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2011年11月30日水曜日

“シモ“のお話 ― nether parts

読者の皆さんの中には、当ブログは最近下ネタがちょっと多いんじゃないかと思っている方もいるかもしれません。決してそんな意図はないのですが、今日も目に付いた記事がそうだっただけです。

今日の話題は男性機能に関するロイターの記事からです。いつもと同じく、内容は大変サイエンティフィックなものですので誤解しないでください(笑)


(Reuters Health) - The digital age has left men's nether parts in a squeeze, if you believe the latest science on semen, laptops and wireless connections.

In a report in the venerable medical journal Fertility and Sterility, Argentinian scientists describe how they got semen samples from 29 healthy men, placed a few drops under a laptop connected to the Internet via Wi-Fi and then hit download.

Four hours later, the semen was, eh, well-done.

A quarter of the sperm were no longer swimming around, for instance, compared to just 14 percent from semen samples stored at the same temperature away from the computer.

And nine percent of the sperm showed DNA damage, three-fold more than the comparison samples.
(Frederik Joelving. Laptop Wi-Fi said to nuke sperm, but caveats abound. Reuters. November 28, 2011.)


冒頭、“下ネタ”と書きましたが、デリケートな器官について直言を避けるのは英語でも同じと見えて、”nether”(下の、下部の; Netherlandsにおける”nether”に同じ)という形容詞が用いられています。これはやはり”euphemism”(婉曲語法)の類ですが、”nether region”とされる場合もあるようです。

さて、記事ではラップトップコンピューターでワイヤレス通信を使っている場合に男性の生殖機能に影響が出るという報告書が権威ある科学誌“Fertility and Sterility”で発表されたと報じています。

ワイヤレス通信をオンにしたラップトップコンピューターのそばにおいた精液のサンプルと、離しておいておいたサンプルとで、DNAへのダメージなどの結果が違ったのだそうです。

電磁波の影響やラップトップコンピューターを文字通り膝の上に置いた場合に“シモ”が熱せられることなどが原因ではないかと分析しているようですが、一部の専門家からは科学的には興味深い結果ではあるが、実験は人工的な環境での話であり、現実において直ちに男性の生殖機能に影響があるとは考えられない、とコメントしているようです。

そういえば携帯電話についても同様のお話をよく聞きますね。色々なデータや見解が出されていますが、まだ因果関係はよく分からない、というのが今の現実かと思います。

2011年11月29日火曜日

禁煙成功の秘訣は”しつこさ” ― nag, nudge

当ブログでもたまに取り上げていますが、喫煙・禁煙の話題です。

最近ではニコチンパッチなどによる禁煙支援プログラムなどが流行っているような感がありますが、禁煙成功という意味では、実はカウンセラーがプログラム参加者にしつこく言うのが一番効果がある(!?)そうです。


You won't find the word "nagging" in the study.

But scientists at the University of Minnesota have found that smokers are more likely to kick the habit if a counselor calls them every month for a year with helpful tips and nicotine patches.

Typically, stop-smoking programs only last about eight weeks. But Dr. Anne Joseph, a professor of medicine, and her colleagues found that they could boost the success rate as much as 75 percent by extending treatment to 12 months.

As part of the program, counselors stayed in touch with patients for a full year, calling some patients as many as 50 times. The counselors adopted what they called a "chronic disease" model of care, which meant they didn't give up if the smoker relapsed.
(Maura Lerner. Nagging vs. smoking. Star Tribune. November 28, 2011.)


冒頭、"nagging"という言葉は試験(の報告書)には出て来ない、とありますが、記事によればカウンセラーが禁煙プログラムの参加者に毎月電話連絡でアドバイスしたことなどが禁煙の成功につながったとあります。

"nag"という動詞は、しつこく言って悩ます、うるさくせがむなどの意味があります。

アドバイスも度を越せば、しつこい以外の何物でもないのだと思いますが、百害あって一利なしのタバコであれば、個人的にはしつこいくらいにやってほしいとは思います。

ところで同記事の写真のキャプションには以下のようにあります。


Most smokers relapse within three months of treatment. U researchers found they could help more folks stay smoke-free with frequent phone nudges.
(ibid.)


末尾の"phone nudges"という部分なのですが、"nudge"という動詞にも、うるさくせがむ、しつこく言う、などの同じような意味があります。

"nag"と"nudge"、どちらもNで始まる単語でありなんとなく似ていますが、語源は"nag"が古ノルド語(Scandinavian origin)、"nudge"がイディッシュ語ということで異なっています。

さらにややこしいのですが、"nudge"にはもう1つありまして、小突く、軽く押すという意味の動詞なのですが、これは上記の"nudge"(イディッシュ語源)とは別の単語として、そしてScandinavian originとされています。(この"nudge"については、”少しずつ動かす、押す”という意味でも用いられ、2009年7月に取り上げました。)

Merriam Websterのオンライン辞書、そして研究社の大英和では、”しつこく言う”という意味での"nudge"はエントリがなく、”小突く”という意味の"nudge"のみです。(ちなみに語源欄は、研究社大英和ではクエスチョンマーク付きでScandinavianですが、Merriam Websterでは、"origin unknown"です。)

ランダムハウスとのこの違いはどこから来るのでしょうか?

2011年11月28日月曜日

”超”がつくほどの・・・ ― uber

言わずと知れた高級車のメーカーであるメルセデスベンツが販売する車種の中でも、”超”のつく高級車のブランドであるマイバッハが姿を消すというニュース記事が目に留まりました。


Maybach gets the axe

Mercedes-Benz is set to kill off its top-end brand, report claims.


中古で買った国産の小型エコノミーカー(エコカーではありません。念のため・・・)を10年近く乗り回している筆者には、これまた”超”がつくほど縁のない話であります(笑)が、記事で使われている、ある単語が気になって今日取り上げます。

その単語とは、"uber"。


Mercedes-Benz will kill off its underperforming uber-luxury Maybach brand in 2013, a report claims.

The article, published by US news site Autoweek, quotes a “high ranking Mercedes-Benz source” as saying that the brand thinks it better to “cut our losses with Maybach than to continue into an uncertain future with a brand that has failed to live up to original sales expectations”.
(Matt Campbell. Maybach gets the ax. The Sydney Morning Herald. November 28, 2011.)


専門の方はもちろん、大学の第2外国語などでドイツ語を少しでも齧ったことのある人ならお分かりかと思いますが、"uber"はドイツ語です。(ドイツ語における正しいスペルは、"u"の文字の上にウムラウトが付いています。)ドイツ語の"über"は、前置詞あるいは副詞として、英語で言えば"over"や"beyond"の意味に相当するものです。

上記の引用例では、"uber-luxury"となっており、ハイフンで結合した形で用いられていますが、英単語の"luxury"を修飾する接頭辞のように用いられています。日本語にしてみれば、”超”がつく、といったところでしょうか。

"super-luxury"と言ってしまえばよいものを、わざわざ"uber-luxury"としているのは、題材がベンツのマイバッハ(Maybach)ということでドイツ車であることに合わせようとしたライターのセンスでしょうか。

英語の多様性は様々な言語から単語や表現を取り入れているところにあると言われますが、"uber"もそれを示しているものの1つだと言えるでしょう。

ところで手元の辞書を参照してみましたが、"uber"をエントリとして載せている辞書がありません。参照した中では唯一、Merriam-Websterのオンライン辞書で下記のような定義を掲載しています。(スペルは、ドイツ語に忠実なためか、ウムラウトつきです。)


Definition of ÜBER-

1: being a superlative example of its kind or class : super- <übernerd>
2: to an extreme or excessive degree : super- <übercool>


このコンテクストでは、"super"の意味に相当する接頭辞というのがぴったりきますね。

一説によりますと、"uber"が使われ始めたのは、ドイツの哲学者であるFriedrich Nietzscheが著書の中で用いた、"Übermensch"(邦訳では超人とされています)という単語をGeorge Bernard Shawが劇作のなかで用いたのに端を発するそうです。ランダムハウス英和辞書では、この"Übermensch"のエントリは見えます。

2011年11月25日金曜日

こんな意味もあったの? ― stagger

ご好評いただいております、”こんな意味もあったの?”のコーナーですが、今日もまた勉強不足を自覚することになりました(笑)

"stagger"という動詞はさほど聞きなれない単語ではないと思いますが、”よろめく、ふらつく”という意味で暗記している方がほとんどではないでしょうか?

