrote to-do lists fell asleep nine minutes sooner than people who wrote about the previous days’ accomplishments—and the more specific the lists were, the sooner the participants fell asleep. Nine minutes is not a lot, but the authors say it’s similar to the effect of certain sleep medications.
(Alice G Walton. Writing A 'To-Do' List May Help You Fall Asleep Faster. Forbes. January 14, 2018.)


いわゆる「To-Doリスト」という形で、翌日にやらなければならない事柄を書き出すことで、普段よりも9分も早く眠りにつくことができる・・・、というのが研究成果のようです。

次の日やらなくちゃならないことを寝る前に確認したら、逆にやらなくてはならないことが気になって寝れなくなるのでは、などと個人的には思いましたが、書き出しておくことにより逆に脳が解放される(故に寝付きが良い)、という説明は多少の説得力があるかもしれません。

小学生が明日の日課をちゃんと把握してから、ランドセルを準備して寝るのと同じかもしれません!?

さて、引用した記事に、


drift off


という表現が使われており、記事の内容からこれが「寝る」ことに関連した表現であることは想像がつきますが、初めて見る表現です。

手元のランダムハウス英和には載っていませんでしたが、Merriam-Websterではインフォーマルな表現として、


to fall asleep


の意味であると確認できます。

"drift"には流れなどによって知らず知らずのうちに異なる方向へ運ばれる、という意味があります。

"drift off"の意味するところは単に眠るではなく、人が眠りに落ちる時のウトウトした状態を示すものでしょう。


2018年1月12日金曜日

gerrymander

これまでこの単語を取り上げていなかったのが不思議です。

政治のニュースに詳しい方ならば、”gerrymander”(ゲリマンダー)という言葉を聞いたことのない方はいないのではないかと思います。


(CNN) — Federal judges said Tuesday that North Carolina will have to quickly redraw its 13 congressional districts because the map is unconstitutionally partisan.

The three-judge panel rejected the previous map drawn by the Republican-controlled General Assembly, saying it violates the Equal Protection Clause, the First Amendment, and Article I of the Constitution.

The judges gave the state about three weeks to file a new plan with the court so it will be in place before the 2018 midterms.

The opinion is the first federal court ruling to strike down a congressional map as representing a partisan gerrymander.
(Steve Almasy. Judges order North Carolina congressional districts redrawn quickly. CNN. January 10, 2018.)


“gerrymander”というのは、自党に有利なように選挙区を設定することです。

遡ること1800年代になりますが、アメリカ・マサチューセッツ州のElbridge Gerry州知事が自党に有利になるように選挙区の区割りを行ったことで批判されました。

意図的に設定された選挙区が地図上では”salamander”(トカゲ)のように見えたため、知事の名前”Gerry”と”salamander”を繋げて、”gerrymander”となったものです。

以上は大抵の英和辞書で確認できる内容であり、中辞典以上の辞書ではその恣意的な区割りの選挙区地図から想起される”salamander”を重ね合わせた図版を見ることができます。

しかしながら、その”salamander”は我々が知るトカゲとはかけ離れているように見えます。羽らしきものが付加され、身体全体が折れ曲がったそれはとてもトカゲには見えません。怪鳥のように見えます。

ネットで検索してみると、”salamander”はヨーロッパでは伝説上の生き物として認識されるようで、そのイメージはドラゴンに近く、”gerrymander”における”salamander”もトカゲというよりも伝説上のドラゴンを指していると考えることができます。


2018年1月11日木曜日

earmark

「豚肉」(pork)の話は以前もしたことがあります。


WASHINGTON — A battle is brewing in Congress over whether to put pork back on the legislative menu.

This isn’t about bacon, but so-called “earmarks,” the specially-tagged funding provisions tucked into spending bills by members of Congress to channel federal money to favored home-state projects.

Critics say the funding provisions foster profligate spending and corruption — with millions of dollars doled out to lawmakers with the most political muscle, rather than to the projects with the most merit. House Republicans banned the provisions in 2011 after an earmark-related corruption scandal sent a former lawmaker and lobbyist to prison.
(Could pork make a comeback? Trump and Congress consider reviving earmarks. USA Today. January 9, 2018.)


