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2012年8月31日金曜日

こんな意味もあったの? ― detail

たまにお送りしています、”こんな意味もあったの?”のコーナーですが、今日は"detail"という単語です。

これも恐らくはキホンxx単語の1つかと思いますが、ディテール=詳細、細部、と暗記されている方がほとんどではないかと思います。

では、引用を読んでみましょう。


Secret Service Detail Leaves Gun Unattended on Romney’s Charter Flight

TAMPA — A member of Mitt Romney’s Secret Service detail was removed today from a campaign trip after she accidentally left her firearm unattended in the candidate’s charter plane bathroom.

The agent in question left a gun unattended in the bathroom of the plane during a flight between Tampa and Indiana. The gun was found by a reporter on board who immediately informed the agent, who then went back into the bathroom and retrieved the weapon.
(Emily Friedman. Secret Service Detail Leaves Gun Unattended on Romney’s Charter Flight. ABC News. August 29, 2012.)


記事のタイトルを読んだ時、"detail"という単語におやっと思いました。ここでの"detail"の意味は?

実は、"detail"には、”特別な任務を命じられた部隊、特派集団”という意味があるのですが、それを知らなかった私は、ひょっとして動詞の"detail"(詳しく説明する、詳述する、の意)ではないかと考えましたが、前後のつながりがおかしいので、ここでの"detail"はあくまで名詞ということで考えざるを得ませんでした。

また、本文に入ると、


(Romney's) Secret Service detail


ということですので、動詞ではありえないことが分かります。

American Heritage Dictionaryでは下記のように定義されています。


The selection of one or more troops for a particular duty, usually a fatigue duty.
The personnel so selected.
The duty assigned: garbage detail.


"usually a fatigue duty"とあり、"garbage detail"(ゴミ当番?)という用例が示されているのが面白いですが、コーパスなどで見ると、引用記事にあるような、"Secret Service detail"のように、特殊任務を負う部隊、というような意味での用法が多く見られ、雑用係のような意味での実例はあまり見られません。


Jose Pena, a Cartagena taxi driver, told The Associated Press that he picked up the woman after the dispute. She said she left the hotel, where other members of the security detail and the White House press corps were staying, after she was paid $225.
(Associated Press. 2012.)


ランダムハウス英和辞書では、


the kitchen detail 炊事班


という用例が示されています。


Only 25 days into a life sentence for murder, 14-year-old Michael Lewis got into trouble at Lee Arrendale State Prison in Alto, in northeast Georgia. Lewis, known on the streets as "Little B," refused to work on a cleaning detail and cursed a corrections officer.
(Atlanta Journal Constitution. 2003.)


上記記事での"a cleaning detail"とは、掃除係というくらいの意味でしょうか。


2012年8月30日木曜日

俳優名が語源!? ― bogart

"bogart"という単語をご存知でしょうか?初めて見る単語だったので、今日取り上げます。


Ladies, don't bogart that chocolate! Pass it on to the men.

A new study finds that compared with men who reported eating little-to-no chocolate on a regular basis, those who had the highest weekly consumption of chocolate — about 63 grams per week, or just a little more than 2 ounces — reduced their likelihood of suffering a stroke by 17%.
(Melissa Healey. For men too, chocolate consumption reduces stroke risk. Los Angeles Times. August 29, 2012.)


チョコレートに関する話題なのですが、チョコレートが脳梗塞予防に良いという、以前にもどこかで聞いたことがあるような話です。

チョコレートをほとんど、もしくは全く食べない男性よりも、ある程度食べる男性の方が、脳梗塞になる確率が17%低いそうです。

さて、冒頭に出てくる"bogart"ですが、辞書を引くと、


独り占めする
独占する


という意味が載っています。

語源が興味深いのですが、アメリカ人俳優のHumphrey Bogartに由来する、とあります。あまり詳しく知りませんが、有名な俳優であることは知っています。が、その俳優の名前が動詞の、しかも”独占する”という意味の動詞の語源というのは、一体どういうことなのでしょうか。

ネットなどで色々調べると、この俳優がくわえ煙草をして、片時も煙草を口から話すことがなかった、その仕草から生まれた意味のようです。

尤もこれはあくまで語源の一説であり、ほかにもいろいろな説があるそうですが、俳優の名前が語源になっている動詞というのも珍しいと思います。


2012年8月29日水曜日

"up"の役割 ― fess up

車の運転マナーについての話題です。

自分の運転が安全運転だと言いながらも、運転中に携帯端末を操作したり、スピード違反をしたり、というドライバーがほとんどなのだそうです。身に覚えが!?

アメリカでの興味深い調査結果ですが、日本でも同じでは?


American drivers constantly do things in their cars that they probably shouldn't — like eating, speeding or looking for contacts in their mobile phone.

But if you ask them if they are safe drivers, they all say "yes." Or very nearly all of them do, according to a new survey conducted for Ford Motor Co. by Penn Schoen Berland.

Indeed, 99% of the 2,506 licensed drivers surveyed in May described themselves as safe drivers. Yet in this same group, 76% fessed up to eating while driving; 55% admitted they exceed speed limits; and 54% talk on a hand-held mobile phone while at the wheel. More than third—37%—said they drive when they are too tired and a quarter 25% admitted to searching for contacts on their phone while driving.
(Mike Ramsey. Drivers Say They're Not the Problem. The Wall Street Journal. August 28, 2012.)


さて、引用した記事の3段落目に出てくる、"fess up"という表現が見慣れないものだったので取り上げました。

コンテクストから意味は分かりましたが、辞書を引いてみるとやはり、"confess"(白状する、告白する)の意味であり、いわゆる頭音消失形と呼ばれるものです。

American Heritage Dictionaryによりますと、"often used with up"とあり、"up"と共に用いられることが多い単語です。

この"up"に着目すると、罪や誤りなどを認めるという場合のもう1つの表現、"own up"も"up"が使われており、共通点があることが分かります。

しかしながら、"confess up"とは言わないようですし、"fess"と"own"の場合に限って(?)、"up"がよく使われるというのはどういうことだろうかという別の興味がわいてきました。

この"up"は恐らく強意の意味で添えられていると思うのですが、"own"にしても、"fess"にしても、どちらかというと"confess"よりもColloquialな言い回しなのではないかと思います。


2012年8月28日火曜日

見方を変える ― change one’s tune

運動はお好きですか?スポーツをしますか?

私はここ数年、走ること(ジョグ、ランニング)にはまっています。毎日は無理ですが、週5日くらいは走っています。

運動を始めるのにいろいろな動機があると思います。痩せたいとか、老化予防とか。では運動を継続するのに有効なモチベーションは何でしょうか?そんな話題に関する記事を見つけました。


Changing Our Tune on Exercise

What would it take to persuade you to exercise?

A desire to lose weight or improve your figure? To keep heart disease, cancer or diabetes at bay? To lower your blood pressure or cholesterol? To protect your bones? To live to a healthy old age?

