最近30日間のアクセス数トップ3記事

2015年5月29日金曜日

米・スペル競技会終わる ― duke

以前にも取り上げたことがありますが、アメリカでスペル競技会が開催されていましたが、今日その一大イベントが閉幕したというニュースが報じられています。

優勝者が2人になったのは2年連続、5回目のことだそうです。


All sorts of history was made at the National Spelling Bee Thursday night.

Vanya Shivashankar and Gokul Venkatachalam duked it out to a tie and were named co-winners of the annual contest. It marked the second year in a row that co-champions were named and only the fifth time in the history of the bee.
(Joe Heim. Can you spell co-champions? The Washington Post. May 28, 2015.)


決勝ではスペルを間違った時点で失格となるということなのですが、競り合った末に2人が残り、もはや振り落とすだけの単語がなかったのか、結局両者がチャンピオンとして残ったようです。

この2人の名前(Vanya Shivashankar and Gokul Venkatachalam)のスペルが難解なのは偶然でしょうか?記事のタイトル(Can you spell co-champions?)が利いています。

さて、


duke it out


という表現は、最後までとことんやりあう、けりがつくまでやる、という意味があるのですが、初めて見ました。

公爵の"duke"でもありますが、俗語の意味として、拳骨、こぶし、そして殴る、ケンカする、という意味があるそうです。

“公爵”と“拳骨”には大分隔たりがあると思いませんか?

ランダムハウス英和辞書の語源欄を見ると、指を意味する"forks"と韻を踏む、Duke of Yorks(英・ヨーク公)という表現から"duke"が拳骨、さらには殴るという意味が生まれたということです。

これは押韻俗語と呼ばれているもので、特にイギリスにおいてこの種の表現が用いられることが知られています。しゃれとは少し異なり、ネイティヴでない人間には理解しがたいものですが、考えてみれば日本語にもこの種の表現があるのではないかと思います。


2015年5月28日木曜日

cleavage

本日は成人向けの内容となりますのでご了承ください・・・。


(CNN) Organizers of Asia's largest digital entertainment expo -- where scantily clad models usually dress up as characters from comic books, movies and video games -- say they will levy a fine of $800 on women who reveal "more than two centimeters of cleavage."

Men are not exempt from the crackdown on exposed flesh.

They will face the same penalty if they wear low-hanging pants or expose their underwear. If models are caught dancing in cages or around a pole they will be fined a whopping $1,600, as will anyone caught striking vulgar poses.
(China cracks down on cleavage at cosplay convention. CNN. May 22, 2015.)


コスプレが中国でも流行っているようですが、政府はコスプレのような退廃的な文化は認めるわけにいかないと考えているようで、取り締まりに躍起となっているそうです。

取り締りの対象が、


cleavage


だそうですが、"cleavage"とはいったい何でしょうか?

Merriam Websterによると、


the depression between a woman's breasts especially when made visible by a low-cut neckline


とありました。

日本語にするのが憚られますが、つまりは女性の胸の谷間、ということです・・・。


2015年5月27日水曜日

boob tube

私は自宅にテレビがありませんが、ローマ法王もテレビを見ないというニュースに親近感を覚えました。


Pope Francis is no “Game of Thrones” fan — in fact, the pontiff hasn’t watched the boob tube in over 25 years.
“It’s not for me,” he told La Voz del Pueblo on Monday.

The holy man’s TV-watching days ended after he made a vow to the Virgin Mary in 1990, he said.
(Danika Fears. Pope Francis hasn't watched TV in 25 years. New York Post. May 25, 2015.)


聖職にある法王が世俗にまみれたテレビ番組を見ないというのはあまり不思議なことでもありません。しかし、最近ではテレビを見る人は減少傾向にあるとも聞いています。テレビよりもネットに流れているといわれていますね。

さて、テレビのことを、


boob tube


と表現していますが、初めてみました。

この"boob"は以前取り上げた、「おっ◯い」の"boob"ではなく、呆け、うつけ者(stupid person)を意味します。

テレビばかり見ていたら馬鹿になるよ!と子を叱る親の声が聞こえてきそうです。ちなみに、"tube"だけでもテレビのことを指しますが、これはブラウン管("Braun tube"も間違いではありませんが、英語としては"Cathode ray tube (CRT)"が一般的)に由来します。

