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2012年2月9日木曜日

マッコウクジラ ― sperm whale

唐突ですが、マッコウクジラのことを英語で"sperm whale"ということをご存知でしょうか?


AN injured sperm whale has drifted ashore on the Belgian coast and died before it could be rescued.

The whale was probably making a seasonal migration and ended up in the North Sea by accident. It measured 13 metres and weighed 27 tonnes.
(Sperm whale dies on Belgian beach. News.com.au. February 8, 2012.)


わたしは勿論知りませんでした。記事の見出しを見た際、"sperm whale"とあるので、一体何だ?と思った次第です。

ご存知の通り、"sperm"とは”精液”のことですが、”精液”鯨、とはいかにも変わった名前だと思いませんか?

一体どういう経緯でこのような名前になったのか、まずはランダムハウス英和辞書を見てみましたがそれらしき解説はありません。

一方、American Heritage Dictionaryによると、


Any of several large, toothed whales of the family Physeteridae, especially Physeter catadon or P. macrocephalus, of tropical and temperate oceans, whose massive head has a cavity containing sperm oil and spermaceti and whose long intestines often contain ambergris. Also called cachalot.


という定義がされています。この中で、"whose massive head has a cavity containing sperm oil and spermaceti"というところがヒントになります。

"sperm oil"というのは鯨油、"spermaceti"とは鯨蝋と呼ばれるもので、前者は潤滑油などに、後者は化粧品やろうそくの材料に用いられるものだそうです。そのものを見たことがありませんが、乳白色の非水溶性の液体であるということで、"sperm"に良く似た性質であることからそのように呼ばれるのでしょう。

Wikipediaによりますと、"sperm whale"の名前はマッコウクジラの頭部からこれらの物質が取れることに由来するとのことです。



(2014年8月24日追記)
夏休みイベントで小学生向けの科学教室が近隣で開催され、次男と参加してきました。イカの解剖がテーマだったのですが、ダイオウイカの話題となり、マッコウクジラがダイオウイカを主食にしているらしいという話が出てきました。

教室の先生を務めた高等学校の生物の先生が、マッコウクジラについて、鯨の腸内で生成される“抹香”(竜涎香)が海岸に打ち上げられて珍重されているという余談を話され、小生もこのエントリを思い出したという訳です。

上記のAmerican Heritage Dictionaryの解説にもありますが、竜涎香のことを"amergris"と言います。説明にある通り、腸内で生成されるもので、医薬品、あるいは媚薬として珍重されているものです。

つまり、マッコウクジラの和名は腸内で生成されるこの竜涎香に焦点を当てた名前であり、英名である"sperm whale"は頭部に貯留されている鯨油に焦点を当てた名前です。

英語と日本語で見るところが違うということですね。


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