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2012年3月30日金曜日

一斉射撃 ― fusillade

フェースブックCEOのMark Zackerberg氏が日本の野田首相を表敬訪問したそうです。


(Reuters) - Japanese Prime Minister Yoshihiko Noda frequently entertains dignitaries from all over the world, but he was a touch star-struck on Thursday when he hosted a young billionaire with a whiff of celebrity: Facebook chief executive Mark Zuckerberg.

As cabinet ministers filed through Noda's residence for a late afternoon meeting, it was Zuckerberg who drew a fusillade of camera flashes from a hefty media contingent as he strode through the entrance like a movie star.
(Chris Gallagher. Star-struck Japan PM befriends Facebook's Zuckerberg. Reuters. March 29, 2012.)


消費税増税論議で分裂しかけの民主党のとりまとめなどで苦戦続きの野田首相も一息つきたかったのでしょうか。Zuckerberg氏の訪問はメディアの耳目を集めたようで、たくさんの報道関係者が詰めかけ、同氏が首相官邸に入るタイミングではフラッシュがまばゆいほどの状況だったようです。

さて、"a fusillade of"という表現は見慣れないものでしたが、"fusillade"は一斉射撃、連発、という意味です。

この単語は、火打ち石銃を意味する"fusil"という単語に由来しています。さらに遡るとラテン語の"focus"(暖炉)に由来します。

今朝の産経新聞でもこの表敬訪問が報じられていました。野田首相と握手するZuckerberg氏はジャケットに青いネクタイ姿で、さすがに"hoodie"ではありませんでした(笑)

2012年3月29日木曜日

hoodie

手持ちの辞書が古いからでしょうか、"hoodie"という単語を引いてもエントリがないか、“カラス”(hooded crow)の意味しか出てきません。

"hoodie"とは、頭にかぶることのできるフードがついたジャケット、もしくはシャツの類の衣類のことで、日本ではフードジャケットとか、パーカーとか呼ばれているものが相当します。

そう言えば、フェースブックの若い何某CEOはこの"hoodie"のいでたちで有名なようです。CEOという重役に似つかわしくない、カジュアルな、軽いイメージの服装が話題を呼んだのでしょう。

さて、国会議員がこの"hoodie"姿で国会答弁や演説をしたら、どうでしょう?やっぱり少し不埒と思う人が多いかもしれません。


Washington (CNN) -- A congressman was removed from the House floor Wednesday after giving a speech about Trayvon Martin while wearing a hoodie.

Rep. Bobby Rush, D-Illinois, told House members, "racial profiling has to stop."

Rush, a former Black Panther who was active in the civil rights movement in the 1960s, then took off his suit jacket, pulled a gray hoodie on over his head and put on sunglasses.
(Deidre Walsh. Lawmaker wearing hoodie removed from House floor. CNN. March 29, 2012.)


アメリカの議会でイリノイ州のラッシュ議員が演説中にスーツ上着を脱いでフードジャケットを着用し、議長から退場させられる一幕があったということです。

議場内では帽子を被ってはいけないという規則があるそうで、その規則違反を問われたとあります。

これに対して同議員は、"hoodie"は帽子ではなくただの上着だと主張し、さらに、


"Just because someone wears a hoodie does not make them a hoodlum," he said.


と反論しているということです。"hoodie"を"hoodlum"(ごろつき)にかけた洒落でしょうか?

"hood-"という部分が共通しているのでこのような推測をしたのですが、実は事情はもっと深刻です。

同議員が演説中に"hoodie"に着替えた背景は、先日フロリダ州で起きた黒人少年の射殺事件に関連しているといいます。この射殺事件では、"hoodie"を着ていた黒人少年を、身なりから(ごろつきのように)判断した男性が射殺してしまったのですが、人種差別問題に発展しており、全米で議論が沸騰しています。

"hoodie"はもはやこの人種差別事件を象徴する衣服となっており、同議員の行為もこの人種差別事件に抗議する意図があってのことでした。

2012年3月28日水曜日

たかが歌詞では済まなかった? ― lyrics

ゴダイゴの”ガンダーラ”という曲をご存知でしょうか?最近の若い人は知らないでしょうねぇ。懐かしいと思う人は多分私の年代がぎりぎりではないかと思います。思わず口ずさむ人もいるのでは。


ガンダ~ラ、ガンダ~ラ、


というサビの部分に続いて、


They say it was in India...


となりますが、歴史認識の浅い私はガンダーラはインドにあったんだと思って疑いませんでしたが、実は違っていたようです。


ISLAMABAD: On the second day of Pakistan Bazar, held to mark Pakistan’s republic day at the diplomatic mission in Yoyogi Park, Tokyo, Japan’s renowned singer and song writer, Yukihide Takekawa, sang his hit single ‘Gandhara in Pakistan’ much to the delight of a large number of people which had gathered for the event.

The song of ‘Gandhara’ by Godiego group was released in October 1978 and went on to become a big hit. Sales of ‘Gandhara’ were the sixth highest a single had managed in Japan in 1979. In the original song of Gandhara, the ancient land, was depicted as part of India.

However, after providing exact information about geographic boundaries of Gandhara region and persuasion from the Embassy of Pakistan in Tokyo, the Japanese celebrity re-sung his hit “Gandhara” altering the lyrics to reflect accurately “Gandhara in Pakistan.”
(After 30 years, Japanese singer sings 'Gandhara in Pakistan' correctly. The Express Tribune. March 28, 2012.)


実はガンダーラというのはパキスタンにあったんですね。大ヒットしたこの曲の歌詞を聞いたパキスタン政府が正式な外交ルートを通じて修正を求めたのかどうかは分かりませんが、往年のスター歌手はつい先日行われた代々木公園でのコンサートでは歌詞を変えて歌ったということです。

パキスタン政府関係者にしてみれば、たかが歌詞という訳には行かなかったのかもしれません。しかし、これまでに発行したシングルやライナーノートなどは修正することもできないと思いますし、この歌詞が関係者にとってどれくらいシリアスな問題なのか興味深いところです。また、カラオケ映像の字幕はどうするのだろうかと、余計な心配を抱いてしまいます。

今日の単語"lyrics"は、歌の歌詞を意味する単語です。ギリシャ語のlyraに由来しますが、英語でも"lyre"となっているこの単語は、楽器の琴のことであり、歌詞と言う意味はありませんでした。琴の伴奏に合わせて歌が歌われた状況からでしょうか、"lyric"は抒情詩の意味で用いられるようになったようです。歌詞という場合には、複数形の"lyrics"が用いられることが普通です。

2012年3月27日火曜日

pimp

ドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)という、前IMFトップのフランス人の名前が有名になったのは大分前の話で、去年5月でした。滞在先のホテルで女性従業員に暴行を働いたという醜聞スキャンダルだったのですが、記憶している方も多いのではないでしょうか?

