最近30日間のアクセス数トップ3記事

2014年10月17日金曜日

hand over fist

"hand over fist"という成句をご存知でしょうか?

私は初めて見たのですが、下記の記事がきっかけでした。


SAN FRANCISCO — Google is still pulling in money hand over fist, but Wall Street is hungry for the company’s next act.

On a conference call with analysts on Thursday, after Google reported its third-quarter earnings, the questions came fast and furious: How will Google match Apple’s new payment system? Can YouTube topple television? Is Google serious about trying to challenge Amazon on same-day delivery?

The problem was that in the earnings report, the Internet giant showed signs that its ultraprofitable business in search advertising was starting to slow.
(Conor Dougherty. Analysts Ask What’s Next for Google. New York Times. October 16, 2014.)


冒頭の、


Google is still pulling in money hand over fist


という部分です。"money hand"ではありません。"(Google) is pulling in money"を修飾しているのが、"hand over fist"という成句です。

記事のコンテクストからすると、ちょうど第三四半期の決算報告が出るこの時期、ウォールストリート(市場関係者)はグーグル社の収益の将来性に疑問を投げかけているようです。

"but..."の前段が"Google is still pulling in money..."ということなので、当座の収益には問題がないのだけれども・・・、と読めます。

しかし、"hand over fist"とは何を言わんとしているのでしょうか。

ランダムハウス英和辞書で"fist"のエントリを見てみると、"make money hand over fist"は、


がばがば儲ける


と訳が付いています。つまりグーグルはまだまだ広告収入のビジネスモデルでたんまりと収益を上げている、ということになります。意味は分かりましたが、何故"hand over fist"が“がばがば”というような強意の意味になるのか掴みかねました。

同じくランダムハウス英和の"hand"のエントリも参照したところ、そこに答えがありました。

"hand over fist"を直訳するならば、拳骨(fist)の上に手(hand)を(持ってくる)、くらいの意味になるでしょうか。これは即ち、ロープや綱を手繰っている様子を形容したものなのです。

もともと海事用語である、との補足説明があります。

手を交互に動かしてロープを手繰りながら物を引き寄せる、あるいは綱を昇っていく(降りていく、でもいいと思いますが)、という様子から、着実に物事を進めていく、というような意味が派生したもののようです。

かつては、"hand over hand"とも言ったようですが、"hand over fist"が定着し、やがてこのフレーズは主に金目の話で使われるようになったようです。

先に、“拳骨(fist)の上に手(hand)を(持ってくる)”と書きましたが、拳骨は手のひらを閉じた状態であるのに対して、手(hand)は手のひらを開いた状態をイメージするのが一般的ではないでしょうか。

このイメージをもう一歩先に進めると、"hand over fist"とは開いた手でモノ(money)を掴みとり、さらにもう一方の手で掴みとろうとする、という何となく貪欲さを想起させるものになります。尤も、この解釈は私の勝手な想像ですが・・・。


0 件のコメント:

コメントを投稿