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2012年12月31日月曜日

ドイツ紙が大ポカ ― obituary

2012年も今日でお終いです。えいご1日1語は期せずして最終の投稿が本日12月31日(月)となりました。今年も当ブログをご愛読いただきありがとうございました。

ネタを探しながら色々なメディアを斜め読みしましたが、"killed"とか、"xxx deaths"とか、トップニュースは暗い話題ばかりです。せめて明るい話題をと思いましたがなかなか見つかりません。

そんな中、ドイツの新聞社が大ポカをやらかしたという記事を見つけました。


Magazine mistakenly publishes Bush obit

Germany's respected news weekly Der Spiegel has mistakenly published an obituary for former US president George Bush senior, hours after a family spokesman said the 88-year-old was recovering from illness.
(The Sydney Morning Herald. December 31, 2012.)


大ポカの内容とは、前アメリカ大統領のジョージ・ブッシュ(父)氏の死亡記事を誤って掲載したというものです。

ブッシュ前大統領がICU(集中治療室)で治療中というような報道があったのは11月でしたが、その後病状が改善しICUから出たそうですが、何かの手違いで死亡記事を載せてしまったようです。

問題の死亡記事はウェブサイトに掲載されたもので、閲覧者からの指摘を受けてすぐに削除され、その間"only a few minutes"だったそうですが大失態です。

さて、今日の単語、"obituary"は死亡広告、死亡記事のことです。新聞やメディアに取り上げられるのは著名人だけですから、"obituary"の対象になるのは存命中にそれなりに功を遂げた人だけです。日本語には、“点鬼簿”という表現があります。今年も多くの著名人が鬼籍に入りました。年末テレビを見ていると2012年に亡くなった著名人の特集をよくやっていますね。

"obituary"の語源に目を向けてみましょう。

American Heritage Dictionaryによると、"obituary"はラテン語のobituarius、さらにobitusに由来するとあります。obitusとは、死の意味でこれは、obireというラテン語動詞に由来します。obireとは、ob-("toward"の意)と-ire("to go")から成っています。つまり、(あの世へ)行く、ということでしょうか。


2012年12月28日金曜日

アメリカ俗語特集(3) ― pokey

アメリカ俗語特集、今日は3日目です。

昨日の記事と引用箇所は同じですが、今日の単語は、"pokey"です。


Douglas, who is doing a nearly 10-year stretch for dealing crystal meth and smuggling in drugs for himself while in the pokey, was inadvertently exposed as a turncoat by his shrink during a bail hearing in 2010.
(Brad Hamilton. Michael Douglas' son seriously injured in prison after bounty placed on him. New York Post. December 16, 2012.)


"poky"というスペルもあるそうです。意味は、“ブタ箱”、つまり刑務所、牢獄の意味です。

この単語の語源欄を見ると、"pogey"という単語に由来するようです。そう言われて、"pogey"を引いてみると、"pogey"という単語にも、監獄という意味があります。

以上はランダムハウス英和辞書の語源解説なのですが、一方、American Heritage DictionaryやMerriam Websterでは、"origin unknown"とされています。

ところで、"pokey"とスペルが近い単語に"poke"がありますが、この"poke"にも刑務所、監獄の意味があります。

この"poke"には、“小さな袋”の意味もありますが(a pig in a poke)、狭苦しい場所、窮屈な場所、という意味から、さらに、刑務所、監獄を意味するようになったという説明はもっともらしく聞こえます。(以上は、Oxford Dictionary of Euphemismsによります。)

記事はこちら

いよいよ年の瀬、裏社会の隠語の特集は今日で終わりにします。


2012年12月27日木曜日

アメリカ俗語特集(2) ― stretch

昨日の記事の続きで、アメリカ俗語特集の2日目です。

今日の単語は、"stretch"です。運動前にやるストレッチと同じ単語ですが、怖い怖い闇の世界のコンテクストでは、有罪判決を受けた容疑者が壁の中で過ごす“刑期”のことを意味します。


Douglas, who is doing a nearly 10-year stretch for dealing crystal meth and smuggling in drugs for himself while in the pokey, was inadvertently exposed as a turncoat by his shrink during a bail hearing in 2010.
(Brad Hamilton. Michael Douglas' son seriously injured in prison after bounty placed on him. New York Post. December 16, 2012.)


懲役刑がなぜ“ストレッチ”なのでしょうか?刑務所の囚人部屋に入れられて、“ストレッチ”することくらいしかなくなるという意味でしょうか。

この俗語表現についての語源は明らかではありませんが、Oxford Dictionary of Euphemismsによりますと、


stretch of years


という表現に由来するものであるとの解説があります。"stretch of years"という表現における、"stretch"とは一続きの期間を表しているものですが、なるほど懲役刑の刑期とは通じているように思われます。

記事はこちら


2012年12月26日水曜日

アメリカ俗語特集(1) ― rat

ギャング映画を地で行くような、そんなニュースではないかと思います。

1週間くらい前のニュース記事なのですが、私個人にとっては「ブラックレイン」の映画が特に印象深い、Michael Douglasさんの名前がヘッドラインにあります。


Michael Douglas' son seriously injured in prison after bounty placed on him


マイケル・ダグラスさんには息子がいるそうですが、この息子さんというのが麻薬中毒だったらしく、麻薬密売の逮捕歴もあるとか。有名人のゴシップにはあまり関心はないほうですが、過激な内容のタイトルにつられてアクセスしたような次第です。

有名人の2世に色々と問題があって世間を騒がせるというのは日本でもアメリカでも同じでしょうか。


The jailed, heroin-addict son of Oscar-winning actor Michael Douglas suffered a broken leg and finger behind bars after a crime-family captain put a $100 bounty on him for being a “rat,” a prison insider says.
(Brad Hamilton. Michael Douglas' son seriously injured in prison after bounty placed on him. New York Post. December 16, 2012.)


さて、今日からのえいご1日1語では、このギャング映画を地で行くような記事から、恐らくはヤクザまがいの世界でしか通用しないような隠語(俗語)表現を取り上げたいと思います。

まず、上記の引用に出てくる、"rat"ですが、これは、


裏切り者


を意味するアメリカ英語の俗語です。記事中には、"turncoat"(変節者)という表現も出てきますが、上記で引用した冒頭部分での、引用符付きの"rat"は隠語ならではのインパクトがあるように思えます。

なぜ裏切り者のことを"rat"と言うのでしょうか?ネズミという小動物の小賢しさのイメージからでしょうか?(トムとジェリーを思わずイメージしてしまいますが。)

ストーリーを読むと、マイケル・ダグラスの息子は麻薬の取引で、いわゆるその筋の組織に絡んでいたそうなのですが、逮捕されるに及んで、当の組織に不利な証言をしたことから、組織から裏切り者とされ、その命(?)に懸賞金(bounty)まで掛けられたということですから、まさしくギャング映画を見るようです。

記事はこちら


2012年12月25日火曜日

サンタ泥棒 ― Santa impostor

今日は12月25日、クリスマスです。昨日はクリスマスイブ、皆さんのところにサンタクロースはやって来ましたか?

多くの子供たちがサンタクロースのプレゼントに期待しています。

が、中には有難くないサンタも。


He's supposed to give gifts and bring joy around the world, but a man dressed as Santa has stolen a large sum of cash from a Sydney shopping centre.

The Santa impostor broke into a store's office and raided a safe at Westfield shopping centre in Liverpool, south-west Sydney, about 8pm on Sunday, police said.

Police are appealing for help with their inquiries and have released an image of the man.
(Ilya Gridneff. Bad Santa steals cash from safe. The Sydney Morning Herald. December 24, 2012.)


オーストラリア、シドニーのショッピングセンターに現れたサンタクロースは、実はサンタの格好をした泥棒でした。ショッピングセンター内のある店舗事務所に押し入り、金庫破りをした疑いがもたれています。

今日の単語、"impostor"とは、詐欺師、ペテン師を意味すると辞書にありますが、American Heritage Dictionaryの定義では、


One who engages in deception under an assumed name or identity.


とあり、その詐欺、ペテンの方法とは偽名や偽のアイデンティティーを騙るところにあります。

"Santa impostor"とはつまり、見かけはサンタの格好をしているが実は泥棒、ということです。

皆さん、ご注意を!


2012年12月24日月曜日

飲酒運転は許されません! ― DUI

クリスマスイブです。今年は三連休ですが、これから年末の慌ただしさがピークを迎えます。忘年会やクリスマスパーティーなど、お酒を楽しむ機会に事欠きませんが、飲酒運転は許されるものではありません。

英語で飲酒運転のことを、"DUI"と表現することをご存知でしょうか?

D.U.I.とは、


driving under the influence


の頭文字を取ったものです。"the influence"とは、


the influence of alcohol


のことです。


Police: Sen. Crapo arrested, charged with DUI

ALEXANDRIA, Va. (AP) — Idaho U.S. Sen. Michael Crapo was arrested early Sunday morning and charged with driving under the influence in a Washington, D.C., suburb, authorities said.

Police in Alexandria, Va., said Sunday that the Idaho Republican was pulled over after his vehicle ran a red light. Police spokesman Jody Donaldson said Crapo failed field sobriety tests and was arrested at about 12:45 a.m. He was transported to the Alexandria jail and released on an unsecured $1,000 bond at about 5 a.m..
(USA Today. December 23, 2012.)


アメリカの上院議員が飲酒運転で逮捕されたというニュースです。記事のタイトルに、"DUI"が使われています。

DUIと似た表現に、"DWI"というものがあります。これは、


driving while intoxicated


の頭文字を取ったものです。意味は同じです。


2012年12月21日金曜日

元オリンピック選手が衝撃告白 ― escort

アメリカの陸上中距離種目の女性選手で、1992年のバルセロナオリンピックを始めオリンピックに3度出場したSuzy Favor Hamiltonさんが、"escort"として働いたことがあることを認めたというニュースが関係者に衝撃を与えているようです。

ところで、"escort"って何のことでしょうか?


Olympic runner Suzy Hamilton admits to double life as an escort
(Boston Herald. December 20, 2012.)


Suzy Favor Hamilton says she has worked as escort
(San Francisco Chronicle. December 20, 2012.)


Former U.S. Olympic runner Suzy Favor-Hamilton admits to working as Las Vegas escort
(Vancouver Sun. December 20, 2012.)


3-TIME US OLYMPIAN WORKED AS ESCORT
(Fox Sports. December 20, 2012.)


上記は各紙の見出しですが、判で押したように(?)、"escort"という単語を使っています。私は、この"escort"の意味が最初分からなかったのですが、何となくスキャンダラスな匂いを感じながら記事を読み始めたところ、下記で意味が明らかになりました。


Suzy Favor Hamilton was such a Midwestern sports icon the Big Ten’s female athlete of the year award is named for the former Wisconsin runner.

That image is in stunning contrast with Hamilton’s admission that she has spent parts of the last year as a $600-per-hour call girl.
(Olympic runner Suzy Hamilton admits to double life as an escort. Boston Herald. December 20, 2012.)


"$600-per-hour call girl"(時給600ドルのコールガール)という表現が、"escort"を説明しています。

ところが、辞書で"escort"を引いてもそのような意味は確認できません。これは不思議ではないでしょうか?

ランダムハウス英和では、


要人の護衛者、付添
(社交上の集まりに)付き添う異性、エスコート役


などとあります。“コールガール”の意味はどこにも見えません。

American Heritage Dictionaryも同様で、


One or more persons accompanying another to guide, protect, or show honor.
A man who is the companion of a woman, especially on a social occasion.


などとあり、護衛役、ガイド役、付添役、の意味でしかありません。

“エスコート”というと、綺麗な女性に付き添う紳士をイメージしますが、それは過去の話で、現代では売春婦の意味になり下がってしまったのでしょうか。

"escort"という単語は、元々“護衛する”という意味のラテン語excorrigereから、イタリア語などを経て生まれたものであると語源欄の解説にあります。語源的には、"correct"という単語と同根のようです。

つまりその心は、正す、ということ、おかしな方向に行かないようにしっかりガイドする、付き添う、ということなのだと思うのですが、どちらかと言えば後ろ暗いイメージのあるセックス産業の単語になってしまったというのは語源的に見て皮肉なものです。

というようなことをつらつらと考えていたところ、Oxford Dictionary of Euphemismsを持っていたことを思い出し、"escort"を引いてみると、ありました!

a paid heterosexual partner


"escort"という単語は売春婦の婉曲表現ということであれば、メディア各社が判で押したように見出しに"escort"を用いたのも何となく分かるような気がします。


2012年12月20日木曜日

コーヒー好きの方には朗報 ― Joe

コーヒーをよく飲む人は口腔癌にかかりにくい(Coffee drinkers less likely to die from oral cancers)、という疫学調査の結果が話題になっています。

コーヒーが大好きな方には朗報ではないでしょうか。


It’s been proven that a daily cup of Joe has many health benefits – ranging from cardiovascular and skin protection to warding off certain diseases like Parkinson’s.

Now, a large-scale study from the The American Journal of Epidemiology has found coffee drinkers are less likely to die from oral cancer, the New York Times reported.
(Coffee drinkers less likely to die from oral cancers. Fox News. December 19, 2012.)


さて、引用した記事の冒頭、


a daily cup of Joe


とは見慣れない表現ですがご存じでしょうか?

"Joe"という人の名前に、“コーヒー”の意味があるとは知りませんでした。日本人なら、“太郎”に当たるような平凡な名前だそうですが、辞書にもちゃんと、“コーヒー”の意味が出ています。

気になるのは語源です。

American Heritage Dictionaryによると、


Short for (old black) joe, military slang for coffee, from the title of a song by Stephen Foster.


とあり、アメリカ人が軍隊で使っていたスラングだそうですが、“Old Black Joe ”という歌のタイトルに由来するそうです。

ところが、Merriam Websterによると、


perhaps alteration of java
First Known Use: 1927


とあり、説明が違っています。

どちらが正しいのでしょうか?よく分かりませんが、何となくAmerican Heritage Dictionaryの語源に親しみを感じます。歌の歌詞とは直接関係なさそうですが、ブラックコーヒー(black coffee)と"Black Joe"の韻を踏んでいるということもあるようにも思われます。

ということで、本記事のラベルには、“人の名前”のラベルもつけておきました。


2012年12月19日水曜日

zing

アメリカでまたしても悲惨な銃乱射事件が発生し、尊い子供の命が奪われました。

またか、という感があります。

そして事件を受けて繰り返される銃規制に関する論争。これも、またか、と思わずにいられません。

下記の引用は、ニューヨークのブルームバーグ市長が銃規制に関してオバマ大統領を批判している記事からです。


Mayor Bloomberg yesterday unleashed his strongest criticism yet of President Obama’s record on gun control, saying thousands will die if the president doesn’t act, and ripping his current policies as “ridiculous.”

Obama needs to show leadership following Friday’s elementary-school massacre, Bloomberg said, or more deaths will follow.

(中略)

Bloomberg, who founded the Mayors Against Illegal Guns coalition, then zinged Obama for signing 2009 legislation allowing people to carry guns in national parks and Amtrak trains.
(Mayor Bloomberg calls on President Obama to take action on gun control. New York Post. December 17, 2012.)