下記のヘッドラインを読んでおや?と思いました。


Dangers Of Staggered Overdose Of Acetaminophen (Tylenol, Paracetamol)

Repeatedly taking marginally too much paracetamol (acetaminophen, Tylenol) over time can cause a dangerous overdose that is hard to detect and can lead to death, because patients usually don't report an overdose when they visit the hospital, rather that they feel unwell. Clinicians need to be able to detect these cases rapidly so that they can provide prompt and effective treatment, as these patients are in greater danger compared with those who have taken a single overdose.
(Dangers Of Staggered Overdose Of Acetaminophen (Tylenol, Paracetamol). Medical News Today. November 24, 2011.)


"overdose"とは薬などを大量に服用することですが、それを形容する単語として"stagger(ed)"とは意外でした。

Acetaminophen(アセトアミノフェン)は鎮痛剤や解熱剤の有効成分としてよく知られていますが、過剰に服用すると死の危険もあるとされている物質です。

では、単なる"overdose"と、"staggered overdose"の違いは何でしょうか?

答えは上記の引用にも、また記事を読んでいただければ分かるのですが、いわゆる"overdose"を1回の大量服用とするならば、"staggered overdose"は数回に分けて大量服用することを指しているようです。


People experiencing pain who repeatedly take slightly more paracetamol than they should are in danger of suffering a so-called "staggered overdose". According to Dr. Kenneth Simpson's recent research project published in the British Journal of Clinical Pharmacology:

"They haven't taken the sort of single-moment, one-off massive overdoses taken by people who try to commit suicide, but over time the damage builds up, and the effect can be fatal."
(ibid.)


"stagger"を辞書で引いてみますと、最初にも触れたように”よろめく、ふらつく”といった基本的な意味に続いて、


(物や設備などを)互い違いに配置する、ジグザグに設ける
(時間などを)ずらす; 時間差を設ける


といった意味があります。これらの意味で用いられることすら知らなかったので不勉強の誹りを免れませんが、"staggered dose"という用例はこれらの意味を汲んでいると考えられます。

ちなみに時差出勤(制度)のことは、"stagger system"というのだそうです。ご存知でした?

2011年11月24日木曜日

倹約、倹約、倹約・・・ ― economize; cut corners; make do

日本の祝日である勤労感謝の日は昨日で終わってしまいました。もしかしたら平日をお休みにして、週末(土日)と”ブリッジ”して休みを満喫している方もおられるかもしれません。

一方、アメリカではThanksgiving holidaysに突入しました。各メディアがこぞってトップニュースで伝えています。

ところで経済の低迷と失業問題に喘いでいるアメリカ国内にあっても、このThanksgivingだけは特別なもの、大切な人と過ごすために民族の大移動が起きている、という話です。しかし旅行というのはお金がかかるもの。ホリデーシーズンの航空運賃は高めに設定されますし、ガソリン価格も高騰しています。そんな逆境の中で涙ぐましくもある倹約のストーリーをChicago Sun Timesに見つけました。


CHICAGO — Undeterred by costlier gas and airfare, millions of Americans set out Wednesday to see friends and family in what is expected to be the nation’s busiest Thanksgiving weekend since the financial meltdown more than three years ago.

Many people economized rather than stay home.

“We wouldn’t think of missing it,” said Bill Curtis, a retiree from Los Angeles who was with his wife at Bob Hope Airport in Burbank, Calif. “Family is important and we love the holiday. So we cut corners other places so we can afford to travel.”
(Nomaan Merchant. Poor economy no speed bump for Thanksgiving travelers. Chicago Sun Times. November 23, 2011.)


記事のタイトル、"Poor economy no speed bump for Thanksgiving travelers"、が面白いと思いませんか?経済の低迷(poor economy)も旅行客にとっては旅行を控える要因(speed bump)にはなっていない、ということです。大切な人と過ごすために目的地へのはやる気持ちには、経済の低迷など"speed bump"にはならないのです。

もちろん全ての人が、飛行機のファーストクラスでリッチに旅行できるわけではありません。旅行費用をねん出するために、倹約の知恵が必要です。"cut corners"は節約する、切り詰める、という意味の成句です。

また、上記の引用記事の2段落目に出てきますが、"economize"も節約、倹約を意味する動詞です。

記事中には、今年は飛行機ではなく車での移動に変えた人や、車での移動でもモーテルを使わず車中泊にして宿泊代を倹約した人など、涙ぐましい倹約のストーリーが紹介されています。


Lucretia Verner and her cousin set out on a drive from Tulsa, Okla., to Atlanta. They said they wouldn't stop to eat on the way, making do with the water, juice, lunch meat and bread they took with them. Colette Parr of Las Vegas took flights with connections and switched airlines to save almost $200 on her trip to Newark, N.J.
(ibid.)


上記の引用にある、"make do"も、(不十分な物や状態で)なんとかしのぐ、間に合わせる、という意味の成句で、節約、倹約のコンテクストで用いられます。

今日は”1日1語”ならぬ、”1日3語”になってしまいましたが、たまにはいいですよね?勉強になることだし・・・。

2011年11月23日水曜日

Kmartのこの下着、あなたなら買う? ― sleazy

今年の4月のことですが、“おっぱいは卑猥か?“という記事で、アメリカで”I ♥ boobies.”というテキストをあしらったブレスレット(リストバンド)が卑猥だと学校で問題になったものの、裁判所の判断で問題なしに至ったというニュースを引用しましたが、似たような”事件”は絶えないもので、今回はオーストラリアのKmartが”I ♥ rich boys”などのテキストをあしらったパンツを販売したところ消費者から猛反発を食って、あわてて販売を取り止めたという記事を引用します。


Kmart pulls 'disgusting, sleazy' girls underwear off shelves

The retail chain Kmart has been forced to withdraw a line of underwear for young girls that carries slogans such as "call me" and "I ♥ rich boys" after the store was accused of sexualising teenagers.

Kmart has confirmed that it will remove the underwear, which is part of its popular Girl Xpress range, after it was the target of a Twitter campaign led by outraged parents, who described the slogans as "disgusting" and "sleazy".


“sleazy”という単語はあまり見慣れない単語ですが、安っぽいとか、みすぼらしい、という意味で用いられる形容詞です。単に安っぽいというのであれば、”cheap”といった形容詞で間に合いますが、”sleazy”という単語の特徴は安っぽさに付加してさらに、腐敗しているとか堕落しているといった、意味合いがあることです。つまり低俗性を含意しているわけですが、その安っぽさが人に嫌悪感を抱かせるような性質のものである、とも言えるでしょう。

American Heritage Dictionaryの定義を借りますと、


Dishonest or corrupt; disreputable


とあります。実はランダムハウス英和辞書で”sleazy”を見たところ、“ポルノ調の”という意味もあったのですが、上記の記事のコンテクストではぴったりかも知れません。

ちなみに記事 では問題になったパンツ(underwear; 別の記事ではknickersとも)の画像もありますが、一体誰が好き好んでこんなものを買うだろうか、あるいは自分の娘に買い与えるだろうかと思わざるを得ません。そういう意味では、消費者の大反発というのはある意味納得ではありますが、黙殺してもいいようなレベルの話にも思えてきます。

さて、”sleazy”の語源ですが、American Heritage Dictionaryでは”Origin unknown.”となっているのですが、ランダムハウスでは、“Silesiaにちなむ”とあります。”Silesia”は何かと言うと、ヨーロッパ中部の地方都市の名前のようですが、なにゆえ一地方都市の名前がこのような形容詞に発展したのか分かりません。

インターネット上を色々と検索したところ、ある説によれば、”Silesia”は高級な綿織物の産地として有名だったそうですが、その高級な布地は(おそらくは高級品であるが故に)薄く、破れやすく、次第にその面が強調され、薄っぺらで破れやすい、さらに材質が悪いというような意味へと変化したということです。形容するところの意味が正反対になってしまった例ということになりますが、American Heritage Dictionaryはこの説を採用していないのは何故だろうかと別の関心が湧いてきます。(研究社の大英和も見てみましたが、語源不詳となっていました。)

