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2013年2月28日木曜日

米・バドワイザーが訴えられる ― water down

大阪の老舗酒造メーカーが純米酒に醸造用アルコールを混ぜていたということが発覚して先日来ニュースになっていますが、アメリカではバドワイザーで有名なビール会社が、アルコール度数を不当表示しているとして消費者から訴えられているそうです。


A pack of lawsuit are brewing around the country after angry beer-lovers accused the maker of "The King of Beers" of watering down its beverages.

Beer fans in Pennsylvania, New Jersey, California and other states have filed suits against Anheuser-Busch InBev accusing the company of printing the incorrect alcohol content on its labels.

In a class action suit filed in a San Francisco court on Friday, the beer company is accused of intentionally "overstating the alcoholic content of its products" to increase profits.
(Linsey Davis. Beer-Lovers Accuse Anheuser-Busch of Watery Brews. ABC News. February 27, 2013.)


"water (down)"という表現は水で薄める、という意味ですが、"down"という副詞が“品質を落とす”という意味を強くしています。

私のバドワイザーに対する印象は“(味の)薄いビール”というもので、個人的にあまり好きな方ではありません。最近はあまりアメリカに旅行する機会がありませんが、向こうでビールを飲む機会があればバドワイザー以外を選択します。そうした経験もあって、バドワイザーが、“薄い!”と訴えられるというのは、今さら?という感もあるのですが・・・。


2013年2月27日水曜日

甘い囁きには代償が ― siren song

Siren(セイレン)はギリシャ神話に出てくる海の精で、上半身は美女、下半身は鳥の姿で、イタリアのシチリア島(Sicily)に住んでいたということです。その美しい声で近くを通る船の船員を誘惑し、難破させたという少し怖い話が伝えられています。

日本の高速バスは昨今色々な事故があり、その安全管理が随分と議論されましたが、ニューヨーカーにとっても、バスは安全性よりも安さ、なのでしょうか?


For the dozens of people milling about on a sidewalk of Canal Street in Manhattan on Tuesday afternoon, reports that a popular Chinatown bus line was being shut down were drowned out by the siren song of a $15 fare to Boston.

Even after the federal government ordered the bus line, Fung Wah Bus Transportation, to stop running its fleet, about 40 people lined up outside the company’s ticket office for a four-hour ride to Boston. Some had heard of the company’s latest problems, and some had not — but none were deterred.
(Patrick McGeehan. Cheap Bus Fare Lures Riders Despite Company’s Troubles. The New York Times. February 28, 2013.)


"siren song of a $15 fare"というのは、まさしくセイレンの美声になぞらえることができるでしょう。そして、安全性よりもコスト(美声)につられることの帰結は事故(難破)であることも、火を見るより明らかなことかもしれません。

"siren song"を辞書で引くと、


魅惑的な歌; 誘惑の言葉
(ランダムハウス英和辞書)


とありますが、魅惑的、誘惑的なものが往々にしてそうであるように、それを選択した場合のリスクを暗示しています。甘い囁きにはその代償があると考えるべき、ということでしょう。


2013年2月26日火曜日

修整された大統領夫人のドレス ― coverage

米アカデミー賞が話題です。授賞式は日本時間の月曜日、つまり昨日行われ、アカデミー作品賞にはベン・アフレック監督の「アルゴ」(Argo)が選ばれました。

テレビを見ないものですから生中継などには縁が無く、授賞式の華やかさなど詳しくは知らないのですが、報道によりますとホワイトハウスから衛星中継でオバマ大統領夫人が作品賞を発表したというサプライズだったそうです。

この華やかな授賞式には、着飾った各界の名士、美男美女が出席していますが、ミシェル夫人も例外ではなく、イブニングドレス(というんでしょうか?)を着て受賞作品の衛星生中継に登場していました。

ところでこのドレス姿の写真がイランの通信社の報道ではものの見事に“修整”されたという事件が話題になっています。


Iran had some interesting "coverage" of Michelle Obama's Oscar ceremony appearance late Sunday night.

The FARS news agency ran a picture of the first lady announcing the Best Picture winner, but photo-shopped in additions to her dress, covering up her shoulders and upper chest.

As Buzzfeed put it, the doctored photo is "an apparent attempt to render the First Lady modest enough for public consumption" in Iran.
(David Jackson. Iran 'covers up' Michelle Obama's Oscar gig. USA Today. February 25, 2013.)


百聞は一見に如かず、イラン通信社のFARSのサイトの写真では、大統領夫人の着ているイブニングドレスが胸部と肩をすっかり覆うものに修整されているのです。

この件はガーディアン紙でも報道されており、記事に掲載された写真は修整前と修整後を並べており分かりやすいです。

宗教観から、女性が人前で肌を晒すことを厳しく禁じるイランならではの措置であることは言うまでもありません。イスラム文化圏では女性は人前ではヒジャーブと呼ばれるスカーフを着用することが義務付けられ、腕や足などの肌を晒すことは禁じられてています。外国人やテレビに出演する女優、有名人などについてはある程度の自由が認められているそうですが、大統領夫人の余りに"Revealing"なドレスは修整対象になったのでしょう。

上記に引用した記事の冒頭、"coverage"は敢えてダブルクォーテーション(引用符)で括られていますが、巧いジョークではないでしょうか。

つまり、報道、取材の意味の"coverage"と、写真の修整を意味する"cover up"をかけたという訳です。


2013年2月25日月曜日

こんな意味もあったの? ― spoil

おなじみ、“こんな意味もあったの?”のコーナーです。今日取り上げるのは、"spoil"です。

"spoil"という動詞は、腐らせる、駄目にする、という意味で使われることはいまさら言わなくてもご存知でしょう。日本語でも“スポイルする”、とカタカナで書きますが、その場合は“甘やかす”、“(甘やかすことで)駄目にしてしまう”、という意味です。

ところが!