ローマ法王はこの25年間テレビを見ていないそうですが、記事によると法王はインターネットも利用せず、情報は新聞一紙から得ているそうです。

私がテレビを見ていないのはせいぜいこの10年間くらいでしょうか。

ブラウン管のテレビが壊れてしまったのを期に、買い替えをせず、現在に至ります。

テレビばかり見ていたら馬鹿になる、というのは現代でもその通りかもしれませんが、今日、そのテレビにとって代わる存在はスマホではないでしょうか。スマホの画面に夢中になっている白痴のような輩を電車、街中、至る所で見つけることができます。


2015年5月26日火曜日

トドメ ― put the nail in the coffin

まずは引用から。


Google has just published research which puts the nail in the coffin of security question-based password protection. We like to think that security questions are reliable because the answers are easy to remember, but research shows this isn't the case. Not only are the answers to security questions often forgotten, but they are susceptible to attacks by simply guessing answers. These reasons contribute to the evolution of two-step authentication and SMS-based verification codes for quicker, more reliable password retrieval and authentication.
(Google research reveals security questions's vulnerability to attack. Slash Gear. May 25, 2015.)


put the nail in the coffin


という表現は初めて見るように思いました。一読して意味が掴めないでいました。

記事の文脈から説明しますと、インターネットにおけるいろいろなサービスの利用にあたってログインパスワードを忘れた場合に、本人かどうかの認証を目的とした、いわゆる「秘密の質問」というセキュリティの脆弱性が話題になっています。ここでは、"security question"と呼ばれていますが、よくある、「ペットの名前は?」、とか「生まれた町の名前は?」といった、本人のみが回答を知りうる質問というのは、実は単純に推測によって当てられてしまい、セキュリティとして役に立たないという調査結果があるということのようです。

今日取り上げる表現に戻りますと、"put the nail in the coffin"とは棺桶(coffin)に釘(nail)を打ち込む(put)、という解釈になりましょうか。

棺桶に入るのは死んだ時ですから、"coffin of..."以下について、それが死に瀕している、あるいはほとんど死んでいる、というような意味になると推測されます。

果たして、辞書を引いてみますと、


(悩み事や不節制などが)寿命を縮める


という訳語が載っていました。

この表現は、


drive a nail into a person's coffin


とランダムハウス英和辞書には載っていますが、いろいろなパターンで使われるようです。

とりわけ、"nail"の修飾語としては、"last"や"another"、"ultimate"など、さまざまな形容詞が用いられています。

こうして書いていると、ここでの"nail"とは言ってみれば“トドメを刺す”というときの「トドメ」に相当するのではないでしょうか。


2015年5月25日月曜日

high-five

日本語でハイタッチと呼ばれ、スポーツの試合などでよく見られる喜びのゼスチュアですが、英語では何と言うか御存知でしょうか?

(タイトルに書いてしまっていますが)答えは、"high-five"です。


This is, without a doubt, the worst high-five attempt ever.

(中略)

Blade Thomson of the Hurricanes tried to give his teammate five, whiffed, and slapped himself right in the face, resulting in the most poorly executed high-five since humans first learned to do it.
(Micah Peters. Rugby player slaps himself in legitimate worst high-five attempt ever. USA Today. May 25, 2015.)


その行為が手のひらで5本の指を合わせるような形で行われることからそのように呼ぶようになったようです。一方、日本語のハイタッチとは腕を上げて頭上付近、あるいはそれよりも高い位置でやるというイメージでしょうか。

引用の記事では“ハイタッチ”に失敗した様子のビデオが紹介されていますが、これを見るとここでの“ハイタッチ”とは単に手のひらを互いに打ち合わせる行為のようです。

つまり、英語では“high~”ではなく、“~five”の方を見ているというようにも思われます。

もう1つ、


give his teammate five


という表現が出てくるところに着目しましょう。

"give a person five"はアメリカの俗語表現で、握手する、挨拶の意味で相手の手をぱちんと叩く、という行為を意味しています。

"high-five"という表現の意味するところが拡大したのかも知れません。ひとつ言えることは、“ハイタッチ”は和製英語だということです。


2015年5月22日金曜日

red tape

読者のみなさんは運転免許をお持ちでしょうか?小生は大学生の時に取りましたが、自動車学校の履修内容に縦列駐車があったかなと記憶が曖昧です。

確かに縦列駐車は苦手なドライバーは多いものです。慣れてしまえばなんということもないのですけどね。

アメリカでは縦列駐車は免許を取る試験の項目のひとつらしいです。


Freedom-yearning teenagers in Maryland can collectively breathe a sigh of relief, because there's one less bit of red tape — err, orange cone — between them and a coveted driver's license.