引用した記事は一読しただけでは解釈が難しい記事ですが、政治家についての話であることは分かると思います。

"pork"はもちろん豚肉のことではなく、お金のことで、つまりは政治家がその政治活動によって得る助成金といった意味合いです。

前回取り上げた"pork barrel"は、政治家が自身の選挙区に有利な計らいをするという意味合いでした。

今日取り上げるのは"earmark"という単語なのですが、ear(耳)のmark(目印)ということで、通常知られている意味は家畜などの耳につける目印のことですが、ここでは「豚肉」よろしく、やはりお金のことです。

"earmark"には、ある目的のために使うためにあらかじめ取っておく、という意味合いもあり、たくわえ、ストックなどとも訳されますが、Merriam-Webster Dictionaryの定義では、


a provision in Congressional legislation that allocates a specified amount of money for a specific project, program, or organization


とあり、政治のコンテクストで言うと、やはり助成金のような意味合いかと思われます。

記事は、米議会ではこのような助成金の制度は贈収賄などの政治腐敗を生むという理由で2011年から禁止されていたそうですが、トランプ政権で禁止を見直す動きが出てきている、というものです。

政治家と官僚とのバトル、という訳ですね。

英和辞書をいくつか見てみましたが、このような"earmark"の意味は載っていません。

日本においても政治のコンテクストでは、助成金だったり、特別財源とか拠出金、はたまた「埋蔵金」などと表現されたりしますが、それらに近い意味合いでしょうか。


2018年1月10日水曜日

デタント ― detente

新年の辞で今年も世界を相手に物騒な発言で物議を醸した北朝鮮の金正恩氏ですが、韓国での冬季オリンピックへの参加をちらつかせ、韓国との対話姿勢を鮮明にしました。

昨日はおよそ2年ぶりの南北間での会談が行われましたが、その行方に世界が注目しました。


SEOUL, South Korea — North Korea’s leader, Kim Jong-un, spent 2017 rattling the world with nuclear and long-range missile tests and has promised more provocations in 2018. So it was a surprise when he deftly seized on the Winter Olympics on Tuesday to turn toward diplomacy with Seoul, playing the part of the statesman even while seeking fractures in the seven-decade alliance between South Korea and the United States.

After his outreach to Seoul on New Year’s Day, Mr. Kim agreed to send a team to compete in the Olympics next month when the Winter Games open in the South Korean town of Pyeongchang. That was followed by an announcement about resumption of military-to-military talks between the two countries — without the United States.

All this is a relief to South Korea’s leader, President Moon Jae-in, who feared the North would find a way — missile launches, terrorism, a nuclear test — to cast a pall over a sports event meant to highlight the South’s emergence as one of the world’s most dynamic economies.

Few in Seoul or Washington believe Mr. Kim, though an avid sports fan, is motivated solely by the Olympic spirit. The Winter Games also present him with an ideal opportunity to throw a wrench in President Trump’s threats of military action if the North does not agree to give up its nuclear program.
(North Korea Moves Toward Détente With Seoul. The Washington Post. January 9, 2018.)


少し引用が長くなりましたが、着目するのは記事のタイトルです。


North Korea Moves Toward Détente With Seoul


"Détente"は緊張緩和、という意味で、日本語でもカタカナの外交用語として「デタント」で知られますが、フランス語です。

フランス語のdestendere、つまり否定の接頭辞des-と動詞tendreから来ていますが、tendreというのは英単語のretainやmaintainなどにも見られるように、「持ちこたえる」という意味合いで、その否定形なので(持ちこたえるのではなく)力を抜く、つまり弛緩、緩和、といった意味になります。


2018年1月9日火曜日

shuck

まずは記事の引用をお読みください。


A Texas woman died from a "flesh-eating" bacteria after eating raw oysters during a visit on the Louisiana coast.

That's according to Vicki Bergquist, who told Lafeyette's KLFY that her wife and a friend shucked and ate about two-dozen oysters before a rash appeared on her legs about 36 hours later.

