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2013年5月31日金曜日

アメリカ発、"Prancercise"が大ブレイク ― Prancercise

"Prancercise"と呼ばれる、新しいスタイルのフィットネスがアメリカで大ブレイクしている、というニュース記事を見つけました。

フィットネスということですから、"Prancercise"というのは、"exercise"(エクササイズ)という単語と何かの単語を結合して作った新語であることは想像がつきましたが、"pranc-"で始まる単語が何なのか、また、"Prancercise"が具体的にどんな運動なのかが分かりません。

勿論、記事をちゃんと読めば分かるのですが・・・。


A fitness fanatic from Coral Springs, Florida has invented what is quite possibly the most entertaining workout routine that we have ever seen.

It's called 'Prancercise' and it involves a 'springy, rhythmic way of moving forward, similar to a horse's gait and ideally induced by elation,' according to a website for the routine, which was invented by Joanna Rohrback.

Rohrback demonstrates the prancing movement with a pair of ankle weights in a hilarious video that has gone viral, giving Prancercise more attention in one day than it has received since it was invented more than two decades ago.
(Fitness fanatic tries to bring back failed 'Prancercise' routine from the 1980s. The Daily Mail. May 30, 2013.)


記事中に、馬の跳躍するような、リズミカルな動きをまねたものであるという解説があります。百聞は一見に如かず、で記事中の写真や動画を見ていただくとなるほどと言う感じがします。

ですが、こんなので運動になるのか、一体どれくらいカロリーを消費するのか、という気もします。何となく子供が機嫌よくスキップしているくらいにしか見えないというのが正直なところです。

"Prancercise"の提唱者であるJoanna Rohrbackさんの著書のタイトルには、"The Art of Physical and Spiritual Excellence"とあることから、単に身体的な(physical)エクササイズに留まらず、精神的なもの(spiritual)でもあるということなのでしょう。

実は1980年代に既に"Prancercise"のアイデアがあったそうですが、その時は話題にならなかったそうです。

さて、そもそもの疑問に対する答えが最後になってしまいました。"Prancercise"は、"prance"と"exercise"の合成語でした。

"prance"は、馬が闊歩する、跳ねながら進むという意味の動詞です。

そのうち、日本でもブレイクするかも!?


2013年5月30日木曜日

spruik

グーグルニュースのオーストラリア版を昼休みに眺めていましたら、ジラード首相がサンドイッチを投げつけられたという記事がトップニュースになっていました。


JULIA Gillard has had another sandwich thrown at her on a school visit while selling her Gonski funding reforms.

The Prime Minister was touring Canberra's Lyneham High School today with ACT Chief Minister Katy Gallagher to spruik the territory's decision to sign up to the school funding plan.

Ms Gillard was walking into the school library when an unidentified student threw a salami and tomato sandwich at her.
(Lauren Wilson. Bread circus as another sandwich thrown at Gillard during school visit. The Australian. May 30, 2013.)


ジラード首相という人はよくよくトラブルに見舞われる人だと思います。当ブログでも、靴が片方脱げたハプニングや先住民のデモに襲われてイケメン警護官に抱きかかえられて助けられた話など、何度かご登場いただいています。

今回サンドイッチを投げつけられた件は、学生のいたずらのようです。一国の首相に対してはかなり不埒な行為ではないかと思いますが、首相は、(サンドイッチを投げた学生は)首相がお腹がすいているとでも思ったのだろう、と冗談を飛ばしています。

さて、今日の単語は"spruik"というものです。見たことのない単語ではないでしょうか?スペルもちょっと変わっています。意味が想像つきません。

ランダムハウス英和にはエントリがありました。この単語は、“豪俗”という説明があり、


長広舌(熱弁)を振るう; 呼び込む; 言葉巧みに売り込む


という意味の動詞だと分かりました。語源は不詳となっています。

研究社の大英和にもエントリがありません。American Heritage Dictionaryにエントリがないのは仕方ないとしても、Merriam Websterでも確認できないということは、かなり“レアな”単語(!?)ではないでしょうか。

2013年5月29日水曜日

米最大のスペル競技会が始まる ― spelling bee

"Spelling Bee"という競技をご存知でしょうか?英単語のスペルの正確さを競う競技のことです。最も多くの単語を正確にスペルする(綴る)ことができた人にチャンピオンの栄誉が送られます。

今日(5月29日)から30日にかけて、アメリカで最大のSpelling Beeである、Scripps National Spelling Bee 2013が開催されるということで、各メディアが報じています。


It's National Spelling Bee time!

That means nearly 300 spellers are coming together this week at the 2013 Scripps National Spelling Bee in a battle over words.

Whether it's "receive" or "conscience," we want to know the words that you don't always get right (not rite or write)!
(Desair Brown. What word do you frequently misspell? USA Today. May 28, 2013.)


ところで、なぜ"spelling bee"と呼ぶのでしょうか?

"bee"とはハチ(蜂)のことですが、"bee"のエントリをよく見てみると、


(仕事・競技などの)会、会合、寄り合い、集まり


という意味があることが分かります。American Heritage Dictionaryでは、


A social gathering where people combine work, competition, and amusement


とあり、"husking bee"(トウモロコシの皮むきのために農家などの近所が寄り合う集い)、"quilting bee"(キルトを作る社交的な集まり)など、同様の表現が他にもあります。なるほど"spelling bee"についても納得です。

ところで、Scripps National Spelling Beeの公式サイトには、"spelling bee"という単語の語源に関して興味深い解説をしています。

読んでいただくと分かりますが、"bee"はハチ(蜂)のことではなく、中英語のbene("prayer"、"a favor"の意味)に由来するという説です。この中英語はイギリス方言で、"been"、もしくは"bean"というスペルの単語になり、"voluntary help given by neighbors toward the accomplishment of a particular task"、つまりトウモロコシの皮むきやキルト作りなどの労働や作業のために各々が集まり協力すること、を指す意味で使われていたのだそうです。"spelling bee"の"bee"はこのイギリス方言の"been"が短くなったもの、ということなのです。

働き蜂が集団で行動したり巣を作る習性を考えると"bee"のこのような意味がイメージではうまくつながるのですが、上記のような語源の説もあるというのは発見でした。

ところで、私はこの"spelling bee"という競技の具体的な競技内容やルールなどについては実はあまり知らなかったのですが、今日この単語を取り上げたきっかけで公式サイトを調べたおかげで色々と分かりました。