なお上記の意味変化からさらに、頽廃や低俗性を強調するような形容詞でとして使われるようになったのは1900年代後半のごく最近のことのようです。

2011年11月22日火曜日

Pizza(ピザ)は野菜か? ― sloppy joe

数日前もヘッドラインで見て関心があったのですが、ここ数日アメリカではこの話題が沸騰しているようで、今日も目に留まりました。

一体何の話かと言いますと、学校給食(school lunch)のメニューについての話です。ご存知の方も多いと思いますが、肥満児の増加などの社会問題を受けて、アメリカでは炭酸飲料の自動販売機を学校から撤去したり、塩分摂取の目安を政府が推奨したり、果てはソフトドリンクへの課税が提案されたりと様々な取り組みが昔からされてきています。こうした動きはアメリカに留まらず、例えばデンマークでは”脂肪税”なるものが導入されたりもしています。

さて、件の給食メニューの一連の騒動ですが、米政府は当初ピザ(pizza)やフライドポテト(french fries)などをメニューから無くしたかったようなのですが、学校給食のメインディッシュ(the staples of most school lunches)でもあるこれらのメニューの排除には関連業界や団体が激しく反発したようで、結局はピザもフライドポテトも野菜であるとしてと法案に盛り込むことになったようです。何とも可笑しな話です。


ST. LOUIS, MO (KPLR)— Nutritionists will tell you that the more vegetables you eat, the healthier you will be. So I used to eat salads for lunch, but not anymore! Now I eat pizza and french fries. By now you've heard the good news. Pizza and french fries are going to become vegetables. Really, congress wants to make it a law and everything. Tentatively titled by most kids, "The most awesome law ever."

Think how easy it will be to get your kids to eat vegetables now. Heck, my kids might become vegetarians.

If you haven't heard this is what happened. Following the first ladies lead to fight childhood obesity. The agriculture department wrote new standards for school lunches to make them healthier. The new standards called for easy things like less salt, fewer potatoes, less starch and more vegetables.

So some schools talked about getting rid of french fries and pizzas, which along with sloppy joes are the staples of most school lunches.

Ah, but not so fast. You know who got upset about this. The frozen food industry that makes the pizza, the salt industry and potato farmers. You see those school lunches that make kids fat and unhealthy. Also make food companies fat and rich.

So they sent their lobbyists to Washington with plenty of money and congress members welcomed them with open pockets and a promise to not to worry about it. We'll fix everything. Presto-change-o. French fries and pizza are now vegetables!
(Larry Mendte. Mendte - Congress Magically Turns Pizza Into A Vegetable. KPLR11. November 21, 2011.)


ところで、4段落目に"sloppy joes"という表現が出てきます。これは何でしょうか?

American Heritage Dictionaryによりますと、


A bun filled or covered with ground beef cooked in a spicy tomato sauce.


という定義がされており、いわゆるハンバーガーかサンドウィッチのことだと思ってよさそうです。ランダムハウス英和辞書にもエントリがあり、”トマト(バーベキュー)ソースなどで味付けした牛のひき肉をのせた丸パン”とあります。

語源については、Sloppy Joe'sというレストランで提供されていたから、とか、Joeという名前の人が作り始めた、とか諸説あるようです。

この記事、読んでいて軽快でとても面白いと思ったのですが、動画がついているので視聴したところ、日本で言えばみのもんたさんみたいなテレビ映りの良さそうなレポーターと思しきおじさんが報道している内容のトランスクリプトでした。リスニングの勉強にもなるでしょう。

2011年11月21日月曜日

閑話休題 ― 未成年の方はご遠慮ください。

久々の閑話休題のコーナーです。今年の8月以来になります。本コーナーを楽しみにされている方には遅くなり申し訳ありません。

本日も今日取り上げるネタを何にしようかとGoogleニュースあたりを徘徊しておりましたら興味深い記事に・・・。

が、内容が内容だけにちょっと取り上げ辛く・・・。当ブログをご愛読いただいている方々の中に青少年の方がいらっしゃるのかどうか知る由もないのですが、今日は先々月(9月)の記事(the Big "O")と同じく、”未成年の方はご遠慮ください”ということで・・・。

といっても、決して不埒な内容ではありません。先々月と同様、れっきとした”サイエンス”ですのでお間違いの無きよう。

下記のヘッドラインにつられてアクセスしてしまいました。


Female orgasm captured in series of brain scans


記事の冒頭(下記引用)は極めて、”サイエンティフィック”です。


Scientists have used brain scan images to create the world's first movie of the female brain as it approaches, experiences and recovers from an orgasm. The animation reveals the steady buildup of activity in the brain as disparate regions flicker into life and then come together in a crescendo of activity before gently settling back down again.
(Ian Sample. Female orgasm captured in series of brain scans. The Guardian. November 14, 2011.)


ふむふむと思いながら先を読み進めます。正直に言いますとサイエンスというよりも、一体どうやってこんな研究を?という関心です。


To make the animation, researchers monitored a woman's brain as she lay in a functional magnetic resonance imaging (fMRI) scanner and stimulated herself. The research will help scientists to understand how the brain conducts the symphony of activity that leads to sexual climax in a woman.
(ibid.)


MRI(magnetic resonance imaging)を使ったことが分かります。そんなことではない!?

そうです。"as she lay in functional magnetic resonance imaging (fMRI) scanner and stimulated herself"という部分です。

"stimulated herself"??

英和辞書で"stimulate"を引いてしまいました。(ランダムハウス英和辞書)


(生理、医学)〈神経・腺などを〉刺激する,興奮させる.


そうですね。その通りです。語源欄には、


ラテン語 stimulatus (stimulare「突き棒で突く」の過去分詞)


という説明が・・・。意味深ですね・・・。

ところでこの記事を最後まで一生懸命に読んだのですが、脳神経外科で使われるような難解な解剖用語などは出てくるのですが、”核心部分”(!?)は明かされません。

記事末尾では、このような研究は単に"the Big O"の仕組みの解明にとどまらず、不安症やうつ病、その他精神疾患の治療へも新たな知見をもたらすものになるということで、その意義があることについても触れられており、なるほど、とは思いましたが。

ところで、話はここで終わりません。記事のページをよ~く見ていると、関連記事へのリンクがあり、その見出しとリードがまた刺激的なんです・・・。


I had an orgasm in an MRI scanner

Kayt Sukel went to extraordinary lengths to help researchers learn more about the neuroscience of the female orgasm
(The Guardian. November 16, 2011.)


リードを読むと、この実験に協力したのは、Kate Sukelさんという人であることが分かります。この記事はそのKate Sukelさんという実験に参加した女性(a science and travel writerと紹介されています)によるものなのですが、核心部分が明らかにされています。


The first question, invariably, is, "Excuse me? You had a what where?" It's not a surprise, really. People may not be shocked if you tell them you managed a wank on, say, the train or even in a public restroom. But when you announce that you took part in an orgasm study and managed to reach climax in a functional magnetic resonance imaging (fMRI) scanner as it recorded the blood flow in your brain? Well, that's not something one hears every day.
(ibid.)


"wank"という単語を見るのは初めてです。意味ですか?辞書を引いてください(笑)。今日の単語として取り上げるのはちょっと憚られました。なので、閑話休題で取り上げます。

記事中には、実験に際してMRI画像データに影響しないよう、動くことが制限されたことや、またそのために練習を積んだ、といった赤裸々な話が。

しかし、サイエンスの記事とは言え、当の女性が実名で、しかも写真も掲載しているのには、ちょっとびっくりしませんか?

イギリスのガーディアン紙(The Guardian)は決して下品な大衆紙の部類ではなくむしろ高級紙ということなので、日本だったら駅売店で買える夕刊のアヤシイ記事のようなこの話題と内容はちょっとギャップがありますが皆さんはどうお思いになるでしょうか?

