最近30日間のアクセス数トップ3記事

2013年7月31日水曜日

6キロ超(!)の新生児 ― bouncing baby

ドイツで女の子の新生児の体重がなんと6キロ超、というびっくりのニュースです。


At nearly a stone, she is twice the weight of the average newborn girl.

But even more remarkable is that Jasleen’s mother managed to deliver her naturally, without the need for a Caesarean section.

She was born on Friday in Leipzig, Germany, weighing 13lb 8oz (6.11kg) and measuring 23in (57.5 cm) long.
(Mother gives birth to a bouncing baby girl weighing 13lb4oz WITHOUT a C-section. The Daily Mail. July 30, 2013.)


記事に写真がありますが、びっくりするような大きさです。

通常新生児の体重は3キロ前後ですから、その2倍あるということになりますが、このサイズになると通常は帝王切開での出産になるそうです。しかしながら、通常分娩で出産したということですからさらにびっくりです。(記事のタイトルで、"WITHOUT a C-section"と大文字になっている訳です。)

さて、記事のタイトルで使われている、


bouncing baby


という表現に着目します。

"bouncing"とは、"bounce"という動詞から来ていますが、ランダムハウス英和辞書を引くと、


たくましい、元気いっぱいの


という意味で使われる形容詞の意味があるようです。


a bouncing baby boy(元気な男の赤ん坊)


という用例が出ており、赤ちゃんについて用いられるようです。

助産師や産科の医師が新生児を取り上げる時に、「元気な男の子(女の子)ですよ~」、とよく表現しますが、英語では"a bouncing baby boy (girl)"というのがそれに相当する英語なのです。

"bouncing"なんて、ごく普通の単語に見えますが、こういう典型的な表現で用いられることを知りませんでした。


2013年7月30日火曜日

面白い語源 ― posh

英単語の語源というものは本当に面白いものだと思います。何の変哲もなさそうな単語に意外な語源の物語がひそんでいたりします。

今日は、"posh"という単語を取り上げたいと思います。アルファベット4文字の、然して変わったところもなさそうな単語です。1つ言わせてもらえば、英単語らしくない感じがする、ということでしょうか。日本語では、しゃれた、豪華な、粋な、という意味なのですが、それもスペルと何となくイメージが合わない感じがします。


PARIS — Wearing a scarf to mask his face, the gunman sneaked into the posh Cannes hotel and held up a diamond show as three security guards looked on, then fled on foot about a minute later. In the end, he made off with a breathtaking $136 million worth of valuables — the biggest jewelry heist in years, maybe ever.
(Doubling down on diamonds: Gunman makes off with $136 million in loot from Cannes heist. The Washington Post. July 29, 2013.)


ランダムハウス英和によると、"posh"は、


port out(ward), starboard home


の頭文字をとった略語だということです。これは、行き(往航)は左舷、帰り(帰航)は右舷、ということだそうですが、その意味するところは英国~インド間の航行において、行きは左舷、帰りは右舷の船室が快適であるということで、つまりは等級が高く、金持ちが利用する船室であったということなのだそうです。

へぇ、こんな語源もあるんだ、と感心したような心持ちになりましたが、Merriam Websterを参照すると語源不詳とされています。

さらに興味深いのがAmerican Heritage Dictionaryの語源解説で、それによると、上記の説を一応述べた上で、俗説であると結論づけています。(1等船室のチケットに"POSH"というスタンプが押されていたという説まであるそうですが、はっきりとした証拠がないそうです。)

で、American Heritage Dictionaryは代わりにどのような語源解説をしているかというと、イギリスでロマニー語(Romani)と呼ばれる方言でhalf-penny(半ペニー銅貨)を意味する


posh-horri


から派生したというものです。

"posh"はお金(half-penny)と同等の意味で用いられたもののようですが、"posh-horri"、イコール"half-penny"という図式から分かるように、"posh"は"half"、"horri"は"penny"に相当するものです。

ところで、このロマニー語と呼ばれる言語は、インドからヨーロッパやアメリカ、オーストラリア大陸に移住した人々によって用いられた言葉だそうですが、系統的にはサンスクリット語を祖とする言語に分類されるそうです。

俗説とされている一等船室の話にしても、"half-penny"に由来するという話にしても、いずれもインドに関係があるという点では共通しているようです。

個人的には、俗説とされている語源の方が面白いと思いますが、皆さんはいかがでしょうか?


2013年7月29日月曜日

地産地消 ― locavore

地産地消という言葉がいつごろ生まれたものか知りませんが、英語では何と言うのでしょうか?

地産地消と和訳するのにぴったりと思われる単語に偶然出会いました。


THE growing popularity of area farmers markets is fueling a new movement in Columbus — developing a locavore lifestyle.

Named the 2007 Word of the Year by the Oxford American Dictionary, a locavore is defined as “a person whose diet consists only or principally of locally grown or produced food.”

“A locavore is someone who has a relationship with the food they eat,” said SaraBeth Drybread of the Columbus Food Co-Op. “Someone who is community-minded and really conscious of what it is they’re eating and where it comes from.”
(Jennifer Willheit. Buying, eating local fuels movement. The Republic. July 23, 2013.)


"locavore"という単語がそうです。お手持ちの英和辞書にはひょっとしたら載っていないかもしれませんが・・・。

Merriam Websterには初出が2005年ということで下記のような定義がされています。


one who eats foods grown locally whenever possible


"locavore"というスペルを見て、"carnivore"(肉食)や"herbivore"(草食)といった単語を思い出したアナタ、英語のセンスがありますね!

"locavore"とは、local(ローカル)という単語に、-vorusというラテン語の接尾辞が付いたものなのです。

まさに地産地消という日本語がふさわしいと思います。


2013年7月26日金曜日

holy grail

"holy grail"(大文字、かつ定冠詞が付いて、the Holy Grailともスペルされることもあります)という表現をご存知でしょうか?