The Maryland Motor Vehicle Administration eliminated parallel parking from the state's driving test Tuesday, determining that mastering the much-feared and obsessively practiced skill would no longer be necessary to secure a license in the state.
(Does your state's driving test include parallel parking? USA Today. May 22, 2015.)


ところが最近、縦列駐車自体は必須のスキルとは言えないという声が増えてきたらしく、メリーランド州では縦列駐車をテスト項目から外す動きがでてきたそうです。

苦手なドライバーには願ったりかなったりというところでしょうか。

さで今日取り上げる表現は、


red tape


ですが、これは規制だったりルールだったり、要は「縛り」と呼ばれるものです。

いわゆる公文書というものを束ねるのに赤い紐(テープ)が使われてきたそうですが、公文書といえばお役所、お役所といえばお堅いところ、ということで、お役所流を表現するのに"red tape"が使われるようになったということです。


2015年5月21日木曜日

flick

インターネットでの動画共有というのはほとんど当たり前のように行われていますが、ネット上にはYouTubeを始め実に様々なサイト(サービス)が存在しているようです。

「Netflix」というのはそのようなサイトの1つだということですが、名前にある、"flix"というのは俗語で映画(フィルム)を意味する"flick"のことだと初めて知りました。


There’s a change coming for those Netflix customers who stream their favorite flicks on the web.

The Netflix website is undergoing a design upgrade this June, TechCrunch reports. The change will bring its interface more in line with what you see when you use the service on a mobile device or gaming console. (It seems the company has been testing the upgrade with a number of customers already.)
(How You Use Netflix Is About to Change. Time. May 21, 2015.)


考えてみれば、写真のことを"pix"と表現したりしますが、"picture"を意味する"pic"の複数形"pics"が、"pix"というスペリングになったものであり、"flix"についても、"flick"の複数形"flicks"の異形であると考えることができます。(ちなみに、"pix"は辞書のエントリにありますが、"flix"はエントリにはなっていません。)

このような“異形”をどのように呼ぶのか知らないのですが、ほかにどのような例があるか知りたくなってきました。

例えば、日本語でもファックスと言う、"fax"は、"facsimile"の短縮形ですが、こちらは"fac"という単語があるのではなく、"-cs-"という部分が"-x"という綴りに変わったものということで、"pix"や"flix"とは多少異なるように思われます。

ソックス(sock)の複数形を、"sox"と綴ることもあるそうですが、これは同様の事例と思われます。("socks"->"sox")

ただ、元の単語(picture、flicker) → 短縮形(pic、flick) → その複数形(pix、flix)というパターンからはやはり外れているとも考えられます。

他に事例をご存知でしたらお教えください。


2015年5月20日水曜日

5年先、インターネットが困ったことに・・・ ― crunch

もはや日常生活のインフラといっても誰も反対しないかと思いますが、インターネットはそれほど現代人の生活に浸透しています。

ネット接続できなくなると相当のパニックが予想されます。


The Internet is no stranger to technical limitations—it has been running out of IPv4 addresses for years—but researchers now say that the Internet could soon experience another crunch: Its physical infrastructure could soon be running at its maximum capacity.

According to New Scientist, the fiber optic cables that make up the Internet’s Backbone have a maximum data capacity of about 100 terabits per second: René-Jean Essiambre of Alcatel-Lucent says that those cables could reach that full capacity within five years.
(Nick Mediati. Cat videos and other high-bandwidth content could clog the Internet within five years. PC World. May 18, 2015.)


インターネットに接続するデバイスが増加し続ける中で、いわゆるネット上の住所に相当するIPアドレスが枯渇するという問題はかねてより指摘されていました。

しかしここで取り上げられているのはまた別の問題で、現在のような大量のデータ通信のトレンドが続くとネット回線自体がパンクしてしまう恐れがあるというものです。

"crunch"というのは、


逼迫、停滞、不況


などという意味があります。危機的な状況を言うのに使われるインフォーマルな表現ということです。


2015年5月19日火曜日

spruik

取り上げる単語のネタに苦慮して、グーグルニュースのオーストラリア版にアクセスすることがありますが、今日もそういう状況でした。

まずは引用からどうぞ。


If you believe LG and Samsung, 4K is old hat. The Korean arch-­rivals are now spruiking even newer technologies that promise better colour accuracy and depth, with blacker blacks and more striking contrast. 4K is now naked without these.

