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2013年1月31日木曜日

何と訳す? ― double down

字面を見て分かったような気になっていてその実、意味がちゃんと掴めていないということはよくあることです。

今日出くわした表現、"double down"がそうでした。一体、"double"という基本中の基本の単語でこんなに悩むなどとは思いませんでした。


Apple doubles down on iPad by doubling max storage to 128GB

Apple today doubled the maximum storage space of its fourth-generation iPad to 128GB, and announced it would start selling the new tablet next week.

The Wi-Fi-only 128GB iPad will cost $799, while the cellular-enabled model will run $929. Those prices are $100 more than the corresponding 64GB iPad SKUs.

Apple pitched the increased storage as a business play, citing the iPad's success in the Fortune 500, and running testimonials from several corporations who use the tablet.
(Gregg Keizer. Apple doubles down on iPad by doubling max storage to 128GB. Computerworld. January 29, 2013.)


アップルが新しいiPadを来週から発売するというニュース記事です。新しいiPadは記憶容量が、現在販売されている製品における最大容量(64GB)の倍の128GBだということです。

この記事のタイトルには、"double"が2回出てきます。しかもどちらも動詞です。

"by doubling max storage..."の部分は説明するまでもなく、記憶容量を既存製品の倍の128GBにした、という意味での"double"です。

では、"Apple doubles down on iPad"という部分の、"double"は一体何を言わんとしているのでしょうか?

手持ちの辞書をいろいろ当たりましたが、"double down"を説明したものがなく、意味を掴みあぐねていました。(恐らく読者の方がお持ちの辞書にもこの表現のエントリは載っていないのではないかと思います。)

“倍にする”という意味で使われている後半の"double"と意図的に重ねた表現であることは何となく分かりますが、では何と訳すのか、が分かりません。特に、なぜ"down"なのか("double up"という動詞句のエントリがあるだけに)、分からずにいました。

そこで次はコーパスにあたります。そうしますと、その用例の件数からどうやら"double down"は定着した表現らしいことが分かります。いくつか拾い読みしてみますと下記のような用例があります。


It taught us that high-quality programming can break through the clutter and really engage people in a meaningful way. It also convinced me that we have to double down and launch a full channel that's dedicated to addressing the issues of what's happening to our planet.
(The Associated Press. 2007.)


分かったような分からないような・・・。

色々な用例を読みながら、またググりながら、1時間くらいは悩んだでしょうか、ようやくこの"double down"という表現の正体(!?)にたどり着きました。答えは下記です。


If there's one expression that seems to have taken over the media landscape lately, it's "doubling down." Deriving from the game of blackjack, "doubling down" has taken on a figurative meaning over the past couple of decades: "to engage in risky behavior, especially when one is already in a dangerous situation," as the Oxford English Dictionary defines it. So why is everyone from Mark Zuckerberg to Bill Clinton talking about risk-taking in this way? And when is it considered a good thing?
(Ben Zimmer. Why is Everyone "Doubling Down"? visualthesaurus.comのサイトより引用)


つまり、リスクを取るような危険な賭けに出る、ということのようです。

"double down"が何故このような意味を持つように至ったかについては下記のような説明があります。


In blackjack, "doubling down" is a move that promises a big reward, but only when the player takes a big risk. If you feel confident enough in your chances of winning after being dealt two cards, you can double your bet, but you're only allowed to take one additional card. So when "doubling down" is extended metaphorically, that high-risk, high-reward strategy can be seen as admirably bold or woefully foolhardy — or perhaps a little of both.
(ibid.)


トランプのゲームである"blackjack"において、"double down"とはいわゆる倍賭けをすることを指すようですが、倍賭けはうまく行けば大儲けですが、失敗すれば大損です。つまり、ハイリスク、ハイリターンの行為ということになりますが、それがトランプゲームのコンテクストを越えて使われるようになったのです。

冒頭引用したiPadに関する記事を解釈すると、(アップルの株価が低迷しているという最近の状況下で)新しい製品発売という(株価の回復につながるかはたまたさらに株価をさげるかのリスキーな)賭けに撃って出た、というような意味合いを読みとれるでしょうか。


2013年1月30日水曜日

こんな意味もあったの? ― commute

まずは下記の引用を読んでみましょう。


A court in Texas has postponed the execution of a female death row prisoner to give her lawyers time to argue that her death sentence should be commuted to life in prison on grounds that her original prosecution was riddled with racial bias.
(Ed Pilkington. Texas postpones execution of female death row prisoner. The Guardian. January 29, 2013.)


今日の引用は短いです(笑)

"commute"という動詞に注目します。ここでの意味は、刑を(軽いものに)交換する、減刑する、という意味ですが、"commute"にそのような意味があることをご存知でしたか?多くの方が、"commute"を主として“通勤する”の意味で暗記していないでしょうか?

告白すると、私は"commute"にそのような意味があることを知りませんでした・・・。(またしても、不勉強!)

"commute"と聞くと(あるいは、"commute"という単語を見ると)、“通勤する”、という意味が真っ先に思い浮かぶのは長時間通勤に日々耐える、しがない安月給サラリーマンの証拠でしょうか!?

ランダムハウス英和辞書を引きましたが、減刑するという意味は(他動詞として)何と1番最初に載っているではありませんか!

2番目には、交換する、取り替えるという意味が、続いて、(物を)変化させる、(支払いを)振り替える、などの意味が続きます。そして、自動詞のエントリとして、初めて“通勤(通学)する”という意味が出てきます。

そのスペルを見てみれば分かるようなものですが、"commute"という単語はラテン語のmutare(to change)から来ており、mutableやmutationという同語源の単語を見ても、交換や変化、という概念を持つ単語であることは明白です。

が、ここで疑問が湧きました。

では、"commute"の“通勤する”という意味は、どこから来たのでしょうか?交換や変化という概念にどう関係しているのでしょうか?

実は、"commute"という単語の“減刑する”の意味は“通勤する”という意味よりも古いもので1630年代からあるそうですが、“通勤する”の意味が見られるのは1889年からだということです。(Online Etymology Dictionaryによる。)

“通勤する”という意味の"commute"は実は"commutation"からの逆成であり、"commutation ticket"という単語が先に存在していました。

この"commutation ticket"は何かというと、通勤で利用する電車の切符のことであり、つまりはパス(通勤定期券)のことです。同一区間を一定期間往復する際に、毎回いちいち切符を買い求めるのではなく、事前に一括して(毎回購入するよりも安い金額を)支払う、という考え方です。

つまり、毎回支払うというやり方を一括して事前に支払うというやり方に“交換する”、ということであり、その意味で"commute"(commutation)なのです。

American Heritage Dictionaryで、"commute"を引くと、


To pay in gross, usually at a reduced rate, rather than in individual payments.


という定義があります。これはまさしく定期券の概念ではないでしょうか?

私は今日この事実を知るにあたって、語源というものは奥が深いものだなあとつくづく思いました。(勉強不足もさることながら・・・)


2013年1月29日火曜日

グーグル:Chrome OSをハックできたら総額3億円の懸賞 ― pony up

Chrome OSをハッキングできた人に賞金総額$3.14159 Millionを支払う、というとんでもないコンテストがグーグルから発表されました。

ちなみに、$3.14159 Millionというと314万1,590ドルということになりますが、今日の為替レート(1ドル90円89銭)で計算すると、約2億8千万円でした。


Google has never been stingy when it comes to paying for information about security vulnerabilities in its products. Now it’s offering an especially large–and especially nerdy–sum of money.