日本語では聖杯と訳されます。

あまり詳しくはないのですが、聖杯伝説というものがあり、ここでいう杯(grail)とはキリストが最後の晩餐で使ったとされる杯で、中世の騎士が挙って探し求めたのだそうです。

そういうことから、


強く希求する目標;(努力を要する)究極の目的(ランダムハウス英和辞書)


という意味で用いられるようになりました。Merriam Websterによりますと、


often not capitalized: an object or goal that is sought after for its great significance


と定義されています。例文として下記が挙げられていました。


Finding a cure for cancer is the holy grail of medical researchers.


まだ誰も発見することができていない、達成できていない、というような含みがあります。

フェースブック社の株が急上昇しているらしいですが、背景には同社のモバイルビジネスにおける広告収入の成功があるそうです。どこの会社も試行錯誤している広告ビジネスで成功しているフェースブックのビジネスモデルに注目が集まっているという訳です。


LOS ANGELES — Has Facebook cracked the holy grail of the new mobile technology? Investors sure think so.

Shares of the largest social media company soared more than 30% Thursday in their best performance since the company went public last May, and at more than $34 a share are now within range of its much-maligned IPO price of $38.

The reason: The company appears to have figured out how to make money on its booming traffic on mobile devices, something that has dogged tech companies since mobile became the key to the future a few years ago.
(Matt Krantz. Has Facebook figured it out? USA Today. July 25, 2013.)


フェースブック社は昨年5月の株式上場時にずいぶんと脚光を浴びましたが、その後の株価低迷に市場関係者も落胆していたところ、今回の広告収入における好成績でまた同社に対する評価が高まりつつあるようです。同社をこき下ろしてきたウォールストリートジャーナルなどのメディアも今回ばかりは再評価する立場を取っているようです。

フェースブックは"holy grail"を探し当てたということになるのでしょうか。


2013年7月25日木曜日

opt in

以前の記事で"opt out"という表現を取り上げましたが、今日はその反対、"opt in"です。

"opt"とはラテン語の動詞optare(選ぶ)から来ており、"option"(オプション)という単語も同じです。


All internet pornography should be preemptively blocked in Canada, says Conservative MP Joy Smith of Winnipeg, which would force those who want to access adult content to "opt in" with their internet service provider.

Earlier this week, British Prime Minister David Cameron did exactly this, announcing that by 2014 all ISPs in the UK will be mandated to block access to online pornography unless customers specifically ask for it.
(LaurenO'Neil. Internet porn 'opt in' is censorship, say Canadians. CBC News. July 24, 2013.)


取るか取らないかの2つの選択肢が提示されている場合に、"opt out"とは取らないという選択をすることでした。"opt in"はその逆ですから、取るという選択をすることになります。

"opt out"という表現は定着しているのか、辞書にもエントリがありますが、"opt in"の方はその逆とは言えあまり標準的な用法ではないのかもしれません。そういう意味で、上記の引用でも引用符付きで用いられています。

引用したカナダ・CBCニュースの記事によりますと、インターネットにおけるポルノを規制する目的で、そもそもポルノを全て禁止とし、見たいという人だけがプロバイダーとそのような契約をする(つまり"opt in"する)ような仕組みに変えよう、という案が出ているようです。

これに対しては、そのようなやり方は検閲と同じだと反発する意見もあるようです。


2013年7月24日水曜日

閑話休題:“お悔やみ~”ではなかった ― thoughts and prayers are with...

以前にも取り上げたことがありますが、


My thoughts and prayers are with...


という典型的なフレーズがあります。

大規模な災害や事故があったり人が亡くなった際に、弔意や哀悼の意を示したり、慰めの言葉として用いられる表現です。

私はこの表現を日本語で言うところの、“お悔やみ申し上げます”とほとんど同等のものと思っていたのですが、そうでないことを今日知りました。

以下の引用は、イギリスのキャサリン妃が男の子を出産したニュース記事からのものです。


LONDON — Britain's royal baby spawned a social media frenzy on Monday, but one newspaper's website installed a "republican button" to let readers escape the wall-to-wall coverage.

The announcement that Prince William's wife Kate had gone into labour sent #RoyalBaby and similar tags trending on the microblogging site Twitter.

Among those tweeting was the Archbishop of Canterbury Justin Welby, who as head of the Church of England is expected to baptise the royal infant.

"My thoughts and prayers are with Kate and the whole family on this enormously special day," Welby tweeted.
(Britain's #RoyalBaby blitzes social media. AFP. July 22, 2013.)


ロイヤルベビーが生まれたという国を挙げての慶事ですから、“お悔やみ~”であるはずがありません。相手のことを気遣う場面で用いられる表現であり、相手と同じ気持ちですよ、というのがメッセージなのでしょう。

また1つ勉強になりました。


チームワーク? ― collective heroism

昨日のニュースだったと思うのですが、京浜東北線で電車から降りようとした若い女性が電車とプラットホームの隙間に落ちてしまい、周りにいた乗客が電車を押して何とか隙間を拡げて女性を救出したという一件がありました。

たしかヤフーのトップニュースに上がっていたのを見たような気がします。

首都圏でありがちなニュースくらいに思っていましたが、Googleニュースで海外のメディアからも取り上げられているのを見つけてびっくり!何と、"World"のセクションで取り上げられていて、ロイヤルベビーやエジプトの騒乱のニュースなどと一応同列の扱いなのです。そんなに重要なニュースなのか!?と思う向きもあるかも知れませんが、海外から見ると特筆すべき事件なのでしょうか。


Dozens of Japanese commuters pushed a 32-tonne train carriage away from the platform to free a woman who had fallen into the 20cm (8in) gap between it and the platform.

The act of collective heroism was captured by a newspaper photographer.
(Japanese passengers move 32-tonne train to rescue trapped woman. The Guardian. July 22, 2013.)