But you almost need a degree in physics to understand the ins and outs of Samsung’s new SUHD or super UHD technology, and LG’s rival ColourPrime LED ­displays. And what is quantum dot and wide colour gamut? You’ll be scratching your head if you try to get the salesperson at Harvey Norman or JB HiFi to explain it in depth.
(Korean arch-rivals Samsung and LG ahead of the curve. The Australian. May 19, 2015.)


"spruik(ing)"という見慣れない単語が使われていますが、辞書を引くとオーストラリア、ニュージーランドの俗語だそうです。

意味は、


売り込む、呼び込む


ということです。語源は不明だということです。

テレビの画素数というのは飛躍的に向上しているようですが、もはや4Kと呼ばれる高精彩なテレビが主流となりつつあるというのが記事の話題です。


2015年5月18日月曜日

otolith

サケの生態というのはよく分かっていないことが多いと聞いたことがあります。ウナギもそうらしいですが、どこで誕生してどのように回遊するのか、ということが十分に分かっていないそうです。

が、最近の研究によるとサケの生態が明らかになる可能性もあるそうです。


Over the course of many years researchers have sought out to find exactly where Alaska's Chinook salmon are hatched. The process is known, the migratory patterns are mapped, yet for any given fish caught in the wide open ocean, the story of its origins are often shrouded in mystery-but now that has changed. With a simple chemical marker, accumulating in the inner ear bone of the salmon known as an "otolith", researchers now believe that they can trace the origins of any Chinook salmon back to the exact waters from which they came before they emerged in Alaska's Bristol Bay.
(Ryan Wallace. Finding the Origins of Chinook Salmons Through the ‘Otolith’ of the Inner Ear. The Science Times. May 17, 2015.)


ここではChinook salmonというアラスカで見られる種についての話です。どのようにして分かるのかということですが、サケの耳(があったんですね!?)の骨に沈着する物質を海流の成分と比較することによって大体の判別ができるようになるのだそうです。

"otolith"という単語は、耳を意味する接頭辞oto-と、石を意味する-lithが結合したものです。

oto-はギリシャ語で耳を意味する語に由来しています。耳鼻科のことを、"otolaryngology"と言いますね。


2015年5月15日金曜日

shortchange

アメリカ、フィラデルフィアで発生したAmtrakの脱線事故では8人が亡くなったそうですが、急なカーブを規定の2倍の速度で通過しようとしたことが原因だと報じられています。

運転手が過労だったのではないかなどといった見方も出てきています。


WASHINGTON — House Speaker John Boehner said Thursday that this week’s fatal Amtrak crash wasn’t caused by a lack of federal funds and mocked a reporter for even asking about it.

“Are you really going to ask such a stupid question?” he said at a news conference as a reporter started to ask about Democratic complaints that the government shortchanges the railroad.
(Boehner rips reporter for ‘stupid question’ about Amtrak funds. New York Post. May 14, 2015.)


国内(日本)での報道は今回の脱線と福知山線での脱線事故の類似性に触れています。

さて、今日取り上げる単語ですが、


shortchange


という単語なんですが、初めて見ました。いつもながら勉強不足の誹りを免れませんが、


the government shortchanges the railroad


という部分の意味を掴みかねました。("short"も"change"もごく基本的な単語なのに、という思いです。)

辞書を引きますと、


つり銭を少なく渡す


とあります。"change"とはつり銭のことだったのですね。

しかし、今回の脱線事故と“つり銭”とは結びつきません。記事を読んでいくと、どうやらAmtrakに対する政府の出資がカットされたということを、"shortchange"と表現したもののようです。

辞書の定義としては確認できないのですが、つり銭を少なく渡すということで、つまりは本来与えてしかるべきものを与えないという不誠実な行動や態度を批判的に表現するものとして使われていると考えられます。


2015年5月14日木曜日

carrot and stick

当ブログでも何度か取り上げてきた禁煙に関する記事を引用します。

禁煙に有効な取り組みとはどういうものか?というのは永遠のテーマかもしれません。ところが最近の研究によると、取り組み内容の違いにより禁煙成功率も変わってくるということのようです。


WASHINGTON — What would make a smoker more likely to quit, a big reward for succeeding or a little penalty for failing? That is what researchers wanted to know when they assigned a large group of CVS employees, their relatives and friends to different smoking cessation programs.

The answer offered a surprising insight into human behavior. Many more people agreed to sign up for the reward program, but once they were in it, only a small share actually quit smoking. A far smaller number agreed to risk the penalty, but those who did were twice as likely to quit.