At its third Pwnium hacking competition in Vancouver in March, the company is ponying up a total of $3.14159 million in prizes for hackers who can demonstrate critical security vulnerabilities in its Chrome OS operating system running on a Samsung Series 5 550 Chromebook, according to a notice posted Monday on its Chromium blog. Any participant who can take over a Chromebook user’s browser or entire computer via a malicious Web page can earn a $110,000 payout. And if the hacker can maintain persistent control over the system between reboots of the machine, he or she can win $150,000.
(Andy Greenberg. Google Offers $3.14159 Million In Total Rewards For Chrome OS Hacking Contest. Forbes. January 28, 2013.)


引用の中で、"pony up"というフレーズが出てきますが、目的語が"$3.14159 million"ということで、"pay"の意味で使われていることは分かると思います。

"pony"とは“ポニー”、つまり仔馬のことですが、"pony up"が"pay"の意味で用いられるようになった経緯はどのようなものがあるのでしょうか?

American Heritage Dictionary、Merriam-Websterによると、スラングとしてエントリにはありますが、語源の説明は見当たりません。Merriam-Websterでは、"origin unknown"(語源不詳)となっています。

ネットなどで調べてみると、"pony"がイギリスでは25ポンドを意味する俗語であることに由来する、とか、昔々支払いや寄付の手段としての仔馬に由来する、など諸説あるようです。

また、ラテン語のフレーズ"legem pone"に由来するという説もあるそうです。"legem pone"とは3月25日の朝の礼拝で歌われる聖書の詩篇第119篇の賛美歌に出てくるフレーズだそうですが、3月25日というのは今で言うところの第一四半期の“締め日”であり、借りているお金を返す日、支払日を意味するということで、この日に歌われる賛美歌の中のフレーズ"legem pone"が支払いとリンクされるようになったという説です。(以上、The Phrase Finderというサイトを参考)

ところで、なぜ"$3.14159 million"、つまり円周率の数字なのでしょうか?これはグーグルならではの、人目を引くやり方(a marketing gimmick)だということです。また、"$3.14159 million"は総額であり、セキュリティの脆弱性を指摘した人一人に支払われる金額ではないようです。また、当然でしょうが、脆弱性の指摘の内容はグーグルが審査を行い、賞金は内容次第だということです。詳しくは記事でも紹介されていますが、Chrome OSのウェブサイトに告知されています。


2013年1月28日月曜日

ブラジルのナイトクラブ火事、多数死者 ― snuff out

グーグルニュースUS版を見ていたら、ブラジルのナイトクラブでの火事で死者200名以上というトップニュースがまず目に付きました。

拾い読みしたUSA Today紙から下記を引用します。


Upon learning of the tragic nightclub fire early Sunday in Brazil, in which more than 230 people were killed, I experienced not only shock and sadness -- but anger. How often have we heard about similar tragedies before?

A rock band ignites pyrotechnics in an overcrowded nightclub. Soundproofing on ceiling and walls catch fire. Merriment turns into puzzlement, then panic, then horror. In minutes, hundreds of young lives are snuffed out.
(John P. Barylick. Brazil fire a reminder of R.I. blaze: Column. USA Today. January 27, 2013.)


最後の部分で、


hundreds of young lives are snuffed out


とあります。"snuff"という動詞に注目しましょう。

まず思い出すのが、においを嗅ぐ時のしぐさでくんくんとやるのを、"snuff"という動詞で表現しますが、調べてみると、ここでの"snuff"はそれとは別の動詞でした。

"snuff"とは、ろうそくに火をつけた時にろうそくの芯が焦げて黒くなった部分を指します。動詞の意味としては、その黒くなって焦げた(不要な)芯を切ることを意味するのですが、そこから転じて、


(ろうそくの火を)消す;消滅させる、滅ぼす


などの意味で用いられるようになり、特に、"snuff out"という場合には、


死ぬ;殺す


という意味で使われます。

話題が“火事”だけに、ろうそくの芯と関連する"snuff"という動詞を使っているのは記者の言葉選びの妙でしょうか。


2013年1月25日金曜日

こんな意味もあったの? ― north

"north"という単語は恐らく英語を習い始める中学校1年生の教科書に出てくるレベルの単語ではないでしょうか?英語を習い始めなくとも、方位の英単語くらいなら小学生でも知っているかも知れません。

ところが!です。

この"north"という単語にこんな意味もあったのか?とまたもや不勉強を恥じ入る次第です。


The burger craze sweeping the country has sparked fierce competition in the New York metro area, where a growing pack of chains is looking to cater to the beef-obsessed.

(中略)

Chains with an appetite for growth are eager to expand here despite concerns about a burger bubble, especially in the high-end market where the classic bun-and-patty combo can cost north of $10.
(Kaja Whitehouse. Burger madness takes over NY. New York Post. January 18, 2013.)


以前に“NYC発、バーガー戦争”というタイトルで取り上げたこともありますが、またしてもニューヨークでハンバーガーがホットな話題のようです。

詳細はどうでもいいのですが、上に引用した記事の後段で、


the classic bun-and-patty combo can cost north of $10.


とある部分に注目しましょう。

ハンバーガーショップ間の競争が過熱し、高級バーガーがもてはやされているようです。"classic bun-and-patty combo"というのは恐らくハンバーガーのスタンダード中のスタンダードなんだと思いますが、そのようなメニューでさえ、"north of $10"する、ということです。

この"north"は明らかに方位の北を意味するものではありません。しかしながら、手持ちの辞書を当たりましたがこのコンテクストにおける"north"を説明したものが見当たらないのです。

東西南北という方位から想像するに、"north"(北)は感覚的には“上”であり、"north of $10"が意味したいところは何となく想像はつきます。私は最初、“(スタンダードメニューが)10ドルもする”、というほどの意味かと解釈しました。つまり、"north of"を"as expensive as"、あるいは"as high as"というように解釈した訳です。

ところが、オンライン辞書をいろいろと当たって見て、これが間違いであることに気づきました。下記が定義です。


used to say that an amount is more than the stated amount
(例文)The share price is expected to rise north of $20.
(Cambridge Dictionaries Online.)


つまり、"north of~"は、“~以上”という意味で用いられるのです。

なぜ英和辞書に載っていないのか不思議です。


2013年1月24日木曜日

地理の復習 ― the pond

面白い英語表現の1つに、


on this side of the pond


というものがあります。例えば以下のように用いられます。


Typically this weekend, golf fans on this side of the pond wake up extra early, watch the British Open, then hit the course.
(Houston Chronicle. 2008.)


一体どういう意味だろうと思って、"pond"のエントリを調べると、"the pond"と言う時、それは海、特に大西洋のことを意味するのだそうです。

Merriam Websterでも、


sometimes used with the to refer informally or facetiously to the Atlantic Ocean


と補足説明があります。

したがって、"on this side of the pond"とは“大西洋のこちら側”ということになりますが、どう解釈したらよいのでしょうか?

"on this side of the pond"と対称的に、


on the other side of the pond


という表現もあります。こちらは逆ですから、“大西洋の向こう側”ということになります。

英和辞書に答えは書いてありますが、この表現はイギリス英語の表現なのでしょう、"this side"(こちら側)と言う時、それは英国を指し、"other side"(向こう側)と言う時、それは米国を指すようです。

冒頭に引用した例文では、ゴルフのブリティッシュ・オープンの話ですから、"this side"となっているのは納得です。

"other side~"の用例を最近のニュースから引用してみました。


He’s best known for his role as Jay Cartwright in The Inbetweeners but in real life James Buckley is less of an annoying teenager and more of a wannabe mod.