少し不埒な言い方ですが、当ブログでも3単語(表現)に貢献することになったニュースです。(詳しくは2011年5月11日7月1日7月5日の記事をご覧ください。)

そのストロスカーン氏にまた新たな疑惑が・・・。


PARIS—French magistrates charged Dominique Strauss-Kahn with "aggravated pimping," placing the former International Monetary Fund chief under preliminary investigation for his alleged involvement in a French prostitution ring, prosecutors said.

The magistrates on Monday ordered Mr. Strauss-Kahn to refrain from communicating with plaintiffs as well as with anyone else being prosecuted in the investigation, prosecutors from the northern French city of Lille said in a statement. Mr. Strauss-Kahn, who wasn't detained or arrested, was also ordered to pay a €100,000 bail ($133,500).
(David Gauthier-Villars. 'Aggravated Pimping' Probe for Strauss-Kahn. The Wall Street Journal. March 27, 2012.)


その疑惑とは、"aggravated pimping"とあります。"aggravated"というのは罪状を形容する表現で、犯行などが悪質な場合に刑が加重されるような性質のものであることを意味しています。

"pimp"というのが罪状(犯罪行為)ということになりますが、これは一体どんな罪なのでしょう?

ランダムハウスを引くと、いわゆる売春に関係するものと思われますがストロスカーン氏が売春したのかと思いきや、記事の下記の説明に至るや、???となってしまいました。


Prostitution is legal in France, but pimping isn't. To indict him, prosecutors would have to prove that he played an organizational role in the alleged prostitution ring.
(ibid.)


"prostitution"という単語はご存知かと思います。いわゆる売春一般(?)を指す単語と言えるでしょう。フランスでは、"prostitution"は罪にならず、"pimping"は犯罪、ってどういうこと?と思ってしまいます。

ここで、American Heritage Dictionaryにお出ましいただきます。定義はこうです。


One who finds customers for a prostitute; a procurer.


明確になりました。"pimping"は売春の斡旋のことだと解釈してよいでしょう。

しかし良く分からないのは、フランスで売春自体はOKでも、斡旋は違法、というのは矛盾のように思われます。売春という商売が成り立つところには斡旋する人間がいるのが普通では?と思うからです。

2012年3月26日月曜日

ポップコーンはヘルシー!? ― hull

ポップコーンは実はヘルシーな食べ物なんですよ、と言われたら、多分ほとんどの人がえっ?という反応ではないでしょうか?

私自身、ヘルシーな食べ物と言われてまず思いつくのは野菜や果物、ヨーグルトなどです。ポップコーンのイメージは、特に最近カロリーを気にするようになったので、どちらかと言えば避けたいスナック菓子の1つという認識です。美味しいのは知っています。食べ始めたらやめられませんから(笑)

ところが!アメリカの大学のエライ研究者が、ポップコーンはポリフェノールが多く含まれており、健康的なスナックであるという研究成果を発表したというのです。


Researchers at the University of Scranton (Pa.) ran a lab analysis on the content in several types and brands of popcorn and found that the crunchy hull is rich in polyphenols — antioxidants that prevent damage to cells. Polyphenols also may have disease-fighting properties.
(Nanci Hellmich. Popcorn packed with antioxidants, hidden health benefits. USA Today. March 26, 2012.)


ポリフェノールというのは抗酸化作用があるとして知られる物質です。赤ワインやチョコレート、コーヒーなどにも含まれるということで、過去にマスコミでもよく取り上げられました。これらの食品が途端に話題になり、バカ売れしたりしたことでもご存知の方は多いと思います。

今回のニュースはポップコーン好きの方には嬉しいニュースかも知れませんね。ただし、これはプレーンなポップコーンでの話であって、キャラメルや砂糖、多量の油や塩分で味付けしたもの(アメリカなどで俗に言うTheater Popcorn)は高カロリーなので注意が必要です。

さらに、注意深く押さえておきたいのは、ポリフェノールが多く含まれるのは外皮部分であるということです。


"The hull is where the most nutritional goodies (polyphenols) are — not the white fluffy part," says chemistry professor Joe Vinson, senior author of the study, which was partially funded by a popcorn company. Vinson also has studied chocolate, coffee, spices and cereals. The popcorn findings were presented Sunday at a meeting of the American Chemical Society in San Diego.
(ibid.)


"hull"と"white fluffy part"という対比で示されていますが、"hull"とはポップコーンにする前の硬い外皮の部分を、"white fluffy part"とはポップコーンになった後の、爆発して膨れた白い部分を指しています。

実は今日のこのニュースがきっかけで、ポップコーンが出来る仕組みを改めて調べてみました。ポップコーンになるとうもろこしは爆裂種と呼ばれる特別な種類のものなのですが、乾燥させた当該種のコーンを火にかけると、コーンの内側の水分を多く含んだ部分が熱せられ膨張しますが、その結果硬い外皮が破裂することによってあのような形のポップコーンができるのだそうです。(このサイトの説明が分かりやすいです。)

ということはですね、ポリフェノールのベネフィットを享受するためには、あの黄~茶褐色の硬い部分を食べねばならない訳で・・・。ほとんどの人にとっては、それ以外の大部分である白いところがポップコーンの醍醐味なのではないかと訝りたくなります。

今回は研究はあくまでも実験室での結果であり、人の体で実際にどれくらいのベネフィットがあるのかについてはまだこれからの話であると記事もやや控えめに締めくくられていますが、これが日本のマスコミに取り上げられるときっとスーパーの棚からポップコーンが消えるんでしょうね・・・。

2012年3月23日金曜日

痩せてればいいってもんじゃありません ― body diversity

自分自身の体型について、太っているよりも痩せている方がいいと思うのは、ほとんどの人が認めるところではないかと思います。ただし、それは程度の問題であって、太り過ぎていても痩せ過ぎていても、健康上問題であることは、これまた多くの人が認めるところだと思います。しかしながら、一般的な傾向として痩せへの志向というのは時に病的なまでに極端なケースが見られます。

痩せたいと思うのは人の本能でしょうか?そうかも知れません。が、最近では別の見方が出てきています。


This week, Israel passed a law banning models from advertisements or fashion shows if they measure less than 18.5 on the body mass index (BMI). It's part of an effort to promote health for women of all sizes, and to stop glorifying the ultra-thin.

"Beautiful is not underweight," says Rachel Adato, one of the creators of the bill.

In recent years, much attention has been paid to how women are portrayed in the media, whether it's an overly airbrushed magazine model with an impossibly slim waist, or a TV starlet with protruding collar bones.
(Kate Dailey. Are thin women enemy? BBC News. March 23, 2012.)