記事にある、"collective heroism"という表現が目に留まりました。

"collective"とは、集団の、団体の、という意味の形容詞、"heroism"とは英雄的な行為を指す名詞です。

記事の写真には、場に居合わせた多くの乗客が一心に電車の車体を押している様子が写し出されています。

つまりは、“チームワーク”、ということでしょうか。

CNNでは動画付きの記事で取り上げられています。

"collective"という形容詞に着目してみます。Merriam Websterに拠れば、


involving all members of a group as distinct from its individuals


ということですから、個人ではなく、構成員全員に言及するものです。対して、"heroism"とはヒーロー(英雄)の資質に言及するものですが、ヒーローは一個人という含みがあるのではないでしょうか。

"collective heroism"という表現にはある種の形容矛盾があるようにも思えるのですが、"team work"と言わず、"collective heroism"と表現するところに英語の面白みがあるようにも思えます。


2013年7月23日火曜日

英国キャサリン妃が男児を出産 ― deliver

英国キャサリン妃が無事男の子を出産しました。世界中でトップニュースになっています。

今日取り上げたいのは、"deliver"という動詞です。わざわざ取り上げる意味は何?という方もあるかも知れません。

"deliver"って、“出産する”という意味の他動詞でしょ、という方、以下の引用を読んでみて下さい。


The Duchess had been in labour for more than 11 hours but both she and the baby were said to be “doing well” as they prepared to spend tonight in hospital.

(中略)

The news finally came at 8.29pm, with the formal announcement that “The Duchess of Cambridge has been delivered of a son”.
(Gordon Rayner. Duchess of Cambridge gives birth to baby boy. The Telegraph. July 22, 2013.)


上記の引用で、


The Duchess of Cambridge has been delivered of a son.


というイギリス王室の公式発表が引用されていますが、"(has) been delivered"と受身形になっているのを見て、おや、と思いました。

つまり、


The Duchess of Cambridge has delivered a son.


の間違いではないかと思ったのです。

結論から言いますと、上記2つのどちらも文法的には正しいのですが、"(has) been delivered of (a son)"という受身形の表現は文語として、どちらかと言えば古風な言い回しになるそうです。

先日の投稿で、赤ちゃん誕生はバッキンガム宮殿の前に設置されるイーゼルで公表されるという記事を取り上げましたが、今回の報道の中でもこのイーゼルが写真で取り上げられております。

写真から読み取るに、


Her Royal Highness The Duchess of Cambridge was safely delivered of a son at 4:24 pm today.

Her Royal Highness and her child are both doing well.


とあり、ここでも"deliver"は受身形となっています。


2013年7月22日月曜日

jonesing

"jonesing"という単語があります。見慣れない単語ではないでしょうか?

スペルから見て、"jones"という動詞に~ingがついた動名詞、もしくは進行形で用いられるものと考えることができますが、さて、"jones"とは何でしょうか?

よく知っているのは人の名前"Jones"ですが、人の名前が動詞になっているというのはあまりお目にかかりません。

いくつか"jonesing"の実例を挙げてみましょう。


You're jonesing for a venti soy caramel macchiato, but haven't spotted a single Starbucks.
(Conde Nast Traveler. July 8, 2013.)


You've probably have heard of Hoegaarden, a traditional Belgian beer that contains notes of coriander and orange peel. Reis calls it a "perfect patio drinker." Trade it for Blue Moon next time you're jonesing for a wheat -- it's better than its competitors, says Brian Rudolph, owner of The Holy Grail Pub in Plano and FM Smoke House in Irving.
(Pegasus News. July 15, 2013.)


Jonesing for a better look at that new Nexus 7 that was the subject of multiple leaks earlier this week? Well it's back again today, continuing the steady stream of leaked press images that we've seen this weekend.
(Phonedog. July 22, 2013.)


お手持ちの英和辞書にはエントリがないかも知れませんが、"jones(ing)"とは、


to have a strong desire or craving for something
(Merriam Webster Dictionary.)


という意味のスラングです。

明らかに人の名前の"Jones"から来ているように思われますが、Merriam Websterによれば"Origin unknown."(語源不詳)ということです。

なぜ、"Jones"さんの名前が、禁断症状に近い欲求を指すようになったのか、これについてもはっきりした語源は不明のようですが、名詞の"jones"がヘロイン(や薬物中毒)、男性のイチモツなどを意味するスラングとして用いられていることから来ているという説があります。

ニューヨークタイムズ紙に語源解説がされている記事をたまたま見つけました。


The root is a proper noun: for a reason I cannot fathom, Jones -- a family name held in my estimation by nearly 18 million Americans -- was applied in the early 1960's to heroin addiction. J.E. Lighter's Historical Dictionary of American Slang speculates about another possible origin: the male sex organ. In the 1970's, the noun -- no longer capitalized -- most often referred to withdrawal symptoms, and made the transition to verb: jonesing out.
(William Safire. The Way We Live Now: On Language; Jonesing. The New York Times. May 11, 2003.)


2013年7月19日金曜日

米・デトロイト市が破産申請 ― belly-up

アメリカ・デトロイト市が破産申し立てを行ったということです。米国史上最大の地方自治体の財政破綻がトップニュースになっています。


DETROIT — Detroit on Thursday became the largest city in U.S. history to file for bankruptcy, as the state-appointed emergency manager filed for Chapter 9 protection.

Kevin Orr, a bankruptcy expert, was hired by the state in March to lead Detroit out of a fiscal free-fall and made the filing Thursday in federal bankruptcy court.
(Detroit declares bankruptcy, becoming largest city in U.S. history to go belly up. New York Post. July 18, 2013.)


引用した記事のタイトルに出てくる、"belly up"は破産を意味するインフォーマルな表現です。

ご存知のように、"belly"とは“おなか”(腹)のことですが、おなかを上にしている状態のことを形容したものです。Merriam Websterによりますと、


hopelessly ruined or defeated; especially : bankrupt


と定義されています。

おなかを上にしている、というのは、魚が死んだときに腹の部分を上にして海面に浮かんでいる様から来ているそうです。つまりは、死に体ということでしょうか。


2013年7月18日木曜日

snafu

アメリカ・ニューヨークのJFK空港で、心臓発作を起こした男性の乗客が亡くなるという事故があったと報じられています。

救急隊が駆け付けたものの、セキュリティドアに阻まれたために時間をロスしてしまい、男性を救うことができなかったようです。


A man died after suffering a heart attack at Kennedy Airport after two teams of first responders failed to reach him — because their electronic ID cards couldn’t open secure doors at the newly renovated Delta terminal, The Post has learned.