You'd think any of those reasons would be sufficient to get Americans exercising, but scores of studies have shown otherwise. It seems that public health experts, doctors and exercise devotees in the media -- like me -- have been using ineffective tactics to entice sedentary people to become, and remain, physically active.

For decades, people have been bombarded with messages that regular exercise is necessary to lose weight, prevent serious disease and foster healthy aging. And yes, most people say they value these goals. Yet a vast majority of Americans -- two-thirds of whom are overweight or obese -- have thus far failed to swallow the "exercise pill."

Now research by psychologists strongly suggests it's time to stop thinking of future health, weight loss and body image as motivators for exercise. Instead, these experts recommend a strategy marketers use to sell products: portray physical activity as a way to enhance current well-being and happiness.

"We need to make exercise relevant to people's daily lives," Michelle L. Segar, a research investigator at the Institute for Research on Women and Gender at the University of Michigan, said in an interview. "Everyone's schedule is packed with nonstop to-do's. We can only fit in what's essential."
(Jane E. Brody. Changing Our Tune on Exercise. The New York Times. August 27, 2012.)


さて、今日取り上げる表現は、”change one’s tune”という成句です。この記事のタイトルになっている、


Changing our tune on exercise


という表現が何を言っているのか最初よく分からなかったのですが、記事の内容をよく読むことで得心が行きました。”change one’s tune”というのは、“見方を変える、態度を変える”という意味で使われます。運動の目的を、病気をしないようにとか、何か月で体重を何キロ落とすとか、将来の利益に置くのか、それとも今日現在のベネフィットに置くのか、それによって継続性が変わってくるということが記事で述べられています。運動を推奨する理由の多くが病気や老化の予防など将来の利益に重点を置いたものですが、ちょっと見方を変えて(change our tune)、日々の生活の質の向上など、今現在のベネフィットに重点を置くべきではないか、ということです。

私に関して言えば、運動を始めたきっかけは健康診断の結果で、ある検査で悪い数値が出たことでした。近い将来に大きな病気に罹ってしまうことを恐れて運動を始めたというわけです。

しかしながら、最近では走ることは生活の一部のようになってしまって、もちろん大病をしないとか、体型をキープするとか、いうことはありますが、今現在の生活の満足度に大きく関わっているということを感じています。


2012年8月27日月曜日

閑話休題 ― やっぱり重要な不定冠詞、"a"

人類史上初の月面着陸を果たしたアポロ11号の船長、ニール・アームストロング氏の訃報が、日本時間の昨日26日報道されました。

報道によりますと、アームストロング氏は心臓の疾患で療養中だったそうです。アポロ11号の月面着陸は1969年7月20日ということですから、私の生まれるよりも前の話です。

この訃報は当然アメリカ国内でもトップニュースの扱いになっていますが、ヘッドラインを斜め読みしていますと、興味深い記事に出くわしました。そのタイトルが、


Moonwalker's 'a' got lost in transmission
(Detroit Free Press. August 26, 2012.)


というものなのですが、"a"というのは何の事かと思ったら、不定冠詞の"a"の事だったのです。


Was the walk on the moon one small step for man, or a man?

Neil Armstrong's first words from the moon were heard all over Earth, and Earth heard this: "That's one small step for man, one giant leap for mankind."

But Armstrong said immediately after the 1969 landing that he had been misquoted. He said he actually said, "That's one small step for a man." It's just that people didn't hear it.
(ibid.)


アームストロング氏が月面に着陸した際の有名な発言、


"That's one small step for man, one giant leap for mankind."


は、”これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である”、などと日本語に訳されています。

ここで、敢えて”一人の人間”と訳されている部分について、原文(英語)では、"man"となっていますが、"man"という名詞が無冠詞(単数)で使われる場合は、学校では総称的に人類、あるいは人間を指すと教わったことがあるかと思います。

なぜ和訳では敢えて”一人の”としているのでしょうか?

実はアームストロング氏のこの有名な発言は、物議を醸したようで、発言した本人自身が、不定冠詞の"a"をちゃんと言ったものの、(聞く側が)うまく聞こえなかっただけ、という”釈明”をしている、ということなのです。

その後、この発言の録音などがコンピュータ解析などされ、音波上、アームストロング氏が不定冠詞の"a"を発言していたという証拠を突きとめたということにもなっているのだということです。詳しくは記事をご覧ください。

この発言については、アームストロング氏は不定冠詞の"a"をちゃんと含めて、"one small step for a man"と言ったが、(当時の録音技術や伝送技術などの限界で)ほとんど聞き取れなかったものとして、不定冠詞の"a"を括弧書きで挿入し、


"That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind."


とすることで決着しているようです。

CNNの記事によりますと、不定冠詞の"a"が入るのと入らないのとでは意味が異なってくることが当時取り沙汰されたことが分かります。


Some historians and critics have dogged Armstrong for not saying the more dramatic and grammatically correct, "One small step for a man ..." in the version he transmitted to NASA's Mission Control. Without the missing "a," Armstrong essentially said, "One small step for mankind, one giant leap for mankind."
(Software finds missing 'a' in Armstrong's moon quote. CNN. October 1, 2006.)


不定冠詞の"a"がないと、"one small step for man"は、"one small step for mankind"と同義となり、後続の"one giant leap for mankind"との対比にならなくなってしまうということなのです。

このことはつまり、文法にやかましい人達による指摘があったことを裏付けている訳です。

やっぱり不定冠詞があるかないかは、非常に重要な問題なんですね。


代理戦争 ― proxy

米・アップルと韓国・サムスン電子の間のスマートフォンに絡む特許係争に決着がつきました。結果はアップルの勝訴ということで、多額の賠償金がサムスンに課せられることとなり、特許係争史上でも最高規模のものとしてトップニュースになっています。

さて、この特許係争ですが、アップル対サムスンということですが、サムスンのスマートフォンにはグーグル社のOSが搭載されていることから、アップル対グーグルの代理戦争であると多くのメディアで取り沙汰されてきました。

では、代理戦争を英語では何と表現しているのでしょうか?


When Apple Inc. and Samsung Electronics Co. face off in a high-stakes patent trial Monday, there will be another elephant in the room: Google Inc.

Though the litigants are the two largest makers of smartphones, the closely watched case is also a proxy for a wider war between the two Silicon Valley companies vying to control their inner workings—Apple and Google.

Apple, which transformed the market with the 2007 debut of the iPhone, has launched a global attack on Samsung and other handset makers that use Google's Android software. The trial kicking off Monday in federal court in San Jose, Calif., could help bolster or refute Apple's contention that Google's operating system illegally copies software features of its own devices.
(Jessica E. Vasellaro. Samsung Case Is a Proxy for Google. The Wall Street Journal. July 30, 2012.)