おとり捜査 ― sting

1970年代にアカデミー賞を受賞した、ポール・ニューマン主演の有名なアメリカ映画に、"The Sting"(邦題: スティング)というものがあります。私は観たことはないのですが、詐欺師の巧妙な手口を描いた映画として有名です。

英単語の"sting"は、”(鋭いもので)刺す”という意味がありますが、スラングとして、騙す、最近の言葉で言えば”ぼったくる”の意味があります。

そして、今日取り上げる表現ですが、”おとり捜査”という意味もあります。American Heritage Dictionaryの定義を引用しますと、



Slang. A complicated confidence game planned and executed with great care, especially an operation organized and implemented by undercover agents to apprehend criminals.


とあります。"undercover agents"はおとり捜査官のことです。

それでは本日の引用記事です。


More than 50 professional shoplifters arrested in stings, prosecutor says

Organized groups focus on Michigan Avenue, Orland Square and Woodfield Mall, offcials say

More than 50 professional shoplifters were arrested in an undercover operation targeting criminal crews before holiday shoppers hit the malls, Cook County State's Attorney Anita Alvarez announced Sunday.

The stings, which began in mid-October, were conducted in stand-alone stores in the suburbs, stores along Michigan Avenue and in shops at Orland Park's Orland Square Mall and Schaumburg's Woodfield Mall.

The brazen crews of "boosters," or professional shoplifters, targeted by the investigation are sophisticated and organized, working in groups to steal electronics, razors, over-the-counter medicine, baby formula and brand-name clothing, authorities said. They carry tools to open boxes and line their bags with duct tape to prevent security sensors from activating.
(Becky Schlikerman. More than 50 professional shoplifters arrested in stings, prosecutor says. Chicago Tribune. November 21, 2011.)


万引き集団を一網打尽にするおとり捜査が実施され、50人以上が逮捕されたということです。記事のタイトルでは"in stings"となっていますが、本文中では"in an undercover operation"とされています。また、引用の第2段落目でも"stings"は使われています。

さて、なぜ"sting"がおとり捜査のことを意味するようになったのでしょうか?興味を引かれたので手持ちの辞書をあたりましたが、語源や背景に関する説明は見当たりません。それどころか、”おとり捜査”の意味自体を載せている辞書があまりないことが不思議です。(ランダムハウス英和辞書には掲載されていました。研究社の大英和にはなぜか掲載されていません。Oxford Advanced Learnersの英英辞書にもエントリはありません。)

こうなると益々気になってくるのですが、ウィキペディアやインターネットのスラング関係のオンライン辞書にも説明が見当たらず、本日のブログ記事では”語源不詳”ということにしようかと思っていたところ、ようやく1つの解説に行き当たりました。The Times of Indiaによる説明を下記に引用させていただきます。


Why is a sting operation called so?

A sting operation most likely owes its etymological origin to the bee. Typically, a sting operation involves an investigative agency such as the police or the media, who lure a criminal to commit a crime in order to trap them red-handed. They might pose as a criminal themselves, and thereby set up a trap in terms of an alluring offer, often known as a honey trap. Once the target takes the bait, the trappers "sting" them by way of arrest or publication, the way a bee would sting someone who tries to take honey from a beehive.
(The Times of India. December 18, 2005.)


"sting"は蜂などの持つ針のことでもあります。おとりとなって犯罪所をおびき寄せたところで、針で突き刺すように一網打尽にする、そのやり方を蜂の巣に近づく者を針で刺す蜂になぞらえたということのようですが、何となく納得!?

Wikipediaもそうですが、単に"sting"ではなく、"sting operation"となっています。

2011年11月18日金曜日

風邪をひいたら無理せず休みましょう ― presenteeism

11月も半ばに入ってきて寒さが増してきました。勤務先ではマスクをして仕事をしている同僚を見かける機会が多くなりました。年末が近づいてきており、どなたも多忙を極める時期でしょう。ちょっと風邪をひいたくらいでは休めないくらい忙しいのでしょうか?あるいは休んだら同僚に申し訳ないからでしょうか?

私の周りの席の人も体調を崩している人が結構いて、個人的にはお休みすればいいのにと思いますが、同時に私自身も体調を崩さないように気をつけなければ、と思います。ちょっとぶっきらぼうに言わせてもらうと、うつさないでね、ということです。

Motreal Gazzett紙の記事によれば、さる大学の研究で、無理して出社するよりも家で静養した方が生産性の観点から望ましいという報告が出たとのことです。


Your colleague in the next cubicle has provided a symphony of sneezing and hacking all day and you are on your third bottle of hand sanitizer as you curse the “conscientiousness” of employees who feel compelled to work when they’re sick.

You have just witnessed presenteeism – code word for working when sick – and a new study out of Concordia University shows that it may be even more costly to the workplace than absenteeism.

The Concordia study by Gary Johns, a management professor at the John Molson School of Business, comes on the heels of another study out of Queen’s University that also shows the costly repercussions of presenteeism.
(Karen Seidman. Staying home can help productivity. Montreal Gazzett. November 17, 2011.)


さて、引用記事の中に、"presenteeism"という見慣れない単語が現れます。これはどのような意味で用いられているのでしょうか?手持ちの辞書を早速引きましたがエントリはありません。

記事の中には、対義語と思われる、"absenteeism"という単語も出てきます。こちらはよく使われる単語です。ずる休みとか計画的欠勤などと訳されます。

そうすると記事のコンテクストから、"presenteeism"が何を意味するのか、何となく分かってきますね。

記事にもありますが、"code word for working when sick"とあります。つまり、体調を崩してしんどいのに働く、ということですね。しかし、この記事を読んでいますと、”働く”というよりも、”出勤する”、という方が正確であるような気がします。"present"とはある場所に存在しているということを意味する形容詞ですが、ここではオフィスなどの勤務先に居る状態のことを指しているわけで、もちろんオフィスにいるということは働きに来ているわけですが、”働く”という行為そのものよりも、その場に居るということに焦点が当てられているように思えます。こう言ってしまうのはやや躊躇されることですが、休んでも全く差し支えないのに、無理を押して出勤するという”ポーズ”、あるいは出勤しなくてはならないというような強迫的な観念のようなものがあって、"presenteeism"につながっているのではないでしょうか。

さらに、表現はされていないものの、言外には、“無理して出社することで周囲の人に(病を)うつしてしまうかもしれないリスク”をほのめかしているようにも思われます。

記事で紹介されている研究報告では、"presenteeism"は本人の生産性低下は言うまでもなく、周囲の人への影響も考えると"absenteeism"よりも問題であるとしています。

勿論、本当に多忙で休むわけに行かない立場の人、顧客や締め切りなどの関係があって休めない人など、色んな立場の人がいるとは思いますが・・・。

2011年11月17日木曜日

相乗り ― carpool

今日は単刀直入に。自動車に相乗りする、を英語で何と言うでしょう?

答えは、"carpool"です。下記の引用記事を読んで初めて知りました。


How would you feel if the government told you that you couldn’t smoke in your own car?

Perhaps you’d endorse the idea that public health officials were trying to make it harder for people to maintain a habit that increases their risk of developing lung cancer, emphysema, heart disease and a host of other problems. Maybe you’d rejoice that you’d never again be forced to carpool to a meeting with a chain-smoking colleague. You might even breathe a sigh of relief for all the children of smokers who would be able to ride to school, soccer practice and piano lessons without being forced to inhale clouds of secondhand smoke.

And some of you – smokers or not – might be more than a tad annoyed at the prospect of Big Brother dictating what you can and cannot do in the privacy of your own vehicle.
(Karen Kaplan. Should it be illegal to smoke in your own car? Los Angels Times. November 16, 2011.)