Precious minutes were lost due to the tragic snafu, which unfolded early Saturday when Gunseye Adekunle, 50, of New Jersey, collapsed in the $1.4 billion Terminal 4 while he was preparing to board an Arik Air flight to Nigeria, sources said.

A call went out for help, but what happened next was a massive mix-up.
(Philip Messing. Tragic security snafu: Man dies at JFK after doors delay responders. New York Post. July 17, 2013.)


救急隊はセキュリティドアを開くためのIDを当然身に着けていましたが、そのIDがうまく機能しなかったらしく、道を阻まれたそうなのです。

最初の救急隊がエレベータのセキュリティで足止めを食い、また別の救急隊も先導する警備係のセキュリティカードが機能せず、蘇生処置にクリティカルな2分が失われました。まさに悲劇(tragic snafu)です。

さて、"snafu"とは聞きなれない表現ではないでしょうか?

辞書を引くと、


situation normal all fucked up(あるいは、fouled up)


の略である、とあります。

ミスやトラブルが重なって、通常ならば問題なく済むところが大変な混乱を引き起こしている、そういう状況のことを表現するものと解釈できます。

全くレベルの違う話ですが、今日は出張で新幹線に乗ったのですが、東京駅で乗車券を購入する際に、手持ちのSUICA定期券を券売機に通したところ、何度やっても受け付けられないというトラブルに見舞われました。(エクスプレス予約で指定席のみ先に予約し、特急券の受け取り時に乗車券を別途購入する腹積もりだったのです。)

呼び出しを押して事情を説明すると、どうやら私の所有しているSUICAが“かなり使い込まれている”のが原因で読み取れないので窓口で買うように、という説明です。見ると窓口には10人くらいが行列を成しています。予約している新幹線まで時間がないので焦りました。

何とか間に合いましたが、窓口では同じSUICAを読み取って精算している訳で、古いから読み取りトラブルがありますという説明は腑に落ちないものがありました。

まさに、私にとって"snafu"、だった訳です。


2013年7月17日水曜日

中国人女性がiPhoneで謎の感電死 ― electrocute

充電中のiPhoneへの着信に応答した中国人の女性が感電死する事故があったというニュースが話題になっています。

中国ということで、粗悪な模倣品でも使っていたんじゃないかとも思われる方も多いかも知れませんが、この女性は正規品のiPhoneとこれまた正規品の充電器を使っていたそうです。


(Reuters) - Apple Inc is investigating an accident in which a Chinese woman was killed by an electric shock when answering a call on her iPhone 5 while it was charging, the U.S. technology company said on Monday.

Last Thursday, Ma Ailun, a 23-year-old woman from China's western Xinjiang region and a flight attendant with China Southern Airlines, was electrocuted when she took a call on the charging mobile telephone, the official Xinhua news agency quoted police as saying on Sunday.

"We are deeply saddened to learn of this tragic incident and offer our condolences to the Ma family. We will fully investigate and cooperate with authorities in this matter," Apple said in an e-mail.

Apple declined to comment on details, such as whether this was an isolated case.
(Apple to probe death of Chinese woman who used iPhone when it was charging. Reuters. July 15, 2013.)


今日の単語は、"electrocute"です。

お分かりのように、電気を意味する"electr-"と、"execute"が組み合わさってできた、かばん語の1つです。

"execute"、というとおっかないですが、電気椅子の死刑を意味するほかに、事故で感電死する場合にも用いるようです。


2013年7月16日火曜日

ペットの転売詐欺が横行 ― flipping

最近、高級自転車が盗難にあった直後にネットオークションに出品されていたという事件がありましたが、他人様から盗んだものをあたかも自分のもののように売って一儲けしようとする輩が増えているのでしょうか。

“転売詐欺”という表現が定着しているものなのかどうか知りません。転売という表現は、その行為自体は合法と見なされるケースもあるのでしょうが、どこか後ろ暗い感じがします。

英語では、"flipping"という表現がこれに当たるようです。"flipping"とは、"flip"という動詞から来ています。

指先でポンと弾く、ぱっとめくる、すばやく動かす、などの意味の動詞ですが、金融用語としては素早く転売することを言ったりもします。

アメリカで最近、ペットが行方不明になった直後、ネットオークションなどで出品されるケースが相次いでいるらしく、このことを


pet flipping


と呼んでいます。


Elizabeth Arroyo never thought she would see her dog again after he ran away from her Greenwood, Ind., home late one June night.So the 22-year-old was shocked when she was forwarded a Craigslist ad days later saying her dog Raiden was not only found — but for sale.

"I was initially furious," she said as the white wolf/malamute mix with yellow eyes jumped onto the couch beside her. "But I knew we were going to get him back."

Arroyo's story is one of several local cases widely considered pet flipping, a situation in which a dog or cat is either stolen or found and then put up for sale online by someone else.

"In both cases, the person, the criminal, is trying to resell the animal or trying to extort the owners," said Dan Shackle, the chief administrator at Indianapolis Animal Care and Control.
(Brian Wilson. Your lost dog might become somebody's cash cow. USA Today. July 15, 2013.)


自転車にしろペットにしろ、所有者が愛着を持っているものを盗んだ上にそれを売りに出して利益を目論むのですから、二重の犯罪ではないかと思います。


2013年7月15日月曜日

英議会でコカイン疑惑 ― Charlie

英議会はコカイン利用の巣窟、というスキャンダラスなニュースが報じられています。イギリスの大衆紙The Sunによるすっぱ抜きらしいです。


The Houses of Charliement
(So that's why they need the pay rise)

Undercover reporters found traces of cocaine in NINE different toilets in the historic palace where our laws are made.

They included cubicles just yards from MPs’ offices — in areas where public visitors have no access.

Traces of the Class A drug were also found in toilets shared with guests enjoying receptions at Parliament’s riverside bars.

The findings suggest the drug is regularly being snorted at both the Commons and the Lords — with users defying airport-style security checks and a 500-strong team of cops and security officers.
(The Houses of Charliement. The Sun. July 15, 2013.)