答えは、"(a) proxy"でした。

辞書で引くと、"proxy"という名詞には、


代理、代理権、代理人、代用品


といった意味がリストされていますが、”代理戦争”という意味は載っていません。従って、"a proxy for a wider war between..."という部分をもって、”代理戦争”と解釈すべきでしょう。

ニューヨークタイムズ紙では、"a proxy war"という表現が使われています。


Apple’s suit against Samsung, the world’s largest maker of smartphones, has partly been viewed as a proxy war against Google, which Apple executives have derided as a copycat, swiping Apple’s innovations. Steven P. Jobs, the late chief executive of Apple, told his biographer that Android was a “stolen product.”
(Nick Wingfield. Jury Awards $1 Billion to Apple in Samsung Patent Case. The New York Times. August 24, 2012.)


2012年8月24日金曜日

コロンブスの卵? ― second-guess

今日は”second-guess”という単語を取り上げてみたいと思います。

まずは"second-guess"の実例から。米紙・ウォールストリートジャーナルの記事を引用します。


Mayor Michael Bloomberg on Monday said he wouldn't "second guess" the actions of police officers who shot and killed a knife-wielding man on Saturday during a daylight episode that was witnessed by dozens of bystanders near Times Square, some of whom took video that went viral on the Internet.
"I'm not an expert to go second-guess everything that…happened," Mr. Bloomberg said of the officers who killed Darrius Kennedy, 51 years old, adding that under the circumstances, the police appeared to not "have much choice."

The mayor's comments came in response to questions raised about the shooting and whether police could have disarmed Mr. Kennedy. The use of lethal force in the case has been scrutinized because of the time of day and location of the shooting, as well as the widely viewed Internet video.
(Tamer El-Ghobasy. Lethal Force Is Defended in Shooting. The Wall Street Journal. August 13, 2012.)


ニューヨークのタイムズスクウェア、しかも真昼間にナイフ男が暴れていたのを警官が銃殺したという事件があったようですが、日本でもよく取り沙汰される、“正当な銃の使用だったのか”、といった話題になっているようです。このような事件があると、よく警察署長のような責任ある立場の人が記者会見し、“発砲は適正であったと思われます”などというコメントをしますが、そのようなシチュエーションでしょうか。ここではニューヨーク市長のBloomberg氏のコメントとなっていますが、


he (=Mayor Michael Bloomberg) wouldn’t “second guess” the actions of police officer who shot and killed a knife-wielding man


ということですから、結果として警官による銃殺になってしまったことを擁護するコメントであることは大体想像がつきます。

“second-guess”を辞書で引くと、


1.(人や行為などを)後でとやかく言う;後知恵を働かせて批判する
2.予言・予知する;出し抜く、一杯食わせる


といった意味になっています。ここでは1番目の意味で用いられていますが、なぜ、”second guess”(2番目の”guess”?)なのでしょうか?

実はこの単語の語源には諸説あるそうなのですが、いくつかのインターネット上のリソースによりますと”second-guess”という動詞は、”second-guesser”という名詞からの逆成であるということです。では、”second-guesser”とは何でしょうか?

“guesser”を引いてみると、当て推量をする人という意味(”guess”という動詞の意味からは自然に思われます)の他に、“言い当てた人、正しく推測した人”という意味があるそうです。(研究社大英和)

推測する(guess)という行為は未知のこと、将来のことに対するものであることを考えると、“言い当てる、正しく推測する(した)”というのは結果の話であり、”guesser”が“言い当てた人、正しく推測した人”という意味で用いられるのはちょっと変わっています。

ここで、“正しく推測した人”という意味での”guesser”に、”second”(2番手の)という形容がついたと仮に解釈してみますと、2番目に正しく推測した人、ということになりますが、これはどうでしょうか?最初に正しく言い当てた人の次に同じことを言い当てるのはある意味当然の結果だと考えることもできます。そうすると、”second guesser”というのが後知恵でものを言う、という意味につながってくるように思えます。いわゆる、コロンブスの卵、みたいなものではないでしょうか。

以上は私の推測、独自の解釈です。

実はあるインターネット上のリソースによりますと、”guesser”とは野球などのスポーツにおける審判のことを多少の皮肉を込めて呼ぶ場合に使われるのだそうです。その意味から発展して、野球の試合でプレー内容についてあれこれと批判をする人のことを、”second guesser”と言うようになった、と解説されていました。いわゆる、岡目八目的な言動のことを指していると言っていいでしょう。”guesser”が審判ならば、”second guesser”は2番目の審判、つまりゲームの審判に次いで偉そうにジャッジする人たちを批判的に表現したものではないかと思われます。

こうして色々と考えていると、”20/20 hindsight”という表現を以前に取り上げたことを思い出しましたが、”20/20 hindsight”も結果を受けて後から批判する、けちをつける、という意味であり、表現の成り立ち方に共通のものがあるように思います。

2012年8月23日木曜日

キーボードだって洗って欲しい!? ― make a splash

テクノロジー関連の記事を斜め読みしていたら面白そうな記事に出くわしました。タイトルがふるっています。


Logitech Washable Keyboard Makes a Splash
(PC World. August 22, 2012.)


PC好きの人はLogitechというPCの周辺機器メーカーはよくご存知でしょうか。キーボードやマウスで有名のように思いますが、そのLogitechが"washable"なキーボードを発売する、ということで話題になっています。


Slips, slops, and spills are no match for Logitech's latest keyboard, the scrubbable, submergable, spill-proof, K310 Keyboard. This white-keyed washable keyboard is designed to withstand the rigors of life, from grimy fingers to splashes of soda.

Designed to stand up to the stresses that lay lesser keyboards low, the Logitech Washable Keyboard K310 can be submerged in up to 11 inches of water, washed with soap and water, and otherwise soaked and splashed. Though it is hand washable, you'll want to keep it out of the dishwasher, because while the keyboard can be safely submerged, the USB cable isn't waterproofed. The back of the keyboard has holes for draining off liquid and convenient air drying.
(Brian Westover. Logitech Washable Keyboard Makes a Splash. PC World. August 22, 2012.)


なんと、水につけても、洗剤でゴシゴシ洗っても大丈夫ということですから、話題になるのもうなずけるというものです。

さて、記事のタイトルにある、"make a splash"は、


派手にやらかす、
あっと言わせる、
大評判をとる


といった意味の成句ですが、"splash"という動詞自体は、


水や泥をはねかける、はね散らす


という意味ですから、ここではキーボードが話題になっていることと、実際に"washable"であることをかけた、しゃれの類であろうと思います。

記事のページでは動画でも紹介されていますが、


The keyboard that loves a wash.


というキャプションが印象的です。キーボードだって洗って欲しい、というところでしょうか。昔のウォシュレットのキャッチコピーみたいですが(笑)

2012年8月22日水曜日

企業名公表 ― name and shame

"name and shame"というフレーズをご存知でしょうか?下記の引用を読んでみましょう。


A NSW McDonald's and a Sumo Salad fast-food outlet are among the latest additions to the state government's "name and shame" register for breaching hygiene rules.