But it seems his look just doesn’t quite work on the other side of the pond as the actor stood out like a sore thumb at the Sundance Film Festival on Monday.
(Fay Strang. James Buckley’s mod look doesn’t quite translate in the US… as he looks out of place in a parka at Sundance Film Festival. Daily Mail. January 22, 2013.)


James Bucklyさんというのはイギリスの俳優だそうですが、アメリカで行われているサンダンス映画祭で、そのファッションが(まわりと異質で)ちょっと浮いている、という話です。

これはイギリス人がアメリカにいるということで、"other side~"になっているのは納得です。

今日は地理の復習みたいになりました(笑)


2013年1月23日水曜日

要は口パク? ― lipsynch

2日続けてオバマ大統領の就任式の話題になってしまいますが、就任式でアメリカ国家を歌った、Beyonceナントカさん(有名な歌手なのだと思いますが知らないものですから・・・)のパフォーマンスは実は口パクではなかったのかという疑惑が持ち上がっているそうです。


A controversy over whether Beyonce lip-synced the “Star Spangled Banner” during the inaugural ceremony is headed into a third day. Should this even be a controversy?

The pop superstar delivered a dramatic and critically hailed rendition of the national anthem — but was it live? Or the pre-recorded version she taped at a Marine Corps studio Sunday night?
(Beyonce lip-sync controversy evolves: Did she sing live? The stories change. The Washington Post. January 22, 2013.)


いわゆる“口パク”のことを英語で、


lipsynch(もしくは、lip-synch)


というとは知りませんでした。"lip synchronization"に由来するそうで、既に録音されている音源に唇をシンクロさせるという行為がそのまま英語になったのでしょう。

ところで、"lipsynch"を“口パク”という日本語に単純に置き換えていいものかどうかは少し議論の余地がありそうです。

Wikipediaによりますと、"lipsynch"という手法には様々なものがあり、例えば映画などでは撮影したものに後からセリフ音声を“吹き込む”ことは通常行われていることですが、これも"lipsynch"の一種なのです。

“口パク”という表現にはそれ自体に非難のニュアンスがありますが、"lipsynch"は必ずしも全てが非難を受けるような類のものではないということは押さえておくべきかもしれません。

しかしながら、上記のニュースといい、“口パク”と言えば思い出す人も多いかも知れませんが、例の北京オリンピックの“天才”少女の騒動に関する記事も"lipsynch"が使われていることを見れば、要は“口パク”ということになってしまうでしょうか。


BEIJING — China's $100-million Olympics opening ceremony wowed its global TV audience with a lavish spectacle and pizazz that tried to present a perfect image of China to the world, right down to the perfect teeth of the little girl who took center-stage and sang an ode to the motherland.
(China abuzz over lip-syncing singer. Los Angeles Times. August 13, 2013.)


ちなみに手持ちの辞書に"lipsynch"のエントリは見当たりません。一般には、"mime"という動詞が使われるようです。


2013年1月22日火曜日

何と訳す? ― photobomb

再選を果たしたオバマ米大統領の第2期目の就任式がここ数日話題です。大統領就任式のことを、


inauguration


と言うことはご存知だと思います。ここ数日の主要紙のヘッドラインでよく見かける単語です。

ところで、"inauguration"という単語が出てくるので就任式の話だなと分かるのですが、何やら物騒な単語が見えるヘッドラインに目が留まってしまいました。

"photobomb"(写真の爆弾!?)という単語がそうなのですが、意味をご存知ですか?


Former president Clinton photobombs Kelly Clarkson during inauguration

Oh Bill!

Former President Bill Clinton may have been putting in a request to become the Internet's latest meme.

Clinton, who was in attendance for the second inauguration of President Obama, seized the opportunity to photobomb Kelly Clarkson during the "American Idol" winner's rendition of "My Country 'Tis of Thee."
(Former president Clinton photobombs Kelly Clarkson during inauguration. New York Post. January 21, 2013.)


爆弾(bomb)とは大統領就任式に似つかわしくない物騒な話ではないでしょうか?また、"photobomb"は見たところ他動詞として使われています。その目的語はKelly Clarksonという人になっていますが、一体どういう意味なのでしょうか?

手持ちの辞書を当たりましたが、"photobomb"という単語は載っていません。最近の造語、あるいはスラングであろうとネットを検索すると、いくつかのオンライン辞書で定義を確認することができました。


spoil a photograph of (a person or thing) by unexpectedly appearing in the camera’s field of view as the picture is taken, typically as a prank or practical joke
(Oxford Dictionary)


なるほど。

記事の写真を見ると、Kelly Clarksonという歌手(?)を中心とした写真の背後で、クリントン前大統領が頭だけをひょこんと出している様子が写し出されています。結果、恐らくはKellyさんにフォーカスした写真のはずが、頭だけを出しているクリントン氏が変に目立ってしまっている写真になってしまっています。

"photobomb"が意味したいところは分かりましたが、では日本語で何と訳したものでしょうか?

上記のOxfordの定義にもあるように、いたずらや冗談でやることが多いかも知れませんし、単なる目立ちたがり屋の行為かもしれません。また、悪意もなく、意図せずそのようになってしまったということもあるかもしれません。いずれにしても、撮影者の意図から外れて、写真を台無しにしてしまうという結果は同じとは言えます。そういう意味で"bomb"(爆弾)なのだと思われますが、“台無し”という日本語がパーフェクトだとも思えません。

語源ですが、Oxford Dictionaryによれば、


perhaps after Google Bomb


とあります。"Google Bomb"とは一体何でしょう?

私も知らなかったのでネットを頼りましたが、グーグルの検索結果の上位に表示されるよう、特定のウェブページへのリンクなどを意図的に操作することを指すようです。

この"Google Bomb"という表現が意味するところもそうですが、検索ユーザーが求めている(意図している)検索結果とは別の、意図的に操作された結果が上位に表示されるという点で、"photobomb"と概念を共通にしているのでしょう。


2013年1月21日月曜日

パスワードを覚えるなんてもう古い!? ― passdevice

インターネットが日常インフラとなった今日、会社とプライベートに関係なくPCへのログインは言うに及ばず、電子メールやSNS、オンラインストレージなどの利用でパスワードの入力と無縁な人はいないのではないでしょうか?

使うサービスの種類が増えると、覚えなくてはならないパスワードの数も増えてきますし、だからといって共通のパスワードにしてしまうと唯一のパスワードが漏洩してしまった場合のリスクが高すぎます。

覚えやすいパスワードは推測されやすいとされ、サービスによっては独自のパスワード基準(文字数、最低限のアルファベット、数字、記号の組み合わせ)も異なったりします。

当たり前といえば当たり前ですが、こんな"password"の内在するリスクと管理上の煩わしさを払拭してくれるものとして、"passdevice"なるものが研究されています。


The topic of passwords has made headlines in the past year — from high-profile hacks to web users repeatedly not picking the right ones — but Google has its sights set on making the login-process much more secure in the future.

How secure, you may ask? Consider logging into Gmail with a high-tech ring worn on your finger or a key card that plugs into your computer's USB port.

As detailed in a research paper in IEEE Security & Privacy Magazine and reported on by Wired, Google is already looking into password alternatives in the form of passdevices. The initiatives have also been confirmed by Mashable.
(Samantha Murphy. Google working on password alternatives. The Sydney Morning Herald. January 21, 2013.)