"spoil (for)"というフレーズは、


~したくてたまらない;~したくてうずうずしている


という意味で用いられることをご存知でしたか?(毎度のことながら、不勉強な私は知りませんでした。)


Pistorius 'often spoiling for a fight'

A SOUTH African sportsman whose argument with the murder suspect Oscar Pistorius was brought up during his bail hearing last week has described in detail the alleged threats made against him by the paralympian.

Marc Batchelor received two calls from Mr Pistorius threatening to "f*** him up" after he had stepped in to defend a friend who was involved in a row with the athlete over a girlfriend.

Mr Batchelor claimed that Mr Pistorius regularly spoiled for fights with other men. He also said he believed that Mr Pistorius's behaviour, around local rugby clubs and racecourses he enjoyed, would have been confronted much earlier were it not for the fact that he was a double amputee.
(Lucy Bannerman. Pistorius 'often spoiling for a fight.' The Australian. February 25, 2013.)


ブレードランナーとして一躍有名になった、2013年ロンドンパラリンピックの金メダリストが恋人の殺人容疑で逮捕されたニュースは世界中に衝撃を与えました。逮捕後間もなく、既に裁判が始まっているようですが、関係者の証言は金メダリストには不利なものばかりのようです。

"spoil"という単語は、略奪品を意味するラテン語spoliumに由来するそうですが、なぜ"spoil for"が“~したくてうずうずしている”という意味になったのか不思議です。

Online Etymology Dictionaryによりますと、略奪品を意味する"spolium"というラテン語は(狩猟で殺した)動物の皮を剥いだもの、という意味から発展したものであり、Proto-Indoeuropeanまで遡ると"split"(剥ぐ)という意味に由来するそうです。

"spoil for"が、“for以下の対象”を求める、という意味になったのは、その対象を得られない場合に主語の人物が"spoil"する(つまり、駄目になる?)、という概念から生じたとのことです。


2013年2月22日金曜日

forty winks

"forty winks"で、うたた寝、短い時間の昼寝を意味します。


Catching forty winks between flights

Long airport stopovers are a bane of the business traveller. It can be a poor connection between flights, or extended waiting times due to delays or cancelled flights.

And while some airports let you make the most of a 12-hour layover by quickly and easily escaping to the city – Hong Kong and San Francisco spring to mind – most see you trapped in transit.
(The Sydney Morning Herald. February 20, 2013.)


"wink"とはウィンク、瞬きをすることですが、forty(40)というからには、40回の瞬き、ということなのでしょうか。

なぜ、"forty winks"がうたた寝の意味になるのか不思議に思う方もいると思います。色々と調べてみましたが、これには諸説あるようで、はっきりしたことは言えないというのが結論ではないかと思います。

1つには、まったく眠れない状況(日本語で、まんじりともしない、という状況)のことを英語で、


not sleep a wink

あるいは、

not get (have) a wink of sleep


と表現しますが、ここでの"a wink"(つまり単数)に対して、"forty winks"はその40倍であり、十分なレベルの睡眠、ということで、うたた寝を意味するようになった、と言われています。

でも、なぜ60や80、100ではなく、40なのか?

私の勝手な推測ですが、うたた寝と言えば大体15分から20分くらいの時間かと思いますが、瞬き1回が大体20~30秒くらい、かけることの40で、大体それくらいの時間になるので、"forty winks"ではないのかと・・・。失礼しました(笑)

今週はえいご1日1語の投稿1000回達成を記念して、数字で始まる単語(表現)を特集しました。ではまた来週!


2013年2月21日木曜日

sixty-four-dollar question

"sixty-four-dollar question"という表現をご存知でしょうか?そのまま訳せば、64ドルの(価値がある!?)質問事項、ということになります。

ランダムハウス英和辞書によると、


非常に重大な(決定的な関心を集める)問題


とあります。Merriam Websterでは、


a crucial question expressing the basic issue on a problematical subject


と定義されており、語源解説には、


so called fr. the fact that $64 was the highest award in the CBS radio quiz show “Take It or Leave It” (1941–48)


とあることから、"question"というのはクイズ番組の問題のことで、64ドルは正答だった場合の賞金であることが分かります。

"$64 question"と表記されることもあります。


"When it gets hot here, it gets really hot - well into the 40s . If you were moving round in that heat I would think your chance of survival would not be good," Mr North told Radio 6PR.

"It's the $64 question and I believe he wasn't a well man either. It's 13 days since he went missing, so if he's alive he's a pretty tough guy that's all I know. We don't know if he had a container for water."
('If he's still alive, he's a pretty tough guy.' WA Today. January 25, 2013.)


ところでなぜ64ドルという中途半端な(?)数字なのでしょうか?