引用の最後の段落に、"zing(ed)"という見慣れない単語があります。コンテクストから意味はほぼ明らかですが、知らない単語でしたので辞書を引きました。

色々な意味があるようですが、米俗語ということで、


痛烈に非難(批判)する


という意味で用いられる動詞だそうです。

"zing"という単語は元々擬声語、擬音語で、“ヒューン”とか、“ビューン”など、物体が高速で移動する様を表現するものだということです。車が高速でびゅんびゅん走っている様、また矢などがヒュンと飛んでいく様、などです。

その意味を基本として発展したのかどうかよく分かりませんが、銃弾やボールなどを打ち込む、投げつけるという意味でも用いられます。

批判、非難の意味はそこからさらに発展したものでしょうか。


2012年12月18日火曜日

今週金曜日、地球滅亡!? ― doomsday

"doomsday"という言葉をご存知でしょうか?この世の終わりの日、というほどの意味です。まさか!?

馬鹿げた話ではありませんか?


Have you heard the doomsday theory about how a rogue planet is going to crash into Earth on Friday and kill us all?

Amateur astronomer Bill Hudson says that it simply isn't true, and he can prove it — scientifically.

The prediction is supposedly based on the end of a cycle of the Mayan calendar on Dec. 21, 2012, which some have interpreted to mean that the Mayans believed the world would end on that day. According to the prophecy, doom may come in a variety of ways, but one key claim is that a 12th planet in our solar system, called Nibiru and orbiting the sun every 3,600 years, will ram into the Earth and destroy it.
(Shirley S. Wang. The End of the World Is (not) Nigh. The Wall Street Journal. December 14, 2012.)


今週の金曜日は2012年12月21日、金曜日、ですが、その日に太陽系のとある惑星(Nibiru)が地球に衝突するというまことしやかな(??)風説がささやかれているようです。

困ったのがこうした風説を本気にしてしまう人達です。(そう言えば、つい先日、愚息がこの話を食事の時に話していたことを思い出しました。)

若い人ほど信じる傾向があるのでしょうか、自殺者まで出ているということで、上記の記事では科学的な根拠の無いこの"doomsday theory"を批判的に取り上げているものです。記事中にも出てきますが、www.2012hoax.orgというサイトでは、"debunking the 2012 doomsday"として、"doomsday theory"を利用した詐欺などに警鐘を鳴らしています。

さて、英語の話題に戻りますと、"doomsday"という単語は、古英語では、"domesdaeg"でした。

"domes"(dom)とは、審判のこと、"daeg"は"day"(日)の意味です。つまり、最後の審判の日を意味したものです。

心配性の方々へ、今週の金曜日、12月21日は世界の終わりではありません。学校では2学期の終わり、つまり終業式の日、次の日から楽しい冬休みです!


2012年12月17日月曜日

衆院選終わる ― deliver on

12月16日、日曜日の衆院選が終わって一夜明けました。新聞の朝刊は1面に大きな見出しで、自民党、公明党が320議席を獲得し、与党・民主党の惨敗を報じています。投票率が低かったという事実が影を落としていますが、結果は結果。

海外メディアに目を向けると、米国を始め多くのメディアが日本の衆院選結果を大きく報じています。

まず目に付いたのが、今回の結果を受けて新しく首相となるであろう、安倍・自民党総裁に関する記事です。下記はロイターの見出しです。


Japan's next PM Abe must deliver on economy, cope with China
(Reuters. December 17, 2012.)


今日は、"deliver on"という表現を取り上げたいと思います。

"deliver"という動詞は、“配達する”という意味がありますが、ここでは、"deliver on"であり、自動詞として用いられています。


(約束・誓いなどを)果たす


という意味です。特に政治や選挙の話題としては、


公約を果たす


という表現になるでしょうか。"deliver (on)"という表現は、政治、選挙のコンテクストでよく使われる表現です。今回の衆院選の報道においても、簡単に見つけることができます。言うまでもなく、与党・民主党が今回大幅に議席を失うことになった理由が、マニフェストや公約に謳った公約を果たせなかったことに大きく関連しているからでしょう。


The LDP, which governed for all but 11 months between 1955 and 2009, has capitalised on popular anger over the DPJ government's failure to deliver on a promise to replace pork-barrel politics with a new focus on families, welfare and healthcare.
(Japanese voters go to the polls. The Guardian. December 16, 2012.)


LDP(Liberal Democratic Party of Japan)は自民党、DPJ(Democratic Party of Japan)は民主党のことです。(ご存知かとは思いますが、念のため・・・。)


Since the landslide DPJ win, critics say the party has failed to deliver on a series of promises, including vows to crackdown on wasteful government spending, and promises of cash incentives to encourage young couples to start families.
(Japan Votes in Key Parliamentary Polls. Voice of America. December 15, 2012.)


上記引用の2つの記事では、"deliver on"に続く名詞として、"promise"が使われています。


The results were a rebuke to Prime Minister Yoshihiko Noda's Democrats for failing to deliver on a series of campaign pledges and for doubling the sales tax to 10 percent to meet growing social security costs as the population ages and shrinks.
(Exit Polls Suggest Japanese Opposition Party Victory. NPR News. December 16, 2012.)


この引用記事では、"(campaign) pledge"という単語が使われています。

どちらも、“(選挙)公約”の意味であると解釈して差し支えないでしょう。

新しく政権を担う自民党にも、"deliver on"することが求められています。冒頭引用したロイターの記事では、


deliver on economy


ですから、経済再生(デフレ脱却)で成果を出すことが特に強調されているようです。期待に沿うことができるのでしょうか?果たしてどうなることでしょう。


2012年12月14日金曜日

面通し ― line-up

“ラインナップ”(英語では、"lineup"もしくは"line-up")と聞いてまず思い浮かべるのは、製品のラインナップ、つまりある製品の型違いや色違いなどの一連のシリーズ、という意味だと思いますが、コンテクストが犯罪捜査ということになると、容疑者の“面通し”という意味になります。


Police are questioning the heartless brute who allegedly mugged an elderly woman and stole her heirloom wedding ring in the Meatpacking District, authorities said.

The suspect has been linked to three other elevator robberies and will undergo lineups later today, police said.
(Jessica Simeone. Cops quiz heartless 'wedding-ring thug' suspect: authorities. New York Post. December 12, 2012.)


上記の引用は強盗事件に関するものですが、ある事件の容疑者が他の強盗事件にも関与した疑いがあるということで、容疑者の"lineups"(面通し)を行うことになった、というものです。

私が日本語の“面通し”という表現からイメージするのは、テレビドラマなどで見る、容疑者が取調室で刑事に尋問されているのを、目撃者や被害者が取調室の外から、マジックミラー越しにそっと確認する、というようなものなのですが、英語の"lineup"は複数の容疑者を横一列に並べるというもののようです。

まさしく、容疑者が“ラインナップ”されているわけです。

ちなみに、"lineup"はアメリカ英語の表現で、イギリス英語では、


identity parade(あるいは、identification parade)


というそうです。

2012年12月13日木曜日

波及効果 ― trickle-down

知りませんでしたが、先日グーグルのメールサービスであるGmailに不具合があったそうです。サービス中断は20分間ほどに及んだということです。


Many people were left frustrated yesterday when Google's popular email service Gmail crashed for around 20 minutes, but the cause of the crash portends big problems for future technology.

The dire warning comes after Gmail failed yesterday because of a glitch in Google's cloud-computing service Sync, according to Wired.com.
(Michael Blaustein. Gmail's crash a preview of future technology disasters. New York Post. December 11, 2012.)


私もGmailアカウントを持っていて日々アクセスするのですが、この記事に興味を持ったのは、


Gmail's crash a preview of future technology disasters


というタイトルに引かれたためです。今回のGmailの不具合がネット上で将来発生するかもしれない大規模なトラブルの前兆である、というように読めます。どういうことなのかと興味を持ったのです。

記事を読みますと、今回のトラブルはいわゆるクラウドサービスを管理するサーバーに不具合が見つかり、それがGmailやその他、クラウドサーバーに依存している全サービスに影響を及ぼしたらしいのですが、インターネットがどんどん進化していってこれからはクラウドが主流となることが予測される中、今回のような不具合がもたらすかも知れない不利益は計り知れないものになるかもしれない、というような論旨でした。

で、この記事の最後の段落にある締め括りが下記です。


Yesterday's problem at Google demonstrates the downside because any little glitch in the main servers will cause a trickle down of problems for every single user who tries to access the server.
(ibid.)


"trickle down"(恐らく、ここでは"trickle-down"とハイフンでつなぐのがふさわしいと思われます)が今日取り上げる単語です。

見慣れない表現ですが、元は経済用語のようです。ランダムハウス英和辞書では、“通貨浸透(説)”とあります。政府の財政支出を大企業に向けることで次第に規模の小さな企業や一般大衆にその効果が波及する、というような論理のことを言うようです。カタカナでも“トリクルダウン理論”として知られるそうですが、私は知りませんでした。

さて、難しい経済の理論は置いておいて、上記の引用記事における、"trickle down"はどのように解釈すべきでしょうか?

まず、"trickle"という動詞の意味をチェックすると、


(液体などが)少しずつ流れる; ぽたぽたと落ちる(流れる、落とす)


という意味であることが分かります。少量が移動するというイメージですが、経済用語の“トリクルダウン理論”も考えると、“波及”という言葉が思い浮かびます。

“浸透”でもよいかも知れませんが、ことGoogleのサーバーのトラブルについて、メインのサーバーでの不具合が、(クラウドサービスに依存しているサービスを利用する)全ユーザーに影響を及ぼす、というコンテクストであり、“波及”がふさわしいように思われます。


2012年12月12日水曜日

サメを飛び越えるとは? ― jump the shark

単刀直入に、"jumped the shark"という表現をご存知でしょうか?見るのも聞くのも初めてだった私は下のような記事のタイトルを見て意味不明でした。


Has 'Homeland' jumped the shark?
(Linda Stasi. New york Post. December 11, 2010.)


タイトルが分からないでも記事を読んでみたら分かるかもとアクセスしたのですが、これがまたよく分かりません。分かったのは、'Homeland'というのがテレビ番組のタイトルらしいということと、"jumped the shark"は間違いなく成句の類で、意味合いとしては、もはや(視聴者に)受けなくなった、というようなネガティヴな意味合いで使われているようだ、というくらいでした。

中身についてある程度の知識がないテーマについて、英文で読んで解釈していくのは骨が折れます。上記の記事についてはとりあえず諦めて、"jumped the shark"はよく使われる成句であろうという予測の元、グーグルニュースで検索をしてみました。

そこで色々とヒットした記事の中で、下記の記事はいかがでしょうか?


Friday Poll: Has Facebook jumped the shark?

Google+ and Pinterest are growing. Are Facebook's glory days already behind it?

A lot of things have jumped the shark. The Fonz did it first, literally donning water skis for the stunt and marking the beginning of the end for "Happy Days."

MySpace did it. Even the phrase "jumped the shark" has done it.

And what about the most popular social-networking site? In some people's eyes, Facebook is pulling on its swim trunks and eyeing the big beastie.

Bradley Horowitz, chief of rival Google+, argues that Facebook has already landed on the other side of the shark. Horowitz recently called Facebook out for the way it implements ads and for irritating users and brands alike. Granted, his opinions on this are going to be absolutely biased.
(Amanda Kooser. CNET. November 30, 2012.)


フェースブックの話題なら多くの方に馴染みがあるのではないかと思います。私はフェースブックユーザーではありませんが、当ブログでも今年はフェースブックの話題に事欠きませんでしたので、ある程度は分かります。

さて、フェースブックはサメを飛び越えたか("jumped the shark")か否か?あなたはどう思いますか?(投票してください、というのがこの記事の話題です。)

記事の冒頭、数段落は何を言っているのかすぐには分かりづらいですが、上記引用の最終段落を読めば、"jumped the shark"の意味するところが何となく分かるはずです。

最初に想定した通り、"jumped the shark"はここではフェースブックによって提供されるサービスがユーザー受けしなくなった、というような意味で用いられていると考えることができます。

このフレーズの由来はどこにあるのでしょうか?つまり、なにゆえ、“サメを飛び越える”ことがこのような意味になるのでしょうか?

Wikipediaオンライン辞書等の解説にありますが(ランダムハウス英和にエントリはありませんでした)、"jumped the shark"の由来はテレビ番組なのだそうです。

1970年代のアメリカでのあるテレビドラマのシリーズで、登場人物が水上スキーに乗ってサメを飛び越えるシーンがあったそうなのですが、そのシーン自体がその番組の凋落(要はこれ以上視聴者を引き付けるようなネタや魅力が尽きた、ということでしょうか)を印象付けるものであったということで、象徴的に"jumped the shark"というフレーズが定着したのだそうです。

基本的にはテレビ番組について用いられることが多く、由来となった上記のテレビ番組と同じく、シリーズ物などで視聴者が見たいと思うそのピークを過ぎてしまったものを"jumped the shark"と表現するようですが、表現が次第に定着するに従ってテレビ番組に限らず、ピークを過ぎてしまったもの、受けなくなってきたものについてこのフレーズが使われるようになったようです。

それにしても、随分と変わった語源ではないかと思います。

試験に出ることはまずないでしょうが、知っていれば鼻高々かも・・・。


2012年12月11日火曜日

いたずら電話が引き起こした悲劇 ― prank call

国内のマスコミでも報道されているようですのでご存知の方も多いかと思いますが、いたずら電話が悲劇を引き起こしました。

イギリスのウィリアムズ王子と結婚したKate Middletonさんについて、おめでたの報道があったのはつい先日だったかと思いますが、その後つわりなどを訴えて入院しているとの報道が続きました。

オーストラリアのラジオ番組のDJが、エリザベス女王になりすまして病院に電話をかけたところ、本人と信じて疑わなかった看護師がカモにされてしまいました。当の看護師はそのことを苦にして自殺するという悲劇が起きました。


The Aussie DJs who pranked the hospital where Kate Middleton was being treated, apparently driving a nurse to kill herself, broke their silence yesterday, saying they never thought their trick would work.

“We wanted to be hung up on,” said Mel Greig.

In a joint interview with Australia’s “A Current Affair,’’ her co-host, Michael Christian, said their production team thought of the idea just before going on air.

“[We] just had the idea for just a simple harmless phone call . . . We thought . . . it was going to go for 30 seconds [and] we were going to be hung up on,” he said.

(中略)

She added, “These prank calls are made every day on every radio station in every country around the world and . . . no one could’ve imagined this to happen.”
(David K. Li. DJs break silence on 'royal' nurse's suicide, saying they can't believe prank worked. New York Post. December 10, 2012.)


今日の単語、"prank"は、いたずら、悪ふざけを意味します。"prank call"は、“いたずら電話”のことです。

上記の引用は、いたずら電話をしたラジオ番組のDJ2人が、今回の悲劇の後初めてインタビューに応じたものです。記事には看護師が自殺するに至ったいたずら電話の内容のトランスクリプトへのリンクがあります。内容は生々しく、看護師が偽のエリザベス女王の質問にまじめに答えており、ところどころはプライバシーに関わる情報もありカットされています。

インタビューでは、DJの2人はまさか看護師が真に受けるとは思わなかった、すぐに電話を切られると思ったという旨のことを涙ながらに説明しています。

すべて後の祭りですが、悲劇という他ありません。


2012年12月10日月曜日

”マイル”の意外な用法 ― mile

今日のタイトル、“マイルの意外な用法”とはやや思わせぶりですが、こんな用法があったとは知りませんでした。

“マイル”というのは、距離の単位のマイルのことです。飛行機のマイレージでもお馴染みかと思います。

日本はメートル法の国ですから、マイルと言われてもピンと来ない人もいるかもしれません。私も以前はそうでしたが、1マイルは約1.6キロ、と頭で換算しています。アメリカに滞在した際、道路標識も自動車のメーターもマイル表示だったのがきっかけで覚えてしまいました。

さて、本題ですが、下記の引用記事を読んでみましょう。


Two boys, ages 7 and 11, are accused of trying to carjack and rob a woman outside of a Portland, Ore., church with a loaded weapon, according to reports Sunday.