They had purchased the raw oysters at a market in the New Orleans suburb of Westwego. Bergquist thought her wife, Jeanette LeBlanc, had an allergy.
(Josh Hafner. Woman dies from 'flesh-eating' bacteria after eating oysters. USA Today. January 8, 2018.)


ここ数年よく目にするようになった、"flesh-eating bacteria"(日本語でいわゆる「人食いバクテリア」と呼ばれています)による死亡事故があったようです。

"flesh-eating bacteria"による症状は専門的には壊死性筋膜炎と呼ばれるものだそうですが、傷口などが特殊な菌に感染することで体の細胞組織が壊死し、進行すると死に至るという恐ろしいものです。

原因は生ガキを食したことによるもののようです。

わたしも生ガキの類が好きですが、腹を下すくらいならまだしも、死んでしまうリスクがあるとなると食べるのに慎重になってしまいます。

さて、記事の本文中に見慣れない単語が使われているのですが、


shuck(ed)


という動詞です。

"shuck"を辞書で引くと、トウモロコシの皮という意味や、カキ、ハマグリなどの殻、という意味があります。

動詞としては、これら皮を剥いだり、殻を剝く、という意味となります。

このことから、被害女性は魚市場で「殻つきカキ」を買って食べた、ということが分かります。

ちなみに、"shuck"の語源は不詳とされています。


2018年1月8日月曜日

逆走車 ー wrong-way driver

日本でも高速道で増えている、逆走車による重大事故ですが、この逆走車を英語で何というかご存知ですか?

答えは以下の記事に。


WOODLAND, Calif. (KCRA) — Six people are dead following a fiery two-vehicle crash along Interstate 5, and the California Highway Patrol is blaming the tragedy on a wrong-way driver.

The incident started with multiple calls to the CHP around 12:30 Sunday morning about a wrong-way driver, traveling southbound in the northbound lanes of Interstate 5, just north of County Road 17 in the small community of Yolo.

When officers arrived on scene they found two vehicles engulfed in flames after a violent collision that burned portions of the freeway, leaving a white residue on the roadway.
(Mike Luery. CHP: Wrong-way driver to blame for fiery crash that killed 6 people. KCRA Sacramento. January 7, 2018.)


答えは、


a wrong-way driver


でした。

日本語の「逆」を英語に訳そうとすると、”wrong”が出てきにくいものと思われます。

“wrong”という単語を、悪い、間違っている、と暗記してしまっているからですが、”wrong”には逆の、裏の、という意味もあります。(”wrong side”は裏側、の意味ですね。)

さて、アメリカのハイウェイで逆走事故が多いとは今回の記事で初めて知りました。ネットで検索してみると、米国での逆走事故はハイウェイ出口を入口と誤認するケースが多いようです。(参考:NTSB(国家運輸安全委員会)による調査報告書

事故を起こしている年齢層は日本と同様に70代以上の高齢ドライバーが多いようです。


2018年1月5日金曜日

take a page from

記事の引用からどうぞ。


Taking a page from the millions of people who make New Year's resolutions to quit smoking, Philip Morris International (PM), which traces its roots to a 19th century London tobacconist's shop, has announced it hopes to kick the habit as well.

In full-page ads in several U.K. newspapers on Thursday, Philip Morris said it aims to quit selling cigarettes Britain at an unspecified future date, a goal the company admits won't be easy to meet. It plans to launch a website to provide smokers with information on quitting and on alternatives to cigarettes.

Philip Morris also plans to support antismoking efforts of local U.K. governments in areas where smoking rates are highest and to seek approvals to insert information on quitting and switching to alternatives into cigarette packs.

"We believe we have an important role to play in helping the U.K. become smoke-free," wrote Peter Nixon, managing director of PML, in a letter to U.K. Prime Minister Theresa May. "The commitments announced today are practical steps that could accelerate that goal. We recognize that never starting to smoke -- or quitting altogether -- are always the best option."
(Jonathan Berr. Philip Morris wants to quit its tobacco habit. CBS News. January 5, 2018.)