別の見方というのは、雑誌やメディアが一般の人の痩せ志向を極端に煽っているのではないか、という見方です。引用記事の冒頭にもありますように、イスラエルではBMIが18.5以下の痩せ過ぎ女性が宣伝広告のモデルになることを禁止する法律が可決されたということです。法律で規制するほど深刻な話なのかと少しびっくりしましたが、記事によりますと、スペイン、イタリア、イギリスなどのヨーロッパ各国でも同様の規制やガイドラインなどの取り組みがあるということです。

記事は以下のように続きます。


In an era when pro-anorexia communities congregate on social media sites like Pinterest, it's no wonder that lawmakers are concerned with women's body image.

For sure, reducing the number of images that portray women as very thin is beneficial, says Claire Mysko, director of Proud2BeMe, a website created with the National Eating Disorders Association (Neda) to promote healthy body image.

"There is a danger in being constantly exposed to one image of beauty," she says. "There is a serious lack of body diversity in the media. People are not seeing themselves and their bodies reflected."

Israel's law may be the catalyst needed to help make change. But others say it could make things worse.
(ibid.)


つまり、雑誌やメディアにおいて痩せ=美人の条件のようなイメージを過剰なまでに前面に押し出すことがよくないのだという見方です。このようなイメージが、一方で多くの拒食症や摂食障害の増加をもたらしているという批判があります。また、多くの場合、雑誌やメディア広告でのイメージにおいて、”修整”が施されていることも問題視されています。

このような状況は、"body diversity"の観点が欠けている、憂慮すべき事態であるとの見方が広まっています。

"diversity"という単語は近年よく聞く言葉です。日本語では、”多様性”と訳されることが多いと思います。

"body diversity"を訳するならば、”体型・体格の多様性”といったところでしょうか?

"body diversity"でグーグル検索をすると、様々なウェブサイトがヒットしますが、極端な痩せ志向に警鐘を鳴らすものが多く見られます。

記事は最後にこう結ばれています。


"There are people who are naturally thin and people who are naturally heavier, and we need to accept a diversity," Ms Mysko says.

"That's the goal: not to define one body type as attractive and another type as unattractive."
(ibid.)


たしかにその通り。自戒を込めて、"body diversity"を意識していきたいと思いました。

2012年3月22日木曜日

トーキョーアイト? ― Tokyoite

またまた自身の不勉強を晒すようですが、こんな単語知りませんでした。正直言って、初めて見る単語でした。スペルミスかと思ったくらいです。知っている人には馬鹿にされそうです・・・。 


Ask five Tokyoites to name the best sushi restaurants in the city, and you’re likely to get five different answers - the old "how long is a piece of string?" quandary. 

That's because the sushi experience is a very personal one that can include not only raw seafood, but also things like unmatched service, chefs whose skills were honed by years of apprenticeship, an atmosphere that screams “traditional Japan” and, in many cases, a whopping bill. Because of all this, any one traveler’s favorite sushi experience is going to largely depend on budget, interests and previous experience with the cuisine. 
(The best sushi restaurants in Tokyo. CNN. January 30, 2012.) 


 “東京人”を言うのに、英語では"Tokyoite"というそうです。発音すると、“トーキョーアイト”のようになります。ご存知でした? 

 ランダムハウス英和辞書にもちゃんとエントリがあり、“東京都民”という訳語になっています。腑に落ちないのが、“日本語から借用された英語”という説明なのですが一体どういう意味でしょうか?色々あたってみたのですが、分かりません。 

 考えてみれば、都市名に色々な語尾がくっついて、“~に住む人”のことを表している単語は枚挙にいとまがありません。 

ロンドンっ子のことを"Londoner"と言いますし、"Dubliner"はジェームズ・ジョイスの有名な小説でもあります。New Yorkerにしても、Berlinerにしても、語尾は"-er"が一般的です。また、"Hawaiian"や"American"のように、"-an"という接尾辞もお馴染みです。 

"Tokyoite"は、"Tokyo"、プラス"-ite"ということになります。この"-ite"という語尾の例を調べると、 


Israelite
Jerusalemite
Manhattanite 
Muscovite 
... 


などなど色々あることが分かりました。都市名に"-er"をつけるべきか、"-an"をつけるべきか、はたまた"-ite"をつけるべきか悩ましい感じもします。中には、Hongkongite (Hong Kongerとも)のように、どちらのパターンも存在するものもあるようです。 

また、下記のような単語もあります。使われているのを実際に見聞きしたことはありませんが・・・。 


Broadwayite 
Hollywoodite 


このような出会いがあると、単語の世界は奥が深いものだとつくづく実感します。そのおかげで当ブログもネタがつきないのですが(笑)。



2012年3月21日水曜日

ロバート・デニーロさんの舌禍の行方は? ― joke, jest, or quip?

このところ、アメリカ大統領選が徐々に熱気を帯びてきているようです。新聞でも、ネットのニュースのヘッドラインでも見かけることが多くなりましたが、個人的にはあまり関心がないもので(笑)、大体いつもスルーしているのですが、今日は偶々ヘッドラインにつられてしまいました。そのヘッドラインとは、


Obama disowns De Niro white First Lady joke


というものです。どうです?一体どんなジョークなのか気になりませんか?特にその発言者があのロバート・デニーロさんとあっては、気になりますよね?


WASHINGTON — President Barack Obama's re-election campaign distanced itself Tuesday from a joke by Hollywood veteran Robert de Niro about the prospect of a white First Lady returning to the White House.

The reaction came after Republican candidate Newt Gingrich slammed the jest, -- made by Democrat-supporting actor De Niro at a fundraising event with Michelle Obama -- as "unacceptable."

"We believe the joke was inappropriate," said the first lady's campaign press secretary Olivia Alair after Gingrich's comments triggered a tide of online argument about the joke.
(Obama disowns De Niro white First Lady joke. AFP. March 21, 2012.)


記事の前半ではとにかくデニーロさんのジョークが物議を醸しているということしか分かりません。

“デニーロさんの白人ファーストレディーのジョーク”というのが何だったのかは記事の後半で明かされています。記事によるとこうです。


"Raging Bull" star De Niro made the contested remark as he introduced Michelle Obama at a fundraising event on Monday in New York's trendy Greenwich Village district.

"Callista Gingrich. Karen Santorum. Ann Romney. Now do you really think our country is ready for a white first lady?" the actor said, referring to the wives of Republican candidates Gingrich, Rick Santorum and Mitt Romney.

"No" yelled one person as the crowd roared, while De Niro added: "Too soon, right?"
(ibid.)