Portland police said the juveniles approached Ami Garrett, 22, of southeast Portland on Saturday as she waited for her parents in the Freedom Foursquare Church parking lot in her truck.
(Erik Ortiz. Portland, Ore., police capture two boys, ages 7 and 11, accused of attempted robbery, carjacking. New York Daily News. December 9, 2012.)


アメリカ・オレゴン州で、7歳の11歳の子供が女性に拳銃を突き付けて車や金品を奪おうとした事件があったとのことです。

恐るべし、銃社会、アメリカ。

女性は拒否しましたが、幸い殺されることも怪我をすることもなく、無事でした。女性は拳銃を見せられた際、それが本物だとは思わなかったそうですが、弾も込められており、本物の拳銃であったことが分かっています。

女性がテレビのインタビューに答えているくだりが以下です。


“They told me they were going to blow my brains out if I didn't give them something,” she said. “My heart was beating a million miles an hour. I definitely didn't think I was going to get out of there alive. I thought I was going to die.”
(ibid.)


お気づきでしょうか?


My heart was beating a million miles an hour.


これが今日取り上げたい表現、“マイル”の意外な用法です。

拳銃を突きつけられて、心臓がバクバクした、という意味だと思いますが、殺されるかもしれないという場面ですからそりゃそうでしょう。

ところで、心臓が、"a million miles an hour"(のスピード)でビートする、とはちょっと変わった表現だとは思いませんか?

"a million miles an hour"という表現は、


at a speed of 60 miles an hour(時速60マイルのスピードで)


という表現と同じですが、移動の速さを示すものです。心臓が早鐘を打つことを言うのに、スピードの表現を用いていることにやや違和感がありました。

1時間に百万マイル(で走った?)くらいのスピードで経験するような心臓のバクバクした感じを言わんとしているのだと解釈することもできるかも知れません。勿論、時速百万マイルというのはありえないスピードですが・・・。

ここで、ふと思ったのが、"mile (an hour)"という表現はひょっとして、単純に物理的なスピードを示す以外に、上記のようなコンテクストでの強意表現として用いられることがあるのだろうか、ということです。

調べてみると、どうやら答えは、“Yes”のようです。

大抵の英和辞書に載っていますが、


talk a mile a minute


という表現があり、これは、“早口でひっきりなしにしゃべり続ける”(ランダムハウス英和)という意味なのだそうです。

この表現も、スピードの表現(分速1マイル)が強意表現として用いられている点で、"million miles an hour"と同じであると言えます。

ちなみに分速1マイルは時速60マイル(時速約96キロ)であり、走ることを考えるとあり得ないスピードですが、自動車などでは速いとは言えありえないスピードではありません。その点、"million miles an hour"というようなどんな手段でもあり得ないようなスピードの強意表現とちょっと違いますが。

ネットで検索すると、"a mile a minute"という表現は、"very fast; quickly"の意味で比喩的に用いられる口語表現であるというものもありました。

"very fast; quickly"と言われればそれまでですが、“心臓が時速100万マイルで早鐘を打ち”という表現はやはりユニークではないでしょうか。


2012年12月7日金曜日

空港での手荷物検査にご注意! ― fleece

年末年始が近づいていますが、この休暇に海外旅行など計画されている方も多いのではないでしょうか?

海外旅行となると飛行機で移動することになりますが、空港でのセキュリティチェックの厳しさは増すばかりで、なるべく時間をかけずに通過したいと思うものですが、チェックを待つ長い行列や、靴を脱いだり、PCは取り出して別のトレイに載せたりという面倒さ、金属探知機で引っかかれば決して気分がよいとは言えない"pat-down"をされたり、と挙げればきりがないくらいストレスのたまるプロセスです。

ところで、我々乗客は調べられる立場であり、調べるのは検査官。これは当たり前のことですが、何だか我々乗客が容疑者で、調べる立場の検査官は正義、のような感覚をもってしまうのもこのプロセスの嫌なところです。

ところが!調べる側の検査官にも悪い野郎が!

私は想像したこともありませんでしたが、アメリカでは検査官が手荷物検査で乗客の持ち物をくすねるというインシデントが増加しているのだそうです。


TSA screeners are doing their holiday shopping in your luggage.

Port Authority cops on Tuesday busted a crooked 32-year-old TSA screener for stealing iPads and laptops from checked baggage at JFK Airport as part of a sting into the increasing problem of sticky-fingered screeners.

Screener Sean J. Henry of Brooklyn was arrested leaving the airport Tuesday with two Port Authority GPS-equipped “bait iPads,” a 17-inch MacBook Pro, and possibly another laptop in his bag; a stolen Apple laptop was also found in his home, according to a law enforcement source.

(中略)

The sting comes after New York Sen. Chuck Shumer called on the agency to conduct stings and to subject screeners to the same searches as passenger when they leave work to make sure they aren’t looting luggage.

“These are exactly the type of stings that should be done nationwide, and at random. Clearly there is a small minority of agents that are prone to fleece travelers, and this is precisely the type of check that will deter would be thieves, or catch them,” said Sen. Schumer, when informed of the sting.

According to Shumer’s office, 381 TSA agents were terminated for theft from May 2003 to December 2011, and FAA figures show the agency received reports of missing items from 206 people last year.
(TSA screener busted for stealing iPads, laptops from luggage. New York Post. December 5, 2012.)


アメリカ、ニューヨークはJFK空港での話ですが、乗客のカバンからiPadやラップトップPCを盗んだ検査官が逮捕されたというニュースです。以前より同様の盗難事件が相次いでいたことから、おとり捜査が行われていたところ、32歳の検査官がまんまと引っかかったようです。おとり捜査に使われたiPadにはGPSが仕掛けられていたということで、それを知らずに盗んだ検査官はGPSにより御用となったのでしょう。

さて、今日の単語は、"fleece"です。

カタカナで“フリース”、これはこの寒い時期お役立ちの上着アイテム、フリースのジャケットの“フリース”と同じですが、


(詐欺・強奪などで金品を)巻き上げる、ふんだくる、だまし取る


という動詞の意味があります。名詞としての元々の意味は羊毛のことであり、動詞においても、羊の毛を刈る、という意味がありますが、羊の毛を刈る行為が、強奪のイメージに発展してこのような意味が生まれたというところでしょうか。

私もつい先日、出張で飛行機を利用しましたが(国内線ですが)、まさか自分の荷物から貴重品が検査官に盗まれるなど思いもしません。

年末年始、飛行機を利用される方、特に国際線、また特にJFK空港利用の方はお気を付けくださいませ。


2012年12月6日木曜日

ニューヨーク発:ブランドファッションのレンタルが人気 ― threads

ツイッターでNew York Post紙のタイムラインを追っていたら、


Holiday looks for hire


というタイトルが目に留まりました。クリスマスや年末年始を控え、ホリデーシーズンの華やかなファッションをレンタルするというのがニューヨークでここ最近流行っているのだそうです。


Cashing in your 401(k) is no longer the quickest way to don designer threads. Over the past few years, an impressive number of fashion rental companies have sprung up from obscurity, offering the style-obsessed a chance to rock the hottest clothes, jewels, bags and even nail polish for a fraction of the price.
(Leah F. Cooper. Holiday looks for hire. New York Post. December 4, 2012.)


記事によりますと、高級ブランドのドレスやバッグ、さらにはネイル関連用品までもがレンタルの対象になっており、例えば高級ブランドのバッグを1つ買うお金を払えば、年間12種類の異なるバッグをレンタルすることができるのだそうです。

このサービスが流行の先端を行くニューヨークの女性の間で非常に受けているらしく、同様のサービスを手掛ける新規参入業者も多く出ているとのこと。

さて、今日取り上げる単語は、"threads"です。言うまでもありませんが、名詞"thread"の複数形です。

"thread"とは、糸、撚り糸のことであることも言うまでもないでしょう。ここでは、複数形で、"threads"なのですが、実はこれが着物や服のことを指しています。(ネットの掲示板の“スレッド”ではありません(笑))

ただし、単に着る物のことを指すのに"threads"は使いません。特に高級で、おしゃれな服について、"threads"を用いるようです。

研究社の大英和では、米俗語ということで、“スーツ”を意味するということになっています。

上記の引用も、"designer threads"となっていることから、値が張る服であることは想像に難くありません。

私のような貧乏サラリーマンが調達するユニクロのジャケットは、"threads"とは言わないのでしょう(笑)


2012年12月5日水曜日

仏男性の精子減少傾向 ― gender bender

昼休みにグーグルニュースを斜め読みしていたら、


French sperm count 'falls by a third'
(BBC News)


というタイトルが目を引きました。何故フランス人に限って?ゴシップやタブロイド紙の記事かと思いましたがそうではないようです。内容は極めてサイエンティフィックなものです。


Falling sperm counts in France are a ‘serious warning’ to British men, scientists said yesterday.

A major French study has revealed that sperm counts and quality have fallen sharply since the start of the 1990s.


It is believed the trend is linked to diet, lifestyle and ‘gender bender’ chemicals.
(Jenny Hope. Male fertility falls in France... and will UK be next? Sperm counts fall rapidly due to diet and lifestyle. The Daily Mail. December 5, 2012.)


上記はDaily Mail紙からの引用ですが、長いタイトルを読むと分かりますが、食事やライフスタイルが影響しているものと目されているようです。

ところで、今日の単語ですが、


gender bender


という聞きなれない(見慣れない)単語です。つい先日、fender-bender、という単語を取り上げましたが、韻を踏んでいるという点では共通点がありそうです。

さて、辞書のエントリにはないのではないかと思いながら辞書を引いてみると、果たしてエントリがありました。


外見を性別不明に装う人
(ランダムハウス英和辞書)


とあります。これは名詞ですが、上記の引用では、


gender bender chemicals


となっており、"gender bender"は"chemicals"を修飾する形容詞として使われていると考えられます。

なぜか、ランダムハウスにしても、American Heritage Dictionaryにしても、名詞のエントリだけで、形容詞のエントリがありません。(gender-bendingというスペルの形容詞としては載っていますが。)

Wikipediaの解説にしても、


Gender bender is an informal term used to refer to a person who actively transgresses, or "bends," expected gender roles.


となっていますが、この解説に"gender bender"という単語の語源を垣間見ることができます。

"gender bender"とは、通常の"gender"(性別)を"bend"(曲げる)する、つまり逸脱する(させる)、ということであり、生物学上の性を受け入れることが出来ない人のことを指しています。このように考えていくと、形容詞としての"gender bender"の意味合いも自ずと明らかでしょう。

"gender bender chemicals"とは、要は、男女の性別の垣根を曖昧にしてしまうような化学物質のこと、近年よく言われている、内分泌かく乱物質のことであろうと思われます。

ネットで、"gender bender chemicals"を検索すると科学論文を含む多くの検索結果が示され、いくつか拾い読みしてみると、まさしく内分泌かく乱物質のことを指しています。


2012年12月4日火曜日

呑兵衛は遺伝!? ― hard-wire

イギリスBBCによりますと、大酒呑みの遺伝子(binge-drinking gene)というものが見つかったそうです。

その名は、RASGRF-2というらしいのですが、名前を聞いてもピンときません。尤も、一般の人にはピンと来ないのが普通かと・・・。


Scientists believe some people have a gene that hard-wires them for binge drinking by boosting levels of a happy brain chemical triggered by alcohol.

The gene - RASGRF-2 - is one of many already suggested to be linked with problem drinking, PNAS journal reports.

The King's College London team found animals lacking the gene had far less desire for alcohol than those with it.
('Binge-drinking gene' discovered. BBC News. December 4, 2012.)


この遺伝子の詳しい説明は記事を見ていただくとして、今日取り上げる単語は、


hard-wire


という単語です。"hardwire"という、ハイフンが入らないパターンもあります。この単語、はじめてお目にかかったので、どういう意味だろうかと辞書を引きました。

上記の引用では動詞として使われていますが、手元のランダムハウス英和では動詞のエントリはなく、"hard-wired"という、恐らく動詞の過去分詞形から派生した形容詞のエントリのみでした。

一方、American Heritage Dictionaryでは、動詞としてエントリされています。

まずは本来の意味と思われる定義が下記です。


To implement (a capability) through logic circuitry that is permanently connected within a computer and therefore not subject to change by programming.


コンピュータなどにおいて、ハードウェアとして組み込まれた機能のことを指していて、プログラミングなどにより改変することができないもののことです。要は、“後から変更ができない、変更が難しい”という点がポイントです。

この本来の意味から発展して、


To determine or put into effect by genetic inheritance
To provide with a response or capability by genetic inheritance


といった、遺伝に関する話題のコンテクストで用いられるようになったようです。

尤も、この単語は遺伝子が関与しているということに確信がないと使えないかというとそうではありません。我々は誰もがサイエンティストという訳ではありませんし、実生活では、多少の誇張は了解のうえで、人の行動や特性を遺伝によるものであると言ったりすることはよくあることで、"hard-wire"という単語もそのように使われることの方が多いようです。

要は、ある行動や特性について、それが容易に変えられないものであることを言いたい場合に、"hard-wire"が使われると言ってよいでしょう。

その意味では、呑兵衛というものはやはり簡単には治らないことはずっと昔から分かっていたことであり、今さら遺伝子が関与しているという話もサイエンスとしてはニュースなのかもしれませんが、分かり切ったことと言えばそうかもしれません。


2012年12月3日月曜日

中央道トンネル崩落事故 ― negligence

山梨県内の中央自動車道のトンネルで天井板が崩落する事故が発生しましたが、それを知ったのはちょうど見ていたテレビでニュース速報のテロップが流れたのがきっかけでした。

とんでもない事故が起きたという第一印象を持ちましたが当初はニュースを見ても被害の程度もよく分からず気になっていたところ、その後昨夕から今朝にかけて死者が確認されると共に、その数も次第に増えてきており、大惨事の様相を徐々に呈しています。

海外メディアもこの事故を大きく取り上げており、少なくともABC(アメリカ)、The Australian(オーストラリア)、BBC(イギリス)による記事を目にしました。

そのうち、BBCから引用します。


Nine people are now confirmed to have died after a major tunnel collapsed in Japan, officials say.

The bodies were found in three vehicles that were crushed by fallen concrete panels in the Sasago tunnel, about 80km (50 miles) west of the capital Tokyo.

A fire broke out after the tunnel caved in on Sunday, and a number of survivors fled to safety on foot.

The usually busy tunnel remains closed, as police are investigating potential negligence.

There will be serious questions about how a major tunnel on one of Japan's most important traffic arteries could have failed so catastrophically, the BBC's Rupert Wingfield Hayes in Tokyo reports.

The private company that runs the highway has said the tunnel was given a major inspection just two months ago and was given a clean bill of health, our correspondent adds.
(Japan Sasago tunnel collapse killed nine. BBC News. December 3, 2012.)