まず、競技に参加できるのは、8th grade(13~14歳)までの子供だということです。

Scripps National Spelling Beeでは、競技は予選(Preliminaries)、準決勝(Semifinals)、決勝(Championship Finals)の3部からなり、予選や準決勝ではコンピュータでの選択式設問によるテストと口頭でのテストが、決勝ではPronouncerと呼ばれる出題者が単語を発音し、それを参加者であるSpellersが口頭でアルファベットを答え、正しくスペルできるか否かの“口頭試問”がメインになるそうです。

当然ですが、予選、準決勝と進む中で得点順にふるい落とされ、決勝ではスペルを間違った時点で失格となるようです。

“口頭試問”において、Spellersは求められている単語に関して、その定義や語源、品詞などを質問することもできるそうです。

優勝者には何と3万ドルもの賞金が送られるということで、盛り上がるのも無理はなさそうです。

ちなみに、Scripps National Spelling Beeのサイトでサンプルテストがあったので試しに受けてみましたが、かなり難しく、回答を見ても見たこともないような単語が並んでいました。恐るべし・・・。


2013年5月28日火曜日

blimp

グーグルがアフリカや東南アジアなどのインターネット基盤が整備されていない地域にワイヤレスのインターネットアクセス環境(Wi-Fi)を整備するという慈善事業(?)に着手するそうです。

でもそもそもインフラがないような環境に一体どうやって、Wi-Fiを提供するのでしょうか?

答えは、(地上になければ、)空から、だそうです。


Google said to deploy Wi-Fi blimps in Africa and Asia

The Web giant is reportedly creating airborne wireless networks to bring Internet access to some of the world's hard-to-reach regions.

How can the Internet be brought to areas that have no infrastructure for high-speed wireless? Beam the Wi-Fi networks down from flying objects, of course.

Google is reportedly working on creating wireless networks for more remote parts of the world, such as countries in sub-Saharan Africa and Southeast Asia, with sky-bound balloons and blimps, according to Wired.

Dubbed "high-altitude platforms," these mechanisms will reportedly be able to connect roughly a billion more people to the Internet worldwide, according to Wired. The blimps signals are said to be able to reach people in areas that are hundreds of square miles.
(Dara Kerr. Google said to deploy Wi-Fi blimps in Africa and Asia. Cnet. May 27, 2013.)


空に飛行船を飛ばして、そこからWi-Fiの電波を地上に提供するというアイデアだそうです。電源をどうするのだろうか、といった疑問が頭を掠めるのですが、突拍子もない考え方ではなさそうで、他社も同じような技術を考案中なのだそうです。そしてグーグルは本件の特許申請済みだということです。

さて、今日の単語、"blimp"ですが、飛行船を意味する単語です。日本でも見かけるバルーン、"balloon"は単語としてもなじみがありますが、"blimp"はどうでしょうか?私は初めて見る単語のように思います。

この単語の語源は興味深く、基本的には擬音(声)語の由来とされています。飛行船の船体を指で弾いた時の音だというわけです。多くの辞書の語源欄の解説でこの説を採用しています。

もう1つの説は、"(Type) B-limp"という表現に由来するというものです。これは、ぐにゃりとしたという意味の形容詞"limp"に拠るものです。

お分かりいただけると思いますが、バルーンの類の飛行船というものは内部を支持する構造や外壁などを持ちません。つまり、(膨らんでいない状態では)ぐにゃりとしている(limp)訳です。一方、バルーンではない、一般的な航空機などは内部を支持する構造や外壁がしっかりとしており、航空の専門用語で、こうした構造を持つものを、"Type A-rigid"、構造を持たないものを"Type B-limp"と呼んだ、ということに因む、という説です。

尤も、2番目の説には色々と異論もあるそうで、"blimp"については擬音(声)語というのがとりあえず定説のようです。


2013年5月27日月曜日

valedictorian

早いもので5月も今週でおしまいです。五月病という言葉がありますが、4月に新入学や新年度をスタートする日本特有のタームですね。考えてみれば、アメリカの教育システムでは9月入学、5月(6月)卒業ですから、この時期は卒業シーズンということになります。

こういう知識がないと、メディアの記事もすっと入ってきません。


She may have lacked a home, but now this teen has top honors.

A 17-year-old student who spent much of high school living bouncing around homeless shelters — and sometimes sleeping in her car — today graduated as valedictorian of her class at Charles Drew High School in Clayton County, Ga., just outside of Atlanta.

Chelsea Fearce, who held a 4.466 GPA and scored 1900 on her SATs despite having to use her cellphone to study after the shelter lights were turned off at night,

“I know I have been made stronger. I was homeless. My family slept on mats on the floor and we were lucky if we got more than one full meal a day. Getting a shower, food and clean clothes was an everyday struggle,” Fearce said in a speech she gave at her graduation ceremony.
(Michael Blaustein. Homeless teen graduates as valedictorian of high school class. New York Post. May 24, 2013.)


"valedictorian"とは、卒業生総代という意味の単語です。総代に選ばれるのは成績が最優秀な学生と決まっており、非常に名誉なことであることは日本もアメリカも一緒です。

"valedictorian"の語源を紐解いてみましょう。

多くの辞書で、ラテン語で別れを意味する"vale-"と、言うという意味の"dicere"が結合した、"valedicere"に由来するという説明があるでしょう。

ところで、"vale-"に別れの意味があるという点が気になったのでもう少し調べてみました。

確かに、"vale"はラテン語で“さようなら”の意味で用いられていますが、American Heritage Dictionaryを見ると同語源の単語には、


valid
valor
value
prevail
wield


などといった単語があり、“別れ”という意味合いとはつながらない単語ばかりです。これはどうしたことでしょう。

これは、"valeo"というラテン語の動詞は元々、力がある、能力がある、健康である、という意味で使われていたのです。その命令形"vale"は、言うなれば、“健康であれ、元気であれ”、ということになり、つまりは人と別れる際の、“ごきげんよう”に通じるという訳です。


2013年5月24日金曜日

エベレスト登頂の快挙 ― face off

80歳の三浦雄一郎さんがエベレスト登頂を果たしたことがトップニュースになっています。各紙、メディア、こぞって祝賀のムードです。80歳という高齢でありながら、まさに快挙、いや偉業というべきでしょうか。

昼休みに見るGoogle NewsのUS版にもトップ記事扱いでした。


80-year-old on 'top of the world' (Times of India)

80-year-old conquers Mount Everest (The Washington Post)

Miura becomes oldest atop Everest (The Japan Times)

Yuichiro Miura, 80-Year-Old Japanese Climber, Becomes Oldest Atop Everest (Haffington Post)


などなど、枚挙に暇がありません。

ところで、ヘッドラインの中で1つ、あれ、と思うものがありました。


Octogenarians Face Off to Earn Title of Oldest Man to Reach Everest Summit (ABC News)


疑問は、"octogenarians"の複数形、そして"face off"の意味でした。今回登頂したのは三浦さん他、隊のメンバーであることは勿論ですが、80歳なのは三浦さんだけのはず。なぜ、"octogenarians"なのか?