(中略)

Researchers found that offering incentives was far more effective in getting people to stop smoking than the traditional approach of giving free smoking cessation help, such as counseling or nicotine replacement therapy like gum, medication or patches. But they also found that requiring a $150 deposit that would be lost if the person failed to stay off cigarettes for six months nearly doubled the chances of success.

“Adding a bit of a stick was much better than a pure carrot,” said Dr. Scott Halpern, deputy director of the Center for Health Incentives and Behavioral Economics at the University of Pennsylvania School of Medicine, who led the study.
(Sabrina Tavernise. Study Asks if Carrot or Stick Can Better Help Smokers Stop. The New York Times. May 13, 2015.)


小生の勤務先でも少し前に禁煙プログラムなるものがありましたが、ニコチンガムなどを提供することによって社員の禁煙を会社がサポートするというものでした。このプログラムの効果には疑問があるというのが、記事の研究テーマだったようです。

研究の結果によると、ニコチンガム提供などによる支援型のプログラムと比較した場合、禁煙を達成できなければペナルティを課すというプログラムの方が禁煙成功率が2倍になるという結果が得られたということです。ペナルティというのは、例えば禁煙プログラムの参加者にあらかじめ150ドルを預けさせ、禁煙できなかったら没収する、というようなものです。たしかに150ドルは痛いでしょうね。今タバコ1箱がいくらするか知りませんが、30~40箱分くらいにはなるのではないでしょうか。

さて、“飴とムチ”とよく言いますが、支援型、あるいはペナルティ型の禁煙プログラムというのはまさしく“飴かムチ”といったところです。記事のタイトルにある通り、英語では、


carrot and/or stick


と言います。

"carrot"は言うまでもなくニンジン、"stick"は棍棒、ムチのことです。馬を想定した表現でしょうか。

“飴とムチ”というのはドイツ語で使われたものが最初のようです。ドイツ語では、


Zukerbrot und Peitsche


と言うそうです。

"Zuckerbrot"というのは砂糖をまぶしたパンのことで、"Peitsche"は“鞭”です。ドイツのビスマルク政権下における政策を評した言われたのがこの表現の始まりだったとか。


2015年5月13日水曜日

Delhi's belly

この数年、海外出張とはずいぶんご無沙汰しているのですが、海外に行った時の楽しみの1つが現地での食事です。

一方、この食事というのは下痢を初めとした体調不良など、禍の元でもあります。多くの海外旅行者が慎重になるものです。

よく言われるのは、海外では水道水を飲んではいけない、というものですが、他にも卵(生卵)、よく火を通していない肉、生野菜、など色々言われています。


We’ve all heard the saying “Cook it, boil it, peel it, or forget it.”

When traveling overseas, we know that we should not drink the water, eat any undercooked meat or other proteins (especially shellfish), or imbibe unpasteurized dairy to avoid traveler’s diarrhea, Delhi belly, Montezuma’s revenge, etc.

And generally, it’s safer to go vegetarian (beans, rice, potatoes and the like) because meat is a favorite environment for bacteria to thrive in.
(Leah Ginsberg. The 9 foods you shouldn't eat overseas. New York Post. May 12, 2015.)


“海外で口にしてはいけない9つの食べ物”、というタイトルが目を引きました。

引用中に、


traveler's diarrhea, Delhi belly, Montezuma's revenge, etc.


と出てきます。

これらはいずれも、旅行中にお腹を下してしまうことを言う英語表現です。

"Delhi belly"は"Delhi's belly"とも言うようですが、インドのデリーに由来しています。インドに旅行したら水は絶対飲んではいけないとはよく言われるところです。瓶詰め、もしくはペットボトルの水を封の切られていないことを確認して飲むのが唯一だと言われています。

"Montezuma's revenge"というのは初めて聞きますが、これはモンテスマとして知られるメキシコ・アステカ族の最後の皇帝のことだそうです。メキシコ旅行者がよく罹る下痢のことを指すそうです。


2015年5月12日火曜日

haptic

アップルウォッチに関する記事を読んでいたら、見慣れない単語に出くわしました。

"haptic"という単語です。ご存知でしたか?


One of the primary functions of the Apple Watch is to replace your iPhone's notification chimes with a gentle tap on your wrist and an audible notification.

The combination of the two are often more than enough to get my attention, but I've had a few friends and readers contact me asking if there was a way to increase the intensity of the alert.

Their main complaint was that alerts were being missed, even after having adjusted the Haptic Strength in the watch's settings. But just under that same Haptic Strength setting, there's another option for those having a hard time feeling notifications.
(Having trouble feeling alerts on the Apple Watch? Check this setting. CNET. May 5, 2015.)