タイトルにある、"Charliement"に注目してみましょう。これは、"Parliament"をもじったものです。勿論、議会、国会を意味する単語ですが、偶然にもアメリカの紙巻タバコの商標でもあります。

"Charlie"は、男性の名前"Charles"、あるいは女性の名前"Charlotte"の愛称ですが、この単語は隠語的に用いられることが多いらしく、上記の"Charliement"はコカインを意味する"Charlie"にかけたものです。

手元にあるOxford Dictionary of Euphemismsを見てみますと、


A substitute word for a taboo subject.


とあり、コカインに限らず、直接的な表現を避けるために色々な意味で用いられるようです。

ちなみに、"Charlie"はアルファベットのCの文字を表すコード(フォネティックコード)でもあります。コカイン(cocaine)を意味するようになったのは、語頭のCを言うのに"Charlie"が使われることによるという説が有力です。


2013年7月12日金曜日

ナンバー2?大物のことではありません。 ― number two

食事中の方には申し訳ありません。

日本語で“ナンバー2”と言えば、トップに次ぐ実力者、要は大物という含みがありますが、今日取り上げる"number two"はそれとは違う意味です。

英語のスラングで、“う○ち”のことを、"number two" (No. 2) というそうです。今日初めて知りました。

ちなみに、“う○ち”とは硬い言い方をすると、"defecation"のことです。


Should your cat's "No. 2" be considered a No. 1 health problem? Thanks to a hardy parasite that makes its home in cat feces, a growing number of animal disease experts are calling for a national health campaign to clean up after America's beloved felines.

"Nobody wants to talk about it, but our cats are outside pooping all over the place," said Patricia Conrad, a professor of parasitology at UC Davis' School of Veterinary Medicine. "There's a lot more out there in the environment than any of us would like to think about."

In a study published Tuesday in the journal Trends in Parasitology, two Maryland researchers calculated that both household and feral cats produce 1.2 million metric tons of cat feces each year -- a weight roughly equivalent to 12 aircraft carriers.
(Monte Morin. Is your kitty's poop a public health threat? Los Angeles Times. July 9, 2013.)


なぜ"number two"(2番目)なのでしょうか?

ちなみに、“おしっこ”のことは、"number one" (No. 1) というようです。(これも今日初めて知りました。)

生々しくて書くのが憚られますが、おしっこが最初に出て、次に(2番目に)“う○ち”が出るから、だそうです。(当然と言いますか、このような説明は真っ当な(!?)辞書の語源欄で見つけることはできません。)

別の説によると、“う○ち”を意味する"poo"と韻を踏んで、"number two"、“おしっこ”は"pee"なので、これまた韻を踏んで"number three"というらしいです。

色んな表現が出てきましたが、いずれも幼児語です。

食事中の方には大変失礼しました。


2013年7月11日木曜日

誤用?"affect"と"effect" ― affect

今日の話題もやや堅苦しいものになりますが、ある意味私にとっては驚きだったのでシェアしたいと思います。

学校英語でも取り上げられることがあるのではないかと思いますが、"affect"と"effect"の用法の違いというのはよく知られたところではないかと思います。

ご存知のように、名詞と動詞の2つがありますが、今日取り上げたいのは、名詞としての用法です。私が教わったのは、


"affect"を名詞としての"effect"の代わりに用いることはできない、


というものです。名詞の"affect"は存在しますが、それは心理学用語で言う“感情、情緒”という意味であり、"effect"という名詞の“影響、効果”という意味はありません。これは手持ちの辞書を見ても明らかです。

ところが、下記の記事では、"affect"が名詞として、まさに"effect"の意で用いられています。


Tighter controls are needed to prevent children consuming high-caffeine energy drinks, a BBC investigation has heard.

Professor Mike Lean, an expert in nutrition, said children should be banned from buying highly-caffeinated drinks in the same way as alcohol.

(中略)

There are concerns about the cumulative affects of caffeine, which is a psychoactive drug similar to other stimulants such as nicotine, on brains which are still immature.
(Children's caffeine intake 'should be controlled.' BBC News. July 9, 2013.)


3段落目の"cumulative affects of caffeine"はどう見ても"affect"が名詞として用いられています。正しくは、"cumulative effects"ではないでしょうか?

誤植でしょうか?ライターの誤用でしょうか?

イギリスの権威あるメディア、BBC Newsの記事です。ネットでは誤植を見ることは多いですが、ライターの誤用とは考えにくいです。



"affect"を名詞の"effect"に用いることは誤用であることはどの辞書を見ても同じです。例えば、Merriam WebsterのUsage Notesでは、


The uncommon noun affect, which has a meaning relating to psychology, is also sometimes mistakenly used for the very common effect. In ordinary use, the noun you will want is effect...


とあり、American Heritage DictionaryのUsage Noteでも、


... The other affect, the one that is confused with effect, is both a noun and a verb. As a noun it is uncommon and means roughly "emotion." It is pronounced with stress on the first syllable rather than the second. Note that affect does not have a noun sense meaning "an influence that brings about a change."


とあります。

ここで思いついたのがコーパスを利用して実際の用例を見てみるということでしたが、その結果に驚きました。

"affect"を名詞の"effect"の意で用いている用例は少なからず見受けられ、それらの中にはNew York TimesやSan Francisco Chronicle、Washington Postなど、名だたるメディアが含まれているのです。


Officials of the Edison Electric Institute were troubled by aspects of "Clear Skies" and provided Connaughton, Griles and others with computer analyses highlighting the potential adverse affects of such an approach on energy costs and supplies.
(The Washington Post. 2002.)


従って、上記のBBC Newsからの引用は誤植ではなさそうだと言えます。ライターが誤用として認識しているのかどうか、聞いてみたいところですが、コーパスで見る限り多くの誤用例が見られますので、ネイティヴの中でも間違いを犯しやすい単語なのかも知れません。


2013年7月10日水曜日

"app store"の呼称で和解: "while"の用法 ― while

今日は少し学校文法じみた話題になりますがお付き合い下さい。

"while"という接続詞がありますが、最もよく知られる用法は、「~する間に」、という時間と関連したものだろうと思います。例えば以下のような英文における用法です。
(以下、例文は特に断りが無い場合を除き、BBC Newsのサイトから引用させていただきました。)


While I was reading the newspaper, my wife was ironing my shirts.