民主党を支持するデニーロさんが政治資金パーティで、大統領選の有力候補になっている3氏の夫人の名前を挙げ、“ホワイトハウスに白人のファーストレディは時期尚早”というような趣旨の発言をしたことが問題になったようです。

これは、4年前にオバマ大統領が選出されることになった選挙戦で、“アメリカにとって黒人の大統領は時期尚早”というような批判があったことをもじった、ハリウッドスターならではの気の利いた発言だったようですが、共和党関係者、とりわけギングリッチ氏の怒りを買ったようで、同氏がオバマ大統領に対して謝罪を求める事態になっているようです。

ところで、ここでこの件に関するもう1つ別の記事を引用します。


WASHINGTON — Actor Robert De Niro opened a fundraiser starring Michelle Obama by listing her Republican rivals and jokingly suggesting that America isn’t “ready for a white first lady.” Newt Gingrich was not amused, and the Obama campaign says the quip was inappropriate.
(Obama campaign: Supporter Robert De Niro’s joke about white first ladies ‘inappropriate’. The Washington Post. March 21, 2012.)


違いにお気づきでしょうか?

デニーロさんの発言について、AFPでは、"joke"、"jest"と表現していますが、ワシントンポスト紙では、"quip"としています。これら3つの単語はほぼ同義語ですが、American Heritage Dictionaryによりますと、微妙な差異があります。


joke
Joke especially denotes an amusing story with a punch line at the end.

jest
Jest suggests frolicsome humor.

quip
A quip is a clever, pointed, often sarcastic remark.


基本的にはいずれの単語も日本語で言うところの冗談やしゃれ、戯れ言、に相当する意味を持っていると言ってよいかと思いますが、英語でのこの微妙な差異は押さえておきたいところです。

特に、"quip"という単語では、単なるふざけではなく、皮肉が込められているという点に注目です。今回の舌禍騒動については、4年前の選挙戦での発言の“売り言葉に買い言葉”的な側面もあるということですから、デニーロさんのファンでもある私は擁護派に回りたいと思いますが、当のオバマ陣営はスターの発言には一定の距離を置いているようで、行方が気にかかるところです。

今日は1日1語ならぬ、1日“3語”になってしまいました(笑)


2012年3月20日火曜日

Spring has come! ― vernal equinox

今日は春分の日の祝日、お休みを満喫されたでしょうか?

私の住む関東地方では、非常に良く晴れ、週末日曜日に全国的に冷たい雨が降った後だけに、今日の晴天はまさしく"Spring has come!"、と歓喜したくなるような陽気でした。今日は春のお彼岸でもあり、近所をジョギングしていますと、あちこちで線香の香りが・・・。たまたまですが、今日のジョギングコースにはお墓のあるところが多く、通過の度に線香の香りを嗅いで、お彼岸であることを実感した次第です。

さて、春分の日のことを英語で、"vernal equinox"と言います。(ちなみに、秋分の日は、"autumnal equinox"です。)

"vernal"というのは、春(Spring)を意味するラテン語の、"vernus"から派生した単語です。

一方、"equinox"とは、"equi-"(等しいことを意味する、"equal"と同じく、接頭辞)、プラス"nox"(夜を意味する"night"に同じ)から派生した単語です。ちょうど春分の日の今日あたりにおいて、昼と夜の時間がほぼ同じ長さになることから、このように言われているものです。

季節はこの日を境に、春となります。まさに、暑さ寒さも彼岸まで、であり、"Spring has come!"です。

さて、American Heritage Dictionaryで、"Spring"の定義を見ておりましたら、その簡潔で的確な定義にちょっとした感嘆を覚えましたので、ここに引用します。


The season of the year, occurring between winter and summer, during which the weather becomes warmer and plants revive, extending in the Northern Hemisphere from the vernal equinox to the summer solstice and popularly considered to comprise March, April, and May
(The American Heritage Dictionary. Third Edition.)


ところで、ペルシア文化では春分の日のが”元日”にあたる日だということをご存知でしょうか?ノウルーズと呼ばれる、イラン暦における元日について、下記の記事で初めて知りました。


Greeting Card Universe, the world's largest greeting card store, announces its popular collection of 672 original and unique Persian New Year cards.

Persian New Year or Norooz - "New Day" - marks the first day of spring, the Vernal Equinox, and has been celebrated by the people of Iran for at least 3,000 years. Occurring this year on March 19 at exactly 10:14 pm PST, this thirteen day festival concludes with a day of outdoor activities, Sizdah Bedar or Persian Nature Day, which often falls on April 1st. Persian New Year is observed annually by Iranians around the globe, including those living in the United States.
(San Ramon. Keeping the Persian Culture Alive: Persian New Year Cards from Greeting Card Universe. San Francisco Chronicle. March 19, 2012.)

2012年3月19日月曜日

究極のエコ!? ― unprint

グーグルニュースでテクノロジー関連の記事を斜め読みしていたら面白い記事に巡り合いました。ケンブリッジ大の研究者が紙に印刷されたトナーを除去する技術を開発したそうです。詳しくは以下を。


Scientists develop the un-printer - vaporises ink from paper

A team of scientists at the University of Cambridge have determined that as long as you are using the right type of laser, it is possible to remove toner from paper.

"Previous work on the subject has explored the applicability of ultraviolet, visible and infared lasers under nanosecond pulses for toner removal," the researchers write in an abstract of the study published by the Proceedings of the Royal Society journal.

They go on to explain that they have expanded on that method and found that "with the right laser, it is possible to remove toner from paper to enable its reuse".
(Deborah Netburn. Scientists develop the un-printer - vaporises ink from paper. The Sydney Morning Herald. March 19, 2012.)


まさに”究極のエコ”といったところでしょうか?

紙に印字をするのがプリンターならば、鉛筆書きを消しゴムで消すように印字を消してくれる機械は、"un-printer"だということです。

想像がつくように、"un-printer"という単語の成り立ちは、"printer"という名詞に否定・反対の意味を付加する接頭辞の"un-"が付いたものです。

また当然ですが、"un-printer"というエントリはどの辞書にも(まだ)ありません。しかしながら、今後この技術の実用化によっては辞書のエントリになるのもそう遠い話ではないかもしれません。そして、恐らく、"un-print"という動詞形も仲間入りすることでしょう。


Researchers Use Lasers to Un-Print Printed Paper

Removing printed toner on paper, similar to how we use an eraser to clear pencil writing, is not something entirely new, but there has never been a feasible approach for the mass market.
(Douglas Perry. Tom's Hardware. March 15, 2012.)

2012年3月16日金曜日

ネットいじめ ― cyberbullying

学校裏サイトや匿名掲示板での中傷の書き込みなどといった、インターネット上でのいじめのことを英語では"cyberbullying"と呼びます。"cyber-bullying"、のようにハイフン(-)が入ることもあります。

"cyber-"(ネット上の)、プラス"bully(ing)"(いじめ)という造語です。

このような悪しき状況は日本だけかと思っていたら、実はオーストラリアでも大きな問題になっているのだそうです。


The Federal Government launched its latest campaign against cyberbullying today to mark the National Day of Action Against Bullying and Violence.

Education minister Peter Garrett said cyberbullying was of growing concern in Australia, where one in four students are victims.