報道でも言われていますが、崩落事故のあったトンネルはついこの前の9月に定期点検が行われ、“異常なし”とされたところだったということですが、ここ数時間の報道では、構造物を直接叩くなどして異常を検知する異音検査は行われなかったと言われており、果たして適正で十分な検査だったのかどうかが今後問われそうです。

報道の初期段階より、今回の事故原因の捜査について、業務上過失致死傷が視野に入ってくるとありました。英語では、


investigating potential negligence


と表現されています。BBCの記事に限らず、多くの英文記事ではこの、"negligence"が使われています。

"negligence"は、怠慢、不注意を意味する単語ですが、法律のコンテクストでは“過失”という日本語が適当です。

上記に引用した記事の後段、事故のあったトンネルの検査が行われたのがつい2か月ばかり前であったことに触れられていますが、今後はこの検査が適正であったのかどうかが焦点になるのでしょう。

ところで、"clean bill of health"という表現は以前取り上げました。

American Heritage Dictionaryでは、


Informal. An attestation as to condition, especially a favorable one: gave the structure a clean bill of health in spite of its age.


と定義されています。添えられた例文、


gave the structure a clean bill of health in spite of its age


はまさしく今回の崩落事故にそのままあてはまりますが、何とも皮肉な気がします。


2012年11月30日金曜日

phony

"phony"という単語を久しぶりに見たような気がします。いつ以来かって?そうですねぇ、サリンジャーのThe Catcher in the Ryeを読んで以来ではないかと思います。

ご存知のように、サリンジャーの同小説の主人公である、Holdenがたびたび使っているのが、"phony"という形容詞です。“いんちきの”という意味です。


A suspicious device found at an Australia Post delivery centre in Brisbane’s west has been found to be a phoney bomb.

The police bomb squad was called to the delivery centre on Mawarra Crescent in Ferny Hills after staff evacuated the building about 7.20am today.

The device, which comprised batteries and wires, was found in a secure area at the back of the delivery centre, prompting the closure of four streets around the building.

Police x-rayed the device and found it did not contain any explosives.

‘‘It appears to have been a hoax,’’ a police spokeswoman said.
(Marissa Colligeros. Phoney bomb causes mail centre scare. The Sydney Morning Herald. November 28, 2012.)


上記の引用はオーストラリアのSydney Morning Herald紙からの記事です。スペルが、"phoney"となっていますが、"phony"と同じです。

"phony"の語源を見ると面白いことに気が付きます。

元々はアイルランド語で指輪を意味する"fawney"という単語に由来するようですが、この指輪は真鍮製のものだったにも関わらず、金製だと偽って売られることが多かったようです。

つまり詐欺行為がまかり通っていたのですが、それゆえに"fawney"は“偽りの”という意味に誤解され、それが定着してしまったもののようです。


2012年11月29日木曜日

お払い箱 ― get the boot

アップルのiPhone新製品で地図アプリの不具合が取りざたされたのはもう大分前のことのような気がしますが、責任者がクビになったようです。

少し前にもクビになった幹部についてのニュースを聞いたことがありますので、下記の引用はまた別の幹部ではないかと思いますが、そのこと自体にはあまり関心はなく、英語表現の話題に移りたいと思います。


The man behind Apple Maps, the most maligned part of Apple's wildly successful iPhone 5, has gotten the boot.

Apple executive Richard Williams, who was the leader of the team responsible for the horribly flawed map app got kicked to the curb by Senior Vice President Eddy Cue, according to Bloomberg News.
(Michael Braustein. Man behind awful Apple Maps app ousted: report. New York Post. November 27, 2012.)


以前取り上げたことがありますが、“クビ”と言うのに英語にはなぜか多くの表現があります。

今日取り上げる、"get the boot"はその1つです。

"boot"とは冬になると街中を行く女性の足元を飾るファッションアイテムとして目立つ、あのブーツですが、俗語としての意味もいろいろあります。

"get the boot"がなぜクビという意味になったかですが、"boot"にはブーツを履いた足で蹴飛ばす(ずいぶん痛そうです・・・)という意味があるようですが、そのブーツで蹴飛ばすという行為が、人をお払い箱にするときに、お尻を蹴飛ばして外に追いやる様を連想させることから来るのでしょうか。

語源欄の解説で確認できませんでしたが、多分そんなところではないかという気がします。


2012年11月28日水曜日

five finger discount

"five finger discount"という表現をご存知でしょうか?

そのまま訳すと、“5本指(による)ディスカウント(割引)”ということになります。金額を表すのに手指を使うのはよくあることですが、指5本は500円?それとも5000円?あ、ここは英語の話ですから、50セント、5ドル、ということでしょうか?

実は、"five finger discount"とは、いわゆる万引き(窃盗)のことなんですね。

手(5本指)で取って、支払いを済ませずに持って逃げる、ということなのでしょう。


A police officer was arrested for allegedly finding the best Black Friday deal in town — a five finger discount.

Jenny Mendez, 28, of the Midtown North Precinct was charged with petit larceny and criminal possession of stolen property after she allegedly shoplifted from a Midtown Manhattan store yesterday. The value of the stolen garments and location of the store was not released.

Cops said Mendez has been suspended without pay.
(Daniel Prendergast. Manhattan cop busted for shoplifting on Black Friday. New York Post. November 24, 2012.)


万引きというと、"shoplift"という単語を思い浮かべるかと思います。また、以前取り上げたことがありますが、"sticky-fingered"という表現もあります。

余談ですが、手元にOxford Dictionary of Euphemismsがあるのですが、そのエントリに、"five-fingered discount"という、スペルが若干違うものがあります。その解説では、


A reduction due to stealing

Referring to goods stolen and then sold below their market value.


とありました。これはダイレクトに“万引き”とは言っていませんが、盗んだものを実売価格よりも少し安い値段で転売し、現金を得ることであり、その際の差額を"discount"と言っているのだと思われます。


2012年11月27日火曜日

Facebook利用と著作権 ― boilerplate

私はフェースブックを利用していないのですが、親類や同僚、友人は多用しているようで、アカウントもってないの?などと言われたりします。

個人的には友達申請だとか公開の設定だとか、ややこしくてあまり好きではないので敢えて手を出していないのですが、私の周りの多くの方々はフェースブックを多用し、外出先ではスマートフォンで、自宅やオフィスではPCで、昼も夜も更新作業やお仲間のアップデート確認にお忙しくされているようです。

さて、そのフェースブックで著作権ポリシーの変更を騙る詐欺まがいのデマが広がっているというニュースを見つけ、利用者でもない私も何故かその内容に関心があり、記事を読んでみました。


For the last couple of days, my Facebook timeline, and probably yours, has been filled with repetitions of a peculiar piece of boilerplate text, from all kinds of friends. It goes something like this:

In response to the new Facebook guidelines, I hereby declare that my copyright is attached to all of my personal details, illustrations, comics, paintings, crafts, professional photos and videos, etc. (as a result of the Berner Convention).

For commercial use of the above my written consent is needed at all times!

Facebook is now an open capital entity. All members are recommended to publish a notice like this, or if you prefer, you may copy and paste this version.

Guess what? You’ve been >hoaxed.
(You Can Stop Spreading That Facebook Notice Now. The New York Times. November 26, 2012.)


この詐欺まがいのデマの出所がよく分かりませんが、誰かが言い始めたのには違いないでしょう、まさしくSNSの威力といったところですが、フェースブックユーザーが自分自身の投稿の著作権を主張しようと、無味乾燥な著作権の文言をいちいち自分の投稿に含めたため、タイムライン上が趣味やその他の話題を押しのけて無味乾燥なテキストで埋め尽くされると言う事態にもなっているということです。

今日の単語は、"boilerplate"です。

この単語は、契約書の条文だとか、製品やサービスの説明書などに書かれてある利用許諾とか著作権だとかの規定だったり、とにかく、ほぼ決まりきったフレーズで構成される文のことを意味しています。

決まりきったフレーズのことをなぜ"boilerplate"と言うのでしょうか?

語源を調べると、"boilerplate"とはその名前の通り、"boiler"(湯沸し釜)を作るの使われる"plate"(金属板、鋼板)のことを意味していますが、特に"boiler"の製造メーカー名などの情報を記したプレート(ラベル)のことを指していました。このようなプレートは内容は同じですから、同じものを大量生産されるボイラーのそれぞれに取り付ける訳です。

のち、"boilerplate"は印刷業界では新聞や広告など大量配布するための記事原版としての意味で用いられるようになります。プレートと印刷の原版がどちらも金属であることなどの類似性に着目してのことでしょう。

現代では、"boilerplate"は上述したように、法律や契約などの決まりきったフレーズという意味で使われる他に、陳腐で使い古された言い回しというようなやや批判的な意味合いで使われることもあります。


In this case, as in any case in which a child under its supervision dies, the city's Human Resources Administration had the same reply: no comment. This boilerplate response springs from laws intended to protect the privacy of families. Similar statutes exist in every state and often make it difficult for anyone outside the child-welfare system, including relatives, reporters, probation officers and teachers, to find out how the system worked, even after a child has been murdered.
(The New York Times. 1992.)


上記の例では、"boilerplate response"とありますが、“お決まりの対応、反応”とでも訳しましょうか。この時の“お決まりの”という言い回しには多少の批判が込められています。


2012年11月26日月曜日

プールはプールでも? ― pool report

以前に"carpool"という単語を取り上げました。同様の表現に、"motor pool"というものもあるのですが、これらの単語に見られる、"pool"は泳ぐための“プール”であると信じて疑いませんでした。皆さんもそうではありませんか?

ところが、これらの"pool"は泳ぐための設備である“プール”とは別物であることを今日知ったのです!

きっかけは以下の記事でした。


President Obama and his daughters visited an independent bookstore on Saturday to participate in "Small Business Saturday."

Obama is urging Americans to shop at neighborhood stores as an alternative to big Black Friday and Cyber Monday sales by national chains.

(中略)

Obama has made a tradition of marking Small Business Saturday by visiting a non-franchise bookstore with Sasha and Malia. Last year, the president and his two daughters visited Kramerbooks & Afterwards Café in Dupont Circle.

This year, the trio visited One More Page Books in Arlington, Va., a short trip across the river from Washington, D.C. They stayed in the bookstore for just over half an hour, according to a White House pool report, and immediately returned to the White House.
(Obama, daughters visit bookstore for 'Small Business Saturday'. The Hill. November 24, 2012.)


オバマ大統領が近隣の本屋で買い物をしたというニュースですが、Black FridayCyber Mondayなど、大型店舗へ足が向きがちなこの時期に敢えて大統領自ら個人商店へ足を運ぶことでいわゆるSmall Businessの活性化を図る狙いがあるようです。日本でも首相や大臣がわざわざ地方の商店街などを訪れ、ポケットマネーを使って個人商店で物を買ったりするのが報道されますが、あれと同じでしょうか。いや、近々衆院選を控え、恐らく同様のニュースがこれから聞かれるでしょうが、耳目を集めるだけのスタンドプレーではなく、オバマ大統領のそれは毎年の恒例行事になっているようです。

さて、今日取り上げたいのは、プールはプールでも、あの“プール”ではなかった、ということなのですが、引用した記事の後半に、


according to White House pool report


とありますが、この"pool report"とは一体何?というところから始まります。

お手持ちの辞書で、"pool"を引くと2つのエントリがあるかと思います。1つが泳ぐための"pool"で、もう1つは“共同出資、賭け金”などを意味する"pool"です。

1番目の"pool"はゲルマン語起源であり、ドイツ語でもPfuhl(プールの意)という名詞が残っていますが、2番目の"pool"はラテン語起源であり、元は雌鶏(pullet)、フランス語では賭け金を意味するpouletから来ています。

さて、上記引用での"pool report"は何のことかと言いますと、日本語でいう、いわゆる“代表取材”の意味です。ランダムハウス英和では、"pool reporter"というエントリがあり、ジャーナリズム用語として、代表取材をする記者(poolerともいう)とあります。

"pool report"が何故代表取材の意味になるのか、と疑問に思いませんか?

ここでの"pool"とは泳ぐ施設ではなく、2番目の"pool"である共同出資などの意味から来ているのです。この"pool"には動詞の意味として、


(資金や情報などを)共同出資する、合弁する
~をまとめて協力する


といった意味があるのです。ちなみに資金をプールすると日本語で言う場合の“プール”もこちらの"pool"であり、よく“裏金をプールする”というような表現が使われ、お金をプールすると言う場合も何だか後ろ暗いイメージがありますが、本来の意味は何ら後ろ暗いものではなく、共通の目的のある人たちが集まって協力する(資金を出し合ったりする)ことを指しているにすぎません。

さて、"pool report"に戻りますと、これはある対象を取材するという目的を共通に持つ関係者が集まって、その代表が取材を行うことで合意する、という意味合いになります。American Heritage Dictionaryにはこの意味がちゃんと載っていて、


A group of journalists who cover an event and then by agreement share their reports with participating news media


とあります。

では、最後に。

"carpool"、"motor pool"の"pool"も、泳ぐ施設の"pool"ではなく、共同利用の目的のために乗用車をシェアする仕組みということで、共同出資を意味する"pool"のことです。

てっきり、泳ぐプールが水を貯留しているように、物を溜めておく設備の意味に発展したものとずっと勘違いしておりました。カタカナ語の“モータープール”が英語では駐車場を意味しないということがやっと分かりました。

2012年11月23日金曜日

ドイツ語? ― stark-naked

昨日の記事で、"starkers"という単語を取り上げました。"starkers"という単語はごく最近生まれたものらしく、ランダムハウスやMerriam-Websterによると初出が1923年頃とあります。

そして、この単語の由来については、"stark-naked"という単語から"stark"と言う部分を取ってきたものであるという解説が見られます。

"stark-naked"も”素っ裸の”という意味の形容詞ですが、こちらは初出が1530年とありますので、"starkers"よりも古いのは確かです。

では、"stark-naked"の"stark"とはどういう意味なのでしょうか?

ここで、ドイツ語を学んだことのある人、ドイツ語に詳しい人は、強いという意味の"stark"というドイツ語の単語を想起するかもしれません。私もそうでした。

ややこしいのですが、"stark"という英語の形容詞にも、"naked"(裸の)と同じ意味があるため、ドイツ語かと思ってしまうのですが、この形容詞の意味も、"stark-naked"という単語に由来するものであり、"stark-naked"の"stark"という部分を説明するものではありません。

では、"stark-naked"の"stark"とはいったい何でしょうか?

American Heritage Dictionaryや研究社の大英和の語源欄で確認できますが、"stark-naked"とは元々、"start-naked"でしたが、(恐らくドイツ語の"stark"の影響を受けて)"stark-naked"となったものだそうです。

で、この"start(-naked)"は何かというと、“尾”(tail)のことなのです。(古英語では、steortというスペルでした。ちなみに、現代英語の"start"という単語とは関係がありません。)

"stark-naked"="start-naked"とはつまり、"naked to the tail"(尾に至るまで裸である、何も身に着けていない)という意味だったのです。

裸であるかどうかを気にするのは生きとし生けるものの中では人間だけなのに、人間にはない尾を取り上げて“尾に至るまで”というのはおかしい感じがしますが、要は“頭のてっぺんから爪先まで”という意味合いと解釈すべきでしょう。

ちなみに、尾を意味するsteort(start)がスペルに残っている単語として、鳥の名前である、"redstart"(ジョウビタキ)という単語があります。言うまでもありませんが、この単語の"start"も現代英語の"start"とは無関係です。


2012年11月22日木曜日

この単語の品詞は? ― starkers

昨日取り上げた、サンフランシスコで公共の場で裸になることを禁じる条例の可決のニュースを改めて今日も取り上げます。

昨日の引用記事でも触れられていますが、今回の“ヌード禁止条例”にはいわゆるNaturistと呼ばれる人たちからの反発も強く、今後論争に発展しそうな気配があります。

下記の記事はまた別のソースからの引用ですが、反対派について書かれている部分です。


Moments later, boos and a sudden shedding of clothes by aggrieved audience members led to a hastily called recess as naked people loudly and lustily voiced their displeasure.