答えは、件のクイズ番組では正答を重ねる毎に賞金が$1、$2、$4、$8、$16、・・・と倍増していき、$64が最大だったということです。

ちなみに、現代では$64は大金ではありませんが、この表現の名残なのか、"$64,000 question"という表現もあるそうです。


2013年2月20日水曜日

5時から男 ― nine-to-fiver

昔、ドリンク剤のCMでタレントが扮するしがないサラリーマンが、就業時間終了間際になると急に元気になり、“5時から男”という表現が流行りました。あなたも共感!?(最近のサラリーマンは退勤後同僚と飲みに行くことは少ないそうですが・・・。)

さて、英語では、"nine-to-five"という表現があります。つまり、朝9時から夕方5時、ということを指しているわけですが、Merriam Websterによると


a job with regular time hours


と定義されており、労働時間がはっきりと決まっている労働者、つまりサラリーマン稼業のことを言っています。

ところで、この"nine-to-five"という表現には、単に勤務時間の固定を言うのみならず、“9時から5時までしか働かない”、といったやや侮蔑的な意味でも用いられるようです。


"One of the best ways to get started is to intern at a fashion company," advises Henderson. "I hire eight interns a year in my department, and they're selected from applicants who attend colleges all overthe country. Fashion requires a lot of energy, so those who stand out are the ones who are willing to go beyond normal hours. Do whatever it takes to get the job done. Fashion is definitely not a nine-to-five career."
(Deborah Gregory. The Cutting Edge. 2011.)


そして、この"nine-to-five"に“~する人、者”を意味する接尾辞-erがついた、"nine-to-fiver"なる単語が存在します。


Not everyone who works at 85 Broad Street will benefit. Goldman uses many temporary employees, and those nine-to-fivers say they will not share the loot. "It means nothing to me," said one woman, who said she has worked at Goldman for years but does not have full-time status.
(Joseph Kahn. Even a tiny slice of a big pie tastes rich. The New York Times. 1999.)


上記の引用では、"nine-to-fiver(s)"は"temporary employees"(テンポラリースタッフ)と同義で使われています。


2013年2月19日火曜日

危うく殺処分を免れた犬 ― eleventh hour

今週はえいご1日1語の投稿第1000回突破記念ということで、数字で始まる単語(表現)を特集しております。

今日取り上げるのは、"eleventh hour"という表現です。


Peering forlornly from behind a wire fence, this dog was hours away from being put down - because his owner thought he was 'gay'.

He abandoned the healthy bulldog-mix hound at an overcrowded animal shelter in America, where he was due to be put down yesterday.

But, at the eleventh hour, the dog was saved thanks to a Facebook campaign which went viral.

Thousands volunteered to take him in, but in the end he was adopted by Stephanie Fryns, a veterinary technician, who called him Elton. According to a regular visitor at the shelter in Jackson, Tennessee, Elton’s old owner had noticed him ‘hunched over’ another male dog – so assumed he was homosexual.
(Dog on death row for being 'gay' saved after viral Facebook campaign. The Daily Mail. February 1, 2013.)


"at the eleventh hour"とありますが、"eleventh hour"とは日本語で言うと、“土壇場で、ぎりぎりのところで”という意味です。

ほとんど殺処分されかかっていた犬が、フェースブックでのボランティアの呼びかけにより引き取られ、殺処分を免れた、というニュースです。この殺されかけた犬はオスですが、別のオスに跨る行為があったということで、飼い主がそんな犬は"gay"であるから飼いたくないと処分施設に持ち込んで、殺処分の憂き目にあうところだったと言います。

ところで、なぜ、"eleventh hour"が、“土壇場”の意味になるのでしょうか?

語源を紐解くと、この表現の由来は聖書にあるそうです。

しかしながら、11番目の時間が何を指すのか、午前11時、あるいは午後11時だとしても、それが“土壇場”の意味になる理由がよく分かりません。

いろいろ調べてみますと、11番目の時間というのは労働時間における話のようで、聖書のコンテクストでは陽が昇る朝6時から12時間、つまり夕方6時までが労働時間と捉えていたようです。つまり、夕方5時が"eleventh hour"にあたるわけですが、この"eleventh hour"に雇われた労働者は夕方5時までのたった1時間しか働かないのにも関わらず、朝6時から仕事をしている他の労働者と同じ報酬を得ていたのだそうです。そうしたことから、あるイベント(ここでは1日の労働が終わる夕方6時)の直前に入り込むことで有利になる状況を指して、"eleventh hour"といわれるようになったということです。

この"eleventh hour"という表現は非常によく使われる表現のようで、枚挙に暇がありません。土壇場で前言を翻したり、態度を変えるというのはよくあることですが、最近話題になった自転車競技選手のドーピング疑惑に関しても同じです。


Facing a federal criminal investigation and a deadline that originally was tonight to tell all under oath to anti-doping authorities or lose his last chance at reducing his lifetime sporting ban, Lance Armstrong now may cooperate.

His apparent 11th-hour about-face, according to the U.S. Anti Doping Agency (USADA), suggests he might testify under oath and give full details to USADA of how he cheated for so long.
(Neal Karlinsky. Lance Armstrong May Testify Under Oath About Doping. ABC News. February 6, 2013.)



2013年2月18日月曜日

祝!第1000回 ― thousand-miler

今日は第1000回目の投稿です。

えいご1日1語は、2009年5月19日火曜日に第1回目の投稿で産声を発して以来、月曜日~金曜日の毎週5日間、英単語(表現)を1日1つずつ取り上げてきました。そして本日、(閑話休題などの投稿も含めて)1000回目の記事となりました。

さて、この記念すべき1つのマイルストーンの達成に際しまして、今日はどんな単語を取り上げようかと迷いました。振り返ってみますと、100回記念では“百”というテーマで、900回記念では"nongenary"という単語を取り上げています。

300回記念500回記念では関連する単語やテーマが見つからなかったので、全く関連のない単語を取り上げたり、閑話休題で触れるに留めたりしました。

やはり1000回目という節目でもありますので、今日は数字の1,000に関連する単語を取り上げたいと思います。その単語とは、


thousand-miler


です。何のことかご存知でしょうか?(Google検索すると、"thousand-miles"に修正されてしまいます!?)