Domino's Pizza in Cambridge Park, Penrith, Pizza Hut in Orange, the McDonald's in Yass and Sumo Salad in Macquarie Park made the list due to a lack of hygienic cleanliness standards.

Coles Express in Willoughby was also placed on the list for selling out-of-date products.

"This sends a clear message that businesses, regardless of how big or small, will not escape being publicly named if they fail to comply with food safety regulations," Primary Industries Minister Katrina Hodgkinson said.
(Fast-food chains added to hygiene 'name and shame' list. The Sydney Morning Herald. August 21, 2012.)


ランダムハウス英和、American Heritage Dictionaryなど調べたのですが、載っていない表現です。

上記の引用記事のコンテクストから意味は分かりますが、初めて見る表現でした。ネットで検索すると、どうやらイギリス英語のフレーズのようです。

"name"という動詞には、名指しするという意味がありますが、"name and shame"における、"name"はまさしく、名指しという訳がふさわしいでしょう。また、"shame"という動詞には、恥じ入らせる、辱める、という意味があり、"name and shame list"というものの目的に適っています。

オンライン辞書のCambridge Dictionary Onlineによりますと、下記のような定義がされています。


to publicly say that a person, group or business has done something wrong


日本語では何と訳したものでしょうか。ブラックリストという言葉が思いつきましたが、ブラックリストには特定の組織の中で秘密裏に保持されているリストというイメージがあり、衆目にさらされるようなものではないので、ここはつまり悪いことをした企業を公表したということでは単なる公表、企業名公開、というのがふさわしいように思われます。


2012年8月21日火曜日

米議員の舌禍で波紋 ― oxymoron

アメリカの共和党議員の舌禍事件が波紋を呼んでいます。Todd Akin氏は共和党の上院議員候補だそうですが、氏のテレビ出演の中でのコメントが批判を呼び、辞職すべきだとの意見が相次いでいるようです。

多くのメディアでは既に舌禍事件の詳細よりも、同氏周辺の話題を中心に取り上げているので、その舌禍というのが実際にどういうものだったのか知るのに少し遡って記事を読んでみる必要がありました。

が、私の英語力不足によるものでしょうか、同氏の発言を見ても何が言いたいのか訳が分からない、というのが正直な感想です。

いくつか記事を読んで結論したのですが、要は同氏が使った、"legitimate rape"という表現が問題のようです。しかし、"legitimate rape"って一体何のことでしょうか?


Todd Akin, the Missouri Republican candidate for Senate, told a TV interviewer on Sunday that, “First of all, from what I understand from doctors, [pregnancy from rape] is really rare. If it’s a legitimate rape, the female body has ways to try to shut that whole thing down.”
(Alexandra Petri. ‘Legitimate rape’ and Todd Akin’s myths. The Washington Post. August 20, 2012.)


日本語に逐次訳すれば、合法的な(legitimate)、レイプ(rape)、ということになりますが、そんな概念が存在するのか、という疑問が真っ先にわいてくるのではないでしょうか?

そう思った方は正常です。

この舌禍のポイントは、Akin議員が使った、"legitimate rape"という、矛盾する概念の言葉をつなげて使ったことにあるのです。

言語の専門的な用語で言うと、矛盾語法、撞着語法と呼ばれるものですが、英語では、"oxymoron"と言います。


“If it’s a legitimate rape” — what a phrase that is! It goes miles beyond oxymoron into a netherworld of terms that should not exist. It is the embodiment of the strange idea that it is only rape if there are horsemen seizing people by the hair, when of course this is not what rape looks like, by a long shot.
(ibid.)


"oxymoron"という単語はギリシャ語から来ていますが、鋭いことを意味する"oxy-"と、鈍いことを意味する"moros"が結合したもので、”鋭くて鈍い”という矛盾した意味になります。

Atkins議員の発言も同様であり、レイプは犯罪、非合法(illegitimate)であり、"legitimate"という形容詞は明らかに形容矛盾です。


2012年8月20日月曜日

浅漬けで食中毒 ― pickle

お盆休みも終わりました。私は実家に帰省しておりましたが、移動中の新幹線の社内でニュースのテロップを見ていましたら、北海道で浅漬けを食べた人が食中毒になり、4歳児を含む複数人が死亡したというニュースを伝えていました。つい最近では牛生レバーでの食中毒事故が記憶に新しいところですが、またしても死亡に至る食中毒事故ということで、暑い季節には余程注意しなければと改めて思う次第です。

さて、今回の食中毒事故について海外メディアでも取り上げられています。


SEVEN people, most of them elderly women, have died after eating pickles contaminated with E. coli in northern Japan, in the country's deadliest mass food poisoning in 10 years.

A total of 103 others have been made ill after eating the same lightly pickled Chinese cabbage produced in late July by a company in the city of Sapporo, according to health bulletins issued by the local government.

Of the dead, six were elderly women who ate the pickles at nursing homes in Sapporo and in another city on Hokkaido island. A four-year-old girl died on August 11 in Sapporo.
(Seven dead from contaminated pickles in Japan. Herald Sun. August 19, 2012.)


日本で言うところの”漬物”のことを英語では、”ピクルス”(pickle)と表現することはご存知の方も多いと思います。今回の食中毒は”白菜の浅漬け”が原因だったということですが、"lightly pickled Chinese cabbage"と表現されています。”浅く”、”漬けた”、ということで、"lightly"、"pickled"なのでしょう。ところで私は、"pickle"が動詞でもあることを知りませんでした。”漬け汁に漬ける、ピクルスにする”という他動詞です。

"pickle"についてもう1つ、興味深い語源があります。語源を辿ると、中期オランダ語の"pekel"に由来し、これは塩水(英語で"brine")を意味するのだそうです。

ピクルス、漬物を作る際には野菜を塩で揉んだり、酢や塩を混ぜ合わせたものを使うでしょうから、語源的にも真っ当なものと思われます。

もう1つ、"pickle"には好ましくない事態、苦境という意味もあるそうで、オランダ語、英語共に、窮地という意味で用いられる成句があるようです。

以上はAmerican Heritage Dictionaryの語源解説にあるのですが、中世においてオランダなど北海に面した国との交易が"pickle"という単語が英語に仲間入りすることに大いに関与しているとしています。なるほどと思います。


2012年8月17日金曜日

体の部位に関する表現(5)=hair ― to a hair

今週のテーマ、髪の毛(hair)に関する表現は今日が最後ですが、"to a hair"という成句を取り上げたいと思います。

”きっちりと、寸分違わずに”、という意味で用いられると多くの英和辞書にあります。以前に取り上げた、"split hairs"のような表現からも、何となくイメージがわく、納得感がある表現のように思われます。

が、用例があまり見つかりません。あるオンライン辞書では下記のような用例が紹介されていました。


measure the ingredients to a hair (材料をきちっとはかる)


なるほど、という感じがしますが、ここで"to a hair"は副詞として用いられていると考えられます。

上記のソースは研究社の中英和辞典ということですので信用していいとは思うのですが、コーパスなどで調べてみてもこの"to a hair"という成句の実例が乏しく、個人的にどうもしっくりきません。

グーグルニュースで検索してみたところ、下記のような記事にあたりました。


Most AFL players make just $400 per game plus $50 bonus for wins, but starting quarterbacks average about $1,600. Raudabaugh’s salary is $1,675 per game, and that computes to a hair over $30,000 for six months’ work. And when the season ends, he’ll head back to suburban Dallas to work in the moving plant.
(Soul QB goes from moving-company worker to AFL star. Courier Post. July 27, 2012.)