記事を読んで分かりました。


Two octogenarian climbers are facing off once again to earn the title of the oldest man to reach the summit of Mount Everest.

Yuichiro Miura, of Japan, is ascending the mountain in hopes of taking home the Guinness World Record that slipped away from him in May 2008, when he was just 75 years and 227 days.

Miura was beaten to the peak by Nepalese climber Min Bahadur Sherchan, who successfully made the climb one day before him, at the age of 76 and 340 days, according to the Guinness World Records website.
(Alexis Shaw. Octogenarians Face Off to Earn Title of Oldest Man to Reach Everest Summit. ABC News. May 22, 2013.)


既にご存知の方は多いのでしょうか?最高齢でのエベレスト登頂を競う2人がいるということを。

テレビを見ないものですからニュースに多く接している訳ではありませんが、新聞やラジオでは全く報道されていなかったように思います。ですので知らなかったのですが、5年前、最高齢登頂者はネパール人男性ということがギネス記録に登録され、三浦さんは惜しくもタイトルを逃したというのです。

そして、今回、80歳での登頂を達成した三浦さんがあるわけですが、このネパール人男性が返す刀で(!?)、81歳での登頂を計画しているそうです。

当人たちに競争の意識は恐らくないと思うのですが、"face off"が意味するところは、


対抗する; 対決する


ということであり、ABC Newsの取り上げ方はちょっと下世話な感じもしますが、どう思われるでしょうか。


2013年5月23日木曜日

swill

最近、外飲み、つまり居酒屋やバーで会社の同僚や友人と飲むようなことはほとんどなくなりましたが、昔は結構行っていました。最近は外飲みと言っても専ら安い居酒屋、飲み放題の店などで、一軒目でおしまいということがほとんどですが、かつては二軒目、三軒目とハシゴすることも多く、ショットバーなどに行っていました。

気取って、xxxのウイスキーとか、ナントカのジン、などと注文するのですが、果たして味の違いを理解していたかどうか怪しいところがあります。

店内は夥しい数のボトルが並び、目の前でそのボトルから注がれれば、そのブランドのお酒を飲んでいるものと疑わない人がほとんどではないでしょうか。

ところが!です。

アメリカ、ニュージャージー州で最近極秘の調査が行われ、多くのバーやレストランで提供されているアルコール類が、高級ブランドのラベルを掲げていながら、実は中身は全く異なる安い酒を提供していた、ということが明るみになったそうです。


TRENTON, N.J. — Twenty-nine bars and restaurants, nearly half of them TGI Fridays, filled premium brand liquor bottles with lower-quality booze and sold it to patrons who thought they were buying the good stuff, authorities said Wednesday.

A yearlong investigation by the state Division of Alcoholic Beverage Control, dubbed Operation Swill, found that the establishments had swapped out the good liquor in an effort to fool customers and increase profits.
(Rema Rahman. 'Operation Swill' Busts 29 Bars And Restaurants For Selling Low-Quality Liquor As Premium. The Huffington Post. May 22, 2013.)


手入れのあった店には、TGI Fridaysが含まれるということですが、日本では大丈夫ですかね!?

さて、今回の極秘調査はほぼ1年に渡り、のべ100人以上の調査担当者を送り込んで証拠を積み重ねてきたそうです。その名も、"Operation Swill"、つまり"Swill作戦"というものです。

ところで、この"swill"という単語を知りませんでしたのでどういう意味があるのだろうと思って調べてみると、色々ある意味のうち、


がぶ飲みすること;安い酒


という意味が見えます。

つまりは、“がぶ飲み作戦”、あるいは“安酒摘発作戦”とでもなりましょうか?もしかしたら、これは調査担当者が調査のために色々なバーに行ってたくさん注文(がぶ飲み)しなくてはならなかったことを皮肉っているのでしょうか?


2013年5月22日水曜日

停止命令 ― cease and desist

以前に5トン以上のチョコレートスプレッド(パンに塗るチョコ)の人気商品が盗まれたというニュースを取り上げたことがありましたが、またしてもその人気商品、Nutella(ヌテラ)に関する記事です。

このNutellaというのはよほどファンが多いと見えて、World Nutella Dayというファンが主催するの非公式祝日みたいなものが毎年祝われているそうなのですが、本家、製造元のFerrero社から止めてほしいという通達があったというのです。


World Nutella Day, the unofficial international holiday created by fans to celebrate their love of the hazelnut-chocolate spread, won’t be happening next year. According to Gawker, the annual celebration of all things Nutella was ordered to cease and desist by its manufacturer Ferrero. Started in 2007 by Nutella fan Sara Russo, the event took place every Feb. 5th.
(Kristene Quan. ‘World Nutella Day’ to Cease and Desist. Time. May 21, 2013.)


今日の表現、"cease and desist"ですが、"cease"も"desist"も、どちらも停止する、止める、という意味の動詞であり、いわゆる冗語表現となっています。しかしながら、"cease and desist"でひとかたまりの表現として慣用的、あるいは法律用語として定着しているようで、ランダムハウス英和辞書によると、"cease-and-desist order"というエントリでは


停止命令


と解説されています。

これは国内のニュースでも時々聞くことのある、業務停止命令と似たようなものでしょうか。

業務停止命令という言葉を国内ニュースで聞くとき、それは多くの場合監督官庁が民間企業に対して行う処分ということがほとんどだと思われますが、ここでのケースは一般企業(の代表としての法務担当者)が消費者に対して行っているもので、ちょっと性質が違うようにも思われます。法律について専門的なことは分かりませんが・・・。


2013年5月21日火曜日

出来れば座りたくない ― hot seat

暖かいシート(座席)、ほんわかした暖かさのシートではないようです。どちらかと言えば、暑い(熱い)シート、それも座っていられないくらいの熱さ、ということになりましょうか。首都圏通勤ネタで恐縮ですが、冬場の通勤電車のシートは座席下から加熱されていて、とんでもなく熱い時があります。まさに立っていても地獄、座っていても地獄、という満員電車、サラリーマンの悲哀、それに近いかも!?

"hot seat"を辞書で引くと、"electric chair"がまず目に入りますが、これは死刑執行の時の電気椅子のことです。

ここ(引用記事)での"hot seat"は、窮状、困った立場、のことを言います。


When Apple (AAPL) CEO Tim Cook testifies before Congress on Tuesday about his company's tax practices, he'll clearly be sitting in the hot seat.