"In the cyber world, it's much easier for people to be able to be involved in bullying without being identified in a physical way," he said at Mascot Primary School in Sydney.
(Website, smartphone app to take on bullies. News.com.au. March 16, 2012.)


私が子供だった頃では考えられないことですが、インターネットが社会インフラ化し、小中学生が携帯電話やスマートフォンを持つ時代には、いじめのやり方も変わったということなのでしょうか。

私の子供時代にもいじめやそれに類する状況は存在しました。しかし、それは生身の人間と人間が対峙する、学校や子供が集う公園といった現実の舞台で存在するものであり、今日のネットいじめのような、匿名による、不特定多数が時と場所を選ばず加担するような仮想空間での話ではありませんでした。

”ネットいじめは(学校が放課になる)午後3時に終わらない、24時間つづく”、と記事中に専門家の言葉があります。

オーストラリア政府は、ネットいじめに対処するためのキャンペーンを掲げ、断固反対のスマートフォンアプリを配信しているそうです。

卑劣なネットいじめが根絶されることを願ってやみません。

2012年3月15日木曜日

鵜呑みにする ― take ... as gospel

三寒四温といいますが、まだ少し肌寒い日も続いているものの、朝日が昇るのも早く、日中の陽気はすっかり春らしくなってきました。3月は卒業シーズンであり、子供たちにとっては春休みの時期です。そして暖かくなってくるとどこかへでかけたくなるということで、旅行シーズンでもあります。

そう言えば最近旅行に行ってません・・・。家族の予定がなかなか合わないというのもあるのですが、先立つ資金も余裕があるわけではなく、また宿取りや道路の渋滞、等々を考えるとなかなか踏ん切りがつきません(笑)まして、海外旅行ともなるともっと大変です。

旅行を考えるとき多くの方が、いわゆるガイド本を参考にするのではないかと思います。ガイド本は情報収集には有用かも知れませんが、そこに書かれている指南が果たして全て正しいかというと、また違った考え方もあります。そんな記事を見つけました。


Whether they are fellow travellers, anonymous forum posters, government websites or travel "experts" writing brilliant blogs on popular websites (No, no, hold the applause, you’re far too kind…), everyone wants to give you some kind of guidance on where you should go, how you should behave or who you should avoid talking to.

While a lot of the information is helpful in planning an action-packed, fulfilling and safe trip, there is just as much out there that is complete rubbish.
(Paul Hansford. When it comes to travel advice there's a fine line between useful and paranoid. News.com.au. March 14, 2012.)


ガイド本に限らず、インターネット時代、図書館や書店などに行かずとも見知らぬ土地のことを調べるのに苦労しません。

しかし、事前に漏れなく情報収集し、”完全武装”して出かけることが本当に旅行の楽しみなのでしょうか?


Take two stories that made headlines in the last couple of weeks as examples.

Firstly, a Canadian travel guide advised women travelling on their own to wear a fake wedding ring in order to fend off the unwanted advances of lecherous foreigners, going on to tell the preyed-upon female traveller to, “also carry a photo of your husband (or an imaginary one), which you can show to persistent suitors”.

This was followed by the chief medical officer of the British Olympic Association advising UK athletes to avoid shaking hands with fellow competitors during the Games due to the risk of spreading germs through the Olympic village, stating: “At an Olympic Games or any major event the performance impact of becoming ill or even feeling a little bit ill can be significant".
(ibid.)


上記の2つの事例はいずれも、こうした”指南”が影響しているものと思われます。そして以下のようにまとめることができます。


Let’s get this straight: if we take these snippets of advice as gospel, the key to a happy, healthy trip is to lie about who you are to anyone who shows an interest and to avoid physical contact of any kind for fear of contracting a communicable disease.
(ibid.)


つまり、旅行に際しては、自分自身について偽ること、そして見知らぬ人との接触を極力避ける、ということが肝要だ、ということになってしまうのです。

というところで、今日の表現、"take ... as gospel"とは、"take"以下の目的語にあたる事柄について、それを福音書(gospel)のように真実のものとして受け止める、つまり絶対的真実として捉える、という意味です。この表現は、コンテクストによっては、”鵜呑みにする”という、やや批判を込めた訳が適切な場合もあります。今回の引用記事などはそれに相当するでしょう。

記事はこちら

2012年3月14日水曜日

15日に要注意! ― the Ides of March

今日は3月14日、ホワイトデーですが、男性のみなさん、きっちりと義理は果たしましたか?

明日は3月15日ですが、さて、”15日に要注意”とは一体どういうことでしょうか?


CEOs, beware the Ides of March

Modern day Caesars, sometimes known as chief executives, should beware the Ides of March.

In the past week at least half a dozen senior public company executives have either voluntarily decided to hand in the keys to the executive washroom, or been nudged out of the building by their boards.

In most cases the departures have followed close on the heels of the companies reporting poor December half year results.
(Ian Mcllwraith. CEOs, beware the Ides of March. The Sydney Morning Herald. March 14, 2012.)


バレンタインデーのお返しをし損なって15日に女子に批判される、ということではありませんでした(笑)

引用した記事が呼びかけているのはCEO、つまり会社の社長です。

"the Ides of March"というのは、3月15日のことを指しています。"ides"というのはラテン語で”半分のところ”を意味しており、月の真ん中なので15日と言う訳です。

でも、なぜ”15日に気をつけろ”なのでしょう?記事の話からするとちょうどこの時期は企業の決算のタイミングでもあるので社長が解任されたりすることもある訳で、それは理解できるような気がします。

実は、"Beware the Ides of March."はシェークスピアの「ジュリアス・シーザー」に出てくる有名なセリフなのです。

ご存知の通り、シーザーはブルータスによって暗殺されてしまいますが、その暗殺を予言した預言者が放った言葉です。

”ブルータスよ、お前もか”は有名なセリフですが、"Beware the Ides of March."も覚えておきたいセリフです。

2012年3月13日火曜日

ダサい、冴えない ― drab

今日の1語、"drab"という単語をご存知でしょうか?

さえない、くすんだ、という訳が英和辞書に見えます。

日本経済が低迷する昨今ですが、ユニクロ(ファーストリテイリング社)の快進撃は業界では異端のように扱われながらも、新しいリーダーとして期待されています。

ユニクロがその旗艦店を銀座にオープンするというニュースが話題ですが、昔は一地方の、ほんとに冴えない(失礼!)、極言すると”ダサい”衣料品店だと目される存在でした。


Uniqlo, the Japanese T-shirt maker, wanted to change its image, which was seen as drab in its homeland. Part of the solution: recreating the sheen of its New York Fifth Avenue store in Tokyo’s most expensive fashion district -- rebranding from the outside in.

Uniqlo next week will open its world’s largest store in Tokyo’s Ginza area. Combined with a shift to use English as its official language and plans to hire more international workers, the strategy is designed to shed Uniqlo’s roots as a budget label selling cheap clothing 30 years ago.
(Japan’s Richest Man Remakes Once-Drab Uniqlo in Manhattan’s Image: Retail. Bloomberg. March 9, 2012.)