Gerhardt Clarke, 55, of Oakland wore only a white stocking cap, white socks and white underwear briefs as he shouted about recalling Supervisor Scott Wiener, the ban's author.

Clarke said he's confident he'll be able to keep on going starkers. Activists last week filed a pre-emptive lawsuit to block the city from implementing the ordinance, seeking redress for the right to undress. "This lawsuit will wipe out these fascist clones," Clarke predicted.
(Josh Richman. San Francisco orders nudists to put their pants on. San Jose Mercury News. November 20, 2012.)


今日の単語は、"starkers"という単語です。

まず質問です。"starkers"という単語の品詞は何でしょうか?

辞書を引けばすぐに答えは分かりますが、


keep on going starkers


という部分に着目すれば、名詞ではなく、形容詞、あるいは副詞であることが分かると思います。つまり、"starker"ではなく、"starkers"という単語なのです。辞書を引く際も、"starker"ではなく、"starkers"のエントリを見る必要があります。

"starker"という名詞の複数形のように見えてしまうのですが、実は違うというところがポイントです。

こういう単語のことを、"deceptive"な単語と言うのだろうと思いますが、スペルを見て、通常行為者を表すためにつける語尾の-erからそのように解釈してしまうというところが落とし穴でしょうか。"starkers"という単語の語尾は、行為者(-er) + 複数形(-s)なのではなく、愛着を示したり、ややふざけたニュアンスを出すための接尾辞(-ers)なのだそうです。

さて、"starkers"の意味ですが、素っ裸の(で)、という意味です。

"starkers"というどちらかという見慣れない単語が”素っ裸”を意味するようになった経緯にはどういうものがあったのでしょうか?

これについては多くの辞書で、"stark-naked"に由来するという説明があると思います。

では、"stark-naked"とは?

これについては話が長くなりますので、明日取り上げます。お楽しみに!


2012年11月21日水曜日

sans

公共の場での裸を見せることを禁じる条例がサンフランシスコで可決されたというニュースです。違反すると100ドルの罰金が課せられ、悪質とされた場合には禁固刑になるという厳しい内容です。


The San Francisco Board of Supervisors voted 6 to 5 on Tuesday to approve a ban on public nudity. The vote means that there will be no more lounging nude in the city’s plazas, parading up and down city streets sans pants or riding subways and buses bare-bottomed.
(Malia Wollan. San Francisco Officials Approve a Ban on Public Nudity. The New York Times. November 20, 2012.)


文化の違いでしょうか、公共の場でのヌードと言われてもピンときません。今回の件は、サンフランシスコでもカストロ地区(Castro district)と呼ばれる特別な一帯、つまり“その手の人達”が集まってくる場所が取り沙汰されているようですが、Naturist(記事では、naturalistとありますが)と呼ばれる人たちの信条にとっては重要な問題のようで、反発必至というところです。

さて個人的には、ヌードの問題よりも言葉に関心がありますので今日の単語に入りたいと思います。

今日の単語は、"sans"です。

上記の引用で、


parading up and down city streets sans pants


の"sans"は、フランス語を勉強したことのある方なら当然ご存知の、“~なしに”(without)という意味の前置詞です。

私も大学で第二外国語がフランス語でしたので(多くの単語や文法は忘れてしまいましたが)この"sans"という単語くらいは覚えています。が、英単語として使われているのを目にしたのは初めてです。

英単語としての用法は現代フランス語から借用されたものと勝手に思っていましたが、いくつかの辞書を引いてみると実は1300年代、中期英語から使われている単語であることを知りました。

尤も中期英語のそれも、元は古期フランス語から来たものであり、さらに遡るとラテン語の"sine"にたどりつくようです。

現代フランス語での発音は末尾のsを発音しませんが、英単語としては末尾のsも発音(清音のsではなく、濁音のzになります)します。


2012年11月20日火曜日

ブラックフライデーに追いやられるサンクスギビング ― edge out

11月も半ばを過ぎ、早や年末の足音が聞こえてくる季節となりました。

当ブログの過去の話題でも度々取り上げてきたものですが、年末というとクリスマスです。とりわけアメリカではその前にThanksgiving holidaysがあり、近年では歳末商戦のスタート時期でもあります。

今日はこんなタイトルの記事を目にしました。


Is Black Friday edging out Thanksgiving?


"edge out"という表現が今日取り上げる表現です。

Black FridayがThanksgivingを"edge out"?どういう意味でしょうか?


It will arrive again this week, even as Americans are still sitting at their Thanksgiving dinner tables. Black Friday -- with its door-buster sales, hordes of frenzied shoppers shoving for position, employees nervously waiting for the onslaught -- has shrugged off the confines of its name and has now established squatters' rights on Thursday.

Target stores will open at 9 p.m. Thanksgiving night, three hours earlier than the stores' midnight opening in 2011. Wal-Mart will begin its Black Friday sales at 8 p.m. on Thanksgiving. Toys R Us will match that 8 p.m. opening, as will Sears. Best Buy, which will wait until midnight to open its doors, seems almost like a dowdy throwback.
(Bob Greene. Is Black Friday edging out Thanksgiving? CNN. November 18, 2012.)


タイトルから想像のついた方も多いかと思いますが、どうやらThanksgiving holidaysと歳末商戦のスタートであるBlack Fridayがもはやほとんど同じになってしまったことを批判的に取り上げた記事のようです。

2年前の記事で"Black Friday"については取り上げましたが、通常Thanksgivingとは11月最終週の木曜日にあたり、翌日の金曜日は平日ですが、多くの人が続く土日の休日と“ブリッジ”して休暇にしてしまうため、このBlack Fridayが歳末クリスマス商戦の事実上のスタートとしてのランドマーク的な位置を占めるようになった経緯があります。

さて、Wikipediaの解説にもありますが、デパートや量販店にとってこのBlack Fridayは書き入れ時であり、Black Friday当日は朝6時から開店するなどという商慣行でしたが、商戦はヒートアップし、近年では午前0時、つまり金曜日に日付が変わると同時に開店などとなってきているようです。

しかしさらに開店時刻は早まり、前日木曜日の午後9時、そして午後8時開店というところまで出てくる始末で、こうなるとBlack "Friday"などではなく、もう木曜日、Thanksgivingに食い込んできているのが現状です。

"Black Friday"が"Thanksgiving"を"edge out"、とはこうした状況を指しています。

"edge"という単語の動詞の意味をチェックしてみると、


(方向の副詞(句)を伴って)…をじりじりと斜めに[横に,縁に沿って]進める;…を徐々に動かす[押しやる]


という意味があることが分かります。

この記事の用例では、副詞に"out"を伴っている訳ですが、Black Fridayに徐々に追いやられてしまうThanksgiving holidays、とでもなりましょうか。

暖かくした家のディナーテーブルで七面鳥のローストやパンプキンパイを食べていたのは古き良き時代となり、ディナーも食べ終わらないうちに混雑したショッピングモールに繰り出し、買い物三昧、というのがこれからの主流になるのでしょうか。寂しいものです。

2012年11月19日月曜日

sitting

オバマ大統領がビルマ(ミャンマー)を訪問、というニュース記事です。


US President Obama in landmark Burma visit

US President Barack Obama is making a historic visit to Burma, the first by a sitting US president.
(BBC News. November 19, 2012.)


今日の引用はたったこれだけなのですが、斜体にて示しましたように、今日取り上げる単語は


sitting


です。

文脈から、現職大統領として初めてのビルマ訪問、とでもなりましょうか。

またまた勉強不足の謗りを免れませんが、“現職”を意味するのに単に、"sitting"と表現するとは知りませんでした。

“現職”という日本語の対訳としてまず思い浮かぶのは、"sitting"という単語よりも難しそうに響く、"incumbent"という形容詞です。単語を一生懸命に暗記している人にとってはなおさらそうではないだろうかと思います。

"incumbent"は、"sitting"と同義ですが、いわゆる"big word"なのでしょうか?

"sitting"と"incumbent"のどちらが用例として多いのかをコーパス(COCA)で調べてみたところ、"sitting president"、"incumbent president"の用例はほぼ同数でした。どちらでもいいといえばいいのかもしれません。

"incumbent"には、横たわる、寄りかかる、という意味もありますが、語源に目を向けるとラテン語のcumbereという語に由来し、cumbereとは横たわる、座るの意味であるということで、"sitting"とは意味が共通しています。


2012年11月16日金曜日

"compromise"という単語について考える ― compromise

今日は"compromise"という単語について少し考えてみたいと思います。

"compromise"という単語は、妥協(する)、譲歩(する)という意味で使われますが、ここで考えたいのはいわゆるコンピュータセキュリティのコンテクストで用いられる"compromise"の用法です。

きっかけは以下の記事での"compromise"の用法でした。


Personally identifiable information of "at least" 10,000 NASA employees and contractors remains at risk of compromise following last month's theft of an agency laptop, a spokesman told Computerworld via email Thursday.
(Jaikumar Vijayan. NASA breach update: Stolen laptop had data on 10,000 users. Computer World. November 15, 2012.)


NASA職員のラップトップPCが盗まれたというニュース記事ですが、盗まれたPCには1万人以上の職員に関する個人情報が保存されていたということです。

ここで、


Personal identifiable information... at risk of compromise


という部分に注目します。

私はこの部分を最初目にした時、おや、という気がしました。コンテクストから言わんとしていることは分かるのですが、"risk of compromise"という表現が奇異に思えたからです。

私の頭の中では、"compromise"とは"risk"とほぼ同義だったので、"risk of compromise"とは即ち、"risk of risk"となってしまい、奇異な感じがしたのです。

そこでランダムハウス英和で"compromise"を引いてみます。名詞のエントリには、


(名誉・評判・信用などを)危うくすること、危険(疑い)などにさらすこと


とあります。"risk"とほぼ同義ではないでしょうか?

考えてみれば、"compromise"という表現は昨今のセキュリティ関連の話題で必ずといっていいほど使われる表現ですが、どちらかと言えば名詞よりも動詞の方が多いような気がします。

例えば、以下のような例文に見られます。


Experts say that many companies only disclose break-ins when they are required to do so by government regulations that say they must tell customers whose data was compromised.
(Jim Finkle. What's so special about Sony's massive data breach? Reuters. April 29, 2011.)


ここで思うのですが、そもそも"compromise"が具体的に何を意味しているのか曖昧ではないだろうか、ということです。

辞書に見る"compromise"はリスクの概念に留まると思われるのですが、昨今のセキュリティ関連のニュースで用いられる"compromise"にはもっと具体的な意味、つまり不正利用、暴露、犯罪目的の利用、などが含意されているように思われます。

冒頭に引用した、"at risk of compromise"も、"compromise"の内容がその具体的な事象(つまり、情報の奪取、あるいは不正利用など)を指すものであれば表現としておかしくないと思われます。

"compromise"の用法をネットで色々調べていると、私と同じような疑問に端を発する議論も見つかり、今日の記事のきっかけともなりました。例えば、このサイトでは、"compromise"の用法として、名詞と動詞とが比較されています。

また、権威ある辞書をいくつか参照してみても、"compromise"の定義に微妙な差が認められます。

Merriam Websterでは、


to reveal or expose to an unauthorized person and especially to an enemy


という定義(と<>内は例文)が見られます。このような定義はAmerican Heritage Dictionaryや英和辞典に見られず、昨今のセキュリティ関連のコンテクストでの用法を他に先駆けて取り入れたものではないかと思われます。

昨今のセキュリティ関係の話題における"compromise"の用法は意味が拡大してきており、辞書の定義の範囲から少しずつはみ出してきているような気がします。言葉は生き物と言いますが、これらの具体的な意味が辞書のエントリになるのもそう遠くはないのかもしれません。


2012年11月15日木曜日

つまり、"out of control" ― runaway

"runaway"という単語を見てぱっと思いつくのは、逃亡のイメージではないでしょうか?

勿論、逃亡、脱走の意味もあるのですが、それ以外の意味で用いられることもあるのです。いや、むしろ、そちらの用法の方がよく用いられているとさえ思えます。

記事を引用します。


Tomorrow Pepsi are launching a version of its cola drink that it claims acts as a fat blocker.

Pepsi Special is made with dextrin - an indigestible form of dietary fibre. Studies on rats suggest this can reduce the absorption of fat in the body and lower cholesterol levels.

(中略)

Pepsi hope the drink will have the same runaway success as the Japanese drink Kirin Mets Cola, which also contains dextrin.
(Claire Bates. Good news for slimmers with a sweet tooth: Now Pepsi launches FAT-BLOCKING soft drink. The Daily Mail. November 12, 2012.)


引用記事の後段に出てくる、


runaway success


という表現は初めて目にするものでした。(勉強不足・・・。)

当然ですが、逃亡、脱走の意味ではありません。辞書を引くと、これらの意味以外に、


一方的勝利、圧勝、楽勝


などの意味があることが分かりました。上記の用例では形容詞として用いられていますから、


一方的勝利の、圧勝の、楽勝の


という意味になります。ここでは今流行りのダイエット飲料が話題ですから、特定の製品の一人勝ちの状況を言っていると解釈できます。

ところで、逃亡、脱走の意味と圧勝、楽勝の意味は全く別のものでしょうか?一見、全く別の意味のように思えますが、どうやら意味的には関連がありそうです。American Heritage Dictionaryの定義によると、


Something that has escaped control or proper confinement


という定義があるのですが、要は、"out of control"(制御不能)であることを意味しているのです。

逃亡、脱走はまさしくこの意味を含意していますし、一方的勝利や圧勝という概念も、他の影響やコントロールを受けない、追随を許さない、といった意味では同じです。

また、"runaway"にはもう1つ、


止めどもなく上がる、急騰する、止めどもなく進む


という意味がありますが、この意味も、"out of control"の概念に根差したものです。例えば以下のような用例で用いられています。


In theory, at least, tying the value of the dollar to gold would prevent the government from printing too much money and creating runaway inflation.
(USA Today. 2012.)


2012年11月14日水曜日

フェンダー?バンパー? ― fender-bender

自動車に詳しい人に笑われそうですが、フェンダーとバンパーの違いって何でしょう?

私は運転免許は持っていますが週末ドライバー程度の車の知識しかありませんのでちゃんと答えられないのですが、なぜこのような疑問を持ったかというきっかけは以下の記事でした。


Two separate bus accidents -- plus a later eight-car pileup -- at the Lincoln Tunnel made a mess of today’s commute into Manhattan.

First, at around 7:15 a.m., a NJ Transit bus carrying 45 passengers was rear-ended by a Martz Trailways bus, said NJ Transit spokeswoman Nancy Snyder.

(中略)

Then at 9 a.m., another NJ Transit bus was rear-ended, this time by a truck, Snyder added.

(中略)

To make matters worse, a few hours later, there was eight-vehicle fender-bender in the westbound tube heading to New Jersey, authorities said.
(Doug Auer. Multiple accidents snarl Lincoln Tunnel commute, dozens injured. New York Post. November 12, 2012.)