A pair of reports issued Monday -- one by the very subcommittee before which Cook will appear -- accused the company of exploiting a variety of loopholes and tax shelters to shift income overseas to avoid paying taxes on tens of billions of dollars in income in recent years. In fact, one of the two reports suggests that Apple has paid virtually no taxes on the $102 billion in overseas cash it held at the end of March.
(Tory Wolverton. Apple's Tim Cook in hot seat as reports detail Apple's tax avoidance. San Jose Mercury News. May 20, 2013.)


租税回避で大儲けとの批判を浴びているアップル社のクックCEOが米議会で答弁する機会があったようですが、これは日本で言う証人喚問みたいなものなのでしょうか。違法ではないとしても同社に批判的な四面楚歌の状況、クック氏にとっては議会の椅子は暑すぎて冷や汗ものだったことでしょう。

Collins Cobuild Dictionary of Idiomsでは下記のように定義されています。


If someone is in the hot seat, they are in a position where they have to make important or difficult decisions, or where they have to answer difficult questions.


"in the hot seat"というのが一般的のようですが、アメリカ英語では"on the hot seat"というのもアリだそうです。


2013年5月20日月曜日

three R's

読み、書き、算術、の3つの学力(能力)のことを、英語では


three R's


と呼びます。Reading、Writing、Arithmetic、それぞれの単語のRを取ったものです。日本語で言う、読み、書き、そろばん、と一緒ですね。

(ちなみに後で思ったのですが、3Rというと、Reduce, reuse, recycle、いわゆる資源の有効利用の話を思い出す方が多いかもしれませんね。)

ところで、Oxford大学の最近の研究によれば、脳に電気刺激を加えることで算術の能力が高まるという報告があるそうです。


The 'three Rs' of reading, writing and arithmetic could become four. Random electrical stimulation, a technique that applies a gentle current through the skull, leads to a long-lasting boost in the speed of mental calculations, a small laboratory study of university students has found1.
(Ewen Callaway. Shocks to the brain improve mathematical abilities. Nature. May 16, 2013.)


"three R's"に追加して、4つ目の"R"となりうる、とやや冗談めかした引用部分ですが、この4つ目の"R"というのが、"random electrical stimulation"のことです。

脳に電気刺激を加えるなどというと何やら危なっかしいイメージがありますが、研究での電気刺激というのはごく弱いものらしく、研究を主導した同大学のKadosh教授に言うところでは、自宅では試さないで、ということです。


2013年5月17日金曜日

2050年、昆虫を食べる時代に ― entomophagy

食事中の方には済みません。

世界の中には昆虫を食べる民族もいるということはご存知の方も多いでしょう。日本でもイナゴの佃煮とかありますし、焼き鳥屋さんではカエルを食べたことがあります。私の住んでいる近くではザリガニが食用として販売されているのも決して珍しいことではありません。

しかし、これらはいわゆる珍味の話であって、主食が昆虫になるとしたらどうでしょうか?

ちょっと考えたくないという人が多いかも知れませんが、国連の報告書によれば、2050年、人類は昆虫を食べるのが普通の時代になる、ということです。


Mmmm. Just look at that plump little cicada. Can you imagine plucking it off its leaf and popping it in your mouth? Too much? How about after it's flash fried with a little butter, garlic and sea salt?

Face it, America. We're inch-worming our way closer to a dinner plate piled high with crickets, grasshoppers, grubs, cicadas and more.

Don't believe us? The United Nations' Food and Agriculture Organization issued a report just this week aimed at raising "the profile of insects as sources of food and feed" as experts wonder how the world will feed a population that is expected to explode to 9 billion men, women and children by 2050.
(Rene Lynch. Eating bugs: Would you dine on cicadas? Crickets? Buttered beetles? Los Angeles Times. May 16, 2013.)


人類が増え続けて食糧難が予測されるということもありますが、昆虫を食べるというのは実は栄養面で体にとって良いことなのだそうです。タンパク質は元より、鉄分やビタミン類が豊富で、牛や豚などの家畜と比較して飼育の手間や効率の点でも昆虫が優れているということです。

したがって、昆虫が主食になるというのは必然だ、というのが国連の報告書の言わんとするところのようなのですが、ちょっと想像したくないという人は多いかも!?


"Insects as food and feed emerge as an especially relevant issue in the twenty-first century due to the rising cost of animal protein, food and feed insecurity, environmental pressures, population growth and increasing demand for protein among the middle classes," the report says.

"Thus, alternative solutions to conventional livestock and feed sources urgently need to be found. The consumption of insects, or entomophagy, therefore contributes positively to the environment and to health and livelihoods."
(ibid.)


さて、昆虫を食べることを言うのに


entomophagy


という単語が使われています。

昆虫学のことを、"entomology"と言いますが、これと、食べることを意味する接尾辞-phagyが結びついてできた単語です。

entomo-という語幹は、刻み目があると言う意味のギリシャ語に由来するものです。刻み目とは昆虫の体の節を言っているのでしょう。生々しい話です。

2050年まであと40年足らず、私はひょっとしたらこの世にいないかもしれませんし、老いぼれでも何とか生きながらえているかも知れませんが、昆虫を食べているなんてちょっと想像がつかないですね。


2013年5月16日木曜日

vet

グーグル検索は既に現代人の生活のインフラと化している感がありますが、検索時のサジェスト機能(下記の記事では、"autocomplete (entries)"と表現されています)によって名誉を傷つけられたといった訴訟が起きているというニュースをよく聞きます。

これは、ある人の名前を検索画面に入力したところ、詐欺だとか殺人だとか、犯罪を指す単語が名前とセットになって検索候補として表示され、実際にはそのような犯罪を犯していないのにも関わらず、その人の名前がそれらの犯罪とリンクしているかのような印象を検索ユーザーに与えてしまう、というものです。

同様の訴訟は世界各国で起きているようなのですが、ドイツではグーグル社に対して、名誉を傷つけるような"autocomplete entries"を削除しなければならない義務を同社が負う、という判決が出たようです。


BERLIN — Google Inc. must respect requests to remove autocomplete entries from its search bar in Germany if they are defamatory, a German court ruled Tuesday.

The Federal Court of Justice upheld a complaint from an unidentified company selling nutritional supplements and its founder, identified only as "R.S." The plaintiffs claimed that when their names were entered on Google's German-language website, it suggested links to Scientology and fraud.