そして、もう1つよく知られている用法は譲歩や比較・対照で用いられる、「~なのに「、「~である一方」、という用法ではないでしょうか。例えば以下のような英文です。


While I like all types of fish, my girlfriend always chooses meat dishes when we go out to eat.


と、まあ、私はこの2つの用法を知っていただけで、"while"の用法については押さえていたつもりだったのですが、下記の記事を読んで、おや、と思ったのです。


In its lawsuit alleging trademark violations and false advertising, Apple accused Amazon of misusing the "app store" name in connection with the sales of apps for Android devices and the Kindle Fire, a tablet that competes with Apple's iPad.

Amazon countered that the term "app store" had become so generic that using it would not mislead customers.

It said in a court filing that even Apple Chief Executive Tim Cook had used the term generically, in discussing "the number of app stores out there," while his predecessor Steve Jobs had talked about the "four app stores on Android."

Hamilton dismissed Apple's false advertising claim in January.
(Jonathan Stempel. Apple, Amazon end 'app store' lawsuit. Reuters. July 9, 2013.)


記事は、"app store"の呼称を巡って係争中だったAppleとAmazonが和解した、というものです。ご存知"App Store"はApple社の有名なタブレット端末iPadなどにインストールするアプリケーションを配信しているサイトですが、後にAmazonが"Appstore"の名称で自社のタブレット端末用のアプリケーション販売サイトを開設し、これを紛らわしいとApple社が訴えたのが事の発端です。

Amazonは、"app store"という呼称はほとんど一般的なもの(generic)になっており、紛らわしいとの主張はあたらないと反論していました。

そして、当のApple社のCEOが"app store"という呼称を一般的なものとして認識した発言をしているではないかと主張しています。その主張が上記引用の3段落目なのですが、これは言語学的にも説得力があり、非常に興味深い主張だと思います。

さて、今日のテーマである"while"の用法に話を戻しますと、ここでの"while"は時間的な概念を意味したものでもなければ、対比・対照、譲歩の意味でもありません。

Appleの前CEOであるSteve Jobs氏も、現CEOであるTim Cook氏も、“どちらも”、"app store"を一般的な呼称と認識していると取れる発言をしているというのが、Amazonの主張です。

そこで辞書を引いてみると、"while"の用法に、


行為の類似・対応同時に,そして一方
andとほとんど同意
(ランダムハウス英和辞書)


と載っているではありませんか。

またもや勉強不足を恥じ・・・、というところでしたが、一方で研究社の大英和(第五版)にはこの用法が記載されていません。

このような用法が一般的なのかどうか良く分かりませんが、接続詞"while"の3番目の用法として、しっかり認識した次第です。

余談ですが、この記事のタイトルで、"app store"と小文字になっているのは、AppleとAmazonの両社がこれを一般的呼称と認識して和解に至ったことを意識してのことなのだろうかと思います。しかしながら振り返ってみますと、Appleは"App Store"と大文字表記で固有名詞として用いており、一方Amazonは"Appstore"とやはり大文字表記でありながら、(Appleとは差別化を図ったと思われ)1語での表記、それぞれ一般的呼称ではなく独自のサービス名称として意識していることが窺われるのですが、現実的にはアプリケーション販売サイトとして定着した感のある"app(lication) store"だけに、無用な裁判に時間とお金をかけるのが馬鹿馬鹿しいという認識に至ったものでしょうか。


2013年7月9日火曜日

絶壁アタマ ― plagiocephaly

赤ちゃんを寝かせるのにうつぶせにすると突然死(乳幼児突然死症候群; SIDS)のリスクがあるというのはよく聞かれるところです。一方、仰向けにして寝かせ続けると、後頭部が真っ平らになり、丸くて形の良い頭の形状にならないということで敬遠される傾向があります。

親御さんとしては突然死のリスクは絶対に避けたいし、かといって頭の形もちゃんとケアしてあげたいということで、仰向けで寝かせている間、下になる部分を左右で時々変えるなど努力せざるを得ません。


Putting babies on their backs to sleep has sharply cut the rate of Sudden Infant Death Syndrome (SIDS), but it has also left nearly half of infants with a flattened heads, a new Canadian study estimates.

Researchers found that 47 percent of 440 2-month-olds having routine check-ups had what doctors call positional plagiocephaly -- where the back or one side of the head has a flat spot. It develops when infants spend a lot of time with the head resting in the same position against a flat surface.

Flat spots are a cosmetic issue -- not a medical problem -- experts stressed, and parents should keep putting their infants on their backs to sleep.
(Amy Norton. Nearly Half of Infants Have Flat Spots on Their Heads: Study. US News & World Report. July 8, 2013.)


“後頭部が真っ平ら”であることを、俗に“絶壁頭”と言いますが、昔小学校の友人にそういう後頭部の友達がいて、絶壁、絶壁とからかった思い出があります。(本人も自分のあだ名として承知していたもので、いじめではありませんでしたので悪しからず。)

さて、その“絶壁”のことを引用記事中では、


a flat spot
flattenned heads


などと表現しています。

さらに、医学専門用語として、


plagiocephaly


という用語が使われています。めったに見ることがないであろうこの単語ですが、plagio-は斜めを意味するギリシャ語起源の接頭辞、-cephalyは頭部を意味するこれまたギリシャ語起源の要素です。

30年前の“絶壁君”をふと思い出しました。お元気でしょうか・・・。


2013年7月8日月曜日

最年長の現役冷蔵庫 ― freeze up

私事ですが、つい先日、冷蔵庫を買い換えました。それも結婚15年の日に。

結婚に際して妻が実家から持ってきた日立製の冷蔵庫なのですが、妻が小学生の時に購入したものだと言うことでしたので、少なくとも30年以上を使った計算になるものです。6月に入ってから、冷え具合が不調となり、ビールはあまり冷えず、牛乳が凝固したりと、よろしくない状況が続いていました。

いわゆる白物家電のサイクルは10年前後だそうですので、30年はまさに“使い倒した”、というのがふさわしいです。元々吝嗇なものですから、洗濯機は12年、炊飯器は20年、オーブントースターは14年、使いました。

さて、全く偶然にですが、アメリカで現役としては最年長の85年近く使われている冷蔵庫がニュースになっているのを見つけました。


It might have been around for what feels like an ice age, but a refrigerator still chilling after almost 85 years could be the oldest in America.