当たり前のことかもしれませんが、"passdevice"という単語は辞書には載っていません。この"passdevice"という単語、"password"という単語から生まれた新語であると解釈できるでしょう。つまり、認証(pass)のために入力する“文字列”(word)ではなく、認証(pass)に用いるデバイス(device)ということです。コンピュータサイエンスでは"passcode"という単語も使われますが、こちらはアルファベットや数字の組み合わせとしての文字列というよりも、数字だけの組み合わせを指す意味で用いられます。

さて、引用した記事で話題になっている"passdevice"ですが、簡単に言うと小さなカードの形をしたUSBデバイスで、これをUSBポートに差し込むことで認証を可能にするもののようです。例えて言うと、自動車のキーみたいなものでそのデバイスを持っている本人にログインや操作の認証を与えるというような働きをするものです。

"passdevice"という単語が辞書のエントリになるのも近いかもしれません。


2013年1月18日金曜日

Subwayのサンドイッチが槍玉に ― measly

随分とご無沙汰しているのですが、Subway(サブウェイ)のサンドイッチは(マクドナルドのハンバーガーなどのファーストフードと比べたら)個人的には好きな方です。

そのSubwayのサンドイッチがネットで槍玉に上がっているというニュースを見つけました。

何が問題かって?

ご存知のようにSubwayのサンドイッチは“オーダーメイド”がウリですが、いわゆるフットロング(foot-long)と呼ばれるパンのサイズが実はフット(1 foot)に満たないというクレームが上がっているというのです。


When wrapped up in packaging, hidden from the world, it is hard to tell exactly what a Subway sandwich is packing.

But an Australian sleuth with a measuring tape has whipped up a firestorm of controversy after he discovered the sandwich-maker's dirty little secret — Subway's famous "footlong" sub measures in at a measly 11 inches.

Matt Corby posted an incriminating picture of his favorite "footlong" next to a measuring tape with the caption "subway pls respond" on the company's Facebook page yesterday and it already has over 100,000 likes and has sparked a slew of copycat postings demanding an explanation.
(Michael Blaustein. Subway sandwich has an 11-inch size problem. New York Post. January 16, 2013.)


記事にある写真を見ると、購入したサンドイッチの横に置かれた物差しは11インチを指し示しています。クレームはSubwayのフェースブックページに投稿されたそうです。

ところで、メートル法の国に住む我々はアメリカの度量衡に戸惑うことが多いですが、1 footは何インチか覚えておられますか?

不勉強な私は忘れていましたが、12インチが正解です。日本のSubwayのサイトではフットロングは30 ㎝とされています。

さて、今日の単語ですが、"measly"という聞き慣れない(見慣れない)単語です。

"measles"(はしか、麻疹)を思い出すスペルですが、果たしてその"measles"と関連があるのです。

上記では、


ちっぽけな、卑小な、わずかな


という意味で使われており、語尾は"-ly"ですが形容詞です。

なぜ、“はしか、麻疹”を意味する単語が物の大きさを形容する意味に変化したのでしょうか?

American Heritage Dictionaryによれば、


from the low quality and unhealthiness of pork infected by porcine measles


ということなのですが、麻疹の原因となる嚢虫に感染した豚肉の連想から生まれたもののようです。分かったような分からないような説明だと思いましたが、病気に罹った豚の肉のように品質の劣る、また不健康なものという意味から、品質基準に満たない、不満足なレベルの、ということを意味するようになったと思われます。“不満足なレベル”というのは多いか少ないか、大きいか小さいかという観点では、少ない、小さい、というのは疑問を差し挟む余地もないのでしょうか。不満足イコール、卑小な、という意味で使われるようになったということでしょう。

ちなみにですが、別の記事では下記のような表現が使われています。


More than 100,000 people have ‘‘liked’’ or commented on the photo, which has the caption ‘‘Subway pls respond.’’ Lookalike pictures have popped up elsewhere on Facebook. And The New York Post conducted an investigation that found four out of seven footlong sandwiches were shy of the 12 inches that makes a foot.
(Mae Anderson. Subway’s 11-inch ‘footlong’ sandwich sparks online uproar. The Boston Globe. January 17, 2013.)


覚えていますか?復習ですね。


2013年1月17日木曜日

N.Y.男性で高級腕時計が流行 ― bling

私は普段腕時計をしませんが、会社の同僚にはとても高価そうな腕時計をしている人がよくいます。

腕時計のブランドについては、ロレックスとかブルガリとか、有名どころは聞いたことはありますが、いくらくらいするものなのかについては、そもそも購入意思もなければその余裕もないため、高価である、ということ以外に知らないというのが正直なところです。

ところで、今日の話題ですが、ニューヨークの男性の間では高級腕時計が流行っているのだそうです。理由は女性受けがいいから、というまことに持って現実的な話です。


Awaiting the arrival of a potential beauty he met over the Internet, newly divorced Manhattan surgeon Robert Huang is sipping nervously from his drink, hoping he’ll pass muster on the cutthroat New York dating scene.

Then he checks his diamond-studded Cartier gold watch (the flashy $80,000 timepiece he dug out from his drawer after the final divorce papers were signed), and instantly feels reassured.

Like a growing number of singletons in the city, the 53-year-old doctor believes that expensive wrist bling is the “must-have” accessory when you’re looking for love.
(Jane Ridley. Meet the Rolex Romeos! New York Post. January 15, 2013.)


記事によりますと、女性を口説き落とそうと思ったら、ダイヤモンドやゴールドがまばゆく輝く、大きな文字盤の腕時計が必須アイテムであり、これは高級車を所有しているよりも効果があるそうです。(その理由は、腕時計は所有者と常に一緒でずっと腕回りで主張してくれますが、高級車は駐車場止まりだから、だそうです(笑))

さて、今日の単語ですが、"bling"です。

"wrist bling"という形で最後の段落に出てきますが、初めてみる単語ではないでしょうか?

まず携帯に付属している英和辞典ではエントリが無く、その後ランダムハウス英和も引いてみたところやはりエントリが無く、かなり“レアな”単語ではないかと思います。その証拠に、これを編集しているPCでは"bling"という箇所にはスペルミスを警告する赤波下線が引かれているのです。

American Heritage Dictionaryではエントリがあったのですが、その定義は、


1. Jewelry or fashion accessories, usually made of metal or other shiny material.
2. Showy or ostentatious items.


とあります。いわゆる“キラピカもの”ということでしょうか。

語源解説を見ますと、ヒップホップソングに端を発する俗語であるということですが、宝飾品の類がきらりと輝きを放つ様態を表音化したものが、"bling"だということです。

Wikipediaによれば、歯磨き粉のコマーシャルで使われた効果音にさらに遡るそうです。

"bling-bling"というスペルの単語もありますが、"bling"と同じ意味のようです。


2013年1月16日水曜日

B787の相次ぐトラブルは“初期不良”? ― teething problem

ボーイング787型機が相次ぐトラブルに見舞われており、全日空や日本航空などが当面運航を中止する旨発表したことがニュースになっています。

本日も山口宇部空港発羽田行きの同型機で機内に煙が充満するなどしたため、高松空港に緊急着陸するという事態になったようです。


TOKYO (AP) — Boeing Co.'s 787 planes were grounded for safety checks Wednesday by two major Japanese airlines after one was forced to make an emergency landing in the latest blow for the new jet.

All Nippon Airways said a cockpit message showed battery problems and a burning smell were detected in the cockpit and the cabin, forcing the 787 on a domestic flight to land at Takamatsu airport in western Japan.
(Emergency landing grounds Boeing 787 jets in Japan. USA Today. January 16, 2013.)


記事の中で、いわゆる航空評論家が意見を述べている箇所が以下です。


The earliest manufactured jets of any new aircraft usually have problems and airlines run higher risks in flying them first, said Brendan Sobie, Singapore-based chief analyst at CAPA-Center for Aviation. Since about half the 787 fleet is in Japan, more problems are cropping up there.