The search suggestions constituted a form of defamation because they wrongly implied "a factual link between the plaintiff and the terms 'Scientology' and/or 'fraud,' which have negative connotations," the court said. The German branch of the Church of Scientology has long been under observation by domestic intelligence services amid worries — which Scientology strongly rejects — that its work conflicts with Germany's constitution.

Google expressed surprise and disappointment at the decision, noting that the autocomplete function merely reflects what other users have searched for.

The company noted that the court hadn't ordered Google to turn off the autocomplete function or to vet all results in advance. Instead, Google has to ensure that defamatory results are checked, and if necessary removed, as soon as they have been brought to its attention, the court said.
(Frank Jordans. German court says Google must act if autocomplete makes defamatory suggestions. The Associated Press. May 14, 2013.)


少し長い引用になってしまいましたが、引用した最後の段落に、


vet


という単語が出てきます。短い単語ですが、はじめて見る単語だったものですから、ちょっとよく意味が分からず、辞書を引いた次第です。その時、まず、


vet = veterinarian


つまり、獣医を指す"veterinarian"と関係があるのかなと思ったのですが、まさしくその通りでした。しかし、“獣医”を意識していると、"vet all results"というフレーズがちょっとつながりません。

獣医が診察、診療することを、"vet"と表現したのがこの単語の動詞としての意味のスタートだと思われますが、意味が拡大して、


(専門家が)正確さ(信頼性、妥当性)を確かめる、吟味する、詳しく調べる
(ランダムハウス英和辞書)


という意味に発展したもののようです。

さて、グーグル社に対する判決に話を戻しますと、同社にあらゆる検索結果(の可能性)を"vet"せよ、ということではないらしく、不名誉なサジェストに関する訴えがあった場合には真摯に対処しなければならない(つまり、慎重に吟味して、削除などの対処を取らなければならない)、ということのようです。

日本でも訴訟になっているかと思いますが、ドイツでの判決が影響するのでしょうか。


2013年5月15日水曜日

コカ・コーラのレシピ? ― treasure hunt

コカ・コーラのレシピが発見されたらしい、という見出しが目を引きました。

そりゃあコカ・コーラのレシピはきっとあるはずでしょう、と思いましたが、それが門外不出のレシピとして秘密にされていたとは思いませんでした。


ATLANTA (WXIA) -- It may be the most sought-after recipe in the world: the recipe to Coca-Cola, known by very few people.

The recipe is held in a safe at the World of Coca-Cola in downtown Atlanta. But now, one Georgia man believes he may have accidentally discovered the secret formula.

Cliff Kluge is a resident of Ringgold, Georgia who loves finding and selling antiques.

"It's a treasure hunt," he says. "We go around looking for treasure.

"And apparently we may have found some."

Kluge and his wife, Arlene, recently purchased a box of letters and papers at an estate sale. One of those papers is a cola recipe from 1943.

Kluge believes it is the recipe for Coca-Cola.
(Coca-Cola recipe found? Georgia man says he has it. WTSP. May 13, 2013.)


古物(アンティーク)収集を趣味とする、ジョージア州に住む男性が遺品のセール(estate sale)で購入した紙束の中にこのレシピを発見したということです。“宝探しゲーム”(treasure hunt)の中で予想だにしなかった成果でしょうか。

男性はコカ・コーラのレシピだとして、インターネットのオークションサイトに出品しているそうです。落札価格は500万ドルからスタートしているとか。

門外不出のレシピが世に晒されたとあっては面目丸つぶれになってしまう当のコカ・コーラ社は、レシピはコーラの類のレシピかもしれないが、コカ・コーラの真正なレシピではない、と否定しているそうです。

そうか、コーラといっても色々あるんですね。


2013年5月14日火曜日

大豆ブームに翳り?"wheel"の用法 ― the wheels fall off

今日取り上げる表現は成句と考えるべきなのか、あるいは字義通りの意味が普通に使われているものなのか、よく分かりませんが、下記の記事を読んでいて初めて見た表現だったので取り上げます。


"Soy milk's bad for you" quipped a friend as I ordered a soy latte. "I don't know if it is or it isn't," I responded, but admitted to being aware of the recent resurgence of an anti-soy zeitgeist permeating the culinary and coffee-loving world.

My local barista told me he never drank soy milk as he didn't want to grow "man boobs", yet a menopausal friend said her symptoms diminished when she made the switch to soy products. Soy confused?

It is true the wheels fall off the soy bandwagon every few years. In New Zealand in 2012 there were calls for soy-based baby formula to be taken off supermarket shelves after research emerged suggesting exposure to soy in the womb or in childhood could affect female fertility. And then there's the Bonsoy story, where more than 600 Australians have joined a class action against Bonsoy Soy milk, claiming they got sick from an overload of iodine. With all the good and bad press surrounding the legume it's hard to make sense of what types of soy one should be consuming.
(Siobhan Moylan. Why soy confused? The Sydney Morning Herald. May 13, 2013.)


大豆と言えば健康食品としてよく取り上げられますが、この記事によれば大豆から作られる豆乳となると最近のオーストラリアではむしろ“不健康な”食品として人気がないようです。

赤ワインが体にいいとか、コーヒーで痩せられるとか、トマトで血圧が下がるとか、スーパーの棚に異変を起こすそういったレベルの話にはあまり関心がないというか、話半分に聞くようにしていますが、大豆や豆乳のブーム(!?)もその程度の話だったのでしょうか。

つまりマスコミやメディアで取り上げられることをきっかけとして一時的なブームになるけれども、その後人々の関心も薄れ、熱も冷め・・・、ということであの騒ぎは一体何だったの、ということはよくあることです。

3段落目にある、


the wheels fall of the soy bandwagon


という表現はそのような状況(つまり大豆ブームが徐々に衰退していること)を表現していると思うのですが、辞書を見ても相当する成句や慣用句のエントリが見当たりませんでした。

"the wheels fall off"とは文字通りの意味で、“車輪が取れる、はずれる”ということですが、その車輪がついているのは"the soy bandwagon"ということです。

"bandwagon"は以前取り上げました。楽隊車という意味ですが、"bandwagon"は時流や潮流、その時々の人気を指すのに使われる表現で、それらが一過性のものであるという皮肉が込められていることが多いものです。

一方、"wheels"には車輪という意味の他に、


(物事を動かす)原動力、推進力


という意味があります。

大豆ブーム(the soy bandwagon)を支えていた車輪、ブームの原動力が徐々に失われてきた、ということを意味しているのでしょう。

と、ここまで色々調べたり書いたりしてきていて、これはやはり成句ではなくて字義通りの意味なのかなと思い始めているところですが、"wheel"という単語が比喩的に用いられている慣用句・表現と捉えるべきなのかもしれません。

余談ですが、記事のタイトル、本文の2段落目に出てくる、


Why soy confused?