ランダムハウス英和辞書を引いてみたところ、”近隣の人々が相乗りのグループを作り,毎日交替で運転手を務めて,通勤・通学に利用する取り決め”という解説がありました。英、米、カナダで良く見られる取り組みだそうです。

ところで、"carpool"という単語の、後半部分である、"-pool"は、”モータープール”を想起させます。日本語で”モータープール”はいわゆる駐車場のことですが、そうしますと"carpool"も何となく駐車場のようなイメージなのですが、一体どうなのだろうと思って調べてみました。

驚いたことには、"motor pool"という表現は英語で存在するのですが、駐車場の意味は無く、"carpool"と同様、相乗りを意味します。さらに分かったのですが、”モータープール”を駐車場を意味するのは日本でも主に関西地方に限られるということですが、果たして本当かと思います。

さて、引用した記事はタバコ問題に関するものですが、自家用車での喫煙まで制限するのか、という今日の話題です。記事によれば、イギリスでは既に法制化に向けた動きが活発のようです。その内容は、子供を乗せている場合にのみ喫煙を禁じるというレベルから、同乗者がある場合の喫煙を禁じる、さらにはそもそも自家用車であっても一切喫煙を認めないというレベルまであるようです。

愛煙家の肩身はますます狭くなりますね。

2011年11月16日水曜日

“人工肉“は普及するのか? ― catch on

今日はネタを探すのに非常に苦労したのですが、GoogleニュースのUK版でサイエンスのセクションを見ていたら、興味深い見出しが目に留まりました。


FEATURE-Petri dish to dinner plate, in-vitro meat coming soon


というものです。オランダ、マーストリヒト大学のMark Post教授らによる研究成果ですが、いわゆる“人工肉”がついにお目見えするという話です。

”Petri dish”(ペトリ皿)なんて、中学時代(?)の理科の実験室に戻ったような気分ですが、人工培養した肉が食卓に載るのもそう遠くない!?いえいえ、記事を読んでいただくとそんなにたやすい話でないことが分かります。


LONDON, Nov 11 (Reuters) - Scientists are cooking up new ways of satisfying the world's ever-growing hunger for meat.

"Cultured meat" -- burgers or sausages grown in laboratory Petri dishes rather than made from slaughtered livestock -- could be the answer that feeds the world, saves the environment and spares the lives of millions of animals, they say.

Granted, it may take a while to catch on. And it won't be cheap.
(Kate Kelland. FEATURE-Petri dish to dinner plate, in-vitro meat coming soon. Reuters. November 11, 2011.)


引用にありますように、人工肉の普及によって何百万頭という家畜を殺さずに済みますし、餌代や飼育の手間など、その他にも色々とメリットがあるようです(エコにも良いということなのですが、それは記事の中で・・・)が、それはそうとして(granted)、普及するのにはもう少しかかりそうですよ(it may take a while to catch on)、というのが最後の段落にあります。続く記事を読んでいただければと思いますが、人工肉のハンバーガーを提供しようと思ったら25万ユーロ(およそ345,000米ドル)にもなるのだそうです。とてつもない値段です。

さて、ここで使われている動詞句、”catch on”ですが、


定着する、流行する、理解する、会得する


などの色々な意味があるのですが、ここでは“定着する”、もしくは辞書には載っていませんが、“普及する”という訳語が適当でしょう。"catch on"の用例をコーパスなどで見ますと、”流行する”、”受ける”、といった意味での用例が多いようなのですが、ここではファッションやトレンドといった話ではありませんので、”流行する”、”受ける”は当たらないと思われます。

なお、人工肉の話題に戻ると、件の教授によれば、試験管培養による人工肉を使った世界で初めてのハンバーガーは来年の8月か9月頃にはお目見えするそうですが、味は保証の限りではない("a long way from a mouth-watering meal”)ということです。

私はやっぱり和牛がいいなあ・・・。”ステーキを売るな。シズルを売れ!”(Don't sell the steak―sell the sizzle! -- Elmer Wheeler)という言葉を何故か思い出しました。

2011年11月15日火曜日

もう年末商戦? ― up the ante

今朝の通勤電車の中で早くもクリスマスの広告を見つけて、もうそんな時期かと改めて思いました。先々週くらいも、やはり電車の中で前に立った女性の乗客がもっていた紙袋がクリスマスのそれだったのを思い出して、もうクリスマス!?と思わずにいられませんでした。今日の夕方は丸の内を歩く機会があったのですが、店舗にはクリスマスツリーが飾られていましたし、先週末行った郊外のホームセンターではツリーの装飾用品などを早々と売り出していました。何だか年々早くなっているように感じるのは私だけでしょうか?

アメリカでは、クリスマスの前に大きなイベントがあります。そう、Thanksgiving holidayです。

Thanksgiving holidayは11月の第4木曜日ですが、Thanksgivingが終わるとクリスマスまでのカウントダウンが始まると言います。つまり年末商戦のスタートです。

しかしながら、アメリカでもこの商戦のスタートに微妙な変化が起きている模様です。


As stores up the ante with earlier holiday hours that creep into Thanksgiving night, Black Friday is turning into Black Thursday, and some shoppers and employees aren't happy about it.

Toys R Us said Monday that it will open at 9 p.m. on Thanksgiving, an hour earlier than last year and the earliest of any retailer so far this year.

•Walmart will open at 10 p.m., two hours ahead of last year's midnight opening.

•Other stores, including Target, Macy's, Best Buy and Kohl's, will open at midnight.

Anthony Hardwick, a cart attendant at a Target in Omaha, started a campaign to protest the decision to open at midnight, four hours earlier than last year. His petition, on Change.org, calls for Target to push its opening to 5 a.m. Friday. The petition had 62,000 signatures as of late Monday.

"With the midnight open, you're going to cut into a lot of people's family time because you have to rest up if you're going to be working overnight," says Hardwick, 29. He says he'll be in bed by 2 or 3 p.m on Thanksgiving.
(Hadley Malcolm. Toys R Us, Walmart plan to open earlier on Thanksgiving. USA Today. November 14, 2011.)


さて、Thanksgiving holidayとBlack Fridayという日付のおさらいになりますが、Thanksgivingは11月の第4木曜日ですので、今年は11月24日がそれにあたります。そしてBlack Fridayとはその翌日、11月25日になる訳です。(Black Fridayについては2年前に一度取り上げましたので詳しくはそちらもご覧ください。)

記念日や祝日を大切な人と過ごすというのはごく当たり前の気持ちですが、年末商戦に過熱する百貨店や小売業は売り上げを伸ばすために店を開けなければなりません。他店に先駆ける傾向には拍車がかかり、ストアの開店時間が徐々に早くなってきているそうなのですが、遂にThanksgiving当日の夜にまで食い込んで来ており、従業員から不満の声が挙がっているというのです。従業員は休日返上せざるを得ません。もはやBlack Fridayではなく、Black Thursdayである、というのはこのような背景を皮肉っているものです。

今日は冒頭の、"up the ante"という表現を取り上げました。"ante"とは、ギャンブル、特にトランプのポーカーでの掛け金、という意味です。"up the ante"で掛け金をつり上げる、という意味なのですが、ここでのコンテクストでは、年末商戦に賭けて開店時間を早めるなどしている取り組みを、ギャンブルで掛け金や出資金をつり上げることになぞらえた表現であると解釈できるでしょう。

2011年11月14日月曜日

私腹を肥やす ― pad one's own pocket

オリンパスの不正経理事件など、経済関係、特に株式相場に関するニュースがホットなこの最近です。

株に関する不正な取引の1つにインサイダー取引というものがあります。株をやらない(知らない)私にしてみれば、いつの時代も私腹を肥やす悪い奴は無くならないものだと思うくらいです。ただ、もしも自分が他人の知らない有利な情報を得たら、どう行動するだろうか?という風に考えなくもありません。これから値が上がる株だと分かっていれば買いたくなるかも知れませんし、もしも持っている株の株価がこれから下がると分かっていれば大きな損をする前に売ってしまいたいと思うのが普通でしょう。

それでも、地位を利用して一般人には到底知りようがないような情報を得てこっそり利益を得るのはフェアじゃない、というようにも思います。ところが、政治家はこのインサイダー取引の対象にならない、ということを下記の記事をきっかけに知るに至り、やはり政治家というのは嫌な人種だなあと思うのです。


Washington, D.C. is a town that runs on inside information - but should our elected officials be able to use that information to pad their own pockets? As Steve Kroft reports, members of Congress and their aides have regular access to powerful political intelligence, and many have made well-timed stock market trades in the very industries they regulate. For now, the practice is perfectly legal, but some say it's time for the law to change.
(Congress: Trading stock on inside information? CBS News. November 13, 2011.)