ランダムハウス英和辞書にエントリがあり、


(よごれの目立たない暗い色の)作業服


とあります。なぜ作業服のことを、"thousand-miler"というのでしょうか?そもそも、"thousand miles"(千マイル)と何の関係があるのでしょう?

Merriam Websterによると下記のような定義です。


a dark shirt (as worn by railroad men) that does not show dirt


どうやらポイントは、“汚れが目立たない”というところにあるようです。作業服というと建設作業員を想起しますが、作業着というものは汚れるのが前提の服装ですから使っていれば汚れるのが当たり前でしょう。時間の経過と共に汚れもひどくなってくるはずです。Merriam Websterでは"as worn by railroad men"とありますが、つまり鉄道員が着る服装であると言っています。この場合の“汚れ”は、勤務時間に比例してということもありますが、もう1つの見方としては、鉄道の運行距離に比例して、ということもできるでしょう。

つまり、"thousand-miler"とは、1,000マイルの運行に際しても汚れが目立たない、ということなのでしょう。

ところで興味深いことに、アメリカのノーベル賞作家であるJohn Steinbeckの"The Wayward Bus"(邦題:気まぐれバス)という小説の中に、"thousand-miler"という単語が出てくるそうです。


...his shirt was of that light brown color worn by traveling men and known as a thousand-miler because it does not show dirt.


長距離を旅行する旅人が着る服の服地を指しているようです。サンダルなどの靴の商品名にも使われていたりするようですが、これも“1,000マイル使用してもくたびれない”というような意味で使われているのでしょう。

今週は、数字が使われている単語(表現)を取り上げて生きたいと思います。なお、"thousand"(1,000)だけに留まらず、色々な数字です。


2013年2月15日金曜日

過干渉な親は日本だけではなかった ― hyper-parent

昨今、子供の大学への入学式やさらには入社式に付き添う両親や、会社の上司に自分の息子や娘の給料を直談判する、異常なまでに過干渉な親の存在というのがメディアなどで取り上げられたことがありましたが、そのような現象は日本だけではないようです。

こうした過干渉な親というものは子供のことを深く思っているつもりかもしれませんが、そのような過干渉が子供をうつ病にする可能性があるという調査結果があるということですから、過干渉な親御さんにはちょっとした冷や水になるのでしょうか。


Hyper-parents can make college aged children depressed-study

(Reuters) - Turbo-charged parents still running their university-aged children's schedules, laundry and vacations could be doing more harm than good with a study on Wednesday showing these students were more likely to be depressed and dissatisfied with life.

Researcher Holly Schiffrin from the University of Mary Washington in Virginia found so-called helicopter parenting negatively affected college students by undermining their need to feel autonomous and competent.

Her study found students with over-controlling parents were more likely to be depressed and less satisfied with their lives while the number of hyper-parents was increasing with economic fears fuelling concerns over youngsters' chances of success.
(Belinda Goldsmith. Hyper-parents can make college aged children depressed-study. Reuters. February 13, 2013.)


ここで、過干渉な親のことを、


hyper-parents


と表現しています。"hyper-"とは、過度、過剰を意味する接頭辞ですが、"parent"(親、あるいは親の役目を果たすという動詞)について、過干渉な親、という意味で用いられているものと思われます。

辞書には載っていませんが、そのうちエントリに入る日も近いのかもしれません。

以前、過保護な親ということでは、"helicopter-mom"という表現を取り上げました。

上記引用でも、"helicopter parenting"という表現が出てきます。

関連記事をいくつか拾い読みしてみたのですが、このような過干渉な親を指すのに、


turbo-charged parents
hyper-involved parenting
overly controlling parents (over-controlling parents)


など色々な表現が使われています。


2013年2月14日木曜日

シュワァーという音は何を指す? ― fizz

イギリスの大手飲料メーカーの合併に関するニュース記事から引用します。


Drinks merger loses its fizz: Britvic chairman blasts watchdog after probe into tie-up with AG Barr

A MEGA £1.4billion merger between two of Britain’s biggest soft drinks makers was in serious doubt last night.

The Office of Fair Trading threw an eleventh hour spanner in the works by referring the Britvic and AG Barr tie-up to the Competition Commission.

The deal, which had shareholder approval, was due to be completed in the next few weeks.

But in a shock move, the OFT raised concerns that the new company would wield too much power.
(Grahama Hiscott. Drinks merger loses its fizz: Britvic chairman blasts watchdog after probe into tie-up with AG Barr. Mirror. February 14, 2013.)


企業名は聞いたことがないものですが、"two of Britain's biggest soft drinks makers"ということですので、この合併というのは大手が生き残りをかけた戦略的なものなのでしょう。当然のことながら、合併が寡占や独占にならないかの審査などがあるものですが、やはりケチがついたようで、合併できるのかどうか危うくなってきた、というのがニュースの趣旨です。

さて、タイトルに注目しますと、


Drinks merger loses its fizz


とあります。"fizz"を"lose"(失った)ということで、コンテクストから考えるに、"fizz"の意味は一旦盛り上がった合併話のこと、つまり勢いやはずみ、といったものだと想像がつきます。果たして、ランダムハウス英和には、“活気、元気”という意味がありましたのでその通りだと思うのですが、"fizz"というのはいわゆる炭酸飲料などを注いだときのシュワァーという音のことです。

以前に、"fizzer"という単語を取り上げましたが、こちらは“失敗”の意味で用いられていたものでした。そしてこの意味もやはり、シュワァーという音から来ているもので、語源は"fizzle"という単語、さらに遡ると、おならをするという意味の古ノルド語であることを説明しました。

同じ“シュワァー”なのに、一方では勢い、元気や活気を、他方では失敗や減退を意味しているのは面白いと思いませんか。

ところで、この合併に関して他の記事では下記のようなタイトルになっています。


Britvic-Barr deal threatens to fizzle out
(Michael Bow. Britvic-Barr deal threatens to fizzle out. CITY A.M. February 14, 2013.)