"There are always teething problems with new aircraft and airlines often are reluctant to be the launch customer of any new airplanes," Sobie said. "We saw it with other airplane types, like the A380 but the issues with the A380 were different," he said.
(ibid.)


上記の第2段落冒頭にある、"teething problem(s)"という表現を今日は取り上げたいと思います。

"teething"とは、"teeth"("tooth"の複数形)の動詞形"teethe"のことで、歯が生えてくること、を意味しています。つまり、歯が生えてくる際の(色々な)問題、ということですが、これは赤ちゃんに歯が生えてくる際にむずがったり、食事を嫌がったり、といった色々なややこしい問題のことを言っているものです。

このことから、新しいプロセスが始まる際に典型的に見られるような不具合のことを、"teething problem"(あるいは、teething trouble)と呼ぶようになりました。

日本語の表現はいろいろあるかと思いますが、“初期不良”という表現が近いように思います。(何だかパソコンの初期不良みたいな感じで、人を乗せる航空機と同じレベルではありませんが・・・。)

国内メディアの記事などを読んでみますと、やはり日本の航空評論家の人がコメントしていますが、“初期故障”と言っています。

記事などによりますと、問題となっているボーイング787は日本が世界に先駆けて導入したようですが、新型機というものは"teething problems"がつきものであり、避けられがちだということです。


2013年1月15日火曜日

ノーマーク ― under the radar

"under the radar"という成句(?)をご存知でしょうか?手持ちの辞書をいくつか当たって見ましたが、エントリがありません。きっかけは下記の記事でした。


It’s 10 o’clock: Do you know where your kids are online? The answer is probably Tumblr.

Tumblr, the New York City startup that faces a crucial year of incorporating advertising into its scheme, is still under the radar for marketers, but not for the youth, who give the social blogging platform a demographic edge.

In fact, the site turned heads in Silicon Valley last week when a prominent investor commissioned a survey that found Tumblr is even more popular with 13- to-25-year-olds than Facebook.
(Garett Sloane. Tumblr has more ‘likes’ than FB. New York Post. January 13, 2013.)


今をときめくSNSの話題ですが、フェースブックとかTumblrとか、色々なサービスがあるようですが、13~25歳の若い世代にはフェースブックよりもむしろTumblrというSNSの方が人気だそうです。

サービスや機能がどう違うのかという詳細はどうでもいいのですが、中段に、


Tamblr...(中略) is still under the radar for marketers,


と出てきます。"still"という修飾語、また、続く"but..."以下の文脈との対比から、またこの記事のコンテクストから、このTumblrというSNSがフェースブックと比べるとまだ台頭し始めたばかりのサービスであり、市場関係者(marketers)にとってはまだあまり注目されていない状況である、といような文脈が読み取れます。

が、いざ"under the radar"という表現を確認しようとしたのですが、辞書に載っていないのです。

オンライン辞書ではいくつか確認できました。Weblioというオンライン辞書によると、


ノーマーク


という訳語で紹介されていました。なんとぴったりくる表現でしょうか。

さらにWiktionaryによりますと、下記のような語源解説があります。


An allusion to flying an airplane at an altitude too low for radar detection.


納得!

ちなみに、レーダー(radar)という英単語はRadio detecting and rangingの頭文字を取った省略語であることをご存知でしょうか?電波を使った目標物の存在や位置の探知という意味です。

"under the radar"とは存在や位置を探知するための電波に引っかからないということ、上記の語源説明にもあるようにレーダーで探知されるよりも低い高度で航行し、探知されることも免れることを指しています。

元々は軍事のコンテクストにおける表現だったと思われますが、次第にある事象などが気づかれない状態にあることを意味するのに用いられるようになったようです。

もう1つ用例を挙げます。


Several experts inside and outside Japan told The Associated Press that cancers caused by the radiation may be too few to show up in large population studies, like the long-term survey just getting under way in Fukushima. That could mean thousands of cancers under the radar in a study of millions of people, or it could be virtually none.
(The Associated Press. 2011.)


さらにもう1つ、変わった例を。


7 under-the-radar cultural destinations
(Jordan Kisner. CNN. November 15, 2013.)


これはCNNのTravel(旅行)特集の記事のタイトルなのですが、パリとかニューヨーク、ベルリンなどのメジャーな観光都市以外の、いわゆる一般には“ノーマーク”だけれども訪問するに値する都市を特集したものです。

2013年1月14日月曜日

レディー・ガガの"machine gun"ブラが物議 ― garb

レディー・ガガというアメリカの芸能人のことはあまりよく知りませんが、そのセクシュアルなパフォーマンスがたびたび物議を醸しているらしいということは、ネットのニュース記事などを斜め読みしていますと否が応でも知ることになります。

今日は成人の日。この日の話題としてはどうかと思いましたが、


Lady Gaga's machine gun bra worn during concert causes outrages
(Herald Sun)


というタイトルに目が留まってしまいました。

内容は成人向けというほどのこともありませんが、記事の写真を見るとなるほど“マシンガン”ブラです。


NO stranger to controversy, Lady Gaga has caused outrage once again by brandishing a machine-gun bra just a month after twenty six people were killed in a US school massacre.

The popstar donned the outfit, consisting of two plastic assault rifles strapped to each cup, during her concert in Vancouver, Canada.

But critics have suggested the garb is insensitive and in poor taste after 20 children and six adults were killed in a horrific massacre at Connecticut's Sandy Hook primary school on December 14 last year.
(Lady Gaga's machine gun bra worn during concert causes outrages. Herald Sun. January 14, 2013.)


問題はカナダで行われたコンサートでの衣装で、百聞は一見に如かずなので記事の写真を見ていただきたいと思いますが、両胸を覆い隠すブラジャーからそれぞれマシンガンが突出した、奇抜な衣装です。

衣装と言えるのか疑問ですが、批評家は(critics have suggested)


the garb is insensitive and i poor taste after 20 children and six adults were killed in a horrific massacre


と指摘、つまり昨年12月にアメリカの学校で銃乱射事件があった直後にケシカラン、ということです。

下らないニュースだとは思いますが、"garb"という単語を新たに勉強したのは収穫でした。

"garbage"(ごみ)の省略形か何かかと最初思いましたが、衣装、装飾を意味する単語です。古期イタリア語で“優雅”を意味するgarboが語源だそうです。

とても優雅とは思えない不謹慎な"garb"のニュースでした。


2013年1月11日金曜日

早食いを矯正してくれるフォーク ― zap

アメリカのラスベガスでコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)が開催されています。

家電見本市とも呼ばれていますが、毎年最先端の技術を使ったテレビやカメラ、携帯端末などの家電製品が発表され、連日朝刊の経済面に大きく取り上げられています。

今日は、USA TODAY紙にちょっと変わった製品が紹介されています。その名も“早食い矯正フォーク”とでも言ったらいいでしょうか?


If you've been keeping up with our coverage from International CES at Las Vegas, you may have heard about the HAPIfork, an electronic utensil that zaps you for eating too quickly.

Here are some more details: the fork features a circuit that connects the handle of the utensil to the prongs at the end. Once you put the fork in your mouth to take a bite, it counts one serving. By interacting with both your hand and mouth, the fork can keep track of how many servings you eat.

The HAPIfork also measures how long it takes you to eat a meal, the average amount of servings you consume per minute and the total number of fork servings.

So what happens if you eat too fast? A LED light on the handle pops up, and the fork gives a gentle buzz to alert you to slow down.
(Brett Molina. More on the fork that monitors how you eat. USA Today. January 10, 2013.)