さて、引用した記事の中に、


pad their own pockets


という表現が出てきます。見慣れない表現なので辞書を引きますが、手持ちの辞書では"pad"という動詞の項にも、"pocket"という名詞の項にもそのようなエントリがありません。決まって見つけるのは、


line one's pockets


という表現で、これは”私腹を肥やす”という意味です。

"pad one's own pocket"という表現を解釈してみますと、"pocket"とはいわゆる上着やズボンのポケットですが、比喩的には財布や貯蓄など個人の持つ財力、つまり懐具合のことです。

"pad"は、名詞ではいわゆるショルダーパッドや座布団、メモ紙(ノートパッドや”アイパッド”(iPad)の"pad"ですね)などの意味がありますが、これらの名詞の意味に共通する動詞としての意味は、ものに詰め物をして膨らませる、という意味です。

つまり、"pad one's own pocket"とは、個人の財力、懐具合を示すメタファーとしての”ポケット”を膨らませることである、ということになり、これすなわち、私腹を肥やすの意であると解釈しても間違いではないでしょう。

辞書のエントリにないのが不思議ですが、特殊な表現かと言えばそうでもなく、コーパスなどでも多くはありませんが用例は認められます。


Last October, after a three-week trial, a Chicago jury found both Amerigroup Illinois and the parent company liable under the federal False Claims Act. Amerigroup's total bill -- damages plus civil penalties -- is $334 million, or more than three times its 2006 net income. Judge Harry Leinenweber, who oversaw the case, called Amerigroup's behavior "egregious and calculated." The company "pilfered money from Medicaid coffers to pad its own pockets," he wrote.
(Fortune. 2007.)


シソーラスの辞書も見たのですが、"enrich"の項に"line one's pocket"はあるのに、"pad one's own pocket"はやはりありませんでした。

2011年11月11日金曜日

今日は1が6つ並ぶ日です! ― palindromic

今日は2011年11月11日、数字の1が6つ並ぶ日です。(また、私事で恐縮ですが、妻の誕生日です。)

日付がこのような数字の並びになることは珍しいので、鉄道各社では記念乗車券を発売したりしているようです。最近では、平成22年2月22日など、そのような対象だったように記憶します。また、知りませんでしたが、11月11日はポッキーの日なのだそうです。これは数字の1が並んでいる様が、ポッキーを並べたようだからなのだそうなのですが、菓子メーカーのマーケティング戦略が何となく透けて見えるようで、こじつけのように感じなくもありません。鉄道会社の記念乗車券についても、商魂たくましい(10月28日朝日新聞)との見方もあるわけで、まあ珍しい数字の並びではありますが・・・。

さて、このような商魂たくましさは日本人に限らず、海外でも例外ではありません。シカゴ発、マクドナルドの事例について、Chicago Tribune紙の記事からの引用をご覧ください。


McDonald's Corp. restaurants are using Friday's numerical palindromic date to promote its french fries.

Playing on the 11/11/11 digital version of Nov. 11, McDonald's franchisees in metro Chicago will offer small orders of fries for 50 cents for the day. That's half the usual price for the portion.

“We hope Chicagoland residents will take advantage of this unique offer to enjoy, what are considered by many, as the ‘Best Fries on the Planet,'” said Ron Lofton, franchisee and president of McDonald's Owner Operators of Chicagoland and Northwest Indiana, in a statement.
(Kate MacArthur. McDonald's commandeers 11/11/11 as 'Fryday.' Chicago Tribune. November 9, 2011.)


ポッキーの発想と似たものがありますが、シカゴのマクドナルドレストランのオーナーは数字の1を1本のフレンチフライに見立てたようです。さらに11月11日の今日が金曜であることにかけて、"Friday"ならぬ"Fryday"としたところは、日本の鉄道会社やポッキーよりも1枚上手でしょうか!?

"palidromic"という単語は、"palindrome"の形容詞形です。"palindrome"とは日本語では回文と呼ばれるもので、いわゆる上から読んでも下から読んでも同じに読めるという性質の文のことを指しています。

"palindrome"という単語はギリシャ語源であり、ギリシャ語の"palin"(英語で言うと"again")と"dromos"(同じくrunning)、つまり"running back again"という意味です。

今日は1が6つ並ぶ日、上から読んでも下から読んでも、"11/11/11"ということになりますが、厳密にいえば西暦の4ケタは2ケタに省略していますので、記事においても、"digital version of Nov. 11"という表現になっています。

2011年11月10日木曜日

オリンパス不祥事、上場廃止の可能性 ― delisting

外国人社長解任劇のドタバタから一転、老舗で優良企業と思われていたオリンパスの損失隠しの疑惑が明るみになり、昨日には社長が組織ぐるみの粉飾決算だったことを認めるに至り、一面トップを飾る記事になっています。

海外メディアでも経済関連のトップ記事で取り上げています。

さて、邦紙でも報じられていますが、今回の不正の重大性に株式市場、東証は元より、検察特捜部も関心を寄せているそうで、オリンパス社の上場廃止の可能性が取りざたされています。

ところで、上場廃止は英語で何と言うのでしょうか?

正解は以下の引用中に。


Olympus Corp. (7733)’s admission that it hid losses by overpaying advisers may lead to its delisting by the Tokyo Stock Exchange and is sparking criticism of corporate-governance standards in the world’s third-largest stock market.

Olympus, the world’s biggest maker of endoscopes, earlier this week said it concealed losses by paying $687 million to advisers on a 2008 acquisition. The TSE said it’s considering moving the Tokyo-based company to a watch list for possible delisting because of accounting fraud.
(Olympus Scandal Means ‘Japan Way’ No Longer Excuse. Bloomberg. November 10, 2011.)


答えは、"delisting"でした。辞書を引きますと、動詞"delist"としてエントリがあります。

上場企業の一覧のことを英語で、"a list"と呼びます。リストそのものです。また、上場企業は、"a listed company"と表現されます。"delist"は、分離や離脱を意味する接頭辞の"de-"と、"list"が結合したものです。

さて、おまけでもう1つ。上記の引用の2段目に、"a watch list"という表現が出てきますが、これは何を指しているのでしょうか?

これはいわゆる”監理ポスト”と呼ばれるものです。東証(TSE)では上場廃止の基準を定めていますが、不正の発覚などで即上場廃止になるのではなく、まずは監理ポストというものに当該企業の株式が移されるのだそうです。


Under Tokyo exchange rules, a company found to have falsified earnings statements is first placed under the “watch list” post, where it is kept for a month. During that period, the exchange will review the magnitude of the wrongdoings, including whether the falsification was done in an organized manner.

Should the falsification be considered malicious, the exchange may decide to delist the company. Once that decision is made, a monthlong waiting period commences before the stock is formally delisted.
(ibid.)


上場廃止となるのか行方が注目されますが、オリンパスという企業へのダメージは相当大きいものになると思われます。自業自得と言えばそれまでですが、内視鏡など医療・生命関連の製品をトップシェアに抱える企業だけに、一般への影響も心配ではあります。この点、多くの報道は投資家や株式市場への影響への言及に終始しているように思うのは私だけ?

今日は株式関連の用語の勉強になりました。

2011年11月9日水曜日

こんな意味もあったの? ― cheat

時おりお送りしております、”こんな意味もあったの?”のコーナーです。今日は、"cheat"という動詞を取り上げます。

"cheat"という単語は、ごくごく基本的な単語で、キホンxxxx語などのリストに載っているレベルだと思いますが、”だます”、”不正をはたらく”という意味で暗記している方がほとんどではないでしょうか。いわゆる日本語で言う”カンニング”も、"cheat"で表現されます。

これらの標準的な意味に加えて、実は、”免れる”という意味もあるのですが、ご存知でしたか?実例を下記の引用記事でご覧ください。


A lucky school-bus driver cheated a fiery death yesterday when he was clipped by an SUV at a busy Brooklyn intersection and slammed into a day-care center, authorities said.

Fortuneately, there were no children on board during the 8:20 a.m. crash on Rockaway Parkway at Avenue N in Canarsie, and the four youngsters and three adults inside the basement day-care center at 1918 Rockaway Parkway escaped the solid brick building unharmed.
(School bus in fiery smash-up. The New York Post. November 8, 2011.)