タバコメーカー大手のフィリップモリス社が(恐らくは新年の)新聞全面広告で、近い将来(!?)タバコの製造販売をやめることを表明したそうです。企業にとっては自殺行為に等しいと思うと驚きです。

引用した記事の冒頭で使われている表現、


Taking a page from...


に着目しましょう。

手元の英和辞書で“page”のエントリを確認してみたのですが、“taking a page from...”といった成句は確認出来ませんでした。

仕方なくネット検索に頼るのですが、このフレーズは


taking a page from someone’s book


として知られ、総合的に意味するところは、


真似る、先例に従う、見習う


といった意味のようです。

記事内容に沿うと、新年の抱負に禁煙を掲げる一般庶民に倣って、喫煙習慣の撲滅を目標に掲げた、と読めます。

ここで、“someone’s book”の意味するところは何なのかという疑問が沸きます。

それで、“book”のエントリを改めて辞書で引いてみると、“take a leaf out of person’s book”という成句が確認できました。

意味合いは変わらず、人の例に倣う、真似る、というものです。

Collins Cobuild Dictionary of Idiomsでは、


If you take a leaf out of someone’s book or take a leaf from their book, you copy them and behave or do something in the same way as them...


とあり、“book”とは劇の台本(脚本)であると解釈されます。

新しい年の始めに多くの人が新年の抱負という目標を掲げることに倣って、同社も煙のない社会を目指すという目標を掲げた、のでしょうか。

敢えてネガティヴな見方をするならば、いわゆる新年の抱負というものが途中で挫折するということを前提とした上で、タバコの製造販売をやめるという大言壮語を表明したのかも知れません。


2018年1月4日木曜日

Good riddance.

このところ飛行機を利用する機会がほとんどないと言っていいくらい減りましたが、特に国際線のロングフライトなどは皆無です。

乗る機会がもう何年も無いからなのですが、空港や機内の事情というのも随分変わっているのだろうなと想像します。


Airlines have been shrinking their seats for a long time, aiming to reduce the planes’ weight and squeeze in more passengers. But lately, some carriers have been going one step further in redesigning their seats: They’re taking away the seatback screens.

Formally called in-flight entertainment, the screens, and the preselected media on them, go a long way toward keeping passengers happy and distracted. The longer the flight, the more useful the seatback entertainment becomes.
(Martha C White. Those Seatback Screens on Planes Are Starting to Disappear. New York Times. January 1, 2018.)


長時間のフライトで時間を潰す気晴らしといえば、フライト中に上映される映画か、インフライトエンターテイメントと呼ばれる各席、前のシートの背もたれ部分に取り付けられた小さな画面で操作する音楽やゲームなどを選択できるデバイスです。

ところが、航空各社ではこのインフライトエンターテイメントを廃止する動きがあるそうです。

記事によりますと、このデバイス設定には、1台あたり、約1万ドル(約100万円)のコストがかかっているということですから、驚きです。

ですが、この類のデバイスでは技術の進歩が速く、世代交代による入れ替えも頻繁に必要となることを考えると、航空各社がコスト削減のターゲットとして着目するのも分かるような気がします。

当然ながら、廃止の動きには賛否両論あるようです。


Some travelers are happy to say “good riddance” to the seatback screens. Lindsay Renfro, an associate professor at the Mayo Clinic, is among them. She travels about once a month for her job developing clinical trials for cancer research and views seatback entertainment as something of a redundant amenity.

“There are screens everywhere else in life,” she said. “I know that when I am flying and I look around me, people are by and large using personal devices, even when a seatback screen is available to them.”
(ibid.)


