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2011年10月11日火曜日

へそが茶を沸かす ― pigs might fly

今週は動物が出てくる表現を特集しています。昨日は犬(dog)でしたが、今日は豚(pig)です。

”へそが茶を沸かす”という表現をご存知でしょうか?生粋の日本人なら一度は聞いたことがあるのでは?例えば以下のような使われ方で見られます。


あのアホが東大だって!?ちゃんちゃらおかしくてへそが茶を沸かすわ!
(注: この例文は筆者の創作です。)


あり得ない事、有りそうもないこと、おかしくてたまらないことを表現したい場合に使う表現です。言語学の分野では、Dutchman発話などとも呼ばれているそうですが、一般的には"hyperbole"(誇張法)と呼ばれる類の表現です。

構造的には、まず話者が否定したいステートメント(A)があり、続いて現実にはあり得ない事象のステートメント(B; ”へそが茶を沸かす”)が置かれます。もしAが真実ならば、Bもまた真実である、という論理で、Bが現実にはあり得ないことから、Aもまたあり得ない、という逆を聞き手に意識させる語法なのです。

”へそが茶を沸かす”の英語版、といってもいいと思いますが、今日取り上げる表現は、"Pigs might fly."というものです。へそが茶を沸かすということがあり得ないのと同様に、豚が空を飛ぶなんてことも到底あり得ないことです。


Washington and its suburbs will have much less air pollution and little traffic congestion, and children here will ask, "Daddy, do you remember rush hours?" There will be few movie theaters and not even many video stores, but for entertainment people will be able to go home and enter a different, three-dimensional reality where they can visit Mars, commit murder and rule the world. Sure, and pigs will fly, and people will access the Yale library on their wristwatches.
(John Lang. Destination. The Washington Post. 1992.)


この例からもお分かりのように、助動詞は"might"だけではなく、"will"、または"could"の場合もあります。

また、下記は”ありそうもないこと”を表現するという点では、"Pigs might fly."のバリエーションだと思われます。


"Potty training is very, very individual, just like learning to walk and learning to read," she said. "You can try to force a child to be potty-trained, but it's like asking a pig to fly. It frustrates you and irritates the pig."
(Brigid Schulte. Girl's suspension a sign of the times for potty training. The Washington Post. January 30, 2011.)

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