アップルウォッチを購入はおろか、試したこともない私には想像するだけですが、新製品の最大の特長の1つというのが、"Taptic engine"と呼ばれるものなのだそうです。

"Taptic"とは、アップルによる造語で、"tap"と"haptic"の合成語だそうです。ここで、"haptic"という単語の意味を知っている必要がありますが、辞書を引くと、


触覚の


という形容詞であることが分かります。

どうやら、アップルウォッチというのはこれまでのスマホやタブレットが、新着メールや着信などを音(サウンド)により通知していたのに対して、アップルウォッチを着用している腕に細かな振動を伝えて知らせてくれるのだそうです。

で、それって、バイブレーター(振動)とどう違うの?という疑問が沸いてきます。

この問いについては、やはり上述した通りアップルウォッチを試したことのない私が答えるのには言葉の上での皮相な説明となってしまう訳ですが、"Taptic engine"(haptic)により実現されるのは、通知を受けて(スマホやウォッチの)画面を確認して、ということではなく、通知自体がメッセージとして機能しているというところにあるようです。

例えば、地図アプリにおけるルート案内は、左折や右折で異なる"haptic"となっているらしく、触覚を通して伝えられる内容はそれ自体、単なる通知を超えたエクスペリエンス(経験)なのだそうです。


Apple Watch will let you know when to turn with haptic feedback: taps. “A steady series of 12 taps means turn right at the intersection you’re approaching; three pairs of two taps means turn left,” says the Apple Watch user manual.

When you get close, you’ll feel a vibration when you’re on the last leg of the route, and once again when you arrive.
(How to navigate using only your Apple Watch. Culf of Mac. April 27, 2015.)


う~ん、やはりアップルウォッチを体験してみるしかなさそうですね・・・。


2015年5月11日月曜日

お名前騒動 ― flap

ウィリアムズ王子とキャサリン妃の間に生まれた女の子がここ最近の話題のトップをさらっていました。プリンセスの名前がどうなるかに注目が集まっていたところですが程なくして、Charlotte(シャーロット)という名前が発表されました。

ところが、イギリス王室の女児、王位継承第4位の人物と同じ名前が、日本の動物園のサルに付けられたということが一部から猛烈な批判を浴びました。国内ニュースで見たのですが、まさか海外でも報じられているとは思いませんでした。


TOKYO (AP) — A monkey born in a Japanese zoo will keep its name Charlotte, after all.

Oita city officials settled a dayslong national debate over whether calling the monkey Charlotte offends its British royal namesake.

The officials say they will stick to their first choice because there was no protest from Britain's royal family.

The name flap began Wednesday when the popular Takasakiyama Natural Zoological Garden named a newborn macaque Charlotte, which was the favorite in a public ballot. Immediately after the decision was announced, the zoo was flooded with protests from some Japanese saying it was disrespectful to British royals.
(No offense to royals: Japanese city says baby monkey can keep name Charlotte. US News & World Report. May 8, 2015.)


大分の高崎山のサルにも時期を同じくしてオメデタがあったそうです。名前の公募でトップだったのが“シャーロット”だったそうです。

"name flap"という表現に着目したいと思います。訳すならば、


お名前騒動


とでもなりましょうか。

"flap"とはパタパタと音を立てるような構造のもの(垂れたものや蓋など)を指しますが、俗語の意味に、スキャンダル、騒動、などの意味があるそうです。

パニック状態、混乱状態との意味もある"flap"は、戦争(第二次世界大戦)時に生まれた俗語表現とされているようです。戦時に国旗がはためいている様から来ているとの説明がありました。(Oxford Dictionary of Euphemisms)

イギリス王室は、動物園のサルに"Charlotte"という命名がされたことについては“気にしない”として、反発する様子ではないということです。まぁ、当たり前のことでしょう。


2015年5月8日金曜日

女性向け、“号泣”宿泊プランはxxよりお得 ― shrink

ツイッターのタイムラインを斜め読みしていたら、日本のホテルが取り上げられていたのが目に留まりました。

女性向けの宿泊プランのことのようですが、"crying hotel"とは思い存分喚き散らしても大丈夫!?ということでしょうか。


Japan's 'crying hotel' is cheaper than a shrink
(New York Post. May 8, 2015.)