フットボール選手のサラリーの話のようですが、コンテクストが金額に関することであり、"to a hair"という成句の出番であることは納得がいきます。

が、良くわからないのが、この成句に続く"over"です。選手の平均サラリーが1ゲーム1,675ドル、勝ちゲームでは50ドルのボーナス、云々で、トータルすると6か月できっちり("to a hair")3万ドル以上("over $30,000)になる、ということなのですが、”~以上”(over)というのと、”きっちりと、寸分違わず”という強意の修飾は相容れないと思いませんか?

そこで、"to a hair"と"over"、"above"などの組み合わせが気になったので色々調べてみると、実はその組み合わせで用いられていることが非常に多い(というかむしろそれしか見つからないようにも思える)ことが分かりました。


In December 1991, Citi's stock sank to an abysmal $8.50 per share, at which price this largest U.S. banking establishment was worth only about $4.2 billion, just a touch more than Microsoft's Bill Gates. The stock rose to a hair above $30 last April and was recently around $28.
(Fortune. 1993.)


そこでこの"to a hair"という表現に関する考察。

この表現は恐らく、"above"や"over"といった前置詞(あるいは副詞)とセットで用いられるのではないかと思います。きっかり、寸分違わず、という意味は、”~以上”と解釈される"over"や"above"と矛盾しているというよりも、例えば最初の例で言えば、髪の毛一本分("to a hair")だけ3万ドルを超えて、という解釈であり、それが実質無視できるほどの僅差であるということで、つまり逆説的な強意の表現として、"over"(above)以下の数字と寸分違わない、という意味として解釈されるのではないかと思います。

こうした考察から、本来辞書には"to a hair over (above)"と掲載されるべき表現なのではないかと思いましたが、いかがでしょうか。


2012年8月16日木曜日

体の部位に関する表現・髪の毛(4)=hair ― by the short hairs

今週のテーマ、"hair"が使われている表現、4日目の今日取り上げたいのは、"by the short hairs"という成句なのですがご存知でしょうか?

あまりお目にかかることがない表現ではないかと思います。ニュース記事などでの用例は見つけられなかったのですが、Dictionary of Idiomsのエントリにある例文を引用します。


The hard fact is that they have got us by the short hairs. We can't do anything without material support from them.
(Collins Cobuild. Dictionary of Idioms.)


この成句ですが、動詞のgetやhaveと共に用いられます。そして目的語には人がくるのですが、このパターンというのは前置詞の"by"が動作を受ける主体の部分を示す役割を果たす、下記のようなお馴染みの例文と同じ構造です。


He caught me by the arm. (彼は私の腕をつかんだ。)


つまり"get (have) ~ by the short hairs"というのは、~の"short hairs"をつかんだ、とった、というのが字義通りの解釈となります。ランダムハウス英和辞書を引くと、


(人を)思うままにする、完全に支配する、(人の)弱みを握る


という訳が載っています。では、"the short hairs"というのは一体何を、要はどこの毛を指しているのでしょうか?

ネットで検索してみると、"pubic hair"(陰毛)のことを指すという説があるそうですが、実はそうではなく、人の首回りの毛のこと(まさしくshort hairsではないかと思います)を指す、という別の説があるそうです。この後者の説にのっとった解釈、訳でしょうか、上記で敢えて引用しなかったのですが、ランダムハウス英和ではもう1つ、


首根っこを押さえる


という訳が載っています。

さて、問題をややこしくするようですが、"by the short hairs"という表現にはバリエーションがあるらしく、


by the curlies
by the knickers


という2つがあるそうなのです。で、"knickers"からいきますと、これは半ズボンやトランクスのことなのですが、"curlies"には俗語で”陰毛”の意味もあるということなので、"the short hair"についても実は陰毛を指しているのではないかというのはある程度根拠もありそうにも思われます。


2012年8月15日水曜日

体の部位に関する表現(3)=hair ― against the hair

今週のテーマ、髪の毛(hair)に関する表現、3日目の今日は、"against the hair"という表現を取り上げます。

"against"という前置詞からもお分かりのように、この表現は”意に沿わないこと”を意味しており、性分に合わないとか、不本意である、といった意味で用いられます。

以前に、"go against the grain"という表現を取り上げましたが、意味は同じで、表現の構造も似ていますね。

研究社の大英和には下記のような例文が紹介されています。


It goes against the hair with me.(わたしの性分に合わない、いやだ。)


実は、"against the hair"の実例を色々と検索してみたのですが、実際の使用例が見当たりません。最近ではあまり使わない表現なのでしょうか?

私が高校生の時から使っているプログレッシブ英和中辞典で"against the hair"を調べますと、”古体”(archaic)との補足があり、古い言い回しなのかもしれません。



2012年8月14日火曜日

体の部位に関する表現(2)=hair ― a hair of the dog

今週のテーマ、体毛(hair)に関する表現ですが、2日目の今日は、"a hair of the dog"という表現を取り上げます。

実はこの成句、続きがあります。それは、


a hair of the dog (that bit a person)


というもので、”人に噛みついた当のその犬の毛”、ということです。故に、定冠詞がついて、"the dog"なのです。

ではどういう意味なのでしょうか?まずは下記の引用を読んでみてください。


The city, famous for its Creole and Cajun cuisine, has evolved its own restorative for the morning after. Instead of the usual mimosa (too bubbly) or Bloody Mary (too spicy), the hair of the dog here is the creamy Ramos gin fizz. I discovered this that first rude morning, when I took refuge in the Carousel Bar, by the lobby in the Hotel Monteleone.
(Wayne Cartis. A Tonic for the Morning After. National Geographic Traveler. 2011.)


お酒飲みの人にはひょっとしてお馴染み!?ここで"the hair of the dog"とは二日酔いの朝に飲む迎え酒のことを指しています。私はあまり経験がありませんが、二日酔いの朝にアルコールを飲むこと、つまり迎え酒をすることで二日酔いの辛さが軽減されるといいます。

では、なぜ噛みついた犬の毛が二日酔いの迎え酒ということになるのか?