は恐らく("so confused"とかけて)しゃれをきかせたものでしょうね。


2013年5月13日月曜日

すっぱ抜き ― exposé

政府専用機のダブルベッド、$127,000也。

イスラエルのネタニヤフ首相が、自身のフライトに専用のダブルベッドを設置することをリクエストしたそうですが、その据え付けのコストが$127,000にも上るという事実がすっぱ抜かれました。


Following an exposé on how much Prime Minister Binyamin Netanyahu’s double bed cost on his recent flight to London, he announced on Saturday night that he would no longer ask that a double bed be installed on his plane during short trips such as to Europe.

On Friday night, Channel 10 reported that for Netanyahu’s flight to the United Kingdom for Margaret Thatcher’s funeral last month, the Prime Minister’s Office had requested that a double bed be installed, costing taxpayers $127,000.
(Yonah Jeremy Bob. PM cuts demand for in-flight-bed amid media storm. The Jerusalem Post. May 12, 2013.)


"exposé"という単語を見るのは初めてです。

英語に、"expose"という動詞がありますが、"exposé"は名詞として使われており、また最後のeにアクセント記号 ´(アクサンテギュ)が付いています。フランス語みたいですが、実際"exposé"はフランス語の動詞"exposer"の過去分詞形であると語源欄にあります。

以前、"expose the myth of"という表現を取り上げたことがありますが、ここにおける"expose"の用法、名詞の"exposé"で言わんとしていることも同じで、衆目のもとに暴露する、ということです。

問題のダブルベッドは、ネタニヤフ首相が故サッチャー首相の葬式に参列する際のフライトに設置されたということですが、歳出削減や緊縮財政の現状を無視したような贅沢を首相本人は隠しておきたかったに違いなく、このすっぱ抜きにより事実が晒されたことは本人には痛いところでしょう。


2013年5月10日金曜日

ペットは体に良い!? ― boon

ペットを飼っている方、特に犬を飼っている方にはうれしいニュースです。


Pets a Boon for the Human Heart, Cardiologists Say

American Heart Association cites stress-busting, dog-walking benefits of companion animals

That four-legged friend of yours may be more than a companion -- he also may be boosting your heart health, experts say.

An official statement released Thursday by the American Heart Association says there is evidence that having a pet, particularly a dog, may lower your risk of heart disease.

Cardiology specialists weren't all that surprised.

"Pets really might be man's best friend," said Barbara George, director of the Center for Cardiovascular Lifestyle Medicine at Winthrop-University Hospital in Mineola, N.Y.

"Studies have shown people who own pets, particularly dogs, have lower blood pressure, increased mood-related brain chemicals, better cholesterol numbers, lower weight and improved stress response," George said.
(Pets a Boon for the Human Heart, Cardiologists Say. U.S.News & World Report. May 9, 2013.)


アメリカ心臓協会(American Heart Association)の報告によると、ペット、特に犬をを飼っている人は、飼っていない人に比べて心血管系の病気に罹るリスクが低いということです。

記事のタイトルにある、"boon"という単語は恩恵、利益、ありがたいもの、という意味で使われます。


2013年5月9日木曜日

指名撤回にビビッた!? ― rescind

Jacob Lewという人のサイン(手書き署名)を以前にも見たことがあるような気がするのですが、どこで見たのか思い出せません。それを見た人は子供の殴り書きか、あるいはペンや万年筆の書き心地を確かめるのにぐるぐるっ、とやるあれだと思うでしょう。

ところがこのJacobサンが財務大臣(Secretary of Treasury)に指名されるとなったから大変です。

ご存知のように米ドルの紙幣には、財務大臣のサインが印刷されるからです。円を7つか8つ並べただけのようなサインでは、米ドル札の権威に関わるということでしょう、Jacobサンはもう少しマシな署名に変更したようです。


US Treasury Secretary Jack Lew, who was mocked for his loopy signature, has offered a more legible version.

His new sign-off, on a recent Treasury report, showed an attempt to lay out the letters more clearly.

At Mr Lew's nomination in January, President Barack Obama had joked that at least one letter had to be readable "in order not to debase our currency".

One of the Treasury Secretary's functions involves signing new US dollar bills.

Mr Lew's signature, which made its debut on an annual report issued last month by the Treasury's Financial Stability Oversight Council, spelled out his first name, middle initial and surname. His previous signature featured eight loops.
(US Treasury Secretary makes loopy signature clearer. BBC News. May 8, 2013.)


ハンコ社会の日本と違って、アメリカではサイン(手書き署名)は個人を証明する重要なアイデンティティであると言えます。それを変更するに至ったのは何処かからの“圧力”でもあったのでしょうか?

オバマ大統領のコメントにその答えがありそうです。


When he was chosen for the Treasury post, Mr Obama had joked: "I had never noticed Jack's signature. And when this was highlighted yesterday in the press, I considered rescinding my offer to appoint him.

"Jack assured me that he is going to work to make at least one letter legible in order not to debase our currency," he added.
(ibid.)


冗談である(Mr Obama joked:)ということですが、この“署名問題”を重く見たのか、指名撤回(rescind)も考慮した、ということですから、Jacobサンにとっては圧力だったのかも知れません。

今日は、撤回、破棄を意味する、"rescind"という単語を取り上げました。


Mr Lew's loopy signature had divided opinion among Americans, with the New York Times suggesting he "clean up his penmanship" while a petition was launched calling for Mr Lew's signature to be protected.
(ibid.)


Jacobサンの署名については賛否両論あるようですが、個人のアイデンティティに関わるほどのものなんだったら、元々の署名を貫いて欲しかった、という少し意地悪な意見もありましょうか。


2013年5月8日水曜日

run-of-the-mill

ただの鼻水だと思っていたら、実は脳みそ(!?)が漏れる重大な症状だった、というちょっと怖いニュースです。


For more than a year and a half, Joe Nagy's nose just wouldn't stop running.

At first he put it down to year-round allergies caused by the Arizona weather.

The condition occurred once or twice a week, especially when he sat up in bed, but within a short time his nose ran constantly.

Eventually, Mr Nagy's condition became unbearable,' I got to the point where I had tissues all the time' he toldFox 10.

He finally went to the doctor to be told his runny nose was far from run-of-mill allergies: his brain was leaking.
(James Daniel. Man who thought he just had a runny nose for a year-and-a-half finds out it was really his brain fluid leaking. The Daily Mail. May 6, 2013.)