The fridge -- which shows no signs of freezing up -- cost around $300 when it was first produced by General Electric, equivalent to a staggering $4,225 today.

It is believed to be the oldest working fridge in the US -- a title once belonging to a 1938 flat top GE model owned by Mike Ansel from Pennsylvania.
(Dan Thomas. America's oldest fridge still keeping cool. New York Post. July 5, 2013.)


ゼネラルエレクトリック社製のこの冷蔵庫、博物館に飾られてあっても不思議ではないと思われるような外観ですが、購入から85年近くを経ていまなお現役といいますから驚きです。

さて、"shows no signs of freezing up"とは、冷蔵庫(freezer, fridge)だけにしゃれが利いています。

"freeze up"とは、


動かなくなる、故障する


と言う意味です。


2013年7月5日金曜日

何でもアリ ― no-holds-barred

"no-holds-barred"という表現をご存知でしょうか?

あまりお目にかからない表現ではないかと思いますが、辞書を引くと、


制限のない、激しい
徹底した、完全な


という意味があるようです。

コーパスで用例を調べてみると使用例が結構見つかります。


When we come back, our no-holds-barred discussion here in the studio, and joining us will be Julie Johnson of ABC News, in a moment.
(ABC. 1995.)


"no-holds-barred discussion"とは、“制限のない、激しい”ディスカッション(議論)ということになりますが、よくテレビ番組にあるような、“徹底討論”のコーナーみたいなものでしょうか。

もう1つ引用します。


Ms. Deen has managed to offend even her most uncritical fans before, most recently in January 2012 when she announced she had Type 2 diabetes on the same day she endorsed the diabetes drug Victoza and a lucrative collaboration with Novo Nordisk, the drug’s manufacturer. Because she had built her career on a no-holds-barred approach to sugar and fat (creating recipes like a cheeseburger patty sandwiched between two doughnuts and a Better than Sex cake made with cake mix, pudding mix, and heavy cream), she was roundly criticized for encouraging an unhealthy diet for others, hiding her illness and then trying to profit from it.
(Julia Moskin. Food Network Drops Paula Deen. The New York Times. June 21, 2013.)


ちょっと長くなってしまいましたが、Ms. Deenというのはアメリカで人気のあるFood Networkという番組に出演していた、いわゆるカリスマ料理家みたいな人のようですが、人種差別発言や、"no-holds-barred approach to sugar and fat"などで物議を醸すような人だったらしく、つい先日番組を降板になったということでニュースになっていたものです。

ここで言う、"no-holds-barred approach to sugar and fat"、とは記事を読むと、この料理家の女性が糖分や脂肪に糸目をつけない、非常に“メタボな”レシピを番組で披露していたということから、"sugar and fat"に対して全く制限をしないアプローチ、という解釈ができます。

“制限をしない”、という意味は英和辞書には見えないのですが、American Heritage Dictionaryのエントリでは、


Having no limits, regulations, or restraints


とありますので、なるほどそのような解釈がふさわしいようです。

さらにもう1つ引用します。


The overhaul of United's first-class meals started last summer, when the airline invited a team of culinary experts in for a no-holds-barred critique. After tastings, the panel felt about the same level of enthusiasm most people have for last week's leftovers. They didn't call the food bad. Just blah. Out of fashion.
(USA Today. 1992.)


ここでの、"no-holds-barred critique"とは、機内食の見直しのために料理の専門家を雇ったその理由、即ち機内食の“徹底的な”評価(批評)のため、ということになるかと思います。あるいは、“情け容赦ない”評価にさらすため、と言い換えることもできるでしょうか。

さて、いくつか用例を見てきましたが、"no-holds-barred"がこのような意味で使われるのはどうしてなのでしょうか?

"no holds"(どんなhold)も"barred"(禁止、除外)されない、というのが字義通りの意味になりますが、ここでいう"holds"とは何を指しているのでしょう?

辞書では確認できなかったのですが、ここでいう"holds"とはレスリング競技における“ホールド”のことを指しているのだそうです。

レスリングには様々なホールドがありますが、競技のスタイルなどにより、試合中に使っても良いホールド、禁止されているホールドというものがあるそうです。"no-holds-barred"とは、レスリングの試合において、どんなホールドも禁止されていない、つまりどのようなホールドを用いても良い、ということなのです。

簡単に言えば、“何でもアリ”ということになると思いますが、ここから、“制限をしない”という意味で使われるようになり、“徹底した、完全な”、“容赦ない”というような意味に発展したものと思われます。


2013年7月4日木曜日

お手洗いの汚い店の再訪はナシ ― yucky

お食事中の方には済みません。

どんなにおいしい料理を出してくれるレストランでも、トイレや手洗い場がひどく汚れていたらちょっと嫌ですよね。概していいお店のトイレや手洗いは清潔で気持ちの良いものです。

私はあまり海外経験はありませんが、アメリカなどではレストランは立派でも、トイレが酷く汚いという記憶があります。チャイニーズなどになると最悪だったような・・・。

トイレが汚いお店への再訪はナシ、というところかと思いますが、そう思うのはアメリカ人も同じようです。"Would you eat in a restaurant with a dirty bathroom?"というタイトルの記事を読んでみましょう。


The most personal — and most telling — moment that a customer experiences in a restaurant isn't typically at the table.

It's in the restroom.

Walk into a clean restaurant restroom, and all's good. Walk into a dirty one, and there's hell to pay. Some 50% of restaurant patrons who have a negative experience with a bathroom — from dirty toilets to grimy soap dispenses to bad odors — will blab about it to friends and family, according to a recent survey by Harris Interactive for SCA Tissue North America.

Even more seriously, it's gonna cost business. Nearly 3 in 10 consumers surveyed said there are no second chances with dirty restrooms — and they would never return to the restaurant again.