引用したのは廃止に好意的な意見ですが、


good riddance


という表現を初めて見ました。

辞書を引くと、”riddance”には厄介払いという意味があるようです。取り除くという意味の”rid”と関連する単語です。

そして、”good riddance”は、いい厄介払いだ、つまり、(無くなって)せいせいする、というくらいの意味です。

今時の利用者は一人1台以上のモバイル端末を所有しており、インフライトエンターテイメントなどには見向きもしない人も多いのでしょうか。

モバイル端末を持たない利用者には困ったことかも知れません。

航空各社の中には、利用者のモバイル端末向けのエンターテイメントアプリを提供しているところもあるようです。

一方、自分が所有するモバイル端末を使わなければならないことに抵抗を感じる利用者もいます。フライト中にバッテリーが減ってしまい、到着してから使えなくなることを懸念しているからです。

自分の前の座席に取り付けられたスクリーンのことを懐かしく思う日もそう遠くないのかもしれません。


2018年1月3日水曜日

フレッシュの意味? ー fresh

お正月のおせち料理にすでに飽き飽きして、普段の食事が恋しいという人は多いかもしれません!?(私自身もそうかもしれません・・・)

ハンバーガー最大手のマクドナルドがアメリカ国内のいくつかの店舗限定で、”fresh beef”を使った新バーガーを試験的に導入すると発表しました。

その名も”Archburger”!(日本語訳すると、「究極のバーガー」でしょうか?マンガ「美味しんぼ」を思い出します。)


McDonald’s is testing a new burger that is made with fresh beef, the Archburger.

A reference to the company's Golden Arches logo, the Archburger is going for a trial run at seven locations in the U.S. according to a research note by the brokerage Instinet.

In March, the Oak Park, Ill.-based chain announced it would start making its iconic Quarter Pounder with fresh beef in 2018.

McDonald's has been under increasing pressure to move to fresh-beef burgers due to the popularity of rival chains that offer them, from Shake Shack to In-N-Out Burger.
(Zlati Meyer. Fresh beef from McDonald's? Here comes the Archburger. USA Today. January 2, 2018.)


ありきたりな形容詞である”fresh”ですが、「フレッシュ」というカタカナが定着していることもあって、あまり気にしない人は多いかもしれません。

しかし、素朴な疑問なのですが、”fresh beef”を使ったハンバーガーって、実際どういうことなのでしょうか?

ここで、”fresh”の定義を改めて辞書に求めるのですが、カタカナで定着している「フレッシュ」は我々日本人にとっては、


新鮮、新しい


といった漠然とした概念かも知れません。

Merriam-Webster Dictionaryを引いてみると、


having its original qualities unimpaired: (中略)not altered by processing


とあり、要するに加工をしていない、という意味です。

研究社の新英和大辞典では、


(貯蔵・乾燥・塩漬けなどしていない)なまの


とあります。

それでは本題に戻りますと、マクドナルドの「究極のバーガー」なる新商品は「加工肉」を使わず、生肉(それとも、精肉?)から店舗で調理をするということでしょうか?(ビーフパティの材料になる挽肉は加工肉なのでしょうか、それとも”fresh meat”の扱いなのでしょうか?)

挽肉にするところから店舗で処理するとはちょっと考えられませんが、ここでそもそも、マクドナルドはどのように各店舗でハンバーガーを提供しているのかという疑問が出てきます。

ご存知の方には釈迦に説法ですが、こちらの記事にあるように、工場で一括して製造(加工)されたパティは冷凍下で各店舗に配送され、顧客の注文を受けて調理されます。

この前提に立てば、”fresh meat”を使うということの意味は、工場で加工されたパティを使わない、つまり各店舗で注文を受けてからパティを加工する、ということを指しているようにも解釈できます。

残念ながらこれ以上の詳細は分かりません。上記で引用したUSAトゥデイ紙記事中も、


McDonald's confirmed the Archburger test, but declined to share details.
(ibid.)


ということであり、また他報道でも詳細については分からずでした。


2018年1月2日火曜日

退ける ー hold off

年末の12月28日(記憶が確かならば)、随分と久し振りに妻と娘に伴って、映画館へ足を運びました。

目当ては、娘が観たいというスターウォーズの最新作「最後のジェダイ」です。

当該作は12月15日が封切りでしたので、話題中の話題となっていた映画です。


In a battle of box office heavyweights, Luke Skywalker just managed to hold off Dwayne “The Rock” Johnson as the world rang in another year.