これは迷信だそうですが、昔の人は犬に噛みつかれた時狂犬病になるのを恐れて、噛みついた犬の毛を傷口に当てたのだそうです。普通ならば見たくもない、当の噛みついた犬の毛をわざわざ傷口に当てるということですから、二日酔いの朝に見たくも(匂いを嗅ぎたくも)ないお酒を飲む、という行為と似ていますね。

英和辞書には、毒を以て毒を制す、という訳も見えますが、なるほどという感じです。


2012年8月13日月曜日

体の部位に関する表現(1)=hair ― not turn a hair

以前に体の部位に関する表現ということで、肩(shoulder)が出てくる成句を特集しましたが、今週は”髪の毛、体毛”(hair)が出てくる表現を特集したいと思います。

初日の今日は、"not turn a hair"という成句を取り上げますが、ご存知でしょうか?

字義どおりに解釈すれば、


髪の毛一本(すら)動かさない


ということになります。つまり、動揺しない、動じない、という意味で使われます。


His men were so accustomed to his rages that they never turned a hair.
(Collins Cobuild Dictionary of Idioms. 1995.)


一見していただければ分かる通り、"not"とありますから否定文で使われる表現です。


Three hours before he sat down with The Telegraph, with the opening ceremony of the 30th Olympiad days away, security contractor G4S revealed to Coe’s chief executive, Paul Deighton, that they were short of about 7,000 security guards.

As pre-Games crises go it was not quite on the Athens scale, but it was up there. Coe barely seemed to turn a hair. “I’m feeling great. I think I’m pretty relaxed. And I’m excited,” he says.
(Paul Kelso. London 2012 Olympics: Lord Coe ready for the off as he says 'every ingredient is in place. But we now have to nail it'. The Telegraph. July 30, 2012.)


今週のテーマにご期待下さい。


2012年8月10日金曜日

手打ち ― bury the hatchet

"bury the hatchet"という成句があります。

字義通りに解釈すると、斧(hatchet)を埋める(bury)ということですが、戦いの道具を土に埋めてしまう(もしくは覆い隠す)というわけで、その比喩するところは、争いを止める、和解するということです。

日本語の表現は豊かなものだと思いますが、矛を収めると言ったり、”手打ち”という表現もあります。

少し前の話になりますが、フェースブックとヤフーの間での特許権争いが和解の方向にあるというニュース記事から使用例を引用します。


Facebook and Yahoo bury the hatchet with wide-ranging alliance

Facebook and Yahoo have agreed to forge a broad internet advertising and licensing partnership, laying to rest their duelling patent lawsuits.

The pact settles accusations of technology patent infringement that began under the stewardship of ex-Yahoo CEO Scott Thompson, ousted after a scandal erupted over inaccuracies in his CV. Sources say interim CEO Ross Levinsohn is now the front runner for the top job.
(The Guardian. July 6, 2012.)


同じ話題ですが、別の記事では下記のようなヘッドラインです。


Facebook and Yahoo! bury patents hatchet and forge innovation alliance
(Siliconrepublic.com. July 7, 2012.)


"patents hatchet"となっているのに注目します。ここで、係争の主題である特許権(patents)="hatchet"と解釈すると、"hatchet"は争いの種、というように解釈することもできます。

"hatchet"の代わりに、"tomahawk"(トマホーク)が使われることもあります。”トマホーク”というと、米軍のミサイルを思い浮かべますが、原義は北米インディアンが使っていたまさかり(斧)のことです。


2012年8月9日木曜日

勘違いしていました・・・ ― at bay

"keep ~ at bay"という表現をご存知でしょうか?”~”の部分には名詞が入りますが、例えば以下のように使われます。


Residents can take plenty of other steps to help keep mosquitoes at bay, he said. It's critical, he said, to rid your area of standing water as much as possible.
(Atlanta Journal Constitution. 2012.)


夏真っ盛りですが高層マンションに自宅があるという方ならいざ知らず、蚊にかまれたことがないという方はいませんよね?蚊の発生、侵入を如何に食い止めるか、というのは私の自宅でも喫緊の課題であります(笑)

さて、”食い止める”という表現を使いましたが、まさにそれが"keep ~ at bay"の意味となります。

では、"keep ~ at bay"がなぜ、”食い止める”となるのでしょうか?

ここでこの表現のイメージですが、不愉快なもの、良くないものを湾内(つまり、"bay")に留める(つまり、"keep")、湾岸から陸に上がってこないように(あるいは、湾内から海の方に拡がらないように?)食い止める、そんなイメージがわきませんか?

とまあ、こんな解釈をして納得したようなつもりになっていたのですが、実はこれが勘違いで、"keep ~ at bay"という表現の"bay"は、湾や入り江の"bay"ではないんですね。"bay"という英単語を英和辞典で引くと色んな"bay"があって、4つか5つくらいのエントリが見つかると思いますが、この成句における"bay"は、犬のうなり声、吠える声を意味する"bay"なんです。

では、犬の吠える声がなぜ”食い止める”という意味になるのでしょうか?

犬が吠える状況を想定すると分かるように、それは犬が攻撃的になっているとき、つまり犬にとって追い詰められている状況です。そのことから、追い詰められている状態、窮状、土壇場、といった意味で"at bay"という表現が使われます。"keep ~ at bay"は、敵(不愉快なもの、良くないもの)が追い詰められている状況をキープすること、つまり敵がはびこることを食い止める、という意味に発展したものです。

もう1つ引用します。


Massachusetts moves to keep health costs at bay

Massachusetts is poised, once again, to become a national bellwether on health care. The question is who’s actually watching?

Bay State lawmakers Tuesday gave final approval and were sending to Gov. Deval Patrick a bill that would pressure the health care industry to keep costs at or below the state’s economic growth rate. They estimate it will squeeze $200 billion in savings over the next 15 years. Patrick supports the bill.
(Kyle Cheney. Massachusetts moves to keep health costs at bay. Politico. July 31, 2012.)


この記事において悪者(敵)は、"healthcare costs"となっています。したがってコスト抑制の意味でこの表現が使われていると考えられますが、"keep ~ at bay"という成句の発展形であると考えられます。

"hold ~ at bay"というように、"keep"の代わりに"hold"が用いられる場合もありますが、意味は同じです。


Tooth decay can be held at bay by fluoride toothpaste and good dentistry.
(Collins Cobuild Dictionary of Idioms.)


いやはや、全く勘違いしていました・・・。


2012年8月8日水曜日

ジゴロ ― gigolo

ジゴロという単語を聞いたことがないわけではありませんでしたが、あまり縁が無い単語といいますか、特に気にもとめない単語でした。今日まったく偶然にニュース記事の中で"gigolo"という単語を見つけて、英単語だったんだ、と知りました。日本語では、男妾とか、ヒモ、などと表現されます。


A SUSPECT in the murder of self-proclaimed vampire gigolo Shane Chartres-Abbott will face court today.

The man has been arrested in Queensland and charged with murder over the 2003 slaying.

He will face Southport Magistrates' Court on the Gold Coast this afternoon.
(Mark Buttler. Accused killer of 'vampire' gigolo killer in court over 2003 murder. Herald Sun. August 7, 2012.)