For the nation's 980,000 restaurants, whose sales are expected to top $660 billion this year, the costs, in image and bottom line, for yucky restrooms can be staggering. Consumers are increasingly posting descriptions and even photos of what they find on Facebook, in blogs and travel reviews and on other social-media sites.
(Bruce Horovitz. Would you eat in a restaurant with a dirty bathroom? USA Today. July 3, 2013.)


こうした傾向はネットやSNSが浸透し、レストランに対する評価が多くの人々の間でシェアされるようになったことによるもののようです。

さて、今日の単語は、"yucky"です。

初めて見る単語です。辞書を引くと、


オエッとなる


というまことにぴったりな日本語が出ていました。

"yuck"という単語に-yが付加されたものですが、"yuck"とは嫌悪の時のゲーやウェーにあたる間投詞(interjection)で、擬声語だということです。


2013年7月3日水曜日

splurge

"splurge"という単語をご存知でしょうか?見慣れない単語です。私にとっては初めて見る単語のような気がします。


Jennifer Hudson's tips for a healthy life with splurges

The award-winning performer shares her secrets for reducing stress, exercising regularly and eating right in the new magazine USA TODAY 'The Best Ways to Stress Less, Sleep Better.'

Jennifer Hudson, the Oscar- and Grammy-winning performer, says living a healthy life "is really about finding balance."

It means eating healthfully but including occasional splurges, she says. It means "working, but making time for friends and family. I'm also getting better at putting myself first, and learning when to say no."
(Nanci Hellmich. Jennifer Hudson's tips for a healthy life with splurges. USA Today. July 2, 2013.)


辞書を引くと、


ぜいたくをする、散財する、美食三昧する
(ランダムハウス英和辞書)


という意味があるようです。

記事で言わんとするところは、ヘルシーな食生活の中にもたまには美食三昧も必要、ということのようです。要はバランス、という訳ですが、ヘルシーな食生活(eating healthfully)と美食三昧(occasional splurges)とを対比させているあたり、贅沢で高価な食事は不健康、その逆に健康な食事はお金がかからない質素なもの、というような考えがあるように見受けられます。

"splurge"という単語について、語源欄を見ると、splashとsurgeの混成語であるという解説があり、いわゆるかばん語の類のようですが、クエスチョンマーク(?)付きであり、確たるものではないようです。

"splash"とは水などをはね散らすことを意味していますが、何となく食べ物を食い散らかすというイメージにつながるような気がします。"splurge"は美食三昧というよりも、ヴォリュームや摂取カロリーを気にすることなくガツガツ食べることを指しているような気もします。


2013年7月2日火曜日

skinny

痩せるための秘訣と言えば多くの人が飛びつくでしょう。運動や食事制限は避けたいけれども、体重を減らしたりスマートになりたいという願望は誰とて同じ。

USA Today紙の記事によると、そんな都合の良い痩せ方が報告されているそうです。仮想現実(virtual world)の助けを借りて痩せることができるというものですが、ちょっと眉唾っぽい?


New skinny on weight loss: Avatars might help

A new study suggests virtual reality can help people lose weight.

Watching an avatar exercise and learn healthy habits in the virtual world may help people lose weight in real life, a new pilot study says.

Researchers found that women who watched an avatar exercise, eat healthy and make measurable weight loss goals lost an average of 3.5 pounds over four weeks.

Although that amount is typical for traditional weight loss plans, virtual reality systems could provide an inexpensive way for overweight men and women to learn the skills and behaviors needed to lose weight and keep it off, said Melissa Napolitano, lead researcher and associate professor of prevention and community health at George Washington University in Washington, D.C.
(Fatimah Waseem. New skinny on weight loss: Avatars might help. USA Today. uly 1, 2013.)


画面上に表示されるアバターが運動をしたり食事をしたりするそうですが、そのアバターは個人が自分に似せてカスタマイズする仮想現実空間上の自分自身。そのアバターを通して効果的な運動や痩せるための食事習慣などを学ぶことによって、痩せの効果が出てくるのだそうです。

ところで、今日の一語です。

この記事のタイトルに注目しましょう。"skinny"という単語なのですが、痩せている人を形容するのによく使われる表現ですが、ここでは名詞として使われています。

"New skinny on..."となっている訳ですが、辞書を引くと"skinny"には名詞として、


情報、事実
うわさ、ゴシップ、極秘ネタ


などの意味があることが分かります。Merriam WebsterやAmerican Heritage Dictionaryをチェックすると、


inside information


という定義が見えます。単なる情報というよりも、内幕、極秘情報など、あからさまにはされないシークレットのことでしょうか。

ところで、このような“極秘情報”のことをなぜ"skinny"というようになったのでしょうか?色々調べましたが、諸説あるもののこれといったはっきりした説はないようです。

記事の内容だけに、ライターの洒落っ気が窺えます。


2013年7月1日月曜日

月曜病 ― case of the Mondays

週末はいかがお過ごしでしたでしょうか?梅雨明け宣言はまだですが、晴れ間に恵まれ、海や山のレジャーなどを楽しんだ方も多いのではないかと思います。

さて、今日は月曜日です。休みが終わり新たな一週間の始まり。また仕事かと思うと気分が塞ぐという人もあるかも知れません。

サザエさん症候群なる言葉があります。日曜日の夕方に放映される国民的漫画テレビ番組ですが、明くる月曜日を思い遣って気分が塞ぎこむ症状のことを指します。

月曜日があまり面白くないのはアメリカ人も同じ!?ようです。


If you hate your job, you're not alone. But having in-office access to catered meals, a pingpong table or free massages may not make you any happier at work.

Just 30% of employees are engaged and inspired at work, according to Gallup's 2013 State of the American Workplace Report, which surveyed more than 150,000 full- and part-time workers during 2012. That's up from 28% in 2010. The rest … not so much. A little more than half of workers (52%) have a perpetual case of the Mondays — they're present, but not particularly excited about their job.
(Kelli B. Grant. Americans hate their jobs, even with perks. USA Today. June 30, 2013.)


USA Today紙からの上記引用ですが、後段に、


a perpetual case of the Mondays


という表現が出てきます。

これ、いわゆる月曜病のことを言っているんですね。

気分が塞ぐ月曜日という意味では、"blue Monday"という表現もあるようです。