またしても、"fizzle (out)"という表現を使っています。

ソフトドリンクメーカーの合併話だけに、シュワァーという音にかけたしゃれでしょうか。

なお、"lose one's fizz"という表現はある程度定着したもののようで、コーパスではいくつかの用例を確認することができます。


Wal-Mart leases about half of its abandoned stores. Since Walton died on April 5, 1992, the company's stock has lost its fizz.
(Patricia Sellers. Can Wal-Mart get back the magic? Fortune. 1996.)

2013年2月13日水曜日

豪水道水へのフッ素添加で論争 ― scaremonger

水道水にフッ素を添加することで虫歯予防になるといわれているそうですが、その一方、フッ素の過剰摂取は健康被害をもたらすという専門家もおり、オーストラリアでちょっとした論争になっているそうです。


Doctors and dentists say scaremongering about fluoride in water must stop.

The Australian Dental Association has condemned the Queensland government's decision to let councils decide if fluoride should be added to their water supplies.

Some have already opted to dump it and dentists say it will put the oral health of entire communities at risk.

Australian Dental Association president Dr Karin Alexander says the decision should not rest with 'ill-informed' local councils.

'The stupidity has to stop,' she said in a statement.

'The public purse will ultimately have to pay for this decision when levels of dental disease and dental decay start to massively increase.'

Australian Medical Association president Dr Steve Hambleton says adding fluoride to water is one of the most cost-effective health investments governments can make.
(No need for fluoride fears- doctors. Skynews.com.au. February 13, 2013.)


日本の水道水にはフッ素は入っていませんが、過去にはフッ素の添加が議論されたこともあったそうです。知りませんでした。フッ素と言えば、小生がまだ小学校くらいの時分に学校でフッ素塗布があったことを覚えているくらいです。最近はあまり聞きませんが、もうやっていないのでしょうか。

さて、今日の単語は、上記の引用の冒頭に出てくる、"scaremongering"です。

"scare"と"monger(ing)"の2つからなる単語であることは見て明らかですが、この"monger"に覚えはありますか?

以前取り上げましたが、"monger"は、他の名詞について、~屋、~家、といった、職業や専門家を意味する単語を作る接尾辞のような働きをします。ただ、その響きには少し軽蔑的なところがあるというのが特徴です。

"scaremonger"とは、"scare"(恐怖、不安)を必要以上に煽る人のことを意味し、これは職業や専門家の類ではありませんが、そこを敢えて、~屋、~家、といった呼称で呼ぶことでアイロニカルな響きがあります。

上記のコンテクストでは、"scaremongering"という動名詞の形で用いられていますので、不安や恐怖を煽って世間を騒がす行為そのものにフォーカスがあてられています。


2013年2月12日火曜日

食事中の携帯、あなたは容認派? ― mind your p's and q's

スマホの爆発的な普及により、街中でも電車内でも端末を操作している人ばかりですが、電車で並んで座っているカップルが、あるいはレストランや喫茶店で向かい合っている2人が会話することも目を合わせることもなく、各自が携帯端末を忙しく操作している光景は珍しいものではなくなりました。

携帯端末を見ながら食事したり、友人や恋人と一緒にいる時に携帯端末を操作することが容認可能かどうかということについては、年代、世代によって意見が異なるという、アメリカでの調査結果がニュース記事になっているのを読んだのですが、日本でも同じような結果になるのかもしれません。

私のような年寄り(!?)にはちょっと受け入れ難いことですが、一緒にいる相手が携帯端末でメールやネットを見ていても気にならないという人が若い人では多いのだそうです。食事中に携帯端末でメールを打ったり、読んだりする行為も若い世代では抵抗なく受け入れられているという調査結果のようです。


Minding your p's and q's when texting: Depends on age

More and more people pull out their smartphones or cellphones at meals, in meetings or in the classroom. But which habits with those mobile devices get a thumbs down?

A new survey finds that many Americans feel using the mobile devices in those settings is just inappropriate. But opinions on mobile device manners vary by age, according to the survey out Monday. Younger people tend to be more tolerant of cellphone use during meals, meetings and classes.
(Cathy Payne. Minding your p's and q's when texting: Depends on age. USA Today. February 11, 2013.)


