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2012年9月24日月曜日

iPhone 5、地図アプリの欠陥 ― canary in the coal mine

アップルの新製品、iPhone 5が発売されましたが、これまでGoogle Mapsを搭載していたものを、アップル製の地図アプリにしたところが不具合だらけでマスコミに大きく取り上げられています。

私も週末の産経朝刊の1面で見たのですが(その取り上げ方がいささか大きすぎるように思いましたが。他にもっと報道することがあるだろうという気もします。)、何でもランドマーク表示が無茶苦茶だったり、日本語版なのにハングル表示があったりと、散々なようです。

私はiPhoneを持ちませんし、購入する予定もありませんのでどうでもいいような話ですが、何日も前から徹夜で行列を成して新製品を購入したユーザーにしてみればとんでもない話でしょう。

ところでこの地図アプリの不具合は日本語版の話かと思ったら、海外メディアでも取り上げられているのを見て、各国語版で同様の不具合(といいますか欠陥)があるようです。


If Steve Jobs were still alive, would the new map application on the iPhone 5 be such an unmitigated disaster? Interesting question, isn't it?

As Apple's chief executive, Jobs was a perfectionist. He had no tolerance for corner-cutting or mediocre products.

(中略)

No doubt, the iPhone 5, which went on sale on Friday, will be another hit. Apple's halo remains powerful. But there is nothing about it that is especially innovative. Plus, of course, it has that nasty glitch. In rolling out a new operating system for the iPhone 5, Apple replaced Google's map application — the mapping gold standard — with its own, vastly inferior, application, which has infuriated its customers. With maps now such a critical feature of smartphones, it seems to be an inexplicable mistake.

And maybe that's all it is — a mistake, soon to be fixed. But it is just as likely to turn out to be the canary in the coal mine. Though Apple will remain a highly profitable company for years to come, I would be surprised if it ever gives us another product as transformative as the iPhone or the iPad.
(Joe Nocera. Has Apple Peaked? The Sydney Morning Herald. September 24, 2012.)


故スティーヴ・ジョブズ氏が存命中だったら、(今回の地図アプリの欠陥のような)不完全な新製品を発売するなんてとても考えられない、というような見方があります。

やはりアップル社はジョブズ氏を失って、何かたがが外れたような状態になってしまったのでしょうか?

上に引用した記事の最後の段落に、


(it is likely to turn out to be) the canary in the coal mine


という表現がされています。炭鉱におけるカナリア、ということですが、これは何を意味しているのでしょうか?

よく知られた話ですが、炭鉱において有毒ガスの発生を検知するために作業員がカナリアを連れていくという話をご存知でしょうか?毒ガスが発生しているとカナリアが鳴くのを止めるそうです。つまり、"canary in the coal mine"とは、危険な状況が発生しつつあることを示唆するインジケーターのようなものです。

ここで、"it"という代名詞は問題になっている地図アプリの欠陥を指していると考えられます。

今回の欠陥騒動はアップル社にとって“危険な状況が発生しつつあることを示唆している”、という訳です。時価総額が51兆円を超え、史上最高額を更新したと報道された同社について少し大げさな感じもしなくはありませんが、今回の地図アプリの欠陥のような躓きがゆくゆくは命取りともなりうる、ということでしょうか。

記事によりますと、アップルはマイクロソフト社と同じような道を辿るのではないか、とも言われています。今回見られた地図アプリの欠陥問題は、"canary in the coal mine"、つまり転落の序章とでも言うべきでしょうか。

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