この"gigolo"という単語の語源ですが、フランス語の"gigolette"に由来するとあります。"-ette"という語尾から想像がつくように、"gigolette"は女性形です。American Heritageによりますと、


dancing girl, prostitute


とあります。つまり売春婦ということになりますが、その男性形が"gigolo"であり、即ち男妾、ヒモ、ということで納得です。

ところで以前、"jig"という単語を取り上げましたが、"gigolette"はこの"jig"とも関連しているそうです。それは、速いテンポの踊りという意味での"jig"に関連しているということなのですが、"gigolette"が"dancing girl"の意味でもあるということでこれも納得感があります。

"gigolo"という単語が元々存在していたのではなくて、"gigolette"という女性形の単語がまずあってそこから派生した(ある意味、語源で言うところの逆成のパターンでしょうか)というのは興味深いところです。


2012年8月7日火曜日

無気力試合 ― throw a match

ロンドンオリンピックの真っ最中です。先週末日曜は私の楽しみにしていたマラソン(女子)が行われ、ネットとラジオ中継で楽しみました。次は来週の男子マラソンに注目しています。

ところで、バドミントンでは無気力試合を行ったとして中国や韓国の選手が失格処分の憂き目に遭いました。無気力試合は英語でどう表現するのでしょうか?実は今日たまたま読んだNew York Post紙の記事で知りました。

その記事タイトルというのが、


CHEATING AT THE OLYMPICS IS AN AGE OLD TRADITION


という刺激的なものです。


From Azerbaijani boxers suspected of fixing matches to badminton players suspended of throwing contests, the 2012 Olympics has earned a gold medal in cheating.

But the latest generation of disgraced Olympians hasn’t done anything their forebears haven’t been doing for thousands of years.

“We like to think there was some golden age when everything was great, but we’re talking about human beings — and we haven’t changed a whole lot,” said David Potter, a classics professor at the University of Michigan.
(Gary Buiso. Cheats as old as a Greek sneak. The New York Post. August 5, 2012.)


分かりましたか?

最初の段落に出てくる、"throwing contests"が無気力試合のことを指しています。

"throw"を英和辞書で調べると、沢山の意味が載っていますが、比較的最後の方に、


(試合・競走・勝負事などに)八百長で負ける[勝ちを譲る],わざと負ける.(ランダムハウス英和辞書)


という意味が載っています。Merriam Websterでは、


to lose intentionally


という解説があります。もう1つ引用してみます。


More than 12 hours after two Korean women's pairs, the Chinese top seeds and an Indonesian pair were booed off the courts at Wembley Arena as they tried to throw two matches on Tuesday night, the sport's governing body annnounced their disqualification after a lengthy disciplinary meeting of its top officials.
(Cahal Milmo. Badminton: Eight players disqualified from London 2012 following match-throwing investigation. The Independent. August 1, 2012.)


ロンドンオリンピックのバドミントン競技でのこの一件は日本では無気力試合という言葉で報道されているのはご存知の通りですが、ランダムハウス英和で"throw (a match)"は八百長という表現が使われています。わざと負けるという意味からは、八百長も無気力試合も同じ概念と思われますが、八百長の英語を"fix (a match)"、無気力試合の英語を"throw (a match)"と考えると、"fix"には事前に金銭のやり取りにより試合の勝敗を取り決めるというイメージがありますが、"throw"の方はそのようなやり取り無く、単に対戦者同士の事情や思惑でわざと負ける行為に出ること、というような違いがあるようにも思われます。(今回のバドミントンの試合で金銭のやり取りがあったかどうかについては知りませんが・・・。)

それにしてもオリンピックにまつわるスキャンダルというのは太古からあるんですね・・・。


2012年8月6日月曜日

封筒?いいえ。 ― expand the envelope

チョコレート好きの方へのニュース。チョコレートはお菓子、甘いものと思っていましたが、調味料の一種として用いられていたこともあるそうです。


MEXICO CITY (AP) — Archaeologists say they have found traces of 2,500-year-old chocolate on a plate in the Yucatan peninsula, the first time they have found ancient chocolate residue on a plate rather than a cup, suggesting it may have been used as a condiment or sauce with solid food.

Experts have long thought cacao beans and pods were mainly used in pre-Hispanic cultures as a beverage, made either by crushing the beans and mixing them with liquids or fermenting the pulp that surrounds the beans in the pod. Such a drink was believed to have been reserved for the elite.

But the discovery announced this week by Mexico's National Institute of Anthropology and History expands the envelope of how chocolate may have been used in ancient Mexico.
(Mark Stevenson. Experts: Mayas may have used chocolate as spice. The Associated Press. August 4, 2012.)


注目していただきたいのが、引用した記事の最後の段落に出てくる、"expand the envelope"という表現です。

"envelope"、イコール、”封筒”と解釈した私は、何となく意味するところは分かったような気がしたものですが、変わった表現だなあと思い少し調べてみることにしました。

記事の流れは特に難しくありません。メキシコの古代遺跡でチョコレートと思われる痕跡が見つかったそうなのですが、発掘されたお皿からだったことから、カカオやチョコレートが長らく飲料として消費されていたという説に加えて、調味料やスパイスとしても用いられていたという新しい説を裏付ける発見となったというものです。これはモレ(mole)と呼ばれる、メキシコ料理で肉料理などにも使われるチョコレートのソースの起源ではないかとも言われているそうです。

さて、"expand the envelope"ですが、チョコレートが古代メキシコでどのように消費されていたか、ということの"envelope"を拡げた("expand")ということで恐らく解釈は間違っていませんが、なぜ、"envelope"(封筒)なのだろうかという疑問がわいてきます。

実はこの"envelope"は”封筒”の意味ではなく、”包囲線図”という飛行機などを安全に運行することのできる高度や速度などの上限・下限を規定したもののことでした。American Heritage Dictionaryの"envelope"のエントリには下記のような定義が見えます。


The set of limitations within which a technological system, especially an aircraft, can perform safely and effectively.


そして、"push the envelope"というイディオムが載っていますが、なぜか"expand the envelope"はありません。英和辞書も同様でした。

コーパスに頼ってみますが、"expand the envelope"の実例はあまり多くありません。1つ引用してみます。


Our whole deal is about testing the limits, expanding the envelope, getting quicker, going faster. We make changes to the cars to get them to go faster, we break a car in half and we fix it. So we make more changes, break another car in half and fix it.
(Chicago Sun Times. 2007.)


ここで、"expand the envelope"の"envelope"は"limits"とほぼ同義と思われます。

American Heritageによる"push the envelope"の定義は下記のようになっています。


To increase the operating capabilities of a technological system.


"a technological system"とは恐らく飛行機や車のことになるのだと思われますが、その性能(operating capabilities)を増す(increase)というのは、"expand"とほとんど同義と思われます。

そうすると、"expand the envelope"も"push the envelope"もほとんど同じ意味のように思われます。


2012年8月3日金曜日

おやまあ! ― holy moley

ニューヨーク、ブルックリンの住宅地で道路が突然陥没したというニュース記事をNew York Post紙のTwitterタイムラインで知りました。


A large chunk of a Brooklyn street collapsed yesterday afternoon due to a broken sewer line — creating a nearly 25-by-12-foot sinkhole that almost swallowed two cars parked nearby.