American Heritage Dictionaryの定義を参照しますと、


to elude; escape


とあります。

ところでこの"cheat"という単語は語源的には頭音消失形と呼ばれるものに分類されます。没収するという意味の"escheat"という動詞に由来しますが、ランダムハウス英和辞書によりますと、封建時代の英国において、相続人がいない土地は領主が没収していたそうなのですが、没収される当人からすればだまされていたように感じていたため、意味変化し、現在の形になったという解説があります。

ある単語の意味が元々の意味からネガティヴなものに変質する例は多く、"cheat"もそうだと思われますが、殊今回取り上げた、”免れる”という意味については一体どのようにして発展したものなのか、興味がそそられます。

2011年11月8日火曜日

過失致死罪 ― involuntary manslaughter

2009年の6月に亡くなったポップ界の大スター、Michael Jackson。彼の死に関与したとして、主治医であった医師のConrad Murray氏の裁判が続いていましたが、有罪判決が下りました。罪状は、"involuntary manslaughter"(過失致死)。トップニュースになっています。


Michael Jackson's doctor was convicted Monday of involuntary manslaughter in the pop star's death for supplying an insomnia-plagued Jackson with a powerful operating-room anesthetic to help him sleep as he rehearsed for his big comeback.

Dr. Conrad Murray sat stone-faced, his chin held high, as he heard the verdict that could send him to prison for up to four years and cost him his license to practice medicine. He was handcuffed and immediately led off to jail without bail to await sentencing Nov. 29.
(Linda Deutsch. Jackson Doctor Convicted in Star's Drug Death. ABC News. November 8, 2011.)


引用したABC Newsの記事はまるで映画のワンシーンでも見ているようで、一気に読ませられました。

2ページに渡るやや長めの記事で、要約するつもりは毛頭ないのですが、かいつまんで読んでいただければ分かるようにこの判決は物議を醸すものになりそうです。家族は当然として、ファンからは有罪判決を歓迎する声が上がる一方、Murray医師はスケープゴートにされた、という声もあがっています。


A shriek broke the silence in the packed courtroom when the jury's decision was read, and the crowd outside the courthouse erupted in cheers. Jubilant Jackson fans sang "Beat It" and held signs that read "Guilty" and "Killer." Drivers honked their horns.

(中略)

In Las Vegas, a former Murray patient and current friend, Donna DiGiacomo, sobbed and said the jury was under "overwhelming pressure to convict."

"This man didn't deserve this. They needed a scapegoat," said DiGiacomo, a former Long Island, N.Y., teacher's aide who said she didn't believe Murray did anything to intentionally harm Jackson.
(ibid.)


Michael Jackson氏は不眠に悩まされていたそうですが、Murray医師は強力な麻酔剤を処方し、その直後にわずかな時間目を離した隙に亡くなったようです。このあたりが謎ですが、判決では処方後の適切な監視と助命のための措置を講じていなかったことを重過失(gross negligence)とし、これに関しては他の医師も同様のスタンスのようです。


There is no law against administering propofol or the other sedatives. But expert witnesses for the prosecution said that using propofol at home without lifesaving equipment on hand was an egregious deviation from the standard of medical care. Prosecutors called it gross negligence, the legal basis for an involuntary manslaughter charge.
(ibid.)


恐らく控訴になるのだと思いますが、しばらくは話題を独占するニュースになるのではないでしょうか。

2011年11月7日月曜日

Chickenpox partyとは? ― lunacy

"Chickenpox party"というものをご存知でしょうか?

"Chickenpox"とはいわゆる水疱瘡(水痘)のことですが、”水疱瘡のパーティ”なんて、知らない人からすれば甚だ意味不明ではないでしょうか?

しかしこれがアメリカでは大変なトレンドなのだそうです。なんと水疱瘡にかかっていない人たちが、既に水疱瘡にかかっている人と一緒になる時間を過ごすパーティなのです。何のために?当の水疱瘡に感染するためにです。


Chicken Pox Parties Is "Middle Ages Vigilante Vaccination"

If you think buying a lollipop contaminated with saliva from senders whose children are infected will protect your kids from chicken pox, think again - because it probably won't. More likely, you will be exposing them to more serious infections, such as hepatitis. A US attorney in Nashville, Jerry Martin, said not only is it unsafe to mail such contagious items, it is also illegal.
(Medical News Today. November 6, 2011.)


水疱瘡に限らず、おたふく風やはしか、そして最近では新型インフルエンザ騒ぎの中でも同様な”トレンド”がありました。つまりは厄介な病気にかかるのを後回しにするのではなく、早めにかかっておいて、免疫力をつけよう、という話です。

これは何も最近の話ではなく、数十年前の昔にもこれらの病気にかかった子供に、まだ罹患していない我が子を引き合わせてわざわざ感染するように仕向けるような風習がありました。これはこの種の病気は幼いうちにかかっていた方が良く、成人してからかかると重症化するということから、我が子を思う親の性(さが)、みたいなところがあって、今も続いている風習のようなものです。

しかしながら、最近ではエスカレートしてきたのでしょうか、冒頭の引用記事にもありますように、患者の唾液(!)がついたキャンデーをわざわざ買い求める、というような事態にもなっているそうです。また、Facebookなどのソーシャルメディアの普及がさらに拍車をかけている模様です。


One of the Facebook pages called "Find A Pox Party In Your Area" was found to be a place where parents can purchase viruses. By making a 'charitable donation' they can buy contaminated saliva, often carried on sweets or other goodies children like, or washcloths and Q-tips. On that web page you can also trade and sell such stuff.
(ibid.)


さて、これらの行為について、ほとんどの医学専門家は心情的にはある程度の理解を示していますが、科学的には"lunacy"であると、一刀両断しています。"lunacy"とは、”愚行、ばかげたこと”という意味です。


Some people are under the mistaken idea that by doing this they will expose their children to chicken pox virus, thus bypassing the need for the formal vaccine. The parents, virtually all of them lay people, believe that this method is more effective and safer than receiving a vaccination. There have been other similar parties in the past for such diseases as measles. If a child has the disease earlier in life, there is a smaller risk of complications, compared to adults who get the diseases. This is true for hepatitis A, mumps and chicken pox, and some other diseases.

The problem with 'inoculation parties' organized by lay people without any public health authority cooperation or supervision is quality control (e.g. accidental risks from shipping), lack of efficacy statistics, and the likelihood of unexpected infections. Pediatricians say children exposed to such practices have a higher risk of developing encephalitis and group A strep.

Most health care professional see this as utter lunacy. Other scientists say it is simply a scam for making money and taking advantage of gullible people.
(ibid.)


"lunacy"はラテン語の"luna"(月)に由来しています。月の満ち欠けが精神病の発症と関連があると信じられていた時代があったのです。現代にそのようなことを信じている人はいません。水疱瘡感染者の唾液がついたキャンデーを1つ50米ドルも出して買い求めるアメリカ人も、記事のタイトルにあるように中世(Middle Ages)のサイエンスの信奉者だろうかと皮肉を述べたくもなります。

2011年11月4日金曜日

バーグ=ハンバーグではありません!? ― berg

南極のPine Island Glacier (PIG)という、南極大陸でも最大級の突出部に約30 kmに渡るひび割れが観測され、巨大氷山が形成されることになりそうだと報道されています。


Major berg forming in Antarctica

A rift has formed in the shelf of floating ice in front of the Pine Island Glacier (PIG).

The surface crack in the PIG runs for almost 30km (20 miles), is 60m (200ft) deep and is growing every day.

US space agency (Nasa) researchers expect the eventual berg to cover about 880 sq km - an area the size of Berlin. It should break away towards the end of the year or early in 2012.

Pine Island Glacier is one of the largest and fastest-moving tongues of ice on the White Continent and drains something like 10% of all the ice flowing out of the West Antarctic Ice Sheet into the ocean.
(Jonathan Amos. Major berg forming in Antarctica. BBC News. November 3, 2011.)