交通事故に関するニュース記事です。少し引用が長くなってしまいましたが、"pileup"とは多重玉突き事故、"rear-end"とは追突事故のことを言っています。

最後の段落に出てくる、"fender-bender"という表現はユニークですが、ご存知でしょうか?

"fender-bender"も、事故を意味する表現です。ランダムハウス英和辞書によると、


(主に相手のフェンダーがへこむ程度の)軽い車の衝突事故


という説明があります。つまり、"fender"(フェンダー)を"bend(er)"(曲げる)、ということから生まれた表現です。

ここで、“主に相手のフェンダーがへこむ”という但し書きが気になりました。つまり、衝突された方に被害があって、衝突した方は被害がない、というようにも取れるからです。相手だけが被害ということはないはずです。

ここに至って、“フェンダー”とはいったい何ぞや?という疑問が出てきました。そして、“バンパー”という用語もあるけど、それとはどう違うの?という疑問になったわけです。

ネットを調べてみると同様の疑問を抱いている人は多いらしく、とあるサイトで分かりやすい説明を見つけました。それによると、バンパーというのは、衝突時の衝撃を和らげるために自動車の前後に取り付けられる部品であり、フェンダーというのは主に泥はね防止のために自動車の前後輪を覆うように“サイドに”取り付けられる車のボディの一部分である、というものでした。

さらに興味深いのが、“では、bumper-benderという表現はないのか?”という素朴な疑問を持っている人がいることでした。追突すればまず双方のバンパーが曲がるはずで、至極もっともな話です。

これに対するネットでの回答は、“ない”というものでした。つまり、"fender-bender"は存在しますが、"bumper-bender"は存在しません。(笑)

その理由がまた説得力があったのですが、"fender-bender"の方が(韻を踏んでいて)語呂(口調)がよいから、というものでした。なるほどですね。


2012年11月13日火曜日

こんな意味もあったの? ― voice

時々お送りしています、“こんな意味もあったの?”のコーナーですが、今日もとある記事を読んでいて発見がありました。いつまでも勉強することが多くて、題材に事欠きません・・・。

さて、その単語とは、"voice"です。

何を今さら、とお思いになる方も多いかも知れませんが、まずは下記の引用をご覧ください。


Voice of Sesame Street's 'Elmo' accused of affair with underaged teen

The man who voices beloved children’s character “Elmo” took a leave of absence, after he was accused of having an affair with an underaged boy, Sesame Street officials said today.

The allegations against Kevin Clash, 52, go back seven years and the puppeteer said he needed a break from work to fight the allegations.
(David K. Li. Voice of Sesame Street's 'Elmo' accused of affair with underaged teen. New York Post. November 12, 2012.)


最初に一読した際、この"voice"の意味がすぐに掴めなかったのですが、記事を読み進めていくうち合点が行ったのです。

セサミストリートの“エルモ”が出てくるのもヒントになったということはあります。記事のタイトルにある、


Voice of Sesame Street's 'Elmo'


は、“セサミストリートのエルモ役の声優”という意味になるかと思います。

そしてもう1つ出てくる、"voice"、


The man who voices beloved children's character "Elmo"


は動詞として使われています。こちらも声優役をしている、という意味になるかと思います。

声優、というと、"voice actor"という名詞表現がぱっと思い浮かぶと思います(voice=声、actor=(俳)優、で何だか和製英語っぽいですが、英語表現です)が、単に"voice"をその意味で使ったり、また動詞で表現するというのは発見でした。

ちなみに、ランダムハウス英和やジーニアス英和、研究社の大英和などを引いてみたのですが、"voice"のエントリに声優、あるいは類似の意味は見当たらなかったので不思議です。どちらの英和辞典も、"voice-over"というエントリで同様の意味を載せてはいますが、"voice"のエントリにそのものずばりの意味(訳)が載っていないのです。

American Heritage Dictionaryでは、


To provide the voice for (a cartoon character or show, for example): The animated series was voiced by famous actors.


というように、動詞のエントリで明確な定義があり、また、Merriam Websterでは、


She does the voices for several cartoon characters.


という例文が載っています。

英和辞典にも意味や用例が載っていてもよさそうなものだと思いました。

2012年11月12日月曜日

旨い話には・・・ ― the deal of the decade

11月も半ばとなり、街中ではクリスマスムードが漂い始め、年賀状の発売が始まるなど、早や年末の足音が聞こえてきました。何かと浮足立つ時期でもあります。

アメリカでは月末のThanksgiving holidaysの終わりと同時に歳末商戦(クリスマス商戦)がスタートしますが(Black Friday)、そのような時期を控えてか、とんでもないニュースを耳にしました。


Woman buys cheap iPad, gets mirror instead

A woman thinks she scored the deal of the decade in a Texas gas station. Now when did that ever happen?
(Chris Matyszczyk. Woman buys cheap iPad, gets mirror instead. CNET News. November 9, 2012.)


市場価格が800ドルもするiPadをガソリンスタンドで200ドルで売りつけられ、帰って開けてみたら中は鏡(ミラー)だった、という笑うに笑えない話です。


Sometimes our greed is merely a reflection of our true selves.

Sometimes we really do believe we will get something for nothing -- or at least very little.

Take Jalonta Freeman of Arlington, Texas. She was at a gas station. Suddenly a man drove up to her and offered her an $800 iPad for a mere $200.

Wouldn't you have been slightly suspicious? Wouldn't you have at least opened the box to check whether there was, well, an iPad inside?

Freeman took the deal.

"He was, like, OK, I gotta hurry up and go and stuff," she told KXAS-TV.
(ibid.)


今日は、"the deal of the decade"という表現を取り上げたいのですが、


the man of the decade
the team of the decade


というような類似の表現に見られるように、これは”10年に1度(あるかないか)の儲け話”、というような響きがある表現です。辞書には載っていませんが・・・。

旨い話には落とし穴がある、というのは古今東西よく知られた話であり、"the deal of the decade"なんてあり得ないのですが、この女性はまんまと引っ掛かってしまったようです。

2012年11月9日金曜日

gouge

依然としてハリケーンSandy関係のニュース記事をよく見かけますが、今日は下記のようなヘッドラインが目に留まりました。


New York AG goes after post-Sandy price gougers

The state attorney general yesterday slapped a subpoena on Craigslist, demanding that the popular Web site identify sellers who jacked up prices on post-Sandy gas, generators and other supplies, The Post has learned.

The subpoena is part of a widespread probe into rip-off hotel rooms, groceries, transportation and other essential and emergency supplies announced this week by the AG’s Office.

More than 100 Craigslist users are being targeted by AG Eric Schneiderman for chiseling New Yorkers desperate for essential items in the wake of last week’s hurricane, according to an official.
(Jeane Macintosh. New York AG goes after post-Sandy price gougers. New York Post. November 8, 2012.)


この"price gouger"とは何を意味しているのでしょうか?

関連する記事を数日前にもいくつか読んでいたので簡単に想像がつきましたが、"price"とついていることからも想像がつくように、値段をつり上げることを指しています。

ハリケーン被害を受けた地域では停電が発生したり、暖房のためのガスや自動車のガソリンに難儀している人々が多く、ガソリンスタンドでは長蛇の列ができるなど、先の大震災を彷彿とさせるような事態になっているようです。

ガソリンスタンドでは給油制限なども実施されているようですが、このような状況で暗躍するのが人々の需要を逆手に取った"price gougers"という訳です。

"gouge"を辞書で引くと、木を削る”丸のみ”の意味と共に、動詞として、


詐取する、だまし取る
高値をふっかける


などの意味があることが分かります。

"gouger(s)"とは、"gouge"する人、ということです。

記事によりますと、ネット上で5ガロン(20リットル程度)のガソリン缶(通常20ドル程度)を数十倍の値段で売り出す"price gougers"が後をたたないのだそうです。

2012年11月8日木曜日

ジュース? ― juice

ジュース(juice)は説明するまでもなく、飲み物、ドリンクの1種ですが、動詞で使われることがあることを下記の記事で知りました。


Cellphone service in areas hit by Sandy is getting back online slowly, with about 20 percent of cell sites still out of commission on the East Coast, down from 25 percent, the Federal Communications Commission said Thursday. For those in the New Jersey and New York areas still without power, but whose cellphones are working, major wireless carriers are offering users places to juice up.

Photos of residents desperately seeking power sources for their phones and devices have become emblematic of one aspect of Sandy's destruction: the power grid we all rely on, especially to charge our mobile phones.
(Suzanne Choney. Juice up your phones, courtesy of wireless carriers, in NJ, NY. NBC News. November 1, 2012.)


ハリケーンSandyの猛威による被害に見舞われた地域では停電が発生しました。携帯電話の通信網も被害を受けたようですが、今日では重要なインフラでもある携帯電話サービス網が平常に戻りつつある中、ユーザーが携帯電話を充電できるよう通信会社などが電源を提供している、というニュースです。

英和辞書で"juice"の動詞としての意味を引くと、


力(勢い)を加える
活気づける、生彩を与える


などの意味が見られますが、上記の引用において"juice up"は具体的には”充電する”という意味で使われています。

恐らくこのような動詞としての表現よりも先に、名詞として"juice"には俗語としての意味が多いようで、


(動力源としての)電気、電力


という意味があります。"juice up"の意味も、このような俗語としての名詞の用法から生れたのではないかと思われます。

Merriam Websterによると、"juice up"の用法の初出は1955年ということですから、比較的最近の用法だと言えます。

もう1つ、別の記事から引用します。


As hundreds of thousands of Big Apple residents suffer in homes left without power by Hurricane Sandy, two massive generators are being run 24/7 in Central Park — to juice a media tent for Sunday’s New York City Marathon.

And a third “backup” unit sits idle, in case one of the generators fails.
(This is no way to get us up & running. New York Post. November 2, 2012.)


上記の引用では、"juice up"ではなく、単に"juice"ですが、コンテクストから解釈すると意味はほとんど同じかと思われます。


2012年11月7日水曜日

着込む ― bundle up!

ハリケーンSandyの影響により、ニューヨーク市内の学校では上陸前から休校措置などが取られていたようですが、ハリケーンも過ぎ去り、甚大な被害がもたらされたものの少しずつ日常を取り戻しつつあり、学校も再開し始めました。


Nearly a million New York City schoolkids are expected to be back in class today — and they had better bundle up.
(City school openings are cold comfort. New York Post. November 5, 2012.)


学校が再開するにあたって、


they had better bundle up


とはどういう意味でしょうか?

"bundle up"という表現を知らなくても、答えは続きを読むと分かります。


At least three dozen schools likely won’t have heat as temperatures hover just above freezing in the morning, Mayor Bloomberg warned yesterday.

“Please dress your children with that in mind,” the mayor said. “If the schools were dangerously cold, we obviously wouldn't open them. But if they’re chilly, extra sweaters for the kids is something that should make some sense.”
(ibid.)


日本でも11月になってからは随分と冷え込んできましたが、ニューヨークはさらに寒いでしょう。

学校は再開するものの、電力供給や燃料供給がままならない状況では暖房が十分でないため、寒さに備えて着こんでくるべきだ、という勧告です。

"bundle up"という表現ですが、英和辞書を引くと、”着込む”の意味があることが分かります。カタカナでも”バンドル”という表現が使われたりしますが、同じものを束にしたり、品物を梱包するという意味で使われるのが一般的なので、"bundle up"が衣服を重ね着するという意味になるとは知らず、勉強になりました。


2012年11月6日火曜日

shame... into ~ing

昨日に引き続いてですが、ハリケーンSandyによる甚大な被害を被ったニューヨーク・シティと、NYCマラソン開催是非に関する記事から引用します。


Mayor Bloomberg announced the race would be cancelled on Friday — after The Post shamed organizers and the city into realizing that essential resources that could be used elsewhere — were being secreted away for the event.
(Cynthia R. Fagen. Marathon organizers blame race cancellation on media, not killer storm. New York Post. November 3, 2012.)


昨日の記事でも触れましたように、ブルームバーグ市長を始め、NYCマラソン関係者は当初は週末のレースを開催する方向で準備を進めていましたが、批判を受けて最終的にマラソンの開催を見送ることとしました。

ここで、


The Post shamed organizers and the city into realizing that...


という部分に注目しましょう。

市長も関係者も、当初は実施の方向で準備を進めていたのですが、結局止めることになったのは、ハリケーン被害で停電などの被害を被っている市民を尻目に、マラソン関係の設備の電力供給手段を優先している、怪しからん!との批判が起こったからです。

関係者はそのような批判が起こるとは考えなかったのでしょうか、The Post(=New York Post)の報道がきっかけになったというようなくだりが上記の引用からは見て取れます。

"shame"という動詞は、”恥じ入らせる”という意味ですが、ここでは、後続の"into realizing"とつながっており、これは、


talk... into ~ing (説得して~させる)
fool... into ~ing (騙して~させる)
coerce... into ~ing (無理やり~させる)


といった表現と同じ構造です。

2012年11月5日月曜日

wreck? wrack? ― wrack

ここ数日ハリケーンSandyによる被害のニュースが各紙・各メディアのサイトのトップニュースを飾っていますが、ハリケーン通過後の週末に予定されていたニューヨークシティマラソンの開催の是非が話題となりました。

ハリケーンによる死者は100名を超え、ニューヨーク市内では多くの世帯で停電が続く中、マラソンを実施するための設備への電力供給が取り上げられ、被災者からの批判の的となったようです。


Hundreds of thousands of New Yorkers huddle in the dark each night after the most devastating storm in city history — while two massive generators chug away in Central Park and a third sits idle waiting to power a media center during Sunday’s NYC Marathon.

Like hell.

Those generators could power 400 homes on Staten Island or the Rockaways or any storm-wracked neighborhood in the city certain to be suffering the after-effects of Hurricane Sandy on Sunday morning.

Shouldn’t they come first? Shouldn’t the race just be canceled?
(Marathon is power mad! New York Post. November 2, 2012.)


上記の引用記事は先週金曜日の時点のものなので今現在となっては少し古く、この後結局、ブルームバーグ市長は週末のマラソンの中止を決定します。

さて、今日取り上げたい表現は、"wrack"という動詞です。記事の後半に、


any storm-wracked neighborhood


という部分が出てきます。”ハリケーン被害を受けた世帯”、というように解釈できると思います。

大変ややこしいのですが、似たような単語に、


wreck
wreak


があります。"wreak"については、"wreak havoc"(壊滅的な打撃をもたらす)という表現を以前取り上げました。その記事の中でも触れていますが、"wreak"と"wreck"は別の単語であり、"wreck havoc"は誤用とされています。

今日取り上げたのは"wrack"ですが、これは"wreck"とスペルも意味も非常に似通っています。別単語なのでしょうか?それとも、スペルのVariantというだけで、同語源なのでしょうか?

いくつかの辞書の語源欄を見て分かることは、"wrack"は"wreak"と同根、一方、"wrack"と"wreck"は別語源の単語のようである、ということです。

”~ようである”というのは歯切れが悪いですが、辞書にも2つの単語に差異に関する詳しい解説がないので何とも言えないのが正直なところです。しかも、辞書によって語源解説が微妙に違うのです。

Bill BrysonのTroublesome Wordsという本の解説によると、


Wrack is an archaic variant of wreck and now almost never appears except in the expression 'wrack and ruin'.
(Bill Bryson. Troublesome Words, revised edition. 2001.)