ユニクロの前身が小郡商事と呼ばれる、一地方の山口県小郡市を本拠とする企業であったことはよく知られていると思います。実は私も山口県(下関市)出身なのですが、中学、高校の時分に少ない小遣いでユニクロへシャツなどを買い求めに行きました。

引用した記事の最後の部分に、"Uniqlo's roots as a budget label selling cheap clothing 30 years ago"とありますが、記事では、"30 years ago"の部分がリンクになっており、ユニクロのウェブサイトの社史(英語版)に飛ぶようになっています。

その社史にもある、1985年6月あたりがまさしく私が中学生くらいだった時なのですが、"first roadside location, the Yamanota Store in Yamaguchi Prefecture"は懐かしい店舗です。

あの冴えなかった店舗が、今や銀座やニューヨークのマンハッタンに出店とは感慨深いものがあります。

2012年3月12日月曜日

年増というと差別? ― over-the-hill

CNN国際版を読んでいたら、アジアナ航空の客室乗務員がスカートに”ノー”(Asiana Airlines' cabin crews say 'no' to skirts)という記事が目に付きました。同社の規程では客室乗務員はスカートを着用しなければならないとあるようなのですが、乗務員側はパンツ(ズボン)でもいいじゃないか、乗客の安全を守るという責務からはスカートよりもパンツの方が動きやすくまだ機能的であると反発しているそうです。

この件に関するわたしの個人的な意見は差し控えさせていただきます(笑)が、飛行機を利用する際に綺麗なスチュワーデスさんにお会いできるのは旅の楽しみの1つであることには違いありません。わたしはアジアナ航空を利用したことはありませんが、この記事に対する読者のコメント(抜粋)に以下のようなものがあり、思わず笑ってしまいました。


Those cute Asian stewardesses sure beat United's wide-body over-the-hill pre-menopausal flight attendants!


あんまり引用すると女性差別にもなりかねませんので上記の抜粋だけに留めておきますが、この方の言いたいことも分からないではありません・・・。

さて、"over-the-hill"という表現に着目です。そのまま訳すならば”丘を越えた”となります。人生の盛りを過ぎた、という訳がランダムハウス英和辞書で見られました。

上記のコンテクストでは、”年増の”という表現がぴったりくる(!?)でしょうか。

American Heritage Dictionaryの定義では、


Informal. Past one's prime.


とあります。無難な定義ですねぇ。当たり障りがない定義だと思いますが、実際に使われるコンテクストは様々です。もう1つ引用します。


“People in their 40s and 50s might mourn their changing figure or the passing of childbearing age, but these changes are key to the success of the human species, [Cambridge University academic] Dr. David Bainbridge said,” The Telegraph reports. “Far from being over the hill, middle-aged people are arguably the ‘pinnacle of evolution’ because they are primed to play a vital role in society which could not be filled by younger adults, he added. While certain physical attributes such as skin suppleness and short-range eyesight deteriorate noticeably in the fifth and sixth decades of life, more important aspects such as brain power remain virtually undiminished.
(Michael Kesterton. Middle-aged people run the world. Globe and Mail. March 11, 2012.)


40代、50代が年増かというと、まぁそうかもしれませんが、人生の盛りを過ぎたかというととんでもない、という人も多いと思います。私の感覚からも、40代、50代は”脂ののった”時期ではないかと思います。

一方、スポーツの世界は厳しいです。


Football is a young man's game, and players are considered over-the-hill when they hit 30.
(Chicago Sun Times. 2005.)


今日はロンドンオリンピックのマラソン選手代表選考がありましたが、残念ながら公務員ランナーの川内優輝選手は落選してしまいました。彼は現在24歳、リベンジを狙うとして4年後は28歳ですが、"over the hill"となっていないことを祈りたいと思います。

2012年3月9日金曜日

dial back

スマートフォンやiPadなどのタブレット型端末に圧され気味のPC市場ですが、今後の市場予測が飛び交っています。

今日のお昼休みに記事をチェックしていたら、こんな記事が目に付きました。


Gartner has again dialed back its short-term forecast for global PC shipment growth due to a combination of macroeconomic factors, hard disk drive shortages brought on by last year's flooding in Thailand, and the disruption in the PC market caused by mobile devices like smartphones and tablets.

In January, the research firm reported that PC unit shipments had grown just 0.6 percent in 2011 and projected 4.5 percent growth for the sector in 2012. But on Thursday, Gartner further reduced its forecast for 2012, projecting a 4.4 percent increase in PC shipment growth from 2011 or about 368 million units shipped.

"PC shipments will remain weak in 2012, as the PC market plays catch up in bringing a new level of innovation that consumers want to see in devices they purchase," said Gartner analyst Ranjit Atwal. "The real question is whether Windows 8 and ultrabooks will create the compelling offering that gets the earlier adopter of devices excited about PCs again."
(Damon Poeter. Gartner Dials Back PC Market Forecast for 2012. PC World. March 8, 2012.)


ガートナーによる市場予測ですが、2012年のPC出荷予想は今年1月には4.5%の成長と予測していたものを、今週木曜に4.4%へ”下方修正”したというものです。

さて、この記事の冒頭の段落で使われている、"dial back"という表現に注目下さい。

あまり見慣れない表現だったこともあり、私には"dial back"が具体的に何を言わんとしているのかピンとこなかったので、"dial"という動詞の意味を辞書で引いてみましたがどうもそれらしいしっくりと来る表現が見当たりません。

"dial back"という表現のエントリも無く、意味は恐らく”下方修正”といったような意味なのだろうと思いましたが、もう少し具体的な裏付けが欲しくなり、コーパスを当たります。


A long, late breakfast and then a drive to one of the hamlets sprinkled around San Antonio. Thirty minutes by car, and you'd feel time had dialed back thirty years--that's how small those towns, like the towns Arley and Dillon grew up in, really were.
(Jacquelyn Mitchard. The most wanted. 1999.)


上記のような例文での"dial back"は最も分かりやすい例ではないでしょうか?日本語で”時計の針を戻す”と言いますが、まさしく文字盤(dial)上で針を戻す(back)行為とイメージが重なるからです。

しかし、PCの市場予測についての、"dial back"はそのようなイメージが今ひとつピンと来ません。もう少し用例を検索してみます。例えば以下の例文。


Staggering under the twin blows of rising unemployment and soaring inflation, Russia's masses are running out of their much-lauded patience. In the wake of the protest vote, Yeltsin quickly dialed back his ambitious privatization drive and promised easier loans for enterprises squeezed by his austerity program. But his credibility, both at home and abroad, may never recover from the shock.
(Newsweek. 1993.)