さて、上に引用しましたUSA Today紙の記事のタイトルに注目しましょう。

"mind your p's and q's"という表現をご存知でしょうか?これは、“行儀よくする”という意味で用いられる成句です。

いったいどういう経緯で、"mind one's p's and q's"が“行儀よくする”という意味になったのでしょうか?これには諸説あるようです。

アルファベットのP(p)とQ(q)、小文字だと向きが左右反対というだけで間違ってしまいそうです。文字(アルファベット)を習いたての子供にはよくよく注意しなさい、と親は指導します。また、印刷工の間では"p"と"q"の版は紛らわしいものであり、やはりよくよく注意しなさい、という熟練者からの指導です。いずれにしても、十分な注意を払う、という意味から発展したという説です。

一方、もう1つの説によりますと、飲み屋の勘定書きで、PはPint(パイント)、QはQuarter(クォート)を指し、クォートというのはパイントの2倍の量ですから、これも勘定書きをよく確かめないといけない(払う側にしても、チャージする側にしても)、ということで、"mind your p's and q's"になった、ということらしいです。

以上はランダムハウス英和の語源欄で確認したものです。

この他、P'sは"please"(お願いします)のこと、Q'sは"Thank-you"(ありがとうございます)のことで、親が子供に言葉遣いを教える際によく言いきかせることに由来するという説もあります。

“行儀よくする”という中には、言葉遣いを正しく、周りに注意を払う、という諸々のことを含むわけですが、この成句の由来に様々なものがあるのも納得させられるところがあります。

"mind one's peas and cues"というバリエーションもあるそうです。


2013年2月11日月曜日

temper tantrum

今日は"temper tantrum"という表現を取り上げてみたいと思います。

"temper tantrum"というのは癇癪のことです。

以下の引用はニューヨークポスト紙の記事なのですが、癇癪持ちの女児に暖炉の火かき棒で顔を殴られたベビーシッターがその両親を訴えた、というニュースです。


A Manhattan baby sitter claims she was seriously hurt when a child she was minding smacked her in the face with a fireplace poker.

Carmen Cleary was asked to watch over little Caroline Cannady Chinn one October weekend at the Westchester home of the girl’s family — but says parents Lloyd Chinn and Sarah Cannady Chinn never warned her about temper tantrums.
(Kathianne Boniello. ‘Smacked by child’ sitter sues. New York Post. February 9, 2013.)


"temper"は気分とか気性という意味、"tantrum"は癇癪と訳されますが、"temper"自体に不機嫌、癇癪という意味もありますので、"temper tantrum"という表現は同じ意味の名詞を並べた冗語のようにも思われます。

"tantrum"というエントリを辞書で引くと、語源不詳とあります。不思議な単語のように思えます。

興味深いのは、"doldrums"という単語の語源欄に、この単語が"tantrum"のスペルに影響を受けているとの解説があることです。

"-rum"という語尾には何となくラテン語の響きがあります。"cerebrum"、"decorum"、"forum"、"spectrum"など、枚挙に暇がありませんが、"-rum"で終わる単語を見るとその多くがラテン語起源です。ラテン語というのは学術用語、とりわけ医学用語のイメージがあるためか、"temper tantrum"という表現についても何となく医学用語のような印象を受けます。

そのことと関係があるのか否かよく分かりませんが、"temper tantrum"は精神疾患の1つとして捉えられる向きもあり、Diagnostic and Statistics Manual of Mental Disorders(DSM; 精神障害の統計と手引き)へ追加されることが検討されたこともあったようです。

件のベビーシッターの訴えも、女児が癇癪持ちであるという重大な事実を両親が事前に伝えなかった過失があるというもので、"temper tantrum"は単なる気質や性格のレベルではないという感じがします。


2013年2月8日金曜日

過保護? ― bubble-wrap

まずは下記の引用を読んでみましょう。


Australian children are to be banned from blowing out candles on birthday cakes under new hygiene regulations that have been slammed by the Australian Medical Association as “bubble-wrapping.”

According to Australia’s Daily Telegraph, the guidelines, set by Australia’s National Health and Medical Research Council (NHMRC), instruct daycare centers to provide birthday boys and girls with their own individual cupcakes to blow the candles out, to avoid the spread of germs.
(Charlie Campbell. Australian Kids Face Birthday Candle Ban to Prevent Spreading Germs. Time. February 7, 2013.)


オーストラリアの厚生当局の関連組織でしょうか、National Health and Medical Research Council(NHMRC)という機関の通達により、いわゆる託児所においてお誕生日ケーキのろうそくを吹き消すのはご法度、ということになったようです。

どういうことかというと、バースデーケーキに挿したろうそくを吹き消すときにばい菌が付着し、それを食べる他の子供に感染が拡大するから、バースデーケーキは個人別にカップケーキのようなものを準備するように、というガイダンスなのです。

なるほど尤もな話のようにも思えますが、バースデーケーキのろうそくを吹き消す楽しみを奪ってしまう残念な規制にも思えます。

Australian Medical Association(オーストラリア医師会)は、この新しい規制を、


bubble-wrapping


であるとこき下ろしているということです。

ところで、"bubble-wrapping"とはどういう意味で使われているのでしょうか?

辞書を引いても"bubble-wrapping"のエントリはありませんが、"bubble wrap"はよく知られた緩衝材のことであると辞書に載っていると思います。いわゆる、“プチプチ”と呼ぶやつですね。

緩衝材というのは品物を輸送中の衝撃から保護するために使われるものです。恐らくですが、上記のコンテクストでは、単に保護するというよりも、“過保護”という意味で用いられているのではないかと推測します。

果たしてそのような意味が定着しているのか気になったので、コーパスを調べてみました。決して用例が多いとは言えませんが、近い意味で用いられていると思われる実例が無いわけではありません。


So we file the kind of lawsuits documented in the syndicated column News of the Weird.Such as the $ 150,000 complaint lodged in June by a Baltimore woman against Hardee's for serving her a cup of tea that was so hot she burned her lip. And the suit filed by a New York high school student against two of his classmates, whom he charged with giving him a " flat tire " by stepping on the heel of his shoe. This type of guy ought to go through life packed in bubble-wrap. "A wise gamester ought to take the dice even as they fall, and pay down quietly, rather than grumble at his luck."
(Atlanta Journal Constitution. 1993.)