とあります。ということは、"wrack"と"wreck"はスペルがちょっと違うだけの、同根の単語ということに解釈できますが・・・。

同根と考えようと別単語と考えようと、繰り返しますように意味は非常に似通っており、また使われるコンテクストも今回のように自然災害による被害などに言及する場合に多いため、混乱は尽きません。

例えば、"storm-wrecked"という表現が正しいのかどうか、筆者には判断できませんが、コーパスを見る限り、そのような使用例も存在します。

さらにややこしいようですが、"wrought"という単語が、


the devastation wrought by super-storm Sandy
(Los Angeles Times. November 3, 2012.)


のような使われ方で、やはり自然災害による被害に言及するときに使われます。

この"wrought"は、皆さんも良くご存知のごく基本的な動詞の"work"の過去分詞形で、"wreak"、"wrack"、"wreck"のいずれとも異なるものです。

英語ってややこしいですね・・・。


2012年11月2日金曜日

口止め、揉み消し ― hush up

日本ではあまり報道されていないのではないかと思いますが、アメリカのペンシルベニア州立大のフットボールチーム監督による学生への性的虐待のスキャンダルはここ最近のトップニュースです。性的虐待の罪に問われている被告の監督は有罪なら数十年以上の禁固刑に処せられることになり、生涯を塀の中で過ごすことになるという記事を読んだ記憶があります。

このスキャンダルで、責任は当のチーム監督に留まらず、州知事にまで及ぶ事態となっているらしく、またまたトップニュースの扱いになっています。

今日の記事を引用します。


HARRISBURG, Pa. — The "conspiracy of silence" that protected Jerry Sandusky extended all the way to the top at Penn State, prosecutors said Thursday as they charged former university president Graham Spanier with hushing up child sexual-abuse allegations against the former assistant football coach.

Prosecutors also added counts against two of Spanier's former underlings, Tim Curley and Gary Schultz, who were already charged with lying to a grand jury.

"This was not a mistake by these men. This was not an oversight. It was not misjudgment on their part," said Linda Kelly, the state attorney general. "This was a conspiracy of silence by top officials to actively conceal the truth."
(Former Penn St. president faces cover-up charges. The Seattle Times. November 1, 2012.)


どんな責任を問われているのかということですが、冒頭、"conspiracy of silence"(沈黙という共謀)と書かれています。

そして、その文に続けて、


they (=prosecutors) charged former university president Graham Spanier with hushing up...


とあります。"hush(ing) up"とは”口止め、揉み消し”という意味です。チームの監督の虐待疑惑はまずは大学の学長による揉み消しの疑惑へ、さらには州知事までもその揉み消しに関与していた可能性を問われる事態になっているということです。

"hush"は、”静かに!”という時に、”シッ!”と言いますが、そのように使われる間投詞(interjection)でもあります。

恐らく擬音(声)語だと思いますが、語源欄を参照すると、中期英語で"silent"を意味する、"husht"という単語からの逆成であるという解説がありました。"husht"の語尾の"t"が過去分詞形を示す接尾辞と誤解されて、"hush"という単語になったのだということです。


2012年11月1日木曜日

ハリケーン被害のNYCで交通麻痺 ― gridlock

アメリカ北東部を通過したハリケーンSandyの爪痕のすさまじさを、ニュース記事に掲載された写真で見ました。その中で目を引いたものに、ニューヨーク・マンハッタンの市中の渋滞の様子があります。

通りは車でびっしりと埋め尽くされ、普段は歩く人は少ないであろうブルックリン・ブリッジは、自動車やバスを避けて徒歩で移動するために橋を渡る人々で溢れかえっているのですが、東日本大震災時の光景を彷彿とさせます。

さて、市中の交通”渋滞”と書きましたが、多くの記事では、"traffic jam"ではなく、"gridlock"という表現が用いられているのに気が付きました。


Cars with less than three passengers will be virtually barred from entering Manhattan, Mayor Bloomberg announced today, in a desperate bid to relief gridlocked city streets.

This post-Hurricane Sandy rule will be enforced from 6 a.m. to midnight tomorrow and Friday.

"To reduce the number of cars coming into Manhattan, however, we have to take some steps. The streets just cannot handle the number of cars that have tried to come in," the mayor said today.

"I know it is inconvenient for a lot of people. But the bottom line is the streets can only handle so much."
(Mayor mandates car passenger minimums in Manhattan. New York Post. October 31, 2012.)


"jam"が渋滞とすると、"gridlock"はそれよりもう1段階酷いレベル、”交通麻痺”に相当するかと思われます。

"grid"とは格子のこと、ここでは縦横に交差する道路のことですが、どのストリートも車で埋め尽くされ、もはや二進も三進もいかない状態、ほとんど"lock"された状態を、"gridlock"で表現しています。

交通麻痺を緩和するため、ブルームバーグ市長は乗車人数が3人未満の一般車両がマンハッタン地区に入ることを禁止する措置を発表したということです。


2012年10月31日水曜日

お節介、過保護 ― nanny state

超大型のハリケーンSandyはアメリカ北東部に上陸し、New York Cityに大規模な停電をもたらし、一部では交通網も寸断されるなど、甚大な被害が発生しているようです。

自宅にテレビがないのでインターネットで情報を得ていますが、アメリカのメディア関係のTwitterのタイムラインはここ数日、この件に関するもので埋め尽くされています。


It takes a disaster to remind us how much we depend on our local and state governments. In the middle of a presidential campaign, Hurricane Sandy has put Barack Obama and Mitt Romney on the sidelines, reminding us how much we count on mayors and governors to protect us, to rescue us and to keep our streets, buses, subways, airports and commuter rails running.

After a season of debates about the deficit, taxes and health care, Americans have discovered that they cannot survive without government: to provide clean water, reliable transportation systems, and emergency services when floods, fires and power outages force them to abandon their homes. Hurricane Sandy even demonstrated that sometimes politicians should do more than what we want, especially when they are trying to save us from ourselves.
(Mitchell L. Moss. Sandy debunks 'nanny state'. CNN. October 31, 2012.)


上記に引用した記事はCNNのものですが、タイトルに注目しましょう。


Sandy debunks 'nanny state'


"debunk"という単語については、つい先日取り上げました。(覚えていますか?)

今日取り上げるのは、"nanny state"という表現ですが、これは一体どういう意味なのでしょう?

記事の冒頭を読んでいくと、今回のハリケーンによる甚大な被害を目の当たりにして初めて、政府の恩恵というものに気づかされる、というような話が展開されています。つまり一般市民は色々なことを言ったところでやはり政府や自治体に守られている、というような話です。

"nanny state"が辞書に載っているのかと思ってランダムハウス英和を引いてみると、


(軽蔑的)福祉国家(Welfare State)


という意味が載っていました。何故"nanny state"というのかについては、解説がついています。要は"nanny"とは”おばあちゃん”、”乳母”のことなのですが、そのおばあちゃんが子供に何かと世話をする、その役割を国家(state)になぞらえている表現なのです。

つまり、国民のために何かと世話を焼く政府のこと、軽蔑的に言えば、お節介、過保護な政府を"nanny state"というようです。

今回のハリケーン被害の件で言えば、ハリケーンの上陸に際して、備えを促したり、避難勧告をしたり、といったことがそれにあたるということなのでしょう。

"nanny"という名詞自体に、おばあちゃん、乳母という意味の他に、過保護の人、という意味があるようです。

"nanny state"という表現については、


nanny government
nanny agency


など、バリエーションがあるようです。


2012年10月30日火曜日

こんな意味もあったの? ― flag

昼休みにグーグルニュースを斜め読みしていたら、日本にも進出しているハンバーガーチェーンのBurger Kingが第三四半期の利益を83%も落としてしまったというヘッドラインが目に留まりました。(Burger King Q3 profits drop 83% ― South Florida Business Journal)

外食産業も大変だなあ、などと思いながら関連記事のヘッドラインに目を遣っていると今度は、


Burger King bounces back as McDonald's flags (Reuters)


という見出しが目につきました。

"bounce back"とは、”盛り返した”、あるいは”持ち直した”というような意味になるかと思いますが、利益を83%も落とした、というヘッドラインを見た直後だったので、その矛盾に???となってしまいました。

そして、次に気になったのが、


as McDonald's flags


とある部分の"flag"なのですが、さてこの"flag"の意味をご存知ですか?”旗、フラッグ”の"flag"と思いきや、それは間違いではありませんが、一応別単語なんですねぇ。今日辞書を引いてみるまで、知りませんでした。


Burger King bounces back as McDonald's flags

(Reuters) - Burger King Worldwide Inc (BKW.N) turned in stronger-than-expected U.S. and Canadian restaurant sales for the latest quarter - when rival McDonald's Corp (MCD.N) posted its worst quarterly restaurant sales growth in nine years.
(Burger King bounces back as McDonald's flags. Reuters. October 29, 2012.)


Burger Kingに対して、McDonald'sは言わば競合他社です。Burger Kingが盛り返してきたのに対して、McDonald'sが"flag"とは、対比させているというコンテクストを読めば何となく想像がつきますが、果たしてその意味は?

改めて英和辞書を引いて知ったのですが、"flag"という単語は”旗、フラッグ”という意味以外にも多くの意味があったのでした。しかも別単語であり、この記事における"flag"も、”旗、フラッグ”の"flag"とは別の単語です。その意味とは、


(活力・活動・興味などが)衰える、弱る、緩む


という意味です。上記の引用部分を読むともう明らかですが、競合のMcDocnald'sの売上げが過去最悪となったのに対して、Burger Kingが伸びている、ということでした。

さて、"flag"という単語の話に戻りますが、衰える、という意味での、"flag"の語源は、"flap"(旗などがぱたぱたとはためく、翻る、という意味)と"fag"(へとへとに疲れる、という意味)の混成によるものだということです。

さらに興味深いのですが、”旗、フラッグ”という意味の名詞としての"flag"は語源がはっきりしないらしく、American Heritage Dictionaryなどでは"Origin unknown."となっています。一説によると、"flag"は(旗が)はためくという意味の動詞でもあり(現在では廃語)、その意味自体は擬音語として生まれたとも言われています。

帰宅してから研究社の大英和を参照したのですが、"flag"の語源はクエスチョンマーク(?)だらけで、ちょっと読み解くのに難儀するエントリです。

ひとつ興味深いことは、今日取り上げた、”衰える”という意味での動詞の"flag"は、旗(フラッグ)が風に煽られてはためいている様子を言うのではなく、風が止んで垂れ下がっている様子を捉えている、ということです。


2012年10月29日月曜日

つまみ食いに用心! ― sample

ハロウィーンの季節です。先週末でしたが、小学校に通う愚息が友達の家で行われる”ハロウィーンパーティ”に招待され(何と招待状付き!)、キャンディーやらチョコレート、その他駄菓子の入った袋を貰って帰ってきました。私が子供の時分にはハロウィーンなんて聞いたこともありませんでしたし、ましてパーティに招かれるなどありませんでしたが、ライフスタイルや文化がどんどん欧米化してきたということでしょうか?

欧米化と言っても、ことハロウィーンに関しては文化などという高尚なものではなく、日本においてはほとんど商業イベントでしかないと思っていますが、アメリカのメディアなどに見るハロウィーンも”trick-or-treat”に代表される、スイーツの販売合戦ではないでしょうか?


These days Halloween candy crowds the aisles of store shelves within minutes of the final back-to-school sale. And while it might seem like a good idea to stock up during the early-bird sales, too often "the candy is gone by the time it's actually Halloween, so you have to go for a second batch," says Melinda Johnson, a dietitian and director of the didactic program in dietetics at Arizona State University in Tempe.

Not only do you end up spending more, there's a good chance you end up sampling more. (By the same token, don't stray into the after-holiday clearance sales.)
(Dana Sullivan Kilroy. Taking the fright out of Halloween candy. Los Angeles Times. October 27, 2012.)


今日は、"sample"(sampling)という単語を取り上げました。この記事では何を意味しているでしょうか?

そうです、ここでは、”つまみ食い”という表現がぴったりではないでしょうか?(つまみ食い、という表現について、以前取り上げた、"sneak bites of~"もご覧ください。)

ハロウィーンが近づくにつれて、スーパーの棚にはキャンディーやチョコレートの類が所狭しと並べられるのは最近ではアメリカも日本も同じようです。

売る側も賢いもので、早く購入すると割安だったり、沢山買うとお得だったり、色々ですが、買ってしまったら食べずにはいられない、つまり肝心の”その日”が来る前につまみ食いしてしまって、また買うはめになる、ということなのです。

ここのところハロウィーン関係の記事をよく目にしますが、上記のような記事の他、ハロウィーン関係の記事と言えば、子供が甘いものばかりを食べないように如何にコントロールするか、とか、ハロウィーンのお菓子で如何に太らないようにするか、など、およそハロウィーンという行事からはかけ離れた話題ばかりです。

振り返ってみますと、2年前に当ブログではハロウィーン特集を組んでいます。


2012年10月26日金曜日

背筋が寒くなるようなニュース ― obliterate

読んでいて背筋が寒くなるようなニュースです。北朝鮮から、と言えばあまり補足説明も必要ないかも知れませんが・・・。


A high-ranking army official in North Korea was reportedly executed by a firing squad earlier this year for drinking alcohol during the 100-day mourning period following the death of North Korean leader Kim Jong-il, according to South Korean media.

Kim Chol, who served as vice minister of the army, was said to have been accused of drinking liquor during the mourning period for Kim Jong-il and put before a firing squad in January, Australian media wrote.

The Telegraph UK, however, cited an unnamed South Korean media source as saying that Kim Chol was "forced to stand on a spot that had been zeroed in for a mortar round and 'obliterated.'" North Korea's new leader Kim Jong-un allegedly ordered to leave "no trace of him behind, down to his hair."
(Andres Jauregui. Kim Chol, North Korea Official, Allegedly Executed For Drinking During Kim Jong-il Mourning Period. The Huffington Post. October 24, 2012.)


北朝鮮の金正日総書記が死去したのは昨年の12月、ちょうどクリスマスの前くらいでしたが、いわゆる”喪中”(mourning period)に酒を飲んだというかど(廉)で、軍の高官が処刑されたと韓国のメディアが報じたということです。

射殺だったようですが、故金正日総書記の後継である金正恩による処刑指令は、


"no trace of him behind, down to his hair"


であったということですから、背筋が寒くなるようなおぞましさです。

さて、今日の単語は"obliterate"です。

処刑された高官は銃殺刑により、抹殺されました。"obliterate"に”抹殺”の意味はあるのでしょうか?

単語の成り立ちをご存知の方には釈迦に説法のようになってしまいますが、"obliterate"は、覆う(前置詞のover)という意味の接頭辞ob-、とletter(文字)から成っており、書かれている文字を判読不可能にする、消す、ことを意味しています。

が、American Heritage Dictionaryの定義を参照しますと、1番最初の定義に、


To remove or destroy completely so as to leave no trace


とあり、"so as to leave no trace"というところが、上記に引用した処刑指令の表現とほぼ一致し、まさしく”抹殺”の意味があるようにとれます。


2012年10月25日木曜日

金魚鉢の生活!? ― fishbowl

満員の通勤電車でNew York Postのツイートから面白そうな記事にアクセスするのが最近の日課みたいになっているのですが、不慮の死で今年2月にこの世を去ったホイットニー・ヒューストンさんに関する記事に偶々アクセスしました。

ホイットニー・ヒューストンさんの遺族が出演するReality Show(いわゆるドキュメンタリー番組のことです)に関する記事です。


Halfway through tonight’s premiere of “The Houstons: On Our Own,” a reality show about life after Whitney, Pat, the singer’s former sister-in-law and the series’ executive producer, cries about the hardship of making decisions in a fishbowl.
(Linda Stasi. ‘Houstons,’ we have a problem - Whitney's family opens doors while they grieve. The New York Post. October 23, 2012.)