Emergency personnel were called to 79th Street and Fifth Avenue in Bay Ridge about 5 p.m. when the pavement first began to crumble.
(Hole-y moley! B’klyn street collapse. The New York Post. August 12, 2012.)


記事に現場写真とビデオがありますが、乗用車が陥没した道路に落ちかけており、怪我人が出なかったことが幸いです。

さて、この記事のタイトルに注目したいと思います。


Hole-y moley! B’klyn street collapse.


"Hole-y moley!"って一体何でしょうか?"Hole-y"と、スペルにハイフンが入っているのも気になります。

ツイッターにアクセスした携帯の英和辞書にはエントリがありませんので、もう少し大きい英和辞書で調べることになりましたが、"hole-y moley"では見つかりません。正しくは、"holy moley"なのですがこれは、驚きや困惑などの感情を表す表現で、


おやまあ、なんてこった


といった意味なのだそうです。

"hole-y"となっている理由は分かりますか?

そうです、道路が陥没して大きな穴(hole)ができてしまったことにかけているんです。つまり、しゃれです。New York Post紙の記事はしゃれが多いですね。

ランダムハウス英和によりますと、"holy moley"には、


holy cats
holy cow
holy mackerel
holy smoke


など色んなバリエーションがあるそうです。

"holy moly"というスペルもあるそうですが、"moley"(もしくはmoly)というのは、特に意味がないらしく、単に"holy"の発音に韻を踏んだ造語だそうです。

2012年8月2日木曜日

親指族 ― thumb tribe

グーグルニュースのUS版を斜め読みしていたら、下記のようなヘッドラインに出くわしました。


Mitt Romney not yet a member of the ‘thumb tribe’


オバマ氏と大統領選を争っているロムニー氏についてのことですが、"thumb tribe"というのが何の事だかわかりませんでした。クオートで括っているくらいですから特別な意味があるのだと想像がつきますが、とりあえず記事を読んでみます。


SAN FRANCISCO — Mitt Romney carries an iPhone and taps his private thoughts on an iPad, but his campaign wants Americans to know he’s pro-Android, too.

(中略)

Whereas President Barack Obama was heralded as the “BlackBerry president” and got his iPad 2 from Apple co-founder Steve Jobs himself, not much is known about the tech preferences of presumptive GOP presidential nominee Romney.
(Michelle Quinn. Mitt Romney not yet a member of the ‘thumb tribe’. Politico. August 1, 2012.)


オバマ氏は"BlackBerry president"と言われるそうですが、それに対比してのロムニー氏の話ということで大体合点がいきました。

BlackBerryというのはサラリーマンがよく持っている、会社の電子メールなどもやり取りできる高機能携帯電話のことです。オバマ氏は恐らくBlackBerryを使いこなしているのでしょう。ロムニー氏は、iPhone派なのか、Android派なのか、いまいち分からないということのようです。

あまり興味ない話題ですのでその記事にそれ以上こだわりませんでしたが(笑)、それよりも"thumb tribe"という表現は果たして定着した表現なのかと思って調べてみると、やはりそのようです。


Use of hand-held technologies, such as mobile phones, GameBoys and computers, has caused a physical mutation in the under-25s, according to new research.

The study, carried out in nine cities around the world, shows that the thumbs of the younger generation have overtaken their fingers as the hand's most muscled and dexterous digit.

(中略)

'There are many ways to input information into these devices, but for some reason kids under 25 most often choose to use their thumbs over any other digit. There is no question that choice is having a clear effect on their physicality: thumbs are the new fingers.'

In Japan, the trend was particularly marked. Plant even found the under-25s referred to themselves as oya yubi sedai - the thumb generation, or thumb tribe.
(Amelia Hill. Thumbs are the new fingers for the GameBoy generation. The Guardian. March 24, 2002.)


上記の記事を読んでいただければ明らかですが、"thumb tribe"(あるいは、thumb generation)とは日本語でいうところの親指族(この記事では、"oya yubi sedai"、親指世代とされています)のことです。

そう言えばそんな日本語があったっけなあ、という感じですが、英語になっているとは驚きです。

記事によりますと若い世代は親指の機能が特に発達しているということですが、"physical mutation"と表現しているあたり、ケータイを使い過ぎることへの警鐘のようにも聞こえます。


2012年8月1日水曜日

シーソー ― teeter

まずは、下記に引用する記事を読んでみてください。


China’s manufacturing teetered on the edge of contraction in July, signaling a rebound in economic growth has yet to take hold.

The Purchasing Managers’ Index unexpectedly fell to 50.1 in July from 50.2 in June. The reading today from the Beijing-based National Bureau of Statistics and China Federation of Logistics and Purchasing was the weakest in eight months and compares with the 50.5 median estimate in a Bloomberg News survey. A reading above 50 indicates expansion.
(China Manufacturing Teeters Close to Contraction. Bloomberg. July 31, 2012.)


言うまでもありませんが、経済のニュースです。私は経済学に明るい訳ではなく、特に数字が出てくるとまったくダメなのですが、それはさておいて英語表現の"teeter"に注目します。

"teeter"を辞書で引くと、


動揺する、ふらふら(ぐらぐら)動く;シーソーに乗る


といった訳語が出ています。ランダムハウス英和では、”主に米北部”という但し書きがあるのですが、シーソーのことを"teeter"と表現したっけ?とまず思いました。

そうです、シーソーを言うのに、"seesaw"という単語がちゃんとあります。"seesaw"という単語は、シーソー遊びがのこぎりで丸太を引く行為(saw)を連想させることから来ているそうですが、その"saw"という単語の音声を重複させて、"seesaw"となったもので、いわゆる"reduplication"と呼ばれているものです。

一方、"teeter"ですが、こちらの語源は震えるという意味の古ノルド語(titra)に由来するそうで、ドイツ語のzittern(同じく、震える、揺れるの意)も同語源なのだそうです。

さて、American Heritage Dictionaryによれば、シーソーを表現する単語にかなりバリエーションがあるらしく、アメリカでも地域によって全く違う単語が使われるそうです。少し列挙してみると、


seesaw
teeter-totter
tilt, tilting board
dandle, dandle board
teedle board


などです。

さて、引用した記事における"teeter"という動詞に話題を戻しましょう。シーソーへの連想から、ここでは経済指標が上がったり下がったり、揺れ動いていることを意味していることは分かると思います。

注目していただきたいのですが、ここでは、


teeter on the edge of contraction


となっており、縮小、後退、つまり景気の後退というその部分で揺れている、ということです。

動詞の"teeter"はこのように、"teeter on the edge of..."という形で、"of"以下の危険、危機が差し迫っている、ということを表現するのに使われます。