日本では花粉症のシーズンはほぼ終わったと思いますが、私も毎年目のかゆみやくしゃみ、そして鼻水に悩まされティッシュペーパーが手放せず、嫌な季節がやっと終わったという気分です。アリゾナ州に住むこの男性も鼻水が止まらないのはアレルギーのせいだと思ったそうです。

ところが症状があまりにもひどいのでついに医者を受診します。驚く診断結果は、男性の脳を覆っている膜に破れている部分があり、そこから脳内の液が鼻へと浸出しているということだったのです。

鼻水でお悩みの方、近医を受診した方がよいかも知れません。(冗談ではなく・・・。)

さて、今日取り上げる表現は、"run-of-the-mill"というものですが、“平凡な、ありふれた”という意味で用いられる形容詞として辞書に見ることができます。

ここでいう、"mill"は何を指しているのでしょうか?

The Phrase Finderというサイトの説明によると、"mill"とは織物工場のことを指しているそうです。"run-of-the-mill"とは、つまり織物工場から(大量)生産される衣類、着物、のことであると解釈することができます。

大量生産ですから、どれもクオリティは似たようなもの、つまり平凡な、ありきたりの、という意味で使われるようになったものです。

似たようなフレーズが実はたくさんあるらしく、お手持ちの辞書にも載っているかも知れませんが、


run-of-the-mine
run-of-the-kiln


というものもあります。

結局のところ、"run-of..."というフレーズは、of以下の名詞が色々と変化することはありますが、“大量生産”の意味が根底にあるということができそうです。


2013年5月7日火曜日

あれを英語で何と言う? ― pacifier

久々に、“あれを英語で?”のコーナーです。

赤ちゃんの“おしゃぶり”を英語で何と言うでしょうか?記事のタイトルに答えがもう出てしまっていますが、"pacifier"と言います。

こんな単語、英語圏で出産したとか赤ちゃんを育てたとかの経験がなければはそうそうお目にかかるものでもないかと思います。私も下記の記事(赤ちゃん育児中のご両親、出産を控えているご両親必読)で初めて目にして、なるほど!と思った次第です。

"pacify"(なだめる)という動詞に、接尾辞-erがついて、なだめる物、ということになりますが、なるほど意味的にごもっともではないでしょうか。


To protect a baby against future allergies, parents may want to consider sucking on their kid's pacifier.

New research finds kids whose parents "cleaned" their child's pacifier by sucking it were less likely to develop asthma, eczema and food allergies when compared to kids whose parents opted to avoid the not-so-pleasant-sounding cleaning method.

"We demonstrate that a common parental practice, sucking on the infant's pacifier before it is given back to the infant, is associated with protection against early eczema development and asthma symptoms," wrote the researchers, led by Dr. Bill Hesselmar, a pediatric allergist at the University of Gothenburg in Sweden.
(Ryan Jaslow. Parents may protect babies against future allergies by sucking on kids' pacifiers. CBS News. May 6, 2014.)


さて、引用した記事の内容は興味深いものがあります。“おしゃぶり”が赤ちゃんの成長過程でのアレルギー発現を抑制する、という研究成果が発表されたのです。

“おしゃぶり”を使うことのベネフィットということでしょうか?

私は記事のタイトル、"Parents may protect babies against future allergies by sucking on kids' pacifiers"、を少し読み誤っていたことが、記事本文を読んで分かったのですが、“おしゃぶり”を使えばアレルギー抑制になるのではなく、“おしゃぶり”を(両親が)口で掃除してあげた場合にアレルギー抑制効果が見られる(!?)、というものです。(つまり、記事タイトルの、"by sucking on kids' pacifiers"の主語は"parents"なのです。)

本当に?と聞き返したくなりますが、研究では“おしゃぶり”を熱湯消毒するグループと、両親が口で掃除してから与えた赤ちゃんのグループで比較したそうです。その結果ですが、一見あまり衛生的とは思えない“おしゃぶり”の掃除をしたグループの方が、喘息や湿疹の発症率が統計的有意に低かったということです。

このいささか疑問符が付きそうな研究成果ですが、


The study ties into the so-called "hygiene hypothesis," a theory which states early exposure to germs and bacteria may strengthen a child's immune system, thereby reducing allergies later in life.
(ibid.)


との解説を読み、多少の雑菌はむしろ必要(!?)とはまれに聞くところですが、なるほどなあと思いました。


2013年5月6日月曜日

ケンタッキーダービー ― julep

競馬にあまり興味があるわけではなく故に詳しいわけでもありませんが、土曜日はケンタッキーダービーが行われました。

USA Today紙によると、このケンタッキーダービーが開催されるチャーチルダウンズ競馬場で、一杯が1,000ドルもするカクテル、"mint julep"が売り出し中ということです。

さて、そのお味は?


LOUISVILLE — One partaker said his $1,000 mint julep tasted just grand.

"It's fantastic," Aaron Schneider, 42, of New Orleans said between sips at Churchill Downs in advance of Saturday's Kentucky Derby.

The basic recipe for a standard mint julep is spearmint leaves, bourbon, sugar and water. Schneider took his sips from the gold-plated straw provided with his sterling silver cup.

"Absolutely, it's the only way to drink it," he said with a smile.
(Gary Mihoces. How do $1,000 mint juleps taste? Just grand. USA Today. May 4, 2013.)


その答えは、"just grand"(申し分ない、素晴らしい)、ということです。

1,000ドルもするということで、これはつい昨日の投稿と全く偶然にリンクしていますが、うまいしゃれですね。

ちなみに、"mint julep"というのはバーボンをベースとしてミントの葉を添えて供されるカクテルのことで、ケンタッキーダービーのオフィシャルドリンクなのだそうです。ケンタッキーダービーを観戦しながらこの"mint julep"をすするのが競馬好きには堪らないひと時なのでしょう、当日は飛ぶように売れるそうです

勿論ですが、1,000ドルもする"mint julep"というのは特別なもので、売上の大部分はチャリティーに計上されるものです。通常売られている"mint julep"は10ドル前後の価格ということです。

"julep"という単語についてですが、この単語はペルシア語起源で、バラを意味するgulと水を意味するabという語から成るもので、それがアラビア語julabとなり、ラテン語、中期フランス語などを経て英語になったものであると語源欄の解説に見えます。つまり、もともとはバラの(入った)水、ということでしたが、現代ではシロップ、甘味という意味で用いられ、特にアメリカ南部では"julep"と言えば"mint julep"というカクテルを指すようです。