1990年代のロシアの政治状況に詳しくありませんが、何らか難しい状況があって、"dial back"せざるを得なかった、という文脈の流れは読めます。"back"という副詞による修飾は、その解釈を助けてくれるように思えます。

さらに、下記の用例を見てみましょう。


And after being asked in a school visit in Texas why I used "the b word" in Shock Point, I asked that it be taken out in the paperback. I realized the boy who asked me was right -- that there wasn't a good enough reason to have it in there. Since then, I have given the matter a lot of thought. As a result, I have made a conscious decision to dial back on any swearing and sexual situations in my YA books. For one thing, I've known kids as young as fourth grade who read my books. For another, my books are primarily entertainment. I'm not trying to help teens deal with important issues, say teens who are facing situations such as sexual abuse, being pressured into using drags, etc. I want to limit the chance that a book of mine will be challenged by a parent.
(Julie Prince. A Frog, Peanuts, and Roald Dahl. Teacher Librarian. 2011.)


上記の用例を読むと、"dial back"は、”撤回する”、”取り下げる”という意味で用いられている節があるように思われます。

ここまで来てやはり判然としないものが残りますが、"dial back"という表現はいくつかの意味があって、コンテクストによって多様な解釈ができそうに思われます。

よく分からないのは、多くの英和辞書がなぜこの表現のエントリを載せていないのかということです。

最終的に私が一番納得したのは、The Online Slang Dictionaryというウェブサイトにあった、下記の定義でした。


verb - transitive

to reduce in frequency or intensity.


いかがでしょう?

2012年3月8日木曜日

オーダーメイド医療に難問 ― hit a bump

サイエンスの進歩のおかげで、オーダーメイド医療(personalized medicine)は昔は夢物語のようなお話でしたが近年では実現間近のものとなっています。

特に薬の投与においては副作用を軽減したり、体質が違うことによる薬の効果の差異などを解決することが期待されています。

また癌治療においては、ターゲットとなる細胞のみを攻撃するような薬剤を開発する上で期待が高まっています。

しかしながら、どうやらそこまで事は単純ではないらしいという研究結果がNew England Journal of Medicineで発表されました。


'Personalized Medicine' Hits a Bump

A tumor's genetic makeup can vary significantly even within the same tumor sample, researchers said, a finding that poses new challenges to the personalized-medicine movement in cancer.

One big implication of the new research, being published Thursday in the New England Journal of Medicine, is that analyzing only a single sample of a patient's tumor—the current practice—may miss important genetic mutations that affect the course of the disease.

That, in turn, could hinder emerging efforts to match patients with drugs that target the mutations affecting their tumors, a basic strategy of personalized medicine.
(Ron Wislow. 'Personalized Medicine' Hits a Bump. The Wall Street Journal. March 7, 2012.)


研究報告によると、癌細胞の遺伝子の構成(genetic makeup)は、たとえ1つのサンプル中の細胞であっても細胞によって大きく異なることが分かり、そうなると特定の遺伝子配列の細胞とその変異をターゲットとして治療を計画するオーダーメイド医療のストラテジーというものが怪しくなってくるということです。

つまり、癌患者から一部の癌細胞を採取してオーダーメイド医療を計画したとしても、実際にはターゲットと異なる遺伝子配列の癌細胞が多く存在することになり、また転移や癌の進行による変異を考えると一部の細胞だけをサンプルとして採取するやり方では十分とは言えず、かといってサンプルを増やすとコストの問題にもなってくるということです。

さて、このことを記事見出しでは、


hit(s) a bump


という表現を使って表しています。"bump"とは隆起、こぶのことです。"speed bump"というのをお聞きになったことがあるかと思いますが、車両のスピードを抑制するために道路にわざと設けられている仕組みのことです。

"hit a bump"は成句の類だと思われますが、要は勢いをもって進行していたものが、“躓いた”ということを言っています。

期待が高まっているオーダーメイド医療だけに、今回の研究成果はその期待を挫くようなものであり、“躓き”であるということです。

専門家ではありませんのでこの研究結果が今後のオーダーメイド医療の発展にどのように影響を与えるのか分かりませんが、難問となってくることは確かだろうと思われます。

記事はこちら

2012年3月7日水曜日

scrounge

CNNの記事で、ガイジン向けの日本食ガイド、というところでしょうか、東京など、お高くとまったレストランが多いところで旨いものを如何に安く食べるかの指南をしてくれる記事を見つけました。


Eating on the cheap in Japan doesn't have to mean scrounging for samples on the food floors of department stores or surviving on convenience-store onigiri rice balls -- though these are time-tested options for those who find themselves cash-strapped and famished.

There's plenty of great Japanese food that does not require taking out a second mortgage, if you know where to look. What applies in Tokyo generally follows in the rest of the country.

First, our four general rules of thumb for eats on the cheap:
(Robbie Swinnerton. Don't break the bank: Japan's superb cheap eats. CNN. March 7, 2012.)

(旨いものを安く食べるための秘訣を知りたい方は、記事の続きをどうぞ・・・)


今日取り上げるのは"scrounge"という単語ですが、聞き慣れない、また見慣れない単語ではないかと思います。

American Heritage Dictionaryの定義では、


tr. To obtain (something) by begging or borrowing with no intention of reparation;

intr. To seek to obtain something by begging or borrowing with no intention of reparation


となっています。ランダムハウスでは、”たかる、せびる”などの訳語があてられています。

デパ地下の試食で食いつなぐという困窮者の話を聞いたことがありますが、デパ地下で試食にたかる行為は、"scrounge"という動詞がぴったりかもしれません。

この単語、"scringe"(拾い集める)という単語から転化したものとの説明がランダムハウスにありますが、"scringe"という単語のエントリはありません。

2012年3月6日火曜日

Appleの価格戦略 ― hit a sweet spot

アップルのアイ・パッド(iPad)の新製品が近日中に発売されるという憶測(もはや憶測のレベルではないと思われますが・・・)が高まり、騒がしくなっています。

現在のiPadが発売されてどれくらいの時間が経過しているのか知りませんが、市場には似たような製品が各社から発売され、PCのメーカーも苦戦を強いられるといったニュースも聞くと、同社によるイノベーションが市場を全く変えてしまったと思わざるを得ません。

さて、iPadという製品がイノベーションの1つであろうことに疑いをさしはさむ人は多くはないかと思いますが、イノベーションは単に製品テクノロジのみでなく、その価格体系にもあり、というのが今日引用する記事です。


If history is a guide, Apple this week will introduce some upgrades to the iPad that perhaps only a techie will fully grasp — but that will draw millions of new customers anyway.

That swooning interest may say just as much about an often overlooked innovation — price — as about the features of Apple’s products.

Starting at $499, the iPad has hit a sweet spot. It is drawing many users who would have opted for laptops and PCs. Yet it makes a lot of money for Apple.