2013年2月7日木曜日

buff

イギリスのレスター(Leicester)という、ロンドンの北の方にある地方都市でリチャード3世(1452-1485)の遺骨が見つかったということでここ数日ホットな話題になっています。

何でも見つかったのは駐車場になっているところだとか。発掘された人骨のDNA鑑定により、リチャード3世であるとほぼ断定されたようです。


LONDON — The discovery of King Richard III under a parking lot in the English city of Leicester thrilled history buffs around the world. But the news meant a winter of discontent for the rival city of York, and now the two are doing battle over the royal bones.


イギリス王室の歴史にあまり詳しくありませんが、リチャード3世と聞けばシェークスピアの戯曲のタイトルを思い出します。兄であるエドワードIV世の息子を幽閉して王座についたということで悪名高い人物ですが、歴史ファンには興味深いニュースでしょう。

さて、その歴史ファンのことを記事中、


history buffs


と表現しています。この"buff"という単語は、○○通、とかxxファン、~マニア、などと訳されるのですが、元々はなめし革を意味する単語でした。

面白い語源なのですが、このなめし革というのは淡黄色で、1920年頃のニューヨークの消防士や消火活動に当たる人が着用するユニフォームの上着の色がその淡黄色でした。それが転じて、いわゆる火事場見物が好きな人、消火活動に異常な興味を示す人たちを指す代名詞のようになり、最終的にxxファン、~マニア、の意味として使われるようになったということです。

ところで面白いことに、~通や~ファン、という意味での"buff"がよく使われるのは、"history buff(s)"が圧倒的に多く、マニアの類は何も歴史に限らないだろうと思うのですが、"movie buff(s)"や"opera buff(s)"などを抑えて使用例数としてはトップなのです。(Corpus of Contemporary American Englishでの検索による。)


2013年2月6日水曜日

ケリー新国務長官が就任 ― big heels to fill

アメリカの新しい国務長官(the Secretary of State)にJohn Kerry氏が就任しました。


WASHINGTON — New Secretary of State John Kerry reported for duty Monday, acknowledging that as Hillary Rodham Clinton's successor he has "big heels to fill" and promising to protect US foreign service workers from terrorist attacks overseas.

On his first day at the office in his new job, the former senator and 2004 Democratic presidential candidate was greeted with loud cheers by employees of the State Department and the US Agency for International Development.

As the first man in the post in eight years, Kerry referred to his two most recent predecessors, Clinton and Condoleezza Rice, by asking in jest: "Can a man actually run the State Department?"

"I don't know," he answered. "As the saying goes, I have big heels to fill."
(WATCH: Kerry has 'big heels to fill' at State Dept. New York Post. February 4, 2013.)


コンドリーザ・ライス氏、ヒラリー・クリントン氏、と女性が8年間にわたって続いた国務長官のポストですが、ケリー氏は久々の男性ということで、男性に務まるのか?という冗談も飛ばしたということです。

さて、そのケリー新国務長官のコメントの中で、


I have big heels to fill.


というくだりがあります。言わんとするところは分かるような気がしますが、"big heels to fill"という言い回しを聞くのは初めてです。

勘のいい方は既にお気づきでしょうが、これは、


fill a person's shoes (fill the shoes of a person)


という表現をもじったものです。"fill a person's shoes"は、(ある人の)役目(責任)を引き継ぐ、(ある人の)後釜に座る、という意味の成句です。

"shoes"の代わりに"heels"とは、恐らく前任者のヒラリー・クリントン氏が女性であることにかけて、単なるシューズではなく、“ハイヒール”としたのだと思われます。また、"big heels to fill"とは、前任者の業績が偉大であることに触れて、新しく就任する立場の緊張感を述べたものであると解釈できるでしょう。


2013年2月5日火曜日

gamut

2014年のサッカーワールドカップが6月、7月にブラジルで開催予定ですが、サッカーファンの方には楽しみで仕方ないことでしょう。

W杯に関する話題が少しずつ増えてきているようですが、New York Times紙の記事によれば最近のゲームで八百長試合の疑惑が増加、欧州の警察当局も極秘に捜査を進めているということです。サッカーに八百長試合があるとは初めて聞きました。


Soccer is known throughout much of the world as the beautiful game. But the sport's ugliest side — the scourge of match-fixing — will not soon go away.

With the 2014 World Cup in Brazil drawing closer, a European police intelligence agency said Monday that its 19-month investigation, code-named Operation Veto, revealed widespread occurrences of match-fixing in recent years, with 680 games globally deemed suspicious. The list of match types is staggering: some 150 international matches, mostly in Africa, Asia and Latin America; roughly 380 games in Europe, covering World Cup and European championship qualifiers as well as two Champions League games; and games that run the gamut from lower-division semiprofessional matches to contests in top domestic leagues.
(Sam Borden. Police Call Match-Fixing Widespread in Soccer. The New York Times. February 4, 2013.)