HAPIforkという名前のこのフォークには電子回路が仕込まれており、フォークで食べ物を取って口に運ぶとその回数をカウントするのだそうです。そして単位時間当たり(たとえば1分間に)何回口に運んだかということで、食べる速さを計算し、速すぎると“警告”する仕組みだとか。

いったいどんな“警告”なんでしょうか?


"zaps you for eating too quickly"


とありますが、"zap"を辞書で引くと色んな意味がありますがその中に、


衝撃を与える、感電させる、しびれさせる


とあります。

これはおっかないですね!?食べるのが速すぎるとフォークを持つ手に電流が走るなんて、おっかなくて食事を楽しめません。

"zap"の意味するところがよく掴めないまま後段を読むと少し安心しました。やはり電気が流れるというような過激なもののではなくて、LEDライトが点灯しブルッと震える(buzz)ということでした。

"zap"という単語は、"imitative"、つまり擬声語なのですが、ビシッ、とかバシッ、とかの銃声から来ているということです。

ここでは、件のフォークが単に警告を発するのを、少し誇張的に"zap"という単語で表現したものでしょう。


2013年1月10日木曜日

こんな意味もあったの? ― blessing

こんな意味もあったの?”のコーナーです。

下記の記事を読んでみましょう。


Next time, stick with the french fries.

That was the lesson learned by a French teacher who was sacked from her job at a Manhattan private school for allowing students to drink wine on a school-sponsored trip to France.

A Manhattan Supreme Court judge upheld the June 2010 termination of teacher Daniele Benatouil in a decision filed this week.

Judge Sholmo Hagler noted that while Banatouil obtained written permission from parents for their children to enjoy wine with dinner in France, she did not have the blessing of her supervisors.
(Julia Marsh. Judge upholds firing of teacher who let students drink wine during trip to France. New York Post. January 9, 2013.)


私立学校の教諭が、引率のフランス旅行中に生徒にワインを飲ませたということでクビになったということです。生徒が何歳くらいなのかの情報がありませんが、未成年に飲酒をさせたということなのでしょう、クビになるか懲戒処分になるか、程度の差はあれど、どこの国でも問題になりそうな話ではあります。

今日の単語は、"blessing"です。引用した部分の最後に出てきますが、


she did not have the blessing of her supervisors


とあるのは、直前の


while Banatouil obtained written permission from parents


とある部分を読めば、"blessing"が"permission"の意味であることが大体想像つきますが、私は"blessing"がそのような意味で使われるとは知りませんでしたので、改めて辞書を引いてみました。

"blessing"と聞くと、恩恵、慈悲など、すぐに神(God)を連想しませんか?キリスト教徒が食前に神への感謝の言葉を述べますが、それも"blessing"です。

このような意味しか知らなかったわけですが、口語としての用法では、


approbation; approval
(American Heritage Dictionary)


の意味で使われます。

ちなみに、非難や叱責という意味で使われることもあるそうですが、その用法についてはまだ見たことがありません。


2013年1月9日水曜日

何と訳す? ― guesswork

今日は翻訳(英語→日本語)の話題です。まずは下記の記事を読んでみましょう。


Many Americans stepped into the new year vowing to eat better and perhaps drop 10 or 20 or 100 pounds in 2013. While these healthy resolutions are often accompanied by good intentions, they're also elusive without a specific plan. In an effort to take some of the guesswork out of healthy eating, U.S. News has published the third annual Best Diets 2013 rankings.
(Laura McMullen. Health Buzz: U.S. News Ranks Best Diets 2013. US News & World Report. January 8, 2012.)


2013年がスタートしましたが、今年の抱負にダイエットするぞ、とか、~キロ痩せたい!という目標を掲げるのはどこの国でも同じということでしょうか。上記に引用した記事はこのような話がテーマなのですが、さらっと読んでみて大体の意味は掴めたでしょうか?

大意が掴めたとして、では、上記を日本語に翻訳するとなるといかがでしょう?

私自身は何となく分かったような気になって読んでいたのですが、後段に出てくる、


In an effort to take some of the guesswork out of healthy eating,


という部分で引っかかりました。

今日の単語、"guesswork"は“あて推量、当てずっぽうの答え”という意味であり、ことさら難解な単語でもありません。また上記の部分に関しては、


take xxx(目的語) out of~


という構造であることは明白で、~からxxx(目的語)を取り除く、というくらいの意味になることも分かると思います。

が、英語でさらっと読んで分かったような気になっていたのですが、いざ日本語でしっくりとくる表現におきかえて解釈しようとしたときに、それが意外と難しく、しばらく悩んだのでした。

解釈としては、健康的な食生活(healthy eating)を送る上であて推量を無くすために、Best Diets 2013のランキングをここに公表!、というようなところだと思いますが、どうにも翻訳口調というか、日本語らしくない表現になり、分かったような分からないような気になります。

ここで思ったのが、"take the guesswork out of~"というのはひょっとしたらお決まりのフレーズなのではないかということでした。しかしながら、辞書をいくつか当たったものの、"guesswork"のエントリには説明はなく、上述したように当て推量という意味が載っているだけです。

そこでコーパスの出番です。COCAを使って調べたところ、"take the guesswork out of~"というフレーズの類は"guesswork"が出てくる文脈では全体で2番目に多いものでした。

ということで、"take the guesswork out of~"はいわゆる常套句の類であることが分かりますが、どういう日本語にするとしっくりくるでしょうか?

いくつか用例を見てみたいと思います。


Not sure what your significant other wants? The Lovendar app for iPhone has the ambitious goal of taking the guesswork out of loving relationships worldwide. The launch arrives just in time to avoid holiday gifting disasters, and promises ideal 2013 New Year's and Valentine's Day celebrations. Lovendar is available on iTunes.
(Lovendar App Takes The Guesswork Out Of Love. PRNewswire. December 17, 2012.)


A slew of portable laser rangefinders and GPS devices takes the guesswork out of club selection and helps improve the pace of play.
(Golf Magazine. June 2009.)


The Gymboss interval timer and stopwatch, meanwhile, is a great addition to any exercise program. This pager-sized device can be programmed to repeat intervals of lengths from two seconds to 99 minutes, thus taking the guesswork out of training.
(USA Today. May 2010.)


不思議ですが、いくつか用例を読んでいくにつれてこの表現に親しみが出てくる感があります。(どう訳すかという課題は残っていますが。)

最初の用例は昨年末、時期的にちょうどクリスマスの前のものだと思われますが、大切な人にどんなクリスマスプレゼントを贈るかで悩む人向けのiPhoneアプリの紹介、といったところでしょうか。このアプリでプレゼント選びをすれば失敗なし(!?)みたいな感じです。

2番目に上げたのはゴルフ雑誌からの引用です。ゴルフをやりませんのであまり詳しく知りませんが、GPS搭載の最新鋭デバイスを使えばコースに出てクラブの選択で迷うこともありません、というような製品の宣伝みたいなくだりです。

3番目、これはトレーニングで使う時計(ストップウォッチ)に関する話題のようです。これも製品の宣伝みたいなものですが、高機能なストップウォッチがあればトレーニングの心強い見方ですよ、みたいなところかと思います。

以上、総合しますと、"take the guesswork out of~"のフレーズは製品やサービスの宣伝文句で使われているのが多そうですが、


XYZ(製品名、サービス)は、~からあて推量を無くします、云々


というのは如何にも翻訳口調で堅苦しく、


XYZ(製品名、サービス)を使えば、~で(~するのに)悩み(不安、迷うこと)なし


というのが日本語らしくてよいのではないかと(勝手に!)結論しました。

冒頭引用した記事については、


ヘルシーな食生活で迷うあなたにおくる、US Newsによる第3回Best Diets 2013のランキングです(!)