こう書いていると何だか"mint julep"を飲んでみたくなってくるから不思議です。ゴールデンウィーク最終日、競馬観戦はともかくとして、快晴の空の下、緑を眺めながら飲んだら美味しいでしょうね。


2013年5月3日金曜日

米ドルの表現 ― grand

アメリカ・ドルを表現するのに色々な表現があることを読者の皆さんは恐らくご存知かと思います。ハリウッド映画などでもよく出てくるのが、


buck


という単語ではないでしょうか?"fifty bucks"(50ドル)といった表現を聞いたことがある方は多いと思います。

ところでこれと類似の表現で、


grand


というものもあることをご存知でしたか?"grand"は、1,000ドルを指します。省略形は下記の引用でも分かるように、"G"なのですが、コンピューター世代の我々(!?)は、"G"と見ると、"giga"(ギガ、10の9乗)と勘違いしてしまいそうです。

1,000ドルだったら、"K"(kilo、キロ)が適当なんじゃないかと思ってしまいますが・・・。


‘Smoking’ gun nets 60G fine

The owner of a Midtown tourist shop is firing back at Mayor Bloomberg’s crusade against toy guns, filing papers to block a $60,000 fine from the city for selling lighters shaped like small pistols.
(Julia Marsh. ‘Smoking’ gun nets 60G fine. New York Post. May 2, 2013.)


記事は、ピストルの形をしたおもちゃのようなライターを販売した容疑で6万ドル($60G)の罰金をニューヨーク市から課せられたという話です。

なぜ、"grand"が1,000ドルを意味するようになったかについては定説はなさそうですが、大きいという意味の形容詞の"grand"が、大金の1,000ドルを意味するのに使われたという説明がもっぱらのようです。

ちなみに本題から少し逸れますが、タイトルの"smoking gun"というのは、話題がライターというだけに洒落が利いています。


2013年5月2日木曜日

猪瀬知事の舌禍 ― gamesmanship

2020年オリンピックの東京招致を目指す猪瀬知事がニューヨークタイムズ紙の取材で、ライバル都市批判とも受け取られる発言をしたことが波紋を呼んでいます。

知事はトルコのイスタンブールに関する自身のコメントについて、真意が反映されていないと否定していましたが、招致活動への影響を慮ってか、発言を撤回、謝罪しました。

問題となったニューヨークタイムズ紙の記事から引用します。


With less than five months to go before the International Olympic Committee chooses a city to host the 2020 Summer Games, the three remaining bidders — Istanbul, Madrid and Tokyo — are increasing their efforts to win over delegates and the public.

(中略)

Naoki Inose, the governor of the Tokyo Metropolitan Government and chairman of the Tokyo 2020 bid, has often done that, highlighting his city’s extensive and efficient transportation system, as well as the financial and technical wherewithal to build first-class sports sites and housing for the athletes. He has also noted that, like Paris and London, Tokyo has hosted the Summer Games before, a claim that Istanbul and Madrid cannot make.

But Inose has also pushed the boundaries of rhetorical gamesmanship with occasionally blunt and candid statements about how his city compares with the competition, particularly Istanbul, which he has suggested is less developed and less equipped to host the Games.
(Ken Belson. In Promoting His City for 2020 Games, Tokyo’s Bid Chairman Tweaks Others. The New York Times. April 26, 2013.)


知事の釈明によれば、インタビューの終わりに立ち話的にちょっとだけコメントしたことがライバル都市に対する批判のコメントとして必要以上にクローズアップされたとのことですが、上記の引用によれば、


Inose has pushed the boundaries of rhetorical gamesmanship with occasionally blunt and candid statements


ということであり、記者にしてみればオリンピック委員会のルールを逸脱したコメントと受け取ったのでしょう。脇が甘かった、と言えばそれまでかもしれません。

さて、今日の一語、


gamesmanship


ですが、ランダムハウス英和によると、


ルール違反すれすれの巧妙な手段を用いること


とあります。この表現は、"sportsmanship"との対比から生まれたものですが、"sportsmanship"が純真で清々しいものであるのに対し、勝つためには多少の駆け引きもやむを得ないというのが"gamesmanship"の含意にあります。

知事の発言は他都市批判を意図しながら、そのすれすれのところだったということでしょうか。"gamesmanship"を修飾する、"rhetorical"という形容詞にも、その辺りの意味が込められています。


2013年5月1日水曜日

第1世代iPhoneは”引退”へ ― out to pasture

スマートフォンの代名詞とも言える、アップル社のアイフォーン(iPhone)ですが、その第1世代の製品は発売から6年を経てついに“引退”というニュースです。


Bye-Phone.

Six years after the iPhone went on sale, Apple is putting the first-generation device out to pasture.

Apple will label the original iPhone an “obsolete” product in much of the world and “vintage” in the US, according to Apple fan blog 9to5Mac.

The vintage classification means that only people who purchased the original iPhone in California will have access to Apple repair services.

California laws are responsible for the special treatment, but within two years the first iPhone will be obsolete in all of the US.

The first iPhone is credited with revolutionizing mobile computing, sparking a media frenzy and generating long lines when it hit the market in June 2007. Time magazine named it gadget of the year in 2007.
(Garett Sloane. 1st Generation iPhone goes from ‘Gadget of the Year’ to ‘Obsolete’ in 6 years. New York Post. April 30, 2013.)


“引退”の意味というのは、アップル社が製品の修理をもはや受け付けなるということだそうです。

さて、“引退”を意味するのに、


put... out to pasture


という表現が使われています。ご存知のように、"pasture"とは、牧草地、牧場を意味する単語です。

"put... out to pasture"は家畜を牧草地に追いやる、というような意味になるかと思います。この表現は、人を退職させる、閑職に付かせる、というような意味で用いられます。

“追いやる”という表現には本人の意思に反して望ましくない状況や状態に移行させるというようなネガティヴな響きがあります。牧草地でのんびりと草を食んでいられるのは決して望ましくない状況などではなさそうですが、なぜにこのようなネガティヴな意味になったのでしょうか。

Online Etymology Dictionaryによると、“引退させる”という意味でのこの成句が使われ始めたのは1945年辺りと、比較的最近の話で、馬を現役(の激しい労働)から(牧草地で好きなように草を食んでいられるように)引退させるということから生まれた表現なのだそうです。つまり、馬にとっては苦役から開放されて望ましい状況のことを表現していたわけですが、いつの間にかネガティヴな意味に発展したようです。

一般的な話として、“引退”や“退職”は果たしてネガティヴなことなのでしょうか、それとも喜ばしいことなのでしょうか。iPhoneは人間ではありませんからその意思は分かりませんが。