その八百長試合ですが、下位のリーグからそれこそトップレベルの国内試合に至るまで、あらゆる試合にそれと疑われるものが存在するということですから、ショッキングな話ではあります。

さて、今日取り上げる表現ですが、"gamut"という単語です。

引用した記事の最後の部分に、


games that run the gamut from ~ to ~


という部分があります。"gamut"が使われる表現はこのパターンがほとんどです。A(from A)からB(to B)に至るまであらゆるもの、という意味で使われます。

ところで、語源はサッカーとは関係なく、音楽に関係があります。

大抵の辞書の語源欄から確認できると思いますが、"gamut"とは、ギリシア語の"gamma"(ガンマ)とラテン語の"ut"から来ています。

ガンマとはアルファベットのGですが、これは中世における当時の実用的な声楽の音域がG音を最低音としていたことから、つまりあるレンジ(範囲)を示す場合の始まりとなるものです。一方、"ut"ですが、これはいわゆる“ドレミファソラシド”の音階の“ド”に当たるもので、これも音階という一定のスケールの始まりにあたるものです。(参考:芥川也寸志著「音楽の基礎」岩波新書)


2013年2月4日月曜日

"Taser"って何? ― taser

いきなりですが、"Taser"って何のことかご存知ですか?昼休みにグーグルニュースを見ていたら下記のヘッドラインが目に留まりました。


Police taser man who was 'holding knife to his throat' during Changing of Guard... (The Daily Mail)


使われ方からすると動詞のようですが、見たことない単語です。

記事を読んでみると、本文中では"Taser stun gun"とあり、スタンガンのようなものであることが分かります。


Holding a blade to his own throat, this was the moment a knifeman brought chaos to the Changing of the Guard ceremony at Buckingham Palace yesterday.

The middle-aged man walked through crowds of tourists clutching two large kitchen knives before police surrounded him and used a Taser stun gun to disarm him.

As a policeman shouted a warning call of ‘Taser, Taser, Taser’ to his colleagues, the knifeman lunged forward, brandishing a six-inch blade in a series of swipes, before falling to the floor as he was stunned by the electrical charge.
(The moment Taser police take down knifeman outside Buckingham Palace: Terror at Changing of the Guard as man breaks security cordon. The Daily Mail. February 3, 2013.)


イギリス・ロンドンのバッキンガム宮殿で衛兵の交代セレモニーの最中にナイフを持った男が乱入し、警察に取り押さえられたという騒ぎがあったようですが、記事を読むと捕り物劇の一部始終が分かります。

ランダムハウス英和辞書を引いてみると、"taser"のエントリがあります。動詞のエントリもあり、


<人を>テーザー銃で撃つ(麻痺させる)


とありました。テーザー銃というのは電気ショックにより相手にダメージを与えることを目的とした武器で、その意味ではまさしくスタンガンを彷彿とさせます。

私の(勝手な?)イメージではスタンガンは電流を発するスタンガンを直接相手に接触させ気絶させる、よく映画などで見るあのシーンなのですが、テーザー銃というのは離れた場所から相手に対して電気ショックを与えることのできる武器のようです。そんなものがあるとは知りませんでしたが、記事中にも解説があるように、テーザー銃ではレーザー光線によりターゲットを狙い、撃つとワイヤが発射されるようです。ワイヤの先端には尖った部品があり、ターゲットの衣服に刺さって簡単には抜けないようになっており、電流が流されることでターゲットが動けない状態になるという仕組みのようです。

"taser"という単語の由来ですが、これは、


Tele-Active Shock Electronic Replusion


の頭文字を取ったものです。


2013年2月1日金曜日

Javaのセキュリティホール ― storm in a teacup

"storm in a teacup"という表現をご存知でしょうか?

Merriam Websterによると、


a great commotion over an unimportant matter


とあり、些事に大騒ぎすること、つまり空騒ぎのことを言っていることが分かります。

"tempest in a teapot"という表現もあるようですが、同じ意味です。

今日引用するのは最近問題になったJavaのセキュリティホールに関する話題です。


Oracle 'fesses up: Java security flaws more than storm in teacup

Oracle has broken its silence to admit there are security issues with Java in web browsers - but it insists the tech is solid on servers and within mobile and desktop apps.

In a blog post published on Friday, Oracle noted the "media firestorm" around the recent Java vulnerability, admitting users may have been left "frustrated with Oracle's relative silence on the issue".

Oracle released a new version of Java 7 (Java 7u11) on 13 January designed to plug a zero-day vulnerability that has been exploited in the wild. The update was important because the exploit for the bug had been "weaponised" and bundled in widely available black-market hacking toolkits in the week prior to Oracle's emergency out-of-band update.
(John Leyden. Oracle 'fesses up: Java security flaws more than storm in teacup. The Register. January 30, 2013.)


この"storm in a teapot"という表現は、“コップの中の嵐”とも訳されています。実は、"storm in a teacup"というのはW. B. Bernardという作家の劇作の題名なのだそうです。誰がそのように訳したのか(特に"teacup"を“コップ”としている点など)、はたまたその劇の内容がどんな内容なのか(“空騒ぎ”を扱った内容なのか)知る由もありませんが、恐らく語源としてはそうなのでしょう。

コップの中の嵐、ということの意味については、当事者(つまりコップの中にいる人たち)にとっては大事(嵐)でも、コップの外の人にはどうでもいい些事に過ぎない、というところにあるようです。

なお、Collins Cobuild Dictionary of Idiomsによれば、"storm in a teacup"はイギリス英語の表現、"tempest in a teapot"はアメリカ英語の表現だそうです。

"storm in a teacup"でも"tempest in a teapot"でも、どちらでもよさそうなものですが、敢えて"storm in a teacup"を使ったのは理由があると思うのは私だけでしょうか?

そうです、取り沙汰されているJavaのロゴ(ティーカップ)にかけたしゃれの類ではないかと・・・。