というくらいが適当ではないかと。

つまり、"guesswork"(あて推量)にあたる日本語は出てきません。


2013年1月8日火曜日

NJの駅エスカレータが逆走 ― haywire

New York Post紙のツイッタータイムラインを読んでいましたら、


WATCH: 5 injured after steep PATH escalator starts moving backwards during a.m. commute


というタイトルが目を引きました。PATHというのは、Port Authority of New York & New Jerseyのことで、アメリカのNYとNJをつないでいる鉄道のことですが、Exchange Place駅の登りエスカレータが突然逆走し、5人がけがをしたとのことです。記事は以下のように続きます。


Here’s a reverse commute no one wants!

Five people were injured this morning in New Jersey when an ascending escalator at the Exchange Place PATH station suddenly went haywire and headed south, officials said.

Three of the injured commuters were taken to the hospital.
(Jennifer Fermino. New York Post. January 7, 2013.)


記事のタイトルに"WATCH:..."とありますように、ビデオ映像付きの記事になっています。偶々現場に居合わせた別の利用者が携帯端末で撮影したもののようですが、登りのエスカレータが突然逆走して降りに動き始め、ハンドレールに必死で掴まる人や、なすすべもなく下の方へ運ばれていく人など、混乱ぶりがうかがえます。

さて、今日の単語、"haywire"ですが、文字通りの解釈は、"hay"(干し草)の"wire"(ワイヤー、針金)ということになります。実際、元々の意味は、干し草を束ねて俵のようにするためのワイヤーのことを指していました。

その"haywire"が時を経て、


乱れた、めちゃくちゃの、(機械などが)故障した、(人が)狂った、おかしくなった


といった意味に発展したというのは興味深いものがあります。

American Heritage Dictionaryによると、特に北米の人たちが干し草用のワイヤーを使ってその場しのぎの修理などを行う習慣があったそうなのですがら、素人のその場しのぎの修繕ですから“間に合わせの、効果的でない”ものであることが多く、その意味から発展して、“適切に機能しない”(not functioning properly)、“狂っている”(crazy)という意味になったということです。


2013年1月7日月曜日

KFCは大丈夫? ― unsightly

つい先日ですが、中国のケンタッキー・フライド・チキン(KFC)で使われている鶏肉から過剰な抗生物質が検出されたというニュースを新聞で読んだのですが、オーストラリアのKFCでは客が食べていたチキンに脳みそ(!)のような肉を見つけたというニュース記事を今日たまたま見つけました。


A HORRIFIED student has vowed never to eat at KFC again after finding what looked like a chicken's BRAIN in his meal.

Disgusted Ibrahim Langoo was tucking into a Gladiator box meal when he spotted what he thought was a “wrinkled brain” inside a piece of chicken.
(Finger Lickin' Bad. The Sun. January 7, 2012.)


記事にはその証拠写真がありますが、かじりかけでしょうか、胸焼けするような気持ちの悪い写真です。

当然ですが、客のオーストラリア人男性は店員に苦情を言ったそうです。しかしながら、埒が開かなかったのでしょうか、男性はこの胸がむかつくような写真を自身のフェースブックに投稿したそうです。苦情はKFCの本社(?)までエスカレーションされたのでしょうか、実物の検分はされていないようですが、写真からの判断では腎臓(kidney)と思われるということです。


KFC have apologised and, after having the photographs analysed, reckon the unsightly organ may in fact be a KIDNEY.

The 19-year-old took a photograph of the three-inch stomach-churning discovery on his mobile phone and complained to staff.

Apologetic bosses at the fast-food chain – known for its Finger Lickin’ Good slogan – have now offered him vouchers for even more KFC meals.
(ibid.)


それにしてもこんな写真を見たらちょっと食べに行くのは遠慮したくなります。果たして日本のKFCは大丈夫なのでしょうか?

今日の単語ですが、記事を読んでいて"unsightly"という表現が気になりました。辞書で引くと、


見苦しい、目障りな、醜い


とあります。反意語は、"sightly"で、見た目がよい、という意味ですが、そうなると"unsightly"は“見た目がよいとは言えない”という、やや消極的な意味にもなるでしょうか。

ところでこの"unsightly"という表現はKFCのスポークスマン(広報担当)の表現のようなのです。記事中では引用符付で何度も出てきます。


Experts at KFC have examined the photograph and believe the “unsightly” organ was a chicken kidney.

A KFC spokesman admitted the finding was “unsightly”, adding: “We always try to ensure the highest standards in all of our restaurants.
(ibid.)


記者はこの"unsightly"という形容詞を敢えて引用符をつけて二度も三度も引き合いに出しているのですが、どうもそれはKFCに対する皮肉なのではないかと思えてきます。見るだけで吐き気を催してしまいそうな事実に対して、過激な表現を避け、冷静というか当たり障りのない形容詞であり、そのあたり自社製品に傷がつくことを最小限に抑える上での巧妙な表現ではないでしょうか。


2013年1月4日金曜日

海外での飲酒にご注意 ― spike

昨年末から年始にかけてはカレンダー上休みが取り易かったとかで、年末年始を海外で過ごしたという方も多いかも知れません。旅行を終えて既に帰国している人が多いかもしれませんが、海外でお酒を嗜む際は注意が必要です。

オーストラリアは現在季節は夏ですが、インドネシア方面へ旅行する人が多いそうです。バリ島方面を旅行していた10代の男性が現地の強いお酒を飲んでメタノール中毒になったということです。


Australians travelling to Indonesia are being warned there is a real risk of methanol poisoning from alcoholic drinks.

A Perth teenager is fighting for his life in hospital after being flown home from Indonesia with suspected methanol poisoning.

Liam Davies, 19, was celebrating the new year on Lombok near Bali when he became ill after drinking an alcoholic beverage.
(Australian travellers warned about drink dangers. ABC News. January 4, 2012.)


私はインドネシアなど東南アジア方面は旅行したことがありませんのでほとんど知りませんが、記事にも出てくる、Arakというお酒はいわゆる地元の焼酎みたいなもので、アルコール度数も高く、人気があるお酒だそうです。ところが、一部の劣悪なメーカーにおける醸造プロセスの問題なのでしょうか、酷い場合には死に至る危険性もあるメタノールが混入しているリスクがあるということですから、余程注意しないと二日酔いでは済まない、取り返しのつかないことになります。


The chairman of the WA-based Indonesia Institute, Ross Taylor, says some alcoholic drinks, including Arak, are made in Indonesia with chemicals including the deadly methanol.

"People need to exercise great caution because more and more of this methanol-based Arak is making its way into the market because there's very big money in it and it's very profitable for some very unscrupulous operators," he said.

(中略)

"It's difficult to know whether these drinks are being deliberately spiked or there's just unprofessionalism in the distillation process and the methanol's not being filtered out," he said.
(ibid.)