ホテル業界も大変なのだろうなぁと思いますが、現代の女性も大変なのだろうと思います。記事を読む限りでは、やはりこの宿泊プランというのは女性向けの特別なもののようです。(ちなみに、話題になっているMホテルのウェブページではこのような宿泊プランの存在を確認できませんでしたが・・・。)

ところで、記事のタイトルにある"shrink"の意味が分かりませんでした。

この“号泣”宿泊プランは"shrink"よりも安くつくということですが、はたして"shrink"とは何のことでしょうか?

縮むという意味の動詞として暗記している人がほとんどかと思いますが、"shrink"というのは“精神科医”を指す俗語なのだそうです。

つまり、精神科医にかかるより安くつきますよ、ということだと思われます。アメリカという国は精神科医への依存度が日本よりも高いのかも知れません。精神科にかかるんだったら、ホテルの部屋で思いっきり・・・、ということでしょうか。

ところで、何故"shrink"が精神科医を指すようになったのでしょうか?

辞書を引くと、"shrink"とは"headshrink"のことであるとされています。

"headshrink"、つまり“頭を縮める”のが精神科医とされたのには、首狩り族との関連があるらしいです。首狩り族は首を狩った後、それをミイラにして縮めて晒す習慣があったということです。

精神科医にかかる患者はまるで脳みそを縮められるような感覚を味わったということから、"headshrinker"が精神科医を意味するようになったようです。


2015年5月7日木曜日

bloom

チョコレート製造にレントゲン(X線)活用、という見出しが目に留まりました。病気の診断に使われるレントゲンが嗜好品製造の現場で何の役に立つのでしょうか?


There are some people who are serious about their chocolate--and one scientific team is definitely in this category. Researchers have conducted an X-ray study that may lead to improvements in the quality of chocolate.

When making chocolate, a fat bloom can occur. This is an unwelcome white layer that occasionally forms on chocolate. It can be created when liquid fats, such as cocoa butter, migrate through the chocolate to the surface and crystallize there. This can occur when liquid chocolate cools down in an uncontrolled manner and unstable crystal forms. Even at room temperature, though, a quarter of the lipids contained in chocolate are already in a liquid state.
(Catherine Griffin. Scientists X-ray Chocolate to Improve the Sweet Dessert. Science World Report. May 6, 2015.)


文中に出てくる、"fat bloom"という単語が気になりました。

創造するに、これはよく製品のラベルにある注意書きを思い起こさせます。そう、あの、“品質には問題ありません”という但し書きです。

"bloom"を辞書で引いてみると、カタカナで“ブルーム”とあり、チーズの表面の白いカビの膜、チョコレートの表面に出る脂肪や砂糖の結晶からなる灰白色の粉、という説明があり、納得しました。Merriam-Webster Dictionaryでは、"a grayish discoloration on chocolate"と定義があります。

"bloom"と聞くと花を思い浮かべますが、こんな意味もあったのですね。

“品質には何ら問題ない”チョコレート表面の粉については、見た目が悪いので何とかなくしたいところが、それを防ぐ手だてが無かったそうです。ところが、レントゲンを活用することによって発生原因が究明され、いよいよその形成を制御できるようになるかもしれないということです。


2015年5月6日水曜日

bar

"bar examination"と聞いて、バー(飲み屋)の試験かと思ったら間違いです(笑)


New York State will begin using a standard bar examination given in 15 other states next summer, making it the largest state so far to adopt what amounts to a national credential for lawyers, the state’s chief judge, Jonathan Lippman, announced on Tuesday.
(New York to Adopt a Uniform Bar Exam Used in 15 Other States. New York Times. May 5, 2015.)


"bar exam"とは、アメリカの司法試験のことです。

以前に、"debar"、"behind bars"という表現を取り上げたことがあります。


"the bar"とはいわゆる弁護士業のことを指し、


go to the bar


は酒を飲みに行くことではなく、弁護士になることを意味します。


2015年5月5日火曜日

困った人たち ― shutterbug

スマホを始めとする携帯端末のカメラ機能が充実する一方で困った事態になっていると言わざるを得ないのではないかとつくづく思います。

写真を撮影する人のマナーが問われてしかるべきでしょう。


Hercules has been crushed — because of a selfie!

A couple of tourists are in hot water after climbing onto a priceless marble statue of the mythical Greek hero in the northern city of Cremona, Italy, the Daily Mail reported.

The miscreants put too much weight on the statue at the Loggia dei Militi palace during their boneheaded bid to snap a photo of themselves — shattering the crown of the Statue of the Two Hercules.

Experts will determine if the statue — which is considered the symbol of Cremona — can be repaired.