The fat profit margins have been difficult for the company’s rivals to match. Competitors have either had to price their tablets higher, or sell their devices with razor-thin margins or at a loss.
(Cecilia Kang. Apple’s iPad price hits a sweet spot between popularity and profits. The Washington Post. March 6, 2012.)


アップルが現在のiPadを$499で発売したのは明確なストラテジーがあってのことでした。そしてそのストラテジーは奏功し(hit a sweet spot)、他メーカーが追随するも、利益確保では苦戦を強いられているありさまです。

"sweet spot"を辞書で引くと、野球のバットやゴルフのクラブで球の当たりが最も良い個所、という説明があります。つまり、打った時に最も球を飛ばすことができる芯の部分のことを指すのですが、Merriam Websterによるとこの用法は1949年から見られるものだということで、比較的最近の表現であると言えます。ちなみにMerriam Websterの定義は以下のようになっています。


the area around the center of mass of a bat, racket, or head of a club that is the most effective part with which to hit a ball


$499という価格設定は絶妙なポジショニングだったようです。

2012年3月5日月曜日

ポーランドで列車同士が正面衝突 ― head-on collision

ポーランドで列車同士が正面衝突し、16名が死亡、58名が負傷するという最悪の事故が発生したようです。


SZCZECHOCINY, Poland – Two trains running on the same track collided head-on in southern Poland late Saturday, leaving 16 people dead and 58 injured in the country's worst train disaster in more than 20 years.

The powerful collision near the town of Szczekociny, just north of Krakow, occurred after one of the trains ended up on the wrong track. The impact left several hulks of mangled metal smashed on the tracks, with cars overturned and on their sides, and rescuers worked through the night to recover bodies and help the wounded.
(American woman among 16 killed in train collision in Poland. Fox News. March 4, 2012.)


"head-on"という単語は、形容詞としても、あるいは副詞としても用いられます。

"head-on collision"は文字通り”正面衝突”という日本語になります。記事中では、


two trains running on the same track collided head-on


ですから、副詞として使われています。

ところで、この"head-on"という単語ですが、上記で引用した記事のコンテクストでは”正面衝突”がぴったりですが、別のコンテクストでは他の日本語がぴったりくる場合があります。

例えば、


Walking back to my desk, I almost ran head-on into Captain Roenberg. He jumped aside, face flushed and stale coffee on his breath.
(Caitlin Kattredge. Night life. 2008.)


という文では、”正面衝突(しそうになった)”という日本語も間違いではありませんが、”鉢合わせした”という日本語がぴったりくるように思われます。

また、


I was out coaching football, working 80 hours a week, thinking I was a hero. But you're not a hero if you're not there for your kids. Fathers in Touch was the first program I saw that addressed that issue head-on.
(Christian Science Monitor. 2007.)


という文では、”(問題・課題に)真正面から(取り組む)”という表現がふさわしいと思われます。

2012年3月2日金曜日

こんな意味もあったの? ― shy

つい先日完成した東京スカイツリーのニュースが話題です。海外メディアでも報道されています。


Two months late and 634 meters high, Tokyo’s Sky Tree, officially the world’s tallest tower, was completed yesterday, February 29, 2012.

Construction was delayed after the March 2011 earthquake affected supplies to the site, according to a spokesperson talking to theage.com.au.

The new building, construction of which began in July 2008, supersedes China’s Canton Tower (600 meters high) as the world’s tallest tower, but is still nearly 200 meters shy of Dubai's 830-meter Burj Khalifa, the tallest manmade structure ever built.

The Tokyo Sky Tree, which cost approximately ¥65 billion (US$806 million), will provide services for digital radio and TV transmission as well as an aquarium, a theater, academic institutes and regional heating and cooling facilities.
(Tokyo Sky Tree construction ends: World's tallest tower prepares to open. March 1, 2012.)


たしか世界一高いタワーだと聞いていたように思うのですが、引用したCNNの記事ではあれれ?(第3段落参照)

中国のCanton Tower(広州塔; 高さ600メートル)を抜いたとありますが、ドバイのBurj Khalifaには負けるというようなことになっています。(色々ググってみますと、世界一高い”電波塔”としては東京スカイツリーであり、建物ということになるとドバイの超高層ビルになるようです。)

さて、今日取り上げたい表現は、"shy"ですが、日本語でも”シャイな”という表現があって、英単語を見てもそちらがまず思い浮かぶのではないでしょうか?

辞書を引きますと、アメリカやカナダの口語表現で、


不足している、足りない、欠けている


という意味があることが分かります。引用記事においてはドバイの世界一高い高層ビルに200メートルほど届かない高さ、ということになります。

よく知っているつもりの単語にも意外な意味があるものです。

2012年3月1日木曜日

バンコクでヒトラー人気 ― fuehrer

一昨日の”ヒトラーの隠し子!?”に続いてまたヒトラーの話題ですが、全くの偶然です。記事の内容にも関連はまったくありませんので、悪しからず。


Cartoon pandas, Teletubbies, Ronald McDonald. At first glance they don’t seem to have much in common beyond a certain childlike quality. But during a visit to Bangkok you may discover another trait these popular cultural icons now share: their resemblance to Adolf Hitler.

In the Thai capital’s latest outbreak of Nazi chic, pandas, Teletubbies and Ronald have metamorphosed into cutesy alter egos of the Führer, who seems to exert a childlike fascination over some young Thais.
(Tibor Krausz. Bangkok's 'Hitler chic' trend riles tourists, Israeli envoy. CNN. February 27, 2012.)


タイの首都、バンコクで、ヒトラー人気と言いますか、あのナチス党の指導者ヒトラーをもじったようなキャラクターデザインが若者の間で人気を呼んでいるようです。どんなことになっているかは、ここで説明をつくすよりも、記事の写真を見れば百聞は一見に如かず、というところでしょうか。

さて、今日取り上げたい表現は、"(the) Führer"です。

スペルから想像つくようにドイツ語ですが、英単語としても定着したといっていいドイツ語のようです。

"(the) Führer"と言えば、すなわちヒトラーのことなのです。ランダムハウス英和辞書にもエントリがあります。

American Heritage Dictionaryでは、


A leader, especially one exercising the powers of a tyrant.


となっています。スペルはウムラウトのある"Führer"ではなく、"fuehrer"です。

バンコクでのヒトラー人気については当然ながら批判も大きく、若者の無知、つまりは歴史認識の浅さから来るものとされていますが、同様の現象はタイに限らずインドから日本に至るまでアジア諸国で見られるものであり、外交面でもセンシティヴな問題になりうるというのが記事の見方のようです。

"fuehrer"の語源は、ドイツ語の"vüeren" (to lead)、つまりリードする、という動詞だということです。

リーダー不在と言われ閉塞感の漂う日本で、リーダーを求めてヒトラー人気が高まっているということは考えたくありませんが、そうだとするとちょっと恐ろしい気もします。