上に引用した関係者のコメントの中に、"spike(d)"という表現が出てきます。"spike"とは、飲料にアルコールを加えることを意味する俗語表現です。

カクテルなどのように、ノンアルコールの飲料にウィスキーやジン、ラムなど比較的アルコール度数の強いお酒を加えることを指すものですが、"spike"のもう1つの意味は薬物や毒を加えるという意味でもあります。

引用したコメントの、"deliberately spiked"という表現は後者の方でしょうか?怖ろしい話です。


2013年1月3日木曜日

becalm

"becalm"という単語をご存知でしょうか?普段あまり見ることがない単語ではないかと思います。

そのスペルからして、"be-"と"calm"という単語が結合してできたことは容易に想像がつくかと思います。

"be-"という接頭辞の役割として、名詞や形容詞、動詞などと結合して新しく動詞を作るというものがあります。"belittle"や"behead"などがそうです。

"becalm"は、"calm"、つまり、平穏という意味の名詞とも取れますし、穏やかなという意味の形容詞、もしくは静める、なだめるという意味の動詞とも取れる単語と結合している訳ですが、意味も同様の意味合いかというと、そこはちょっと違うようです。

この単語にお目にかかったのは、例の米国の“財政の崖”問題に関する記事でした。


The deal that kept the nation short of the fiscal cliff also spared wind energy advocates a tax consequence they had feared would becalm the industry.

Among provisions of the legislation to avert automatic Jan. 1 tax increases and spending cuts was the extension for another year of the renewable energy production tax credit that expired at the end of 2012.
(Emily Pickrell. Wind industry avoids a tax blow - Renewable energy credit lives on for another year in fiscal cliff legislation. The Houston Chronicle. January 2, 2012.)


減税措置などの特例法が2012年末で期限切れを迎え、2013年に入ってしまうと実質増税となり不況にいっそう深刻な影響を与えるとして年末のぎりぎりまで米国の議会で落とし所を探る議論が続いていたものですが、何とか増税になることが回避されたというニュースが流れたのは日本時間では既に新年に突入した後だったように思います。

上記の引用記事ではエネルギー関連産業に関しては減税措置がさらに1年間延長されることになったというものですが、"becalm"は仮に減税が廃止になってしまった場合、つまり最悪の事態を表現して、


a tax consequence (that) would becalm the industry


という形で使われています。

つまり、ここでは(通常、"calm"という単語に見られる)良い意味で使われていると言うよりも、どちらかと言えば悪い意味で用いられているのです。

英和辞書を引くと、


(帆船を)風が凪いで進めなくする


という訳語が見えます。つまり、減税措置という風があったお陰である程度持ち堪えていた(エネルギー関連)業界が、財政の崖問題による減税措置終了によって停滞しかねない、ということを言おうとしているという訳です。

記事はエネルギー関連でも特に風力発電を取り上げているのですが、風の力が必要だけに、凪ぎが悪影響になると言う意味の"becalm"を使うとは記者のしゃれのセンスが効いているということでしょうか。

ところで、"calm"には凪ぎ(無風状態)の意味はありますが、その語源に目を向けると、元々は焼けるような暑さを意味するギリシャ語kaumaに由来するとあります。暑い日中には働く気も起きず、仕事は一旦止めて休息する、ということから、平穏、平静の意味に発展したということです。(ランダムハウス英和)


2013年1月2日水曜日

二日酔いですか? ― hungover

2013年明けて、今日は1月2日、昨日は飲みすぎで今朝から二日酔いという方もいらっしゃるでしょうか。

お屠蘇で厳かに新年を寿いだ後は、ビールでの乾杯に始まり、ワイン、日本酒、焼酎、ウィスキー・・・。朝から飲んでも許されるのはお正月くらいです。

ところで、ロシアでは今年になって初めて、ビールがアルコール飲料、つまりお酒と認定されました。

ということは、ロシアでは2012年まではビールはお酒ではなかった(!?)ということなのです。


BEER in Russia became an alcoholic drink for the first time on Tuesday.

Many Russians consider beer a light refreshment that can be guzzled on the way to work or downed in great quantities before a picnic and a swim.

Hard drinkers sniff at its weakness, and there is a saying: ''Beer without vodka is like throwing money to the wind.''

But a hungover nation woke up to a new and troubling reality when, with the new year, beer became classified as an alcoholic drink for the first time.
(Russia realises beer is alcohol. The Sydney Morning Herald. January 2, 2012.)


ロシアを指して"a hungover nation"とは皮肉たっぷりでしょうか。そのまま訳せば、“二日酔い国家”ということになりますが、アルコールでのトラブルが絶えない現実を直視して、ついにアルコール飲料の販売を規制することになったとのことです。

"hungover"のスペルに注意してください。"hangover"ではありません。

辞書を引くと明らかですが、"hangover"は“二日酔い”を意味する名詞、"hungover"は形容詞です。

さて、その“規制”の内容について別記事から引用します。


MOSCOW – A big question in Russia in 2013 may be "How do I get a beer around here?"

Under a law that took effect on New Year's Day, selling beer at the ubiquitous kiosks that mushroomed along Russian sidewalks and roadsides after the collapse of the Soviet Union has been banned. Though the tiny makeshift shops lost their importance as conventional stores got more of a foothold, new laws could deal a finishing blow to a symbol of the country's lively and disorderly post-communist free market.

In a measure meant to address Russia's high rate of problem drinking, beer now can be purchased only at restaurants, cafes and stores of at least 50 square meters (about 500 square feet).

The law also changes beer's classification from a food to an alcoholic beverage, meaning it can't be sold in any store from 11 p.m. to 8 a.m. It also cracks down on casual consumption of alcohol, forbidding it in public spaces.
(Brew-haha in Russia: Where to buy beer? FOX News. January 1, 2013.)


以前は街中のキオスクなどで手軽に買えていたビールは今後50平米以上の規模の店舗やレストラン、カフェでしか買えなくなるということで、キオスク経営者には相当な痛手となるそうです。

(ところで、引用した記事のタイトルにある、"brew-haha"のしゃれに気づきましたか?)


2013年1月1日火曜日

2013年、今年は巳年 ― snake year

新年明けましておめでとうございます。本年も、えいご1日1語を何卒宜しくお願い申し上げます。

さて、2013年最初の投稿となります。昨年もそうでしたが、新年のめでたいスタートにも関わらず、暗いニュースが目立ちます。今日この日の1語を選択するのに苦労します。

(少し掟破りの感はありますが)時事の話題から1語を選ぶのは諦めまして、今年の干支を取り上げたいと思います。

ご存知のように2013年の干支は癸巳、へび年です。海外では、"snake year"、"year of the snake"などと表現されています。

お隣、中国ではへび年生まれの子供は幸運に恵まれる、かしこく育つなどと信じられているそうです。


According to the Chinese zodiac, 2013 is the year of snake, and babies born in the year are said to be lucky and insightful. Many Chinese mothers-to-be are making preparation for their snake babies and the year of snake is about to trigger some zodiac related businesses.
(Liu Yuanhui. Chinese Snake Year Comes. CriEnglish.com. January 1, 2013.)


蛇を意味する一般的な単語である、"snake"を改めて辞書で引いてみました。語源欄に目を向けると、"snake"は古英語snaca、さらに遡ると古高地ドイツ語snahhanに由来するということですが、この古高地ドイツ語のsnahhanは“這う”(to crawl)という意味だそうです。

蛇を意味するもう1つの単語に、"serpent"があります。こちらはラテン語起源の単語です。語源であるラテン語のserpereは、やはり“這う”(to crawl)の意味の動詞です。

もう1つ、以前取り上げた単語ですが、"adder"があります。古英語ではnaddreでしたが、"an addre"と間違って解釈され(異分析と呼ばれます)、"adder"というスペルが定着してしまったものです。

日常生活において蛇にはあまり良いイメージがないというのが正直なところですが、神の使いとして祀られていることもありますし、古来より信仰の対象でもあります。また、脱皮を繰り返すことから復活や再生の象徴として崇められてもいます。蛇の皮を財布に入れている人も多いでしょう。

2013年がよき1年であることを祈念いたします。