The two shutterbugs, whose identities were not released, may face charges.
(Yaron Steinbuch. Selfie-taking tourists shatter priceless Hercules statue. New York Post. May 4, 2015.)


イタリア・クレモナでヘラクレス像と写真に納まろうとしたカップルが像を壊してしまい、貴重な文化財を破壊してしまった罪に問われる可能性が報じられています。

"shutterbug"というのは、写真撮影の趣味が高じたマニアを指す表現です。"shutter"(カメラのシャッター)と"bug"(熱中する人)が結びついた単語なのですが、ここでは貴重な彫像を破壊(shatter)してしまったこととかけて使われています。

ゴールデンウィークもほとんど終わりですが、どこに行っても人、ひと、ヒト、でうんざりですが、特に最近思うのは写真を撮ろうとする人たちのマナーです。

記念撮影はまだほほえましいですが、傍若無人な自画取りは謹んでほしいものです。


2015年5月4日月曜日

キャサリン妃、女児を出産 ― fashion plate

キャサリン妃が女児を無事出産したというニュースでイギリスはお祝いムード一色です。日本でも、5月2日土曜日夜(日本時間)のNHKニュースで速報として報じられました。

ところで、早くも女児の“ファッション”に注目が集まっています。


No, we do not, as yet, know her name.

But the newborn daughter of Prince William and Duchess Kate is already a fashion plate.

That delicate, cozy shawl she was wrapped in while leaving St. Mary’s hospital with her parents?

It was made by G.H. Hurt and Son.

And guess what? Their stuff is affordable. We doubt that’s why Kate likes it, but she used the comfy swaddlers with firstborn Prince George as well.
(Donna Freydkin. William and Kate's princess already makes a style statement. USA Today. May 3, 2015.)


以前、"fashion statement"という表現を取り上げたことがあります。

今日の表現は、


fashion plate


というものですが、似たような表現のように思われます。"plate"のエントリを辞書で引いてみると、


常に最新流行の服を着る人
(ランダムハウス英和辞書)


とありました。

しかし、生まれたばかりの赤ちゃんにファッションの主張などあるわけはないでしょう。マスコミが注目しているのは新生児を包み込むショールのようです。ナントカいうブランドのものだそうですが、庶民の手に届かないほどの高価なものではないようです。

マスコミの注目の的になると、それが市販品であっても取り沙汰されるという例なのでしょう。


2015年5月1日金曜日

アメリカで二重アゴ治療薬が承認 ― wattle

二重アゴに悩んでいる人に朗報!?週刊誌の怪しい広告ではありません。でも、二重アゴ(double chin)というのは疾病なのかと思ったりします。


(CNN) This news may mean the end for the ultimate selfie killer, the double chin. The Food and Drug Administration will now let you say bye-bye to nasty neck fat and hello to a jawline that doesn't jiggle. The agency approved the first drug that can eliminate neck fat in most people without surgery.

The drug, known by its commercial name of Kybella, is a deoxycholic acid made by Californa's Kythera Biopharmaceuticals. This is the same acid your body produces to help it absorb fat. It takes only a few minutes for a licensed dermatologist to inject it under the jawline right into your fat tissue.
(Jen Christensen. FDA approves new drug to dissolve chin fat. CNN. May 1, 2015.)


いわゆる二重アゴというのは肥満の人に多いと考えるのは偏見でしょうか。運動したら解消されるんじゃないの?と思ったりします。治療薬が開発されるなどとは思いもしませんでしたが、アメリカの保健衛生当局であるFDAが承認したということですから、大真面目な話です。

その作用機序というのが気になるところですが、下記のようにあります。


The drug immediately goes to work on your wattle, destroying the cell membrane of what doctors call "submental fat," causing it to burst and go away permanently. That's great news for patients seeking improvement in an area many people consider a real problem. About 68% of people surveyed by the American Society for Dermatologic Surgery in 2014 named excess fat under the chin and neck one of their top concerns. Many people say they think a double chin makes them look older than they actually are.
(ibid.)


この薬剤は下あご付近の脂肪細胞に直接作用してその細胞膜を破壊するのだそうです。

"wattle"という単語を初めて見ました。下あご辺りに垂れた肉のことを言うようです。ニワトリや七面鳥、トカゲなどに見られる喉袋のような構造のことを"wattle"というらしいです。

Merriam-Webster Dictionaryの定義には以下のようにありました。


a fleshy pendulous process usually about the head or neck (as of a bird)


ここで"process"というのは解剖の用語で突起とか隆起のことを指す用語だというのも初めて知りました。