記事のタイトルから内容の想像がつくと思いますが、(有名人の遺族ということで)プライバシーが無いと嘆きながら、(ドキュメンタリーに出演するなど)自らプライバシーを曝け出している(ドアを開いている)、という皮肉の記事です。

”プライバシーが無い”と書きましたが、そのような境遇のことを英語で、


(live) in a fishbowl


と表現します。American Heritage Dictionaryでは、インフォーマルな用法として、


A place that is lacking in privacy.


と定義されています。

用例をもう1つ引用します。


Does Halle Berry have it made? In many ways, the co-star of the upcoming movie “Cloud Atlas” clearly does, but the Academy Award-winning movie star said living her life in a “fishbowl” of constant attention sometimes was “hard to bear.”
(Halle Berry on Challenges of Life in a ‘Fishbowl.’ ABC News. October 22, 2012.)


"fishbowl"とは金魚鉢のことなのですが、透明のガラス製のポットを想起してもらえばその比喩が分かりやすいのではないでしょうか?

愚息が今年の夏祭りの金魚すくいでとってきた金魚はその半分くらいが死んでしまいましたが、拙宅の内玄関においた金魚鉢(こちらは陶製の鉢で、透明ガラスではありませんが)で現在も4~5匹が元気に泳いでいます。当初は愚息と兄妹、そして私たちがひっきりなしに様子を見に金魚鉢を囲むので、金魚のプライバシー(!?)はありません。最近では朝に餌をやる愚息くらいしか邪魔しないようですが・・・。


2012年10月24日水曜日

make off with

日本では遠隔操作ウィルスに感染したPCの所有者の冤罪事件がトップニュースになっていますが、アメリカでは書店のPOS端末(日本語では販売時点情報管理システムというらしいです)がハッキングされ、クレジットカード番号などの顧客情報が盗み取られたというニュースが話題になっています。


Hackers steal customer data from Barnes & Noble keypads

Point-of-sale terminals at 63 bookstores are found to have been modified to hijack customers' credit card and PIN information.

Hackers broke into keypads at more than 60 Barnes & Noble bookstores and made off with the credit card information for customers who shopped at the stores as recently as last month.

The company discovered the breach on September 14 but kept it quiet while the FBI attempted to track the hackers. Hackers broke into the point-of-sale terminals at 63 stores across the country, including locations in New York City, San Diego, Miami, and Chicago.
(Steven Musil. Hackers steal customer data from Barnes & Noble keypads. CNET. October 23, 2012.)


POS端末もハッキングされるものとは知りませんでしたが、あらゆる情報が電子化され、ネットワークでつながっている高度情報化社会の現代にあっては、ハッカーのターゲットにならないものを探す方が難しいのでしょうか。

今日取り上げた成句、"make off with"は、盗む、という意味で用いられます。

"make off"という成句には、慌てて立ち去る、逃れる、という意味があるようですが、その"make off"に"with"がついた、"make off with"は、”~を持って、~と共に”(with~)、立ち去る(make off)、という成り立ちなのでしょうか?意味の成り立ちの順序までは分かりませんが、何となくそのような発展をしたような気がします。


2012年10月23日火曜日

米国発:エナジードリンクが危険 ― pick-me-up

アメリカでの話ですが、Monster energy drinkという、いわゆるドリンク剤を飲んだ5人が死亡したというショッキングなニュースが入ってきています。

5人の死亡例には14歳の少女が含まれ、少女の両親が製造販売元を相手取って訴訟を起こしているそうです。

このニュースについて知ったのは昨日だったのですが、今日のヘッドラインでは米国医薬食品局(FDA)が調査に乗り出したとあり、トップニュースの扱いです。


Amid increasing scrutiny of the fast-growing energy drink industry, federal health officials are investigating reports that five people have died since 2009 after consuming Monster Beverage Corp.'s energy drinks.

The U.S. Food and Drug Administration said it hadn't established a link between Monster energy drinks and the reports it has received concerning five deaths and another non-fatal heart attack. The government inquiry comes after a Maryland couple sued the Corona company last week in California for negligence and wrongful death in connection with the death of their 14-year-old daughter, Anais Fournier.
(FDA probing reports of energy-drink deaths. Los Angels Times. October 22, 2012.)


このMonster energy drinkなる商品は日本でもアサヒ飲料から販売されているようですが、カフェインの含有量が半端でないらしく、一般的なカフェイン飲料の5倍近くのカフェインが含まれているそうです。

記事にも出てきますが、恐らく同じ種類のドリンク剤に分類されるRed Bullというものを以前飲んだことがありますが、効果覿面で、飲んだ日の夜ほとんど寝つけず、その効果に驚いた記憶があります。

エナジードリンクは米国で売り上げを伸ばし、急速に市場を拡大しているそうですが、この手のドリンクのことを英語で、


pick-me-up


と表現することをご存知でしたか?


Some lawmakers and consumer advocates are calling for tougher regulation of energy drinks sold by Monster, Red Bull and beverage giants such as Coca-Cola Co. and PepsiCo Inc. These highly caffeinated and sometimes sugar-laden drinks, including top sellers 5-Hour Energy and Rockstar, have become popular pick-me-ups for a wide range of consumers and are heavily marketed as a way to boost performance, focus or overall health.
(ibid.)


"pick-me-up"を英和辞書で調べると強壮剤という訳語が見えますが、"pick up"という動詞句が、”(人を)元気づける”という意味で用いられることから来ていると思われます。

2012年10月22日月曜日

不機嫌なのはPMSのせい? ― debunk

女性の皆さんにはセンシティヴな話題かも知れません。男性の私には分かる訳もない、理解できるレベルを超えた話ですが・・・。

いわゆる”月のモノ”の少し前になると女性が機嫌が悪くなったりするのは科学的(医学・生理学的)な根拠がない、という報告がカナダの専門科らによって発表されたというニュースです。


A woman’s best three-letter excuse for monthly bouts of irritability is being dismissed by a group of Canadian researchers.

Premenstrual syndrome (PMS) is widely used to explain mood swings, food cravings and crying spells that women sometimes experience shortly before their menstrual cycle. But a brave group of female researchers have debunked that idea – and it is sure to set off a firestorm among women who believe their emotional state is more fragile in the days before their period than what the medical evidence suggests.
(Caroline Alphonso. Is PMS a myth? One study says yes. The Globe and Mail. October 18, 2012.)


日本語でも”PMS”(Premenstrual Syndrome、月経前症候群)として知られていますが、記事によりますと、女性の月経サイクルと気分の変化に関する40以上の文献等を調査したところ、月経前に見られるホルモンレベルの変化と抑うつや苛立ちなどのネガティヴな気分との間に明確な相関関係はほとんど認められなかったということです。

この調査結果については当然ながら女性の間から反発も起きているそうですが、調査を担当した大学教授によると、月経前に見られる胸の張りや胃痛といった生理的な症状は別に置いておくとして、気分の変化というものが安易に月経サイクルと結びつけられており、それが却って女性が感情を表出することを妨げる結果にもなっているのではないかという意見を持っているということです。

女性の不機嫌をPMSと決めつけてしまうことは、"myth"(根拠の無い神話)である、ということです。

さて、今日の単語ですが、"debunk"という単語を取り上げたいと思います。

女性の不機嫌はPMSが原因、という考え方は今回の報告で、"debunk"されたということですが、"debunk"を英和辞書で引いてい見ると、


偽りを暴く、正体を暴露する


という訳語が見えます。単語をよく見ると、離脱や分離を意味する接頭辞の"de-"と"bunk"という構造になっていることが見てとれます。では、"bunk"とは一体何を意味しているのでしょうか?

American Heritage Dictionaryに興味深い語源解説があります。

"bunk"というのは、でたらめ、たわ言、という名詞の意味もある単語ですが、その語源は"bunkum"というまた別の単語に由来するそうです。

ではその"bunkum"とは何かというと、地名なのでした。米国・ノースカロライナ州にある、"Buncombe"という地名に由来するのだそうです。この"Buncombe"から選出された政治家が国会で行っていた演説がしばしば中身の無い、空疎なものであったため、"Buncombe"はそのような誠意の無い演説を指す代名詞のようになり、"bunkum"とスペルを変えて定着した、ということです。

空疎で中身のない政治家の言葉はいつの時代も同じでしょうか。何だか今日の民主党政権の状況を想起しますが、首相や大臣の出身地がそのような表現の語源になったら・・・。英単語は面白いですね。


2012年10月19日金曜日

あなたは”millennial”? ― millennial

アメリカに旅行したことのある方はよくご存じかもしれませんが、Macy'sというのは向こうで有名なデパートの名前で、日本で言うと三越とか高島屋みたいなところです。(別に大丸でも、伊勢丹でもいいですが・・・。)

そのMacy'sに関するニュース記事からの引用です。


NEW YORK — Macy's is firing its first salvo at the millennials.

The venerable department store chain is launching 13 new brands and expanding 10 other existing labels that it believes will resonate with shoppers in that 13-to-30 age group.

(中略)

The millennials generation is the first to grow up with cellphones and the Internet and its members are accustomed to getting fast access to anything they want.

In March, Macy's restructured its merchandise team to focus on those shoppers and plans to make other major changes in the next three years to further rope them in.
(Macy's launches new brands to target millennials. The Wall Street Journal. October 18, 2012.)


日本ではデパート業界は苦戦を強いられていますがアメリカでもそうなのでしょうか、Macy'sはターゲットの顧客層を10代~30代に据えてブランドなどを刷新する戦略を取るようです。

ところで今日の単語ですが、"millennial(s)"という単語をご存知でしょうか?そのスペルから、千(1,000)に関係していることは想像がつきますが、記事の冒頭で何が言いたいのかよくわからなかったので辞書(ランダムハウス英和)を引いたところ、


千年の;千年至福の


という形容詞の意味が載っているだけで、???となってしまいました。

後段を読むと、"millennials generation"とあり、世代のことを言っているということが分かります。ここでAmerican Heritage Dictionaryの登場です。


A member of the generation born from the early 1980s to late 1990s, especially in the United States and Canada; a member of Generation Y.
(American Heritage Dictionary, 5th edition.)


この定義を読んで、すっきりです。記事の内容とも合致します。別名”Generation Y”とも言われるそうですが、1980年代~1990年代に生まれた世代のこと、現代で言えば10代から30代前半くらいの人たちを指しているのです。

不思議なのはなぜランダムハウス英和ではこの世代という意味が載っていないのかということです。ジーニアス英和大辞典も見ましたが載っていません。研究社の大英和辞典も同様です。

つまり、”千年至福の~”という形容詞としての、"millennial"は載っているのですが、世代を意味する名詞の"millennial()s"(Merriam Websterによると通常複数形で用いられる)は載っていないのです。

ところであなたは"millennials"ですか?私は微妙なところです(笑)


2012年10月18日木曜日

大の字 ― spread-eagle

Julia Gillardさんと言えばオーストラリアの女性首相ですが、彼女はよくよくハイヒールではトラブルに見舞われる運命にあるようです。もう大分前の話という感がありますが、今年の1月、オーストラリア国内での式典の最中に先住民のデモ集団から取り囲まれて避難する際にハイヒールが片方脱げてしまい、それがオークションに出品されるという前代未聞の一件がありましたが、今回はインド訪問中に、ハイヒールが濡れた芝生にひっかかり脱げてしまって、転んでしまうという失態を演じてしまいました。


LAHORE: Australian Prime Minister Julia Gillard on Wednesday had to face an embarrassing situation as her foot slipped and she tumbled on to the ground during her visit to the Gandhi Memorial in New Delhi.
(Sabir Shah. Australian PM tumbles in New Delhi. The International News. October 18, 2012.)


上記はThe International Newsの記事から引用したものですが、記事中の写真にはGillard首相がこける瞬間に撮影された写真が掲載されています。ただ、まさに上体が倒れるその瞬間の写真であり、ブレています。

関連記事を探したところ、首相のお膝元、オーストラリアの主要紙であるHerald Sunの記事がありました。


JULIA Gillard has laughed off her latest shoe stumble where she almost fell on her face in India after her heel became stuck in wet grass.

The Prime Minister was spread-eagled and broke her fall with her hands.
(Phil Hudson. Julia Gillard slips and loses a shoe on visit to New Delhi. Herald Sun. October 17, 2012.)


今日は、"spread-eagle"という単語を取り上げます。


The Prime Minister was spread-eagled...


とあり、"spread-eagle"は動詞です。ランダムハウス英和で調べると、ハイフンなしの名詞(spread eagle)と、ハイフンのついた動詞、また形容詞(spread-eagle)の2つのエントリがありました。

この単語を知りませんでしたが、意味はすぐにピンときました。ワシ(eagle)が翼を広げた(spread)様子を形容したものであり、日本語で言うところの”大の字”です。

記事ではビデオ映像が掲載されているのですが、一部始終がはっきり分かります。首相は両方のハイヒールを芝生にとられてまさに大の字の格好で転倒し、あわや顔面を地面に打ち付けるところを両手で何とか手をついて庇うことができたという体です。

さて、"spread-eagle"は動詞だと書きましたが、そうなると"was spread-eagled"は受身形だということになります。記者がなぜ能動態(The PM spread-eagled...)とせずに受身形(The PM was spread-eagled)を使ったのか興味深いところです。

2012年10月17日水曜日

"jump"の意味(2) ― jump-start

景気に関して明るいニュースがないのは日本もアメリカも同様ですが、アメリカでバッテリーメーカーが破産したというニュース記事から冒頭の部分を引用します。


DETROIT — The troubled battery maker A123 Systems filed for bankruptcy on Tuesday, dealing a blow to the Obama administration’s program to jump-start a domestic battery industry and spur development of electric vehicles.
(Maker of Batteries Files for Bankruptcy. New York Times. October 16, 2012.)


今日は、"jump-start"という単語を取り上げたいと思います。"jump-start"を辞書で引くと、主にアメリカ英語の表現ということで、


再開する、活を入れる
よみがえらせる


などの訳語が見えます。

"jump-start"がなぜこのような意味を持つようになったのでしょうか?

語源欄の解説にあったわけではありませんが、"jump-start"とは自動車のバッテリーがあがってしまった時に別の車のバッテリーをつないで初動の動力を送り込み、同時に人力で後押ししながら車を動かすことを指しています。(ほとんどの辞書で、"jump-start"の1番目の意味として載っています。)

"jump-start"の代わりに単に"jump"という動詞で表現することもあるようですが、"jump"という慣れ親しんだ単語にも実はいろいろな意味があるということを改めて思い知らされた気がします。(過去に取り上げた"jump"の意外な用法についてはこちら。)

”ジャンプ”というカタカナに慣れているとなかなか気がつかない用例かもしれません。大分前のことですが、車のバッテリーがあがってしまって困っているという人から、”ジャンパーを貸してもらえませんか?”と頼まれ、自動車にあまり詳しくない私は???だったのを思い出します。

ちなみに、Merriam Websterによると初出は1973年ということですから、かなり新しい単語です。

さらに、ちなみに、どうでもいいことですが、研究社の大英和(第五版)には、"jump-start"のエントリがありません。