Disney and LucasFilm’s “Star Wars: The Last Jedi” retained first place for the four-day New Year’s holiday weekend despite steep competition from Sony’s “Jumanji: Welcome to the Jungle.” “Last Jedi” picked up an estimated $68.4 million, bringing its domestic haul to $533.1 million.
(Brent Lang. Box Office: ‘Star Wars: The Last Jedi’ Holds Off ‘Jumanji’ on New Year’s Weekend. Variety. January 1, 2018.)


映画について、私個人の感想は控えますが、エンターテイメント映画の成功というのはひとえに興行収入にかかっていることは論を待たないのではないかと思います。

引用した記事は、映画「スターウォーズ」が「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」を興行収入で上回ったという話題です。

ここで使われている、


hold off


という動詞句を見てみたいと思います。

記事によると、年末年始にかかる週末の興行収入では、スターウォーズが約6,840万ドル、対するジュマンジは6,650万ドルだったということです。

興行収入の面で、スターウォーズが約2億円上回ったということになるかと思います。

“hold off”を辞書で引くと、


(敵を)近寄らせない、(敵の攻撃を)阻止する


といった意味が載っています。

“hold off”にはもう一つ、延期する、という意味もあるのですが、対抗相手を退けるという意味では下記のように、スポーツ試合のコンテクストで用いられることが多いようです。


Holding off major winners Mickelson and Duval and 2002 U.S. Amateur champion Ricky Barnes by two shots, Glover shot rounds of 69-64-70-73 to finish at 4-under-par 276 in the Open's first 72-hole Monday finish in 26 years.
(USA Today, 2009)


2018年1月1日月曜日

overture

新年明けましておめでとうございます。今年も、えいご1日1語を宜しくお願い申し上げます。

さて、新年のめでたいこの日の話題としてどうかとも思うのですが、北朝鮮に関するニュースからです。


SEOUL, South Korea — North Korea’s leader, Kim Jong-un, moved Monday to ease his country’s isolation by offering to send a delegation to the Winter Olympics in South Korea next month, even as he claimed to have accomplished the ability to launch a nuclear missile at the mainland United States.

Mixing the nuclear threat with an overture for easing tensions on the divided Korean Peninsula, Mr. Kim proposed immediate dialogue with South Korea to discuss the North’s participation in the Olympics.

If such talks were held, they would mark the first time the two Koreas have had an official dialogue since the South’s new president, Moon Jae-in, took office in May. Mr. Moon has doggedly championed dialogue with the North, even as President Trump has threatened military action to stop the North’s nuclear weapons program.
(Choe Sang Hun. Kim Jong-un’s Overture to South Korea Signals Possible Thaw in Nuclear Crisis. New York Times. December 31, 2017.)


年の瀬が押し迫る中、北朝鮮によるミサイル発射の徴候も報じられていたところであり、あまり新鮮味はないかもしれません。

年が明けて、金正恩朝鮮労働党委員長による新年の辞では、米本土を射程に収める核ミサイルについて言及したもので、これまでと変わらずの強硬的な姿勢が窺われるものでした。

一方で、韓国に対しては対話の姿勢も見せており、平昌で開催される冬季オリンピックに北朝鮮が参加する可能性を示唆している模様です。

記事のタイトルと文中で、


overture


という単語が使われています。

実はわたくし、クラシック音楽が好きなのですが、”overture”と聞くと、「序曲」という日本語が反射的にに出てきます。

「序曲」というのは歌劇などの作品で本編のストーリーが始まる前に演奏される管弦楽作品のことです。歌劇作品では2時間や3時間のも渡るストーリー全体をギュッと10分程度に圧縮したような内容になっています。

言うまでもなく、引用記事における”overture”は序曲の意味ではなく、


something first offered or suggested with the hope of reaching an agreement
(Merriam-Webster Dictionary)


という意味であり、交渉にあたってまずはぶつけてみる提案、ということです。

2018年、北朝鮮を巡る情勢はどのように展開するのでしょうか?