ひび割れ=亀裂(rift)は時間と共に大きくなってきており、今年末か年明けの2012年初めまでには巨大な氷山が生まれると予測されています。そしてその巨大氷山の大きさはドイツの都市であるベルリンほどのサイズ(!)と言いますから、スケールの大きな話です。

さて、今日は"berg"という単語を取り上げました。カタカナにすると“バーグ”かも知れませんが、ハンバーグのことではありませんよ!?これはつまり、"iceberg"(氷山)のことです。辞書を引くと、"berg" = "icerberg"とありますのでそれまでですが、語源に目を向けると興味深いものがあります。

"iceberg"という単語は、オランダ語である、"ijsberg"(ijs=氷、berg=山)という単語に由来するものです。ドイツ語では、"Eisberg"であり、同様に”氷”+”山”です。

なぜか英語では、前半の"ijs-"(もしくは"Eis-")は自国語の"ice"に翻訳し、後半の"-berg"は借用して、"iceberg"としました。

これは面白い現象です。しかも、記事の引用にもありますように、もとはオランダ語、ドイツ語そのままである、"berg"のみを用いている点も興味深いものがあります。

同様の現象が見られる単語に、


smearcase(ドイツ語"Schmierkase"の前半は英語化して"smear-"、後半は借用"-case")

sitzbath(ドイツ語"Sitzbad"の前半"sitz-"は借用、後半は英語化して"-bath")


などがあります。

2011年11月3日木曜日

bilk

まずは下記の引用をご覧ください。


12 charged with bilking Medicare of $95 million

(CNN) -- Federal authorities have charged 12 people in connection with billing schemes that involved more than $95 million in fraudulent Medicare claims, the U.S. Justice Department said Wednesday.

The suspects, including four doctors, were charged with health care fraud and money laundering after allegedly attempted to bill Medicare for "services that were medically unnecessary and never provided," the statement said.

Eleven of the suspects were arrested or surrendered in New York. All 11 have pleaded not guilty.
(CNN. November 2, 2011.)


"bilking"という単語は、動詞"bilk"の現在分詞形で、”詐取する”という意味の動詞です。勘定をごまかすとか、借金を踏み倒す、というような意味で用いられ、いわゆる詐欺ということです。

本文中では、"billing scheme"、"fraud"、"fraudulent (claims)"などの表現が用いられていますが、ほぼ同じ意味で使われていると言ってよいでしょう。

さて、"bilk"の語源が気になったので辞書を見ると、"balk"に由来するとあります。ある別の辞書でもやはり"balk"との関連が書かれていましたが、それ以上の語源は不詳のようです。

"balk"はためらう、躊躇するという意味の動詞ですが、野球用語でボークというように、投球動作に入ってからその行為を中止する、という意味があります。野球でボークはペナルティが取られますが、これは打者に対して裏をかく行為であるとみなされるからで、そう考えると、"balk"から"bilk"への展開は何となく分かるような気もします。(個人的な解釈ですが・・・。)

ちなみに類義語としては、"swindle"、"cheat"、"gull"などの動詞があります。

これらの動詞に共通しているのは、いずれも、

動詞+目的語(人など、詐取の対象)+"out of"+目的語(お金など)

という形式を取ることです。"out of"の代わりに、"of"だけのこともあります。


... bilk amateur investors of their savings
... federal charges for allegedly bilking the state out of millions


といったパターンです。

2011年11月2日水曜日

ジョブズ氏がん治療の是非: 下衆の後知恵 ― 20/20 hindsight

先日も故スティーブ・ジョブズ氏の新しく出版される伝記について触れましたが、その中で氏が晩年に見つかったすい臓がんの外科手術を拒み、食事療法やヨガなどに精を出した結果、手遅れになったという逸話がありました。本人も多少の後悔があったようですが、周りの人間にとってみればなぜ医者から勧められた時点で決断しなかったのか、という思いもあるでしょう。

しかしながら、後悔先に立たず、と言います。また、俗に”下衆の後知恵”とも言います。物事が起きてしまってから、その原因をあれやこれやというのは誰でもできることなのかもしれません。

今日はそんな内容の記事を引用しました。


Was Steve Jobs a smart guy who made a stupid decision when it came to his health?

It might seem so, from the broad outlines of what he did in 2003 when a CT scan and other tests found a cancerous tumor in his pancreas. Doctors urged him to have an operation to remove the tumor, but Mr. Jobs put it off and instead tried a vegan diet, juices, herbs, acupuncture and other alternative remedies.

Nine months later, the tumor had grown. Only then did he agree to surgery, during which his doctors found that the cancer had spread to his liver, according to the new biography by Walter Isaacson. Cancer eventually killed him.

The sequence of events has given rise to news articles and blogs based on 20/20 hindsight, speculating that if only Mr. Jobs had had the surgery right away, doctors could have caught the cancer early, before it spread, and saved him.

But there is no way in this life to know what might have been — not in politics, baseball, romance or the stock market, and certainly not in sickness and health. Mr. Jobs’s wish to avoid or delay surgery was not unusual. And given the type of tumor he had and the way it was found, his decision to wait may not have been as ill considered as it seems at first blush.
(Denise Grady. A Tumor Is No Clearer in Hindsight. The New York Times. October 31, 2011.)


引用記事の中ほどに出てくる、"20/20 hindsight"という表現に注目して下さい。見慣れない表現ですね?

"hindsight"とは、"foresight"の反対語と考えることができます。つまり、"fore-"(前の)、"sight"(見識、洞察)で、先見の明、という意味に対して、"hind-"(後ろの、後からの)、"sight"(見識、洞察)で、”物事が起こってからの洞察”、ということになります。

では、"20/20"とは一体何でしょうか?

これは欧米の視力測定で使われる指標なのだそうです。日本では、1.5とか1.0とかで視力を表しますが、欧米では、"20/20"とか"6/6"といった表し方が使われ、分数視力と呼ばれます。例えば、"20/20"は20フィート離れたところから、20番目の視力検査表のマークを確認できる視力がある、ということを示すのだそうです。そして、"20/20"はいわゆる視力1.0(つまり正常)に相当するということがポイントです。

以上のことから、"20/20 hindsight"を解釈するとどうなるでしょうか?

実は手元の辞書を色々あたったのですが、解説が見当たらなかったので以下は私の個人的な解釈です。

人は誰しも、決断を下す前にはあれこれ考え悩むものです。先見の明がある人は好ましい結果に至るような決断を下すことができるかもしれません。その力、能力を視力に例えるならば”正常以上の視力”ということになるでしょう。逆に判断をミスってしまった場合は、”正常以下の視力”という判断を下さざるを得ないかもしれません。

"20/20 hindsight"という表現は、一種の皮肉だと思います。つまり、後から振り返って色々評するのは誰でもできる、結果が分かっていることについては視力1.0も当たり前、ということではないでしょうか?

日本語では”下衆の後知恵”という表現がぴったりくるように思われますが、どの辞書を見てもそのような表現が無いのが不思議です。

2011年11月1日火曜日

ハロウィーンの日はお産が減る!? ― sway

週末はどのように過ごされましたか?私はハーフマラソンを走りましたが、ハロウィーンの仮装で走るランナーをたくさん見ました。この時期はパンプキンやら蝙蝠やら、そして子供にとってはTrick or treatを合言葉にお菓子にありつくことのできる、日本でも今や恒例になってしまったお祭り騒ぎです。

ところで、ハロウィーンの日にはお産が減る、という興味深い記事です。それって本当でしょうか?


Fewer women give birth on Halloween than on Valentine's Day, finds a new study. But this may not be a mere calendar coincidence. Researchers at the Yale School of Public Health suggest that pregnant women appear to be swayed by the cultural symbolism of the two holidays -- skeletons versus cherubs -- and this might influence their baby's arrival date.

They speculate that mothers-to-be may avoid delivering on the October holiday associated with death and witches. But scientists suspect that women have a more favorable view of Valentine's day, which is linked with love and romance, and may try for a Feb. 14 delivery.
(Cari Nierenberg. Are women spooked about giving birth on Halloween? MSNBC. October 30, 2011.)


アメリカやヨーロッパからハロウィーンを”輸入”した日本人の我々にしてみればお祭り、1つのイベントに過ぎないと思うのですが、伝統を重んじる人たちにしてみればお産を避けたい日になるのでしょうか!?

今日取り上げた単語"sway"は、動かす、揺さぶる、動揺させる、という意味の動詞です。つまり、決心や気持ちなどを揺さぶる、という意味です。

jack-o'-lanternraven(蝙蝠)、その他お化けなど、死のイメージに彩られたハロウィーンは、あたかも日本人にとっての忌日のようなものなのかも知れません。

逆にバレンタインデーなどにはお産が